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これくたぶる!

モンスターマスクコレクター、ALI@ハット卿のマスクと本と映画に関する無駄話。不定期更新。

2017-10-07 これくたぶる!

私家版 『幻燈館』

限定本の愉しみ/私家版『幻燈館』

| 16:28 | 限定本の愉しみ/私家版『幻燈館』を含むブックマーク 限定本の愉しみ/私家版『幻燈館』のブックマークコメント

『なめくじ長屋取りものさわぎ』や『キリオン・スレイ』等、数多くのシリーズものと膨大なショートショート群で知られるミステリ界きっての技巧派故都筑道夫には、いわゆる限定本や豪華本といった類の本がほとんどなかったように思う。そのため現在高額なプレミアのついている古書というと、デビュー作の「魔界風雲録」を含む初期ミステリ数冊とジュヴナイルぐらいで、あとは真鍋博と組んだ「クレオパトラの眼 12の話のカレンダー」(昭和36年)ぐらいしか思いつかない。

が、迂闊な当方の知らない間に『幻燈館』なる豪華な限定本が1冊出ていたことを、高井信さんのユニークなブログショートショートの...」と元創元社の編集顧問だった書店員さんのブログパン屋のないベイカー・ストリートにて」の二つで昨年知った。

この本、都筑道夫ショートショート20篇すべてにアーティスト西村健三氏のコラージュを配した超魅力的なもので、デザインも素晴らしく、どうしても欲しい1冊である。

ただ、上記ブログ紹介記事の日付は両者とも2011年。すでに5年も経っている上、本の刊行自体は1990年と、もう25年以上も前のことだ。

いまさらジタバタしたって始まらない。諦めて古書で探すことにしたが、何と言っても限定100部のレア本。そうそう簡単には見つかるわけもなく、とりあえず心の片隅に置いておいて、まぁ、そのうちに、なーんて余裕をかましていた。

ところがすっかり油断して忘れていた今年、ヤフオクに1冊、さらにたまにチェックしているネット古書店に1冊と短期間に2冊も出現! しかも両方とも気づいた時にはすでに売り切れた後という、、、

く、くやしい、、、悔しすぎるではないか、、、

諦めて静かに寝よう、、、と思うのだが、なかなか寝付けない。

なんでヤフオクキーワード登録しておかなかったのか、

なんで更新日に古書店のチェックをしなかったのか等々、、、

う〜ん、やけに珈琲が不味いぞ。レストラン仕様なのになんでやろ。ワシの舌がおかしいんやろか。(落胆のあまりいろいろおかしくなっている)

で、どうしても諦めきれないので、ダメ元で刊行者である彫刻家の西村氏に恐る恐るメールしてみた。

そのメアド自体、現在使われているものかどうかも保証がないし、さらに出版社ではなくて個人アーティスト事務所なのでちょっと問い合わせ辛い。

なにしろ超巨大なオブジェなんぞを制作する人で、たぶん、一般個人相手の仕事なんてあまりしてなさそうな印象ではある。

ともあれドキドキして送信した。

そうしたら・・・なんと早くも翌日にはお返事がっ!

しかも驚いたことにデッドストックがあったらしく、1冊お譲り頂けるとの事!

歓喜雀躍

う、嬉しすぎて涙目です、、、

いや〜諦めずに一応は聞いてみるもんですね〜。^^

西村氏は商業美術なども手掛けておられる堅実かつ誠実な方のよう。昔会ったことのある岡本太郎みたいな人でなくてひと安心(いや、別に嫌いじゃないですが^^;)。

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シックな黒の夫婦箱

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中はシンプルな筒箱

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これまたシンプルなたとう

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中身は二つ折り

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オリジナルプリント

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全体はこんな感じ

というわけで画像が送って頂いたShort story 都筑道夫/Collage 西村建三『幻燈館 GENTOHKAN』私家版(1990)。なんともクールかつスタイリッシュな仕上がりの1冊である。

