ネギの一生
時は遡って今年の7月、カテキンを摂取しないと禁断症状が出るとかいう人でもない限り知らないとは思うが、お〜いお茶のおまけにこんなものが付いていた。
お〜いネギ
私はこういった飲食物におまけが付いているものを見ると、思わず手にとってしまうくらい企業側からするとどストライクな人間だったので、とりあえず試しに買って育てることにした。
1日目のお姿
ちなみにわざわざペットボトルの蓋に土を入れて育てているのは、決して私が植物を育てたことが無くて分からないなりに試行錯誤した結果こうなったというわけではなく、伊藤園さんからの指示に忠実に従ったからである。
こうして恐らく小学生の時に育てたアサガオ以来となるネギの育成が始まったのだが、やはり「所詮おまけ」ということが頭の片隅にありどうしても順調に育っているとは思えなかった。
9日目のお姿
これでちゃんとできているのか?という疑問が付きまとう中、何とか指定された日数を育てきりいよいよ鉢植えに移す作業に入った。
これが中々に難しく、というか正直ちょっとグチャっとなってしまい、今までの育成が無駄になった可能性があるという目も当てられない状況に陥った。
私は今まで液晶部分に貼る傷防止シートを一発で上手く貼れたためしが無かったので、良く考えれば当然の結果である。
こんなことなら最初から鉢植えで育てれば良かったと後悔したが、育成経験値が極端に低い私がそのことに思い至る可能性はゼロだったので泣き寝入りするしかなかった。
しかし、いつだったかのど根性大根もそうだったが、植物というのは人間が思っているよりも遥かに生きる力が強いらしい、ここから私のネギちゃんはビックリするくらいすくすくと育つことになる。
27日目のお姿
41日目のお姿
69日目のお姿
90日目のお姿
途中台風による暴風が何回かあったにも関わらずここまで育ったのは、毎日水をあげ続けたからというのもあるだろうが、それよりも水をあげる度に私が話しかけていたのが大きかったような気がする。
そして本日、流石にそろそろ限界だろうという判断の下、遂に収穫することにした。
今日(154日目のお姿)
どうだろう、凄く成長したではないか。というかそれを通り越して少し枯れている。
しかし、畑で見かけるネギもよく見ると所々枯れているので、これは別に何らおかしいことではないし、枯れてしまったのは私が毎日話しかけすぎたせいでストレスを感じたからではないはずである。
さて、野菜は収穫すれば終わりというわけではなく、最終的には食されてこそナンボなので、ネギがそのまま腐ることが無いように、そして何より費やした154日間を無駄にしないためにもさっそく調理に取り掛かることにした。
まな板の上のネギ
ギャース!
途中ネギを切り刻んでいる時、何やら鼻にツンとくるものがあったが、これは私がネギとのあんなことやこんなことを思い出して・・・ということではなく、単にネギの成分によるものだと思う。
良いにほひ
完成
というわけで、154日間を費やして丹精込めて育てたネギは、麻婆豆腐へと姿を変えることと相成った。
完成する1つ前の写真は躍動感が伝わるように炒めているときに撮ったのだが、今改めて見ると炒め終わって火を止めたあとに撮ったみたいになっていたので凄くガッカリした。地味に熱かったのに。
ちなみに、肝心のお味はというと、作りなれた麻婆豆腐ということで高をくくったのがいけなかったのか、まさかの激しょっぱい味付けになっていた。
もしかしたら今までぼっちである私の相手をずっとしてくれていたネギとの別れが悲しすぎて、味付けに余計に塩味が加わってしまったのかもしれない。
と、綺麗に終わらせようと思ったが、良く考えたらただのお茶のおまけだったので見栄を張らずに素直に失敗を認めようと思う。
こうして私が愛情をいっぱい注いで育てたネギは、味付けを失敗するという最悪の形で私の中にオーバーソウルしたのだった。