ウルトラマンレオ 35年目の真夏の雪夜

 「ウルトラマンレオ」。1974年4月から75年3月まで放送された、第2期ウルトラシリーズ最後の作品である。獅子座L77星(ウルトラマンやセブンのM78星雲とは別の星)から地球にやってきて怪獣や宇宙人と戦うウルトラマンレオ。地球防衛隊MACの隊長にウルトラセブンモロボシ・ダンがなっていて、後輩の若きウルトラマンであるレオこと、おおとりゲンを、特訓などを通じて厳しく鍛えていく、スポコン的要素の入ったシリーズの中でも異彩を放った作品である。
 その異色ゆえ、また怪獣ブーム末期の作品ゆえ、ほかのウルトラシリーズと比べてメジャー感は低い。ウルトラ警備隊の隊員の名前は全部言えても、MACの隊員の名を全部挙げられるのは相当な猛者だ。
 ところがである。その考え方に修正を加えなければならないと実感する現象に出くわした。雪振りしきる東京・阿佐ヶ谷で、おおとりゲンを演じた俳優・真夏竜さん主催によるトークライブ「真夏座・獅子の再会 第二歩」と題するイベントである。「第二歩」、つまり昨年11月に第1回を新宿ロフトプラスワンでやっていて(全くノーマークだった)、しかも立ち見が出るほどの盛況だったそうで、今回はその追加公演という位置づけなのだそうだ。そして今回も会場は大入り満員。
 イベントの内容は、真夏さんを中心にした朗読劇と、「レオ」にまつわる裏話。
 朗読劇は古典落語まんじゅうこわい」をベースにしたような民話風の話と、真夏さんの自伝劇。真夏さんの芸の幅広さを随所に感心した。
 そして最大のお楽しみ、「レオ」の裏話。ゲストで登場したのはMACの女性隊員・白川純子を演じた三田美枝子さんと、同じく松木春子隊員を演じた藍とも子さんのお二人。
 実は今回、私がこのイベントに足を運んだ最大の目当ては三田さんなのである。一般的に、ウルトラシリーズに出てくる女性隊員というとウルトラ警備隊のアンヌや、科学特捜隊のフジ・アキコ隊員を挙げる人が多い。でも私にとっては白川隊員なのである。ほかのウルトラシリーズのヒロインと比べ登場場面も極端に少なく、代表的なセリフというと「東京B地区に怪獣が現れました」というおきまりの事務連絡くらい。だが、第17話「狼男の花嫁」で、市街をパトロール中にフルフ星人に襲われ、民間人に助けられてなおかつ逃げまどう白川隊員の姿を、小学2年生の当時目撃して異様な興奮を覚えてしまったである。
 その白川隊員を見ることができるイベントが35年もたって開催され、しかも超満員になるとは夢にも思わなかった。長生きはするものである。そしてなんと、三田さんを壇上で紹介する際、そのウルフ星人に襲われるシーンのVTRが会場に流れてびっくり!このイベントを企画した人も、見に来た大半の人も、自分と同じ感情を持っていた人間が此の世にこんなにいたとは・・・。喜んでいいのやら・・・。
 壇上に現れた三田さんは50代半ばとはとても思えないほどお美しく、当時の面影はありありと。しかも白のインナーに赤の袖無しワンピースというMACの女性隊員用制服を意識したと思われるいでたち。いや、我々の気持ちをよくわかっていらっしゃる。
 三田さんは、撮影当時、同僚の隊員役の男性の家に泊まったこともあるという(なにもなかったことを強調していたが)今だから言える話なども披露してくれ、また真夏さんは撮影中わりと孤独だったとか、ゲストで出演した俳優・蟹江敬三さんに関する逸話ことなど貴重な話をうかがうことができた。
 そして最後は「レオ」のテーマソングを大合唱して大団円。いかにメジャーではない作品とはいえ、ウルトラシリーズのファンの裾野の広さをまざまざと実感した雪の夜だった。