蘇るあの試合、あの瞬間

本日発売のサッカーダイジェストに、2004年ナビスコカップ決勝の特集が5ページも!
特に新しいことは書いていありませんが、読み進めていくとひとつひとつの場面が蘇ります。A代表と五輪代表に主力を取られて苦戦した04年のリーグの状況を背景に、予選を含めてチーム全員で一丸となって戦い抜いたナビスコカップ。舞台裏の闘莉王の挑発発言に対しても、その刺激を闘争心に変えて挑んだ国立の地。開始から浦和のお株を奪うかのように勢いよく攻め込んだのは東京のほうだと思うのだけど、フラットに観戦する立場だとそうでもなかったのでしょうか。
サポーターのボルテージも最高潮。いまだ体験したことのない緊迫した空気に飲み込まれないようにと、ゴール裏で必死になって声をあげていたことを思い出します。そうそう、試合前には「東海マーチ」や「秋葉くん」などの余興を楽しみましたね。いま考えても、あの日のイケイケはグッジョブでした。あのまま緊張が抜けてなければ、みんな試合中にどうなっちゃってたかわからない。
さて試合。互角のまま、序盤戦を乗り切ったところで思わぬアクシデント。そう、ジャーンの退場。オーバーアクションで派手に転げまわるエメルソン、2枚目のイエローカードを突きつけられて天を仰ぎ涙を流したジャーン、その姿がスローモーションのように脳裏に焼きついています。シーズン通しての大切な守備の要を失った瞬間。それは、選手とサポーターと監督とスタッフと、全てがひとつになった瞬間でもありました。ここからは、最終的なシュート数が「8本-27本」と圧倒的に分の悪い戦局に立たされながらも、不思議と負ける気がしませんでした。鬼神のように立ちはだかった頼もしい正GKの活躍と、フィールドに残った全ての選手たちの頑張りが、私たちの心を打ちます。全サポーターはトランス状態で声を枯らしました。ゴールポストも何度も東京に味方をしました。
PK戦に突入したときには、「絶対に勝てる!」、「ここまで耐えた土肥ちゃんから、ゴールを奪うことなんか絶対にできない!」、それを信じて疑いませんでした。PK戦の3本目、ゴールポストがもう一度味方をして田中達也のシュートを弾く。勝利を確信した瞬間。その直後の梶山の4本目は弾かれるものの、「もうこれ以上、浦和のためにネットが揺れることはない」、そういう自信がありました。そして山田さんのシュートを土肥ちゃんが弾き返す。
最後のキッカーになった加地の足元から放たれたボールは、私たちの記憶に美しい残像を残しながらゴールネットに吸い込まれます。人目もはばからず、堰を切ったようにあふれ出す涙。まさに号泣。きっと鼻水も出ていました。ゴール裏の全員が泣いていました。スタッフも選手も、そして原さんも。「タイトルを獲ることがこんなに嬉しい事だとは思わなかった」、それはもちろん、私たちサポーターにとっても同じです。感動をありがとう。本当にありがとう。2004年11月3日は、一生忘れることのできない記念日になりました。
 
今週号は、問答無用で「買い!」なのは間違いありません。…ですが、最後の一文!ここで一気に現実へと引き戻してくれますねぇ。いい味だしてるとは思いますが(苦笑)