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2011-06-09 【コラム】放射線の健康被害に関するデマが止まらない理由 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

自分自身の記事も正直デマに引っ張られて、及び腰になっているのが反省すべき点なのですが、先日ある方がツィートしてくれました。


私は、無知で、放射能の影響をわかっていないんだそうです。

すると、同じ人がこのサイトを紹介していました。

放射能の人体に対する影響だそうです。

Japan’s nuclear emergency - The Washington Post

アメリカの新聞記事ですね。確かにこんな貴重な情報があるなんて知りませんでした。ご紹介ありがとうございました。



もしかしたら、すでに詳細な解説と考察をご自身のブログでなされているかもしれませんが、僭越ながらこちらでも紹介させて頂きたいと思います。



英語が分からない人もいるかもしれなので、このページを少し訳しておきます。

リンク先の2ページです。

放射線暴露はしばしば急性の明らかな症状を引き起こすけれど、100mSv以下のたいていの場合、数十年間症状が現れないかもしれない。日本政府は、放射線施設で働いている人の緊急時の制限値を250mSvに設定していた。


放射線暴露は一般の人は関係ないので省略します。

放射線暴露は2ページのLOW EXPOSUREのボタンを押すと出て来ます。

放射線暴露の説明文。

100mSv以下の低放射線を浴びた人が急性の症状を示すことは稀であり、しばしば体は修復されて、細胞ダメージも無視出来る。

影響を受けうる人

原発周辺、もしくは風下にいる人で放射性物質を吸入摂取してしまった人。

内部被爆の方を念頭に置いているようです。


一つ一つ見ていきましょう。

無知な私の意見だけでは心許ないでしょうから、専門家の意見を参考にしながら見ていきます。

眼の症状:白内障

白内障 - Wikipedia


あくまで蛋白質の変性ですから、子供も大人もありません。リスクはほぼ同様です。

但し、低放射線被曝でそういった蛋白質変性が起こる可能性はかなり低いと思います。それに子供の白内障は、放射能よりもアトピー性皮膚炎に併発する場合の方が頻度も高いし、問題だと思います。


ちなみに加齢による白内障頻度は下記のようになっているようです。


“濁りの程度は別にして、50歳代37〜54%、60歳代63〜66%、70歳代84〜97%、80歳以上ではすべての人に何らかの白内障が認められます。”

404 Not Found


とはいえ、もう少し正確な情報が欲しいところです。きっと日本眼科学会なら対処法や考え方を説明してくれているはずです。

では、日本眼科学会のHPに行ってみましょう。

日本眼科学会

あれっ、無い!どうして?!


甲状腺甲状腺

最初に私が見た情報と違うデータのものがあって、こちらの方が正確そうですね。

発症率は私が最初に見たものより高めですが、元々チェルノブイリ周辺ではヨード飢餓で放射性のヨードを蓄積しやすかったという背景があるので、日本の場合は、もっともっと低いのでしょう。

チェルノブイリ原発事故後の健康問題

この中で深刻なのは、がんと機能亢進と低下になります。結節や腫瘍も大きいと問題です。

とはいえ、もっと正確な情報や考察が欲しいところです。専門家のサイトで確認してみましょう。



一応、他の関連する学会も調べてみます。甲状腺は内科関係です。


日本内科学会

日本内科学会

あれっ、無い!どうして?!


