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2011-03-26

[]お久しぶりです

 結局3ヶ月近く更新なしで放置してしまいました。スミマセン。

 

 私は幸いにも無事ですが、関東・東北は本当に大変な事になってますね…。

 義援金や東北の関係会社の仕事フォローなんかは既にやり始めていますが、ここはひとつブログでも私に出来る事をやろうと思いまして、今日は以下の記事をUPします。

 

[][]Cocco「ジュゴンの見える丘」の歌詞の意味

 お久しぶりの更新はこれまたお久しぶりの歌詞解釈。

 曲はこちら

D

 実はこれ今日まで知らなかった曲なのですが、昨日ミュージックステーションで流れたのをヨメが見てマジ泣きしたというのを聞き、「ほほう!ならば俺を泣かせてみやがれ!」とばかりにYoutubeで見たら即泣き。久しぶりに音楽で頭をガツンとやられた気分です。

 そもそも、Coccoの曲が素晴らしいのはもちろんの事、コレを震災の時に流す曲としてセレクトしたMステのスタッフのスキル高すぎですよ。誠にグッジョブで御座います。


 さてこの曲、元々は2007年に作られた曲で、基地問題に揺れる沖縄の海に現れたジュゴンが着想元になっているとの事。

 ただ、Coccoという人は、米軍基地と環境問題をベースにしながらも、それが抱えている問題を一旦自分の中で消化して普遍的なテーマとして再構築して歌詞を紡ぎ上げていると思うんですよ。

 

 だから、今回の震災にもあてはまる。

 だから、一度聞いただけの人の心を激しく震わせる程のパワーを持つ。

 

 昨日何人の人がこの歌を聴いてわけもわからず泣いただろう?

 被災地の人の何人がどれほど大きく救われた気持ちになっただろう?

 被災地以外の人の何人がどれほど深く「正しい やさしい」について考えただろう?

 

 それを想うと、きゅうっと絞られるように胸が温かくなる。

 そんな歌です。


 いつも通り囲み内が歌詞、その下が私の手前勝手な歌詞解釈です。

 ではゴー。


まだ青い空

まだ青い海

終りを告げるよな

真白色

大変な事が起きました。

今も起きています。

青い波間にちらちら揺れる白いジュゴンの背中は

まるでお話が解決したサインのように誇らしく見えます。

 

ほんとうは、何も終わってなんかいないのに。


泣きたかろうに

引き受けた夢

しゃらしゃら珊瑚

声も上げずに

ほんとうは大声で泣きたいだろうにね。

子供を産もうと帰って来た海が荒れていて。

声も上げずに壊されていった珊瑚達の残骸が撒き散らされていて。

 

もういいよ

目を閉じていい

もういいよ

少し おやすみ

 

悲しみは いらない

やさしい歌だけでいい

あなたに降り注ぐ全てが

正しい やさしいになれ

でも、まずは一息ついて、ゆっくり眠りなさい。

故郷の海に抱かれて。

 

…わかりますか?

このジュゴン達が望むものは、

憐れみとか、TVを見て感じる悲しみとか、

そんなものじゃないんです。

ただあなたが近しい人にするように、優しくして欲しいだけなんです。

 

ああ、いつか彼らに降り注ぐのが

好奇の目とか、

貪欲に感動を欲する目とか、

そんなのじゃなくて、

ただの、本当にどこにでもある、

当たり前の優しい目になればいいのに。

 

 

色とりどりに

煌めく世界

継いで接いで連ね

恥さらせ

 

どこへ向かうの?

泣き疲れても

名も無き花は

咲いてくれよう

きらめいて立ち並ぶビル達。

継ぎ布を当てるように簡単に、海だった所に増えていく土地。

そうやって人間が身勝手な事をした海に帰って来たジュゴン達を、

正しくない優しさで迎える身勝手な人たち。

恥ずかしいとは思わないの?

あなたたちはどこへ行こうとしているの?

 

あなたたちが身勝手な物語でひとときの涙に溺れている間にも、

野に咲く花は何も言わずに、ただ美しく咲いているのに。

 

 

目を開けろ

帰ってきたよ

目を覚ませ

信じてほしい

だから皆さん、目を覚ましてください。

そしてこの海に帰って来た彼らを、まっすぐに見てください。

彼らの、生き物の生きる力を、生きようとする力を、

信じて、感じ取ってください。

 

 

悲しみは いらない

やさしい歌だけでいい

あなたに降り注ぐ全てが

正しい やさしいになれ

そうしたらもう、頑張って悲しがろうとしないでいいんです。

感動しようとしないでいいんです。

近しい人がよろめいた時にあなたが自然にそうするように、

ただやさしく手を差し伸べればいいんです。

 

 

もういいよ

目を閉じていい

もういいよ

少し おやすみ

笑っていてほしい

守るべきものたちに

明日も訪れる何かが

正しい やさしいであれ

だからもう安心して眠りなさい。

故郷の海に抱かれて。

 

きっと、

傷ついたあなたたちの笑顔も

自分が守りたい誰かの笑顔も

ひとつも変わらないって事に気付いた人たちが、

そうやって正しい優しさに気付いた人たちが、

あなたたちに手を差し伸べてくれるから。

 

 

