2008-01-18
■[テレビ番組]「ちりとてちん」 演出家に脱帽
今日18日の連続テレビ小説(朝ドラといってはいけないらしい)「ちりとてちん」、昼の再放送までにBSを含め3回見た。いつものことだが。
で、内容はというと、B子こと喜代美の親友・順子が、同じく友達のA子こと清美の兄で塗り箸製作所のの一人息子・友晴の子を妊んだことが発覚し、二人の親同士の話し合いの場をB子の母・糸子がセッティングする。そしてその場に居合わせた3家の面々が発言していくという展開。
で、3回目の放送を見ているうちに気がついた。15分の放送時間で、場面は終始B子の実家の居間。そして、見た限りでの判断だが、全編ノーカットの連取り芝居。わずか15分のドラマでこれをやってしまう演出家には頭が下がる。
その演出が相乗効果となっているのか、ここの役者の演技も光るものがあった。ダメヒロイン・B子が、普段は励まされているというか自分の背中を押してくれていた順子(2chなどネット界隈では「C子」とか「鯖子」などと呼ばれているが)に、立場逆転の背中を押す言葉を投げかけるセリフの切れは実に見事。そして最後の最後、順子の父親・幸助の「喧嘩はすな、仲良くせい」という短い一言。撮影現場の緊迫感が生み出した名台詞だった。今週前半で出てきた、喧嘩の仲裁好きな男を扱った落語「胴乱の幸助」の伏線をきれいに生かし切っていた。
ノーカットの連取り芝居で思い起こすのは、30年近く前の「3年B組金八先生2」の伝説の1話「卒業式前の暴力2」における、金八ほか教師をはじめとする大人たちが警察の会議室で、逮捕された生徒たちの扱いを巡り意見を戦わせるシーン。こちらは45分間の番組で約20分、先にCMを多めにやったあとで一気に流したというパターンだが、きょうの「ちりとてちん」の演出の人はこのドラマの影響を受けているように思えるフシがある。
特に、まず周りの脇役の人々が一通り発言し、意見を戦わし、その間主人公はあえて控えめに、最小限のセリフを言う程度にとどめ、後半になって、満を持して決め台詞を言って場を締めるという展開は非常によく似ている。
パクリを批判しているのではない。いいものはいいと言いたいのだ。
まさに焼鯖のごとく脂ののってきた「ちりとてちん」の今後がますます楽しみだ。
■[オタク]日本オタク大賞2007「本編その2」
というわけで、日本オタク大賞2007レポート第4弾、本編の後編である。
続いてのプレゼンテーションはゲーム雑誌「コンティニュー」のライター・志田英邦氏。
志田氏が挙げた3点は、
(1)wii
(2)Xbox360+ニコニコ動画
(3)アイドルマスター
まず同氏によると、ゲーム業界はオタク的にはすでに「黄昏」の時期に入っているという。任天堂のwii、DSは売れてこそいるが、それはあくまで一般ベースでの話。その象徴的なものの一つがwii−fit。何がオタク的じゃないって、「136キロ以上のデブは乗れない!!」これは間違いなくオタクを無視している。
(2)と(3)は密接に結びついているのだが、Xbox360のソフト「アイドルマスター」の、育てたアイドルのライブシーンをアレンジした映像がニコニコ動画に次々とアップされるという一大ブーム、というより文化が生まれたのは07年のオタクシーンを代表するものの一つと言っていい。また、同じXbox360のソフト「Forza2」の、いわゆる「痛車」続出現象も、「アイドルマスター」と同じく、ゲーム制作者の意図をはるかに超越した遊ばれ方という点でいかにもオタク的である。
その一方で、志田氏が挙げた「裏もの」は「セカンドライフ・過疎」。
大手有名企業がこぞって参画して鳴り物入りで普及していくかに見えた3Dバーチャル空間「セカンドライフ」だが、いざログインしてみても、派手な看板が街を飾る一方で、他のプレーヤーに出くわす機会が思いの外少ない状態になっているのが現状。
「セカンドライフ」に限らず、MMORPGも軒並み苦戦するケースが多く、志田氏曰く「数年前にMMORPG元年と呼ばれたが、ずっと元年のままだった」という悲しい事態に至っている。大ヒット作といわれる「リネージュ」でさえ、「?」の開発が中止されることが決まったそうである。
続いては、ドリー尾崎氏による映画部門。まず挙げた3点は、
(1)ブレードランナー完全DVD発売
(2)邦画のアホ化
(3)シンプソンズ映画化吹き替え問題
とくに私が気になったのは(2)。「三丁目の夕日」のようなレトロものや、ケータイ小説を原作にした安易な作品があまりに多いと、尾崎氏は嘆く。とりわけ最近の邦画は、「なんとか制作委員会」の名の下に、スポンサーの大企業がどかどかと参入してきて、金だけにとどまらず口も出しまくるというのである。その結果、姿勢の低いダメ作品に成り下がってしまうケースが多々あるのだという。
(3)は、シンプソンズが映画化するのに際し、吹き替えに有名俳優を配したことで、元々テレビ版の吹き替えの、大平透や滝口順平といったベテラン声優のイメージがぶちこわされたとして、昔からのファンを無視した行為との批判が噴出したという話。ジブリ作品などにも顕著だが、映画の興行収入を上げんがためのタレント起用により、我々が慣れ親しんでいる本職声優の活躍の場が犯されつつあるのは実に嘆かわしい。
尾崎氏が挙げた「裏もの」は「恐怖奇形人間DVD、米国でリリース」。江戸川乱歩原作で1969年に国内で映画化された作品だが、タイトルからわかるように、まず不可能とされていたソフト化が意外にも米国で実現した。しかもこのDVD、「リージョンフリー」となっており、アマゾンあたりで購入すれば日本でも普通に見られるのである。
この手があるなら、かの「怪奇大作戦」の幻のエピソード「狂鬼人間」やウルトラセブン第12話などがソフト化される日も近いかも。
そして大トリは唐沢俊一氏である。唐沢氏が挙げたのは、
(1)まだ続くレトロブーム
(2)ニコニコ動画&YouTube
(3)国会周辺でのUFO問題
(1)については省略。(2)については、先に唐沢氏が出した著書「トンデモ式ユーチューブのハマり方」がらみという意味合いが強そうだが、氏曰く「これで昔の映像とかが何でも見られるようになって、我々が語っていたことが嘘だったことばれてしまう」とおそれる。これまで古いオタクたちは若い世代に対して、何かにつけて「昔の作品はすばらしかった」と論じてきたのだが、昔の怪獣映画の類が、所詮は黎明期のしょぼい作りのものばかりだったことが、これら動画サイトによって容易に暴かれつつあるのである。
今や「いつまでもデブと思うなよ」で一大ベストセラー作家になってしまった岡田氏。これまでこのオタク大賞に欠かせない存在だったわけだが、2年前の「オタク・イズ・デッド」の一件以降、徐々に同氏がオタク界から離れようとしているのは明らかだった。唐沢氏曰く「オタクという商売が美味しくなくなった」ことの象徴だと。
確かに、今回のオタク大賞を通して、景気のいい話はほとんど聞こえてこなかった。唯一の例外は腐女子ぐらいか。オタクのうまみは、岡田斗司夫のコレステロールとともに解けて流れていって仕舞ったのかも知れない。ますます細分化が進むオタク界がこの先、どう変化していくのか、私はそれを傍観していくしかないのだろうか。
ちなみに、各出演者の個人賞、および栄えあるオタク大賞の選考結果は26,27日の放送、もしくはニコニコ動画で参照されたい。


