もう一つのエースの願い

 本当にこのところの「ウルトラマンメビウス」は、手加減という言葉を知らないようだ。今回も昭和の子供たちの涙腺に、容赦ない攻撃を加えてきた。
 劇場版の延長戦のように、これまで断続的にやってきたヤプール編だが、今週はついに最終局面。そこで当然のごとく登場したのはウルトラマンエース北斗星司、演じるのはもちろん、高峰圭二その人である。
 月面でピンチに陥ったGUYSの前に超獣が出現。現れた超獣はルナチクス。ここで昭和47年当時子供として「ウルトラマンエース」を見ていた我々の脳裏には、一本のビデオ映像が浮かび上がるのである。
 一方、ヤプールのために異次元世界に引き込まれ苦戦するウルトラマンメビウス。気力を失いそうになったメビウス=ヒビノ・ミライに、北斗は助言する。たとえ仲間と離ればなれになっていても、意志がつながっていれば十分力を発揮することはできると。そして自分(北斗)には南夕子という存在があったと。そこに浮かび上がる北斗と南の35年前の2ショットの写真。
 そして北斗は南夕子の意志を胸にエースに変身、月面のルナチクスを倒し、覚醒したメビウスも再び立ち上がり、ヤプールを撃破する。
 そしてエース・北斗はメビウスにあの名言を残す。

 やさしさを失わないでくれ。
 弱いものをいたわり、互いに助け合い、
 どこの国の人たちとも
 友達になろうとする気持ちを、失わないでくれ。
 たとえその気持ちが、何百回裏切られようと。
 それが私の変わらぬ願いだ

 「エース」最終回で、地球の子供たちの前でエースが残した言葉だ。
 そして、その北斗の後ろに現れた白い影。
 「星司さん!」
 南夕子、颯爽と登場、35年ぶりの再会だ。
 その夕子の姿を前に、不覚にもグッときてしまった。老けたとか、そんなことはどうでもいい。まさに、子供の頃好きだった女の子に再会した気分だ。
 そして最後は、北斗と南の“ウルトラタッチ”。次回予告は目がぬれてよく見えなかった。

 感動編はここまでとして、先週に続きちらっと出てきたメフィラス星人はいかにしてメビウスに挑戦してくるのか。この先も目を離せない。

アマゾンを見習え!ゲキレンジャー

 きょうから戦隊シリーズの新番組「獣拳戦隊ゲキレンジャー」が始まった。
 前作「轟轟戦隊ボウケンジャー」は、戦隊シリーズ30作目の記念作品という位置づけもあって、原点回帰的な、わりと戦隊シリーズの王道をいくような作り方がなされ、しっかりした内容だったように思う(ヒロインのピンチが少なかったのはいただけないが・・・)。その王道型の後を受けての31作目はどうやら変化球をねらっている出だしだ。
 冒頭、登場したのはジャングルで暮らす野生児。その野生児・漢堂ジャンは悪の手先に追われるキャリアウーマン風の女性・真咲美希と遭遇する。美希は獣拳を駆使して戦うものの、所持していた腕輪を奪い去られてしまう。美希は、人間離れの力を持つジャンを東京に連れて帰り、悪の獣拳・臨獣殿と戦う拳士としてスカウトする。そのとき、町を荒らす臨獣殿の拳士の一団が出現。すでに拳士として特訓を重ねてきた宇崎ラン、深見レツの2人とともにジャンは戦いに挑んでいく。―と、ざっとこんなだ1回のあらすじ。
 まず、気になったのは野生児・ジャンのこと。やれ「ゾワゾワ」だの「ニキニキ」だのと、野生語とでもいうべき言葉を発しているのだが、その辺の街や電車の中でウンコ座りしている小汚い若者くらいにしか見えない。野性味が足りないのである。少しは仮面ライダーアマゾンを見習ってほしい。アマゾンの場合、当初は日本語自体がままならず、当時見ていた子供の目には、とても日本人とは思えなかった(もちろん、演じていたのは正真正銘の日本人。日本語が不自由だったのは単に演技力のせいだったかも知れないが)。
 一方、大きな子供たちのここをつかんだのは美希を演じる伊藤かずえ。獣拳を駆使するアクションは見事!さすが往年の大映テレビドラマの看板女優。どうせならドラムスティックやチェーンでも振り回しながら戦ってくれればいうことなしだが。
 そして、いちばん気に入ったのはエンディング・テーマ。ついにアニキ・水木一郎の登場である。意外だが、アニキが戦隊ものの主題歌に関わるのはこれが初めてだ(挿入歌ではあったと思うが)。歌の感じも、渡辺宙明メロディーを思わせる懐かしめのテイスト。その歌にあわせて、3人のメンバーのみならず、伊藤かずえもノリノリに踊ってくれているのはもうGJ!
 というわけで、総合すると微妙な滑り出しといえる新戦隊だが、これからどう展開されるのか。今回のヒロイン・ランは当たりかはずれか(適役のメレたんの方がいい感じ?)。今後に期待したい。