より特化した日本内分泌学会

一般の皆様へ | 一般社団法人日本内分泌学会

よくあるお問い合わせを見てみると、がっくし。連絡先だけ。

放射能甲状腺癌や甲状腺異常の関係についての説明はありません。



さらに特化した日本甲状腺学会

日本甲状腺学会

偉い!ちゃんと説明している!と思ったら、日本核医学会に飛ばされるだけでしたorz

しかし、チェルノブイリに比べたら遙かに安全なのがわかりました。

被災者の皆様、とくにお子さんをお持ちの被災者の皆様へ | 日本核医学会


ついでに外科系もチェック。癌の時、手術をするのは外科です。

日本外科学会

日本外科学会

うん。予想通りないですね。もっと、細分化された学会をチェック。

日本頭頸部外科学会

【日本頭頸部外科学会】

日本頭頸部癌学会

【日本頭頸部癌学会】

やっぱり無い。


肺の症状:吸い込んだプルトニウム粒子が肺がんを引き起こすかも。


内部蓄積は確かに怖いです。特に年齢を重ねる毎にDNA修復機能は落ちてきますから、高齢になってからの発がん率が高まる可能性があります。

とはいえ、どの程度蓄積したら有意に高くなるのかはデータがありません。よって、予想される内部蓄積の放射線量と外部被爆のデータを比較して想像するしかありません。

また、その場合、たばこと比べてどの程度のリスクかもわかると尚良しです。

ということで、専門家の意見を調べてみましょう。

日本呼吸器学会HPに行ってみます。

一般社団法人日本呼吸器学会

あれっ、無い!どうして?!


骨の症状:ストロンチウムが骨髄にダメージを与えて、白血病や骨癌を起こすかも。

上で紹介したリンク先に載っていましたが、チェルノブイリでは白血病は増えていないんですね。これには少しびっくりしました。(実は白血病の治療は放射能を当てるんですけどね。)骨癌も特に報告はないようです。

とはいえ、専門家の意見を参考にしてみましょう。

日本血液学会HPに行ってみます。

一般社団法人 日本血液学会

あれっ、無い!どうして?!


骨に関してはどうでしょうか。

日本整形外科学会HPに行ってみます。

公益社団法人 日本整形外科学会

あれっ、無い!どうして?!


生殖器官:遺伝的なダメージが子供に引き継がれる可能性がある。

ダメージという言葉が適切かどうかは微妙なところ。ちょっと誤解を与える表現です。

そもそも放射能がなくても、人の生殖細胞は内因性の酸化ストレスで少しずつですが、DNA変異が入っていますし、それこそが人の多様性を維持しているメカニズムです。もし、この多様性がなければ、病原微生物が一度流行した時点で人類は滅亡しています。HIVに全く感染しない人がいることも良い例です。

もし、DNA変異をダメージというならこれはその通りですが、ほとんど影響のない部位に入るのがほとんどだし、全部が全部悪いわけではありません。それに細胞が生きていく上で必要な部分に変異が入ると、子供は生まれてきません。



とはいえ、専門家の意見を参考にしてみましょう。

日本産科婦人科学会HPに行ってみます。

日本産科婦人科学会

さすがに載っています。って、ほとんど甲状腺癌の話でしたorz

皆さん、奇形や先天異常について心配しているのですが…


体全体:散らばったセシウムが環境に紛れ込んで、消化吸入したときに各種癌の原因になるかもしれない。


とりあえず、チェルノブイリでは甲状腺癌以外増えたという報告はないようです。

とはいえ、専門家の意見を参考にしてみましょう。

日本癌学会

日本癌学会ホームページ

あれっ、無い!どうして?!





あと追加ですが、

最初にこのサイトを紹介してくれた方が、RTで拡散してくれている「子供の鼻血が止まらない、放射能の影響じゃないんでしょうか」ビデオについて。


子供の場合、一度鼻をいじって血管に傷をつけてしまうと、同じところから頻繁に鼻血が出ることがあります。避難所にいたらおもちゃもなくて退屈なので、鼻をいじる頻度は上がるでしょう。

これはキーゼルバッハ部位からの出血というのですが、鼻をいじらないように注意して、行けるなら耳鼻科を受診しましょう。

no title



とはいえ、専門家の方の注意も参考にしてみましょう。

日本耳鼻咽喉科学会HPに行ってみます。

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会


あれっ、無い!どうして?!


3回くらいクリックしたら、同じような説明が出てきたけど、それだけ。

放射能と関係あるかどうかは書いていません(関係はないんですけどね)。

404 Not Found


かように、これだけ日本語で読める一次情報が無かったら、その正否は確認しようがないので、そりゃ、困惑、混乱、勘違い、間違った情報を拡散しますよね。





あっ、分かった!!放射能の影響はきっと、医師じゃなくて、放射能の影響を細胞や動物を使って調べている研究者が詳しいんだ!!

