2005-10-27
ノイタミナの挑戦 ver2
アニメ |
時間があいたが、以前書きかけたid:AKIYOSHI:20050514のつづきについて書く。
ノイタミナの目標っていうのは、一般人に向けてのアニメだ。それは、明らかにオタク向けなアニメの制作発表で発せられる「ふだんアニメを見ない人にも楽しんでいただけます」なんていう上滑りの言葉ではない。本気で非アニメファンを取り込もうとしている。
知っての通り、ノイタミナの枠はフジテレビ主導の枠だ。以前グダグダだったフジの深夜アニメ枠(kanon、ラーゼフォン、ガドガード、テクノライズ、サムライチャンプルー,etc)とは違い、前もって確保されている。スポンサードもしっかり組み合わせてある。つまり、放送前に制作に費やす時間が他の作品よりもかなり多く確保されているわけだ(ひどい話だと放送3ヶ月前に企画が決まるなんてことも…)。その代わり、しっかりした放送に耐える作品を作れと言うわけだ。放送前日納品とかもってのほかだ。
プレイス
では、何で先に枠を確保する面倒を冒してまでアニメを流すかというと、ドラマより金がかからず、バラエティより二次収入が多いからだ(多くの場合はドラマよりも)。その枠に多くの金を出すスポンサーを呼んでくればさらに収入は多くなる。
この枠は他の深夜アニメのように録画前提ではない。良いスポンサーを確保するため、ノイタミナという枠をより高い値段にするために、本気で数字を取りに来ている。生で見てCMのリアクションに貢献してもらう必要があるのだ。無論、その試算には一般人の視聴があってのことだ。まず時間が0時35分という一般人でもギリギリ起きていられる、もっと言えばノイタミナを見て寝る時間に置かれている。深夜にチャットをしながら見ている学生には分からないだろうが、26時40分というのは普通、起きている時間ではない。フジテレビはその確保を必死になってやっている。
プロダクト
そして一般人が着いてこられる内容。空から降ってきた双子や妹に囲まれたり、変身美幼女がリリカルマジカル、がんばります!なんてのは言うまでもなくNGだ。その点、言っちゃ悪いがそんなに知られた漫画家でなくともと「全員片思い!逆走ラブコメディー」の方がずっとキャッチーだ。その中には、従来のゴールデンや9時台にはないカッティングエッジな演出やら面白味が含まれている。オタクならそれらを理解して楽しむのだが、そうでない人々でもそれなりに何となく今までにない面白さを作っている。もちろん浮動票が一般人なら、基礎票であるオタク層からそっぽを向かれることがないようにクオリティにも万全の体勢で望んでいる。
ハチクロを放送している同時期にJ.C.STAFFは3本放送していたが、ハチクロのチームはその中でも最も力を集めていることが見受けられる作品だった。物理的・時間的なものだけではなくて、モチーフの問題もあった。ビジネスの安全パイを取るがあまり、企画原作の段階からマニア安定の原作連載タイアップ付き、モチーフはコピーのコピー、どんどん行き詰まって、濃いブロガー以外誰が見ているのかさっぱり分からない。
これではプログラムピクチャーにすらなれていない。これはアニメに限らず続編を連発するハリウッドでも頭を悩ませている所で、数字を読むビジネスとクリエイティビティのジレンマだろう。それでも、新しい層を開拓するために頭を捻ったアイデアとそうでないものとでは、たとえオタク趣味を好む者だとしてもクオリティの開きから前者を取ると考えられる。
プロモーション
そんな、イイ作品だとしても、知られなければ数字を落としてくれない。だから、工藤晴香をヒロインに置いた。彼女ならではの演技も確かにあった。ただアベレージで言えばプロパー声優の方が絶対的に上だ。それでも、彼女にはヒロインをやる理由がある。それはパブリシティの利点だ。http://www.hachikuro.net/main_flash.html からPublicityを押すと分かるように、彼女を起用することでアニメ誌以外のメディアがこの作品を取り上げる。比較対象として同時期に放送していた極上生徒会のパブリシティの偏り具合を見てみれば分かるだろう。http://www.gokujo.konami.jp/pc/media/magazine.php
これはジブリも使う手法だが、予算のかけ方が違うし、ターゲットも違う。読売や朝日の文化面で取り上げてもらうよりもananやJUNONで取り上げて貰う方がこの作品にとっては波及効果が高い(ちなみに読売のテレビ面では福田記者が勝手に取り上げる)。これがパラキスになると衣装デザインやら原宿ラフォーレとのタイアップやらともっと大がかりになってくる。
プライスとスポンサー
このスポンサー収入というのが大事で従来の深夜オタク向けアニメにはこの思慮が全くなかった。DVD回収を前提としているので、DVDメーカーが枠代を前払いの形で払っているため、故に後でソフト化されるときには2話で6800円なんてうんざりする値段で買わされていたわけだ。ところがノイタミナの枠は違う。約5000円/3話収録という具合だ。話数単価にしたら、土日午前のマーチャンダイジングアニメに匹敵する。それも作品を拘束するオモチャ無しで。その価格を維持しているのがスポンサーだ。
このように、作品(マニア?)・TV局(プロモ)・スポンサー(客層)の三位一体で構成をしているのがノイタミナなわけで、今のところ、従来アニメに触れないファンにも好評で、アニオタ的にも、竹内哲也一人原画や橘秀樹演出・中山勝一演出など、唸るような仕事ぶりが先のように非常に安価で楽しめ、スポンサーの森永製菓(ウィダーinゼリー)にとっても、満足のいく数字が出せている。*1
このように三方が幸せというwin-win-winの関係が出来上がっている。
これまではそのうち何かしら欠けていて、例えば非常に高いDVDだったり、例えば非常に薄い内容だったりと、ひどいU局作品ではスケジュール無茶苦茶、スタッフ疲弊、出来が悪くて値段が高く、小売店でも在庫たたき売りという五重苦の作品があった、いや、何とは言わないが今でもある。
もしも、この枠がそれこそ月9のようにブランド化したら、アニメのビジネススキームは10年ぶりに書き換えられることになる。斬新な企画でスタッフも満足のいく環境が出来てクオリティが良く、もっとアニメを見ることが奇異でない、上記のような三方とも得をする関係が続くなら、サブカルだろうと非アニメファン向けの原作だろうと両手を挙げて賛成したい。これは子ども向けと言われたテレビまんが・アニメから脱却しようとして、もがいた結果に別のベクトルで遠くに行ってしまった富野や押井にはなしえなかった場所だ。
「ふだんアニメを見ない人にも楽しんでいただけます」
ふだんからアニメを見すぎている人も楽しんでいきます。
mi
2005/11/20 22:14
ウィダーは森永製菓ですよ…
AKIYOSHI
2005/11/21 03:12
thx。訂正しました。それだけ商品が単体で先行しているということで御容赦。



