雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

新編日本の面影/ラフカディオ・ハーン

日本について考えることは難しい。
飛行機に乗れば、離陸していくにつれて、住んでいる街が小さく遠ざかってゆく。
そこに見えるのは日本の街であるに違いない。
例えば、中国人の友人と話していると、日本人である自分を意識する。
だが、自分にとって日本とは何なのだろうか?
おそらく外から眺めることでしか、その答えは見つからないだろう。
ラフカディオ・ハーン、或いは、小泉八雲、その人については今更ここで書く必要もないだろう。
この本は、松江の辺りに暮らしていた頃の文章のようだ。
基調として、日本に対して好意的である。
人々に対して好意的であり、文化に対し敬意をもって接する。
特徴ある叙情的な文章で日本を紹介してゆく。
時折、挿入される民話や伝承が、その叙情を高めている。
ここに記された日本は、今は失われた過去の姿であると同時に、旅行者としての視点からの姿だろう。
その二重のフィルタを外した時に見える日本の姿は、今ここにある日本の姿とどれほど隔たっているのか、或いはどれほど近いのだろう。
ガイドブックとしては役に立たないのは間違いない。


新編 日本の面影 (角川ソフィア文庫)

新編 日本の面影 (角川ソフィア文庫)