普段からアイソトープ放射性物質)を使って、研究することがある生化学系の学会を調べてみよう!


日本遺伝学会

no title

ここもトップページには載っていません。

日本分子生物学会

日本分子生物学会

ここもトップページには載っていません。

日本生化学会

公益社団法人 日本生化学会

ここもトップページには載っていません。

日本免疫学会

no title

ここもトップページには載っていません。


この国は一体どうなっているのでしょうか。

もう少し調べてみます。

日本核医学

一般社団法人日本核医学会 | 日本核医学会

トップページからは行きにくいですが、上記の甲状腺癌の説明は秀逸でした。

ついでに現状に合わせた解説も欲しいところです。


日本医学放射線学会

公益社団法人日本医学放射線学会

素晴らしい。ちゃんとトップぺージに説明文へのリンクが載っています。

特に妊婦や子供に対する影響への説明は…ちょっと残念でした。サイズが大きいからさぞ詳しく説明していると思ったら厚労省のパンフのスキャンでしたorz

しかし、水の方は一応自ら説明しようとしているので評価出来ると思います。



日本環境変異原学会

日本環境変異原学会 - The Japanese Environmental Mutagen Society (JEMS)

こっちはもっと素晴らしい。というか、ようやく詳しく説明している学会に出会えました。ちょっと読みにくいけど、かなり踏み込んで書いてあります。





ちなみにここで放射能や、DNA修復を検索すると、それ関連で研究予算を貰っている人達が分かります。

Database of Grants-in-Aid for Scientific Research



興味のある研究があったら、該当する人が所属する大学の研究室のHPを訪ねてみましょう。そして、今回の放射能の人体に対する影響に関する考察などがあるかどうか調べてみましょう。もし、そういうものがあったら、是非ブログのコメント欄で教えて下さい。



事業仕分けで、自分たちの研究費が削られるとなったら、あれほど必死にコメントを出していた医師を含む科学者達が何故、こんなに国民が困惑し、デマで混乱している状態なのに、何も発言しないのでしょうか。いったい誰のために研究しているのでしょうか?

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全てが生物系というわけではないですが、日本は事務方の給与なども含めて毎年5兆円以上の税金を科学研究費に費やしています。

朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?


これを読んでいる医師研究者の方にお願いがあります。

意見は多ければ、多いほど良いです。人によってリスクの考え方は違いますから意見が異なるのは問題ありません。例えば、100人が書いてくれれば、その中から、きっとサイエンスリテラシーの高い人が、エッセンスを抽出し、上手にサマライズして、よりかみ砕いた表現でさらに説明してくれるはずです。今はその大元の情報がほとんどない状態です。


そもそも放射線が怖いのは人体や子供の健康に影響があるからですが、原発事故以降、放射能レベルの数値の話は花盛りでも、それがどの程度健康に影響を与えるかの考察が一切ない状態です。ぶっちゃけ、何か分からんけど怖い。何か分からないからこそ怖いという状態が続いています。それらを少しでも解消するには、やはり、科学的に考えられる人間が生の声で説明することこそが一番大事だと思います。


国民の皆さんが、あぁ、やっぱり、科学技術は大事だな。役に立つな。この研究費を減らすわけにはいかないな。と思って貰えるよう是非、何でも良いので書いて下さい。

出回っている小さなデマを否定するだけでも構わないと思います。




また、これを読んだ文科省厚労省の役人の方にお願いです。

パブリックコメントのような形でも何でも良いので、比較的確度の高い考察が出来る医師研究者が意見を述べる場を創って頂けないでしょうか。


もし、お金が出せないのであれば、そういう意見を投稿出来る例えば、開店休業中みたいな「熟議」をそのまま利用するのでも構いません。

no title

是非、医師研究者が生の意見を書き込める場所を用意して下さい。

これはデマを抑えて、補償額を適切な金額に補正するのに役立つでしょうから、十分なインセンティブがあるはずです。




ところで、こうして見てみると、発症メカニズムを分子レベルでちゃんと説明しようとしている団体がほとんど無いことがわかりました。放射能がどうやってDNAにダメージを与えるか、それがどうやって修復されるか、修復のもれから、どうやって癌が出来るかを分子レベルでイメージ出来る人が限られているからというのもあるでしょう。さらに出来た癌をどうやって治療するかまで含めると、その数はかなり限られてきます。そのことが、説明がほとんどなされない原因の一つとは思いますが、だからといって、その状況を放置しておいて良いというわけではありません。一番確度の高い考察が出来るのは医師研究者なのですから。