一応、書誌的なことを書いておくと、この本は産経新聞大阪版夕刊に1988年6月から1989年6月まで52回にわたって連載された都筑道夫ショートショート『幻燈館』の中から小説本編と、挿絵として掲載された西村氏のコラージュ作品19点を選び、刊行に際して新たにオリジナルコラージュ3点を追加して90年に100部限定で刊行されたもの。

中は右側にショートショート本文、左側にコラージュを配した二つ折りで、プレスビブリオマーヌの本などで見かけるように束ねてたとうに収納したスタイル。図版は凸版手差印刷、本文は活版組オフセット印刷で、用紙はいづみ(特殊製紙)という手の込んだ代物。夫婦箱入り15000円と、夫婦箱なし10000円(共に送料込み)の二種類があったらしいが、夫婦箱なしはすでに完売した模様。

掲載されている都筑道夫ショートショート自体は光文社文庫の『グロテスクな夜景』(90)で「五十二枚の幻燈たね板」として全編読むことができるけれども、こうして挿絵付きの豪華本で読む楽しさはまた格別なものがあり、文庫では見過ごし勝ちな面に気づいたりする。たとえばモームの「コスモポリタン」よろしく、見開き1ページで読了できることにより、都筑道夫の小説巧者としての側面を再認識したりするのだ。巻頭に置かれた一編「古本屋」の、その手際の良いことといったら。

また、挿絵として添えられたコラージュも、余白を大きくとった広い紙面に抑制の効いた美しい黒白のコンポジションを描き、小説世界を補完しつつもイメージを大きく拡げていて楽しい限り。まさに眼福である。

一般に限定本というと好事家の贅沢品と思われがちだが、制作の手間ヒマを考えたらこの値段でもけっして贅沢とは言えないだろう。なにより好きな作家の限定本を入手できた時の嬉しさ、読むときの楽しさ、そして書架に並べた時の満足感は何物にも代えがたい。

デジタル全盛の昨今、藍峯舎等、一部に紙の本の牙城を守ろうとする動きが見られる。たしかに手間もお金もちょっとはかかるけれど、たまにはこうした紙の本を愛でてみるのも一興ではなかろうか。

(*文中一部敬称を略しました)


*このブログWEBサイトクリーチャーズショーケース内の1コンテンツという位置付け。本家も覗いてやって下さい。ここへのリンクはメニュー頁右下です。creatures_showcase

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深夜のサタン深夜のサタン 2017/10/09 11:16 こんにちは

都筑道夫の限定本ですか。人知れず出ているんですね

私もショートショート好きで、阿刀田高 黒井千次なんかを読んでいました。

遥昔「悪魔はあくまで悪魔である」が ラジオドラマ化されて布団をかぶって聴いたのを思い出しました。

人生の余暇をネットが侵食している今、紙媒体で読書を楽しむ人も減って行くんでしょうね。
いわんや豪華装丁の限定本をや
私も読書の時間はめっきり減りました。

ってゆーか、岡本太郎に会った事あるんですか?
その件が一番のびっくりです。

ALI_Sir_HattALI_Sir_Hatt 2017/10/09 13:31 ★深夜のサタンさん

>私もショートショート好きで、阿刀田高 黒井千次なんかを読んでいました。

阿刀田高は当然として黒井千次はシブい。
スラっとそんな作家の名前が出てくるのは相当な"アレ"です(笑

>遥昔「悪魔はあくまで悪魔である」が ラジオドラマ化され

ラジオドラマ良いですね〜。私も昔は良く聞いていて
市販されているSFホラー系のカセットテープなんかも持ってました。
そのラジオドラマは知りませんでしたが
「悪魔はあくまで悪魔である」は間違いなく傑作で、
最近復刊されてるみたいですね。

>人生の余暇をネットが侵食している今、紙媒体で読書を楽しむ人も減って行くんでしょうね。

どうでしょうか。
youtubeも広告収入が入りにくくなってユーチューバーの新規参入が減り、
Fecebook も国内では頭打ち、Twitter、Instagram、Pinterest は流行っていますが
文化発信ツールとしていまいち底の浅さがある気がします。
まだまだ本の需要はなくならないと信じたいです。
ブラッドベリの「華氏451」みたいにならないように・・・

>ってゆーか、岡本太郎に会った事あるんですか?