悲しみは いらない

やさしい歌だけでいい

あなたに降り注ぐ全てが

正しい やさしいになれ

 

正しい やさしいになれ

 

正しい やさしいであれ

ああ、どうしてTVは悲しみたがり屋なんだろう。

どうしてCMは頑張らせたがり屋なんだろう。

それじゃあ、ひとときの物語で終わってしまうのに。

 

ただ、近しい人が傷ついたらそうするように、

傷ついた誰かに優しくするってだけなのに。

 

だからどうか皆さん、優しくあってください。

正しく、優しくありつづけてください。

 

あなたの正しい優しさに触れた誰かは、

きっといつの日か、傷ついた誰かに手を差し伸べるでしょう。

 

そしてその誰かはもしかすると、あなたかも知れないのです。

 

  

 

 

 というわけで、マスコミ批判を滲ませつつ、生命の力強さと、それにまっすぐ目を向ける事の大切さを歌った歌として解釈してみました。もう少しCoccoの激しい祈りのニュアンスを含ませたかったんですが、割と大人しめでまとまってしまいました。ちょっと反省。

 

 

 いや、それにしても良い歌ですなあ。

 

 泣けるわ。


 

  • 過去記事

 →THE BOOM「からたち野道」の歌詞の意味

 →一青窈「ハナミズキ」の歌詞の意味

 →「ダブルラリアット」の歌詞の意味

 →「ダブルラリアット」の歌詞の意味 その2

 →Cocco「Raining」の歌詞の意味

 

2011-01-03

[]あけましておめでとうございます

 三が日も後30分くらいで終わろうとしている段階でアレですが、あけましておめでとうございます。

 昨年は色々あったので更新途絶え気味でしたが、今年はもう少し頑張ろうと思います。

 それでは本年もよろしくお願い申し上げます〜 <(_ _)>

2010-12-31

[]このマンガが凄いから読め!2011

 昨年に引きつづき、今年もヒロさんが「このマンガが凄いから読め!」企画を開催しておりましたので参加です。

 今年も「人に読ませたい凄い漫画」と言われて脳裏に浮かんだ5作品を上げました。本当にマッハで出てきましたので、今年も豊作だったんだなあ、と思います。


 ではゴー。

 

5位 薔薇だって書けるよ 全1巻売野機子

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

 新人、売野機子先生の短編集。ちょっと変わった設定の恋愛話あり、同性愛の話あり、ちょっとSF設定の話あり。しかしそのいずれもハズレが無いのが素晴らしい。

 「楽園」の第一号で表題作を読んだ時は「ああ、これは凄い人が出てきたなあ」と思ったものです。

 聞くところによるとコミティア出身との事で、かなりそちらで研鑽を積んできたご様子。絵も綺麗で安定しているし、話もわかりやすいです。その上でちゃんと読者の心に沁みる物語を紡ぎ上げられるのですから、本当にたいしたものです。

 

 ではこの短編集の中で自分のイチ押しを一つ紹介。

「春田の犯行」

 

 主人公は28歳の女性「春田」。18の頃、バイト先の男の子「雨宮」が大好きだった彼女は、十年後に彼の結婚式に出席する事になる。

 ただし、来賓として。

 そして春田は何事も無いような顔で彼の結婚式に出席し、とある犯行を実行に移す。その犯行とは――

 

 春田の犯行が、凶器が、涙が、逃走する後ろ姿が、とてつもなく切ない短編です。単なる失恋物語というだけでなくて、30歳間近の未婚女性の閉塞感も散りばめることで、ある程度の年齢の大人が共感できる物語に仕上げているのが実に良く出来ています。

 

 恋愛短編が好きな人々よ、読め!

 

  • 余談

 売野先生に限らず、「楽園」は良い漫画家さんを集めてますよねー。楽園のシリーズは単行本の装丁も凝ってますし、漫画を「所有する喜び」を大事にしてる気がします。グッジョブ


 


4位 鉄風 既刊3巻太田モアレ

鉄風 1 (アフタヌーンKC)

鉄風 1 (アフタヌーンKC)

鉄風(3) (アフタヌーンKC)

鉄風(3) (アフタヌーンKC)

 格闘漫画数あれど、その中でも女性格闘漫画数あれど、こんなにダークサイドの情熱を持った女子高生が主人公の漫画が今まであっただろうかいやない!(反語)

 これもGoodアフタヌーンで1話を読んだ時は度肝抜かれましたよ。

 お話は天才型の主人公「石堂夏央」が総合格闘技にハマっていくのを描いた物語。今まではちょっと努力するだけでどんな事でも周りを追い越してしまう「天才」だった夏央が、格闘技の奥深さを知るにつけどんどんその魅力の虜になっていきます。

 しかしその情熱が「私は充実している人間を――許さない!!」とか「うん!頑張ろう!!頑張って あの子の笑顔を潰してあげよう」とかいう方向に出力されるものだから、もう堪らない。

 今までの真っ直ぐな魅力のヒロインとは違うけれど、片時も目が離せないタイプの主人公です。

 

 格闘漫画好きな人々よ、読め!

 

  • 過去記事

 →鉄風 1・2巻感想

 

  • 超余談

 ライバルの「馬渡ゆずