常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

桃色通知書

Calif. teachers see red over mass pink slips
But stimulus money could help make actual layoffs much less severe

pinkは当然,「ピンク」「桃色」である。pale redともパラフレーズできる色合である。
英語に精通している人であればさらに,少し古いが,in the pinkという成句を思い出し,pinkから「健康」を連想するだろう。これは日本語の「ピンク」がもたらす性的な意味合いとは対極にある(ただ,英国ではhomosexualの人を表す)。それから,今ではあまり使われないが,the pink of perfectionという形で,「〜の極地,粋,典型」の意味を表す文学的表現を思い出す人もあろう。

ところがこの色がslipと一緒になったとき,それはまったく違う意味に彩られる。それがアメリカで使用されるpink slip,解雇通知である。これは通知書の色に由来する表現である。

そして,このpinkのslipが届けられる予定になっているのが,他ならぬ「K-12」と表現される幼児・初等教育の教員,事務員,バス運転手などの教育関係者なのだ。大量の解雇通知(pink slips)の通達に教員が激怒している(see red—牛が赤を見ると興奮するという由来からのイディオム)という内容である。財政難のために全米各州の教育学区で数十万人規模のリストラが行われる可能性がある。早速,教職員,関係者,父兄達がPink Fridayと呼ばれる抗議のデモを行った。Yes, we can.で見事,米国初の黒人大統領となったObama氏。教育は国の根幹をなすということをお忘れではないだろうか。(by 小山本)

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