常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

collectという動詞が伝えるもの

田邉祐司先生からの「問いかけ第二弾」に挑戦します。
普通に考えると(  )部分は「記録した」,「達成した」,「勝ち得た」などの動詞だと想像されます。そうすると,record,get, obtain, win(いずれも原形)などがはまると思います。しかしながら,ネットで検索してみますと電光掲示板に映し出された言葉は以下のものでした。

   Hideki Matsui just collected his 1000th career MLB hit

 なんと! 先生の問いの(    )には,collectedが使われていたのです。この中学校単語を普通,私達は,「集める」,「取り立てる」などの意味としてとらえています。さらに少し英語に習熟してくると,「勇気・自制心などを取り戻す」(collect oneself),「(主に英)人を迎えに行く」,「ほこりなどをためる」,「採取する」などの意味もあることに気づきます。しかし;

WIN STH to receive something because you have won a race, game etc; Redgrave collected his fifth Olympic gold medal in Sydney.(Longman Dictionary of Contemporary English; LDOCE

のような意味,すなわち,「(競争や試合に勝って)〜を手に入れる」という意味で把握している人は,私を含め少ないと思います。事実,手元にある学習辞典を数点ながめても,こうしたcollectを採り上げているものは少ないようです。『ジーニアス英和辞典』(第4版 大修館書店)には「(主に英) (選手権など)を勝ち取る,手に入れる(obtain, win)」という意味があり,さらに親切にも,「《時に「少しずつ」の意を強調》」との注もあります(ただし,この(主に英) という注には再考が必要なようです)。
松井選手は今年でメジャー挑戦8年目。ケガに苦しんだシーズンも多い中,日々少しずつ積み重ねた功績が,今日の記録達成に繋がったことをcollectの1語がその意味を物語っています。collectはまさに「コツコツ」を表す言葉でした。ちなみに,LDOCEには;Redgrave collected his fifth Olympic gold medal in Sydney.という例文がありました。さらにネットで,collect one’s title, medalなどを入れてみますと,その用例は軽くウン百万を越えます。それらのほとんどがスポーツ関係です。
野球少年だった私の憧れは松井秀喜選手でした。そして今回,改めて松井選手のすごさを実感しました。今はまだ見えない未来のために,今日出来ることをしっかりやる,その気持ちを忘れずに私も英語の表現をcollectしていきます。(by gacha)