書は言を尽くさず、

本読んだりしています

殊能将之 『鏡の中は日曜日』

鏡の中は日曜日 (講談社文庫)
石動戯作が登場するシリーズ3作目。文庫化に際して同シリーズ4作目の『樒/榁』も同時収録された。


まず「鏡の中は日曜日」だが、文庫版を買った時点ではただ「良い作品だ」という感想しか残っておらず、記憶している内容も朧げだった。今回再読してみると、やはり同様に好印象を持ち、トリックの巧い部分や新本格の茶化し方やらに感心した。ただもうしばらくすると、初読時と同じように記憶が薄れていき作品の感想もぼんやりとしたものになっていくんじゃないかな、と考えたりもする。


続いて「樒・榁」。元は特別企画の密室本として刊行されたもののため、枚数が少なくて物足りない。さらに「鏡の中は日曜日」の後日談的な位置付けで、一個の作品として読むと「舞台と状況の変遷」ぐらいしか面白みがない。同時収録して正解。