あはは、直接話かけたりはしませんでしたが・・・

30年ほど前、仕事場が岡本太郎のアトリエのすぐそばで
ちょくちょく見かけました(ちなみに上に名前の出た阿刀田高氏も
ご近所らしく、これまたちょくちょく歩いているところを見ました。
さらにいえばフィギュアのビリケン商会のお店もすぐそばにありました)。

ある日若いデザイナーの子と昼めしを食った帰り道、
ちょうど正面から岡本先生が歩いてくるのに遭遇しました。
そしたらそのデザイナーの子が先生に近づいて
「ファンです!」って話しかけちゃったんです。
あちゃーと思ったが時すでに遅し。
先生は、それはありがとう、展覧会にでも来て下さい的な社交辞令は一切言わず、
いきなり「(おまえに)わかるのかっ! え、わかるのかっ!」
例の目の端を釣り上げた感じで。
怖っと思って自分は逃げたんですが、
そのデザイナーの子はまんざらでもない感じで興奮してました(笑

ある意味芸術家らしいっちゃぁ、らしいんですけど。
アーティストとしての岡本太郎は嫌いじゃないですが、
ああいう感じのお爺さんと仕事とか絶対したくないですね(笑

深夜のサタン深夜のサタン 2017/10/09 15:59 へ〜 岡本太郎とそんなエピソードがあったなんて!
確かに大家といえどただの人間、身近にいたら ちょっとアレですよね。遠くから眺める位がちょうどいいかも。

「ビリケン商会」→昔よく行きました!
店は狭かったけど、いいモノがありました。

作品の影響か、阿刀田高の名前を見ると
おでんのこんにゃくとトーストが食べたくなるのは私だけ?

あの〜この際なのでちょっとお訊きしたい事があるんですけど・・・
「成山明光」って人、ご存知ですか?
画廊とかやってる方で 海外で本(写真集)を出版してたりするんですが、メディアに出ないみたいなので
ご存知なら と思い、おもいきってお尋ねしました。

ALI_Sir_HattALI_Sir_Hatt 2017/10/09 18:46 ★深夜のサタンさん
>「ビリケン商会」→昔よく行きました!

自分もちょくちょく行ってましたが
ビンボーなのであまり買えませんでした・・・
最初にメタルナミュータントのキットが出たときも
八千円もしたので買えず、
ソフビになってからやっと購入したぐらいです。

ちなみにお店を出て左に進み、骨董通りを横断、
向かい側の路地に入りすぐ右折した先が
岡本太郎のアトリエだったところで
今はカフェみたいになってるようですね。
ストリートビューで見てみるといいかも。

>「成山明光」って人、ご存知ですか?

画廊で美術品を買うようなセレブではないので
特に存じ上げませんが、
当方、凄腕写実とか大好きで
野田弘志、磯江毅、諏訪敦等のファンなので
画廊の名前は聞いたことあります。
今検索したら諏訪さんが肖像画描いてるのね。
寺山修司と吉村作治を足して2で割ったみたいな人ですね。

深夜のサタン深夜のサタン 2017/10/09 20:07 ビリケン商会→今は店舗での営業はしてないみたいですね。
フィギュアや昔のおもちゃを扱う実店舗はどんどん無くなってますね(下北沢は全滅)自分も足を運ばなくなってたのですが、やっぱり寂しいですね。

岡本太郎の美術館が生田の方にあるのは知ってましたが、そちらのアトリエの事は知らなかったです!


成山明光ですが、以前に彼の写真集(FREAKS)を購入した時に気になって、ちょっと調べたんですが
画廊の事が出てくる位で、よく分からなかったんです。(検索すると火を吹いた画像とか出てきて怪しいニオイがプンプン)
今は諏訪敦や奥さん(多分)の松井冬子をメインで扱ってるみたいですね。
ちなみに私は美術の方はさっぱりです。

突然変な話しを振ってすみませんでした。
色々教えていただき、ありがとうございました。

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