ちなみに、ゲノムサイドで一番詳しいのは恐らくこの人達。

デリケートゾーンの黒ずみはどうしたらいいのかなぁ?

ゲノムに変異が入って、癌化するメカニズムに詳しいのはやはり癌学会

それらの治療に関して詳しいのは医師学会となります。


大きな団体になると、意見をまとめるのにかなり時間がかかりますから、およそ1ヶ月くらいはかかると思います。一般読者の方はこの記事を読んで、すぐに解説が載らなかったからといって失望はしないで下さい。当ブログでも1週間後、1ヶ月後とフォローしていきたいと思います。

また、今回紹介した以外に解説しているよというブログ等ございましたら、ブログのコメント欄で教えて頂けると幸いです。

RITORITO 2011/06/09 17:31 知識と時間が足らず読み込めていないのですが、財団法人放射能影響研究所というところで研究データをオンラインで発表されているようです。http://www.rerf.jp/index_j.html 
(2009年研究成果のハイライト http://www.rerf.jp/programs/hlight.html#gene) 
また一般社団法人サイエンス・メディア・センターから有益な情報を得られるかもしれません。http://smc-japan.org/ 
すでにご存じでしたら申し訳ないです。

yosaku39yosaku39 2011/06/09 18:33 東大放射線科の中川先生のサイトはいかがでしょうか? http://tnakagawa.exblog.jp/

かわかわかわかわ 2011/06/09 21:52 病院での放射性医薬品の管理、放射線機器の管理は、診療放射線技師が行っています。患者への照射についても、その専門性から医師と診療放射線技師だけが許されています。福島での避難民の放射線サーベイ、遺体検案前の放射線サーベイは、(医学会からは)主に診療放射線技師が担いました。診療放射線技師の多くが所属する学会は、原発事故の直後から情報を発信しています。
社団法人 日本放射線技師会:http://www.jart.jp/
公益法人 日本放射線技術学会:http://www.jsrt.or.jp/

その他、東日本の除染の拠点:放射線医学総合研究所:http://www.nirs.go.jp/index.shtml も、有益な情報を発信していると思います。

YamamYamam 2011/06/10 16:34 日本放射線影響学会http://wwwsoc.nii.ac.jp/jrr/が、大変参考になるQ/Aを載せていますよ。

おっさんおっさん 2011/06/11 02:49 見つからない理由は簡単です。握りつぶされています。公のお墨付きデータは、かなりの確率で統計のウソを利用しています。随分長いビデオですが、ご興味があったらご覧下さい。
http://www.ustream.tv/recorded/15241220
皆さんのコメントにあるXX学会の実態の一部が覗われます。
デマが無くならないのは、デマではない真実も相当含まれているからだと思います。
為政者・権力者に不都合な真実は常に隠されているモノです。

ルネルネ 2011/06/21 13:36 はじめまして。私は行政ならびにマスコミ情報に信用持てません。↑上の方が仰るとおりです。それでも、専門家さえも大丈夫という日本です。どこまで洗脳されているんでしょう。物理の放射線専門の人の結論「分からない」にもガックリ、やはり意見が割れているんだと思います。先日は専門的知識を持った人たちと、自然放射線と人工放射線の違いで意見が割れました。同じだ、安全だ、問題ない…てねw、どうかしていると思いますよw。私の参考にしているのは、現実に発生しているチェルノブイリの被害と生声です。http://www.youtube.com/watch?v=GW8ggWX5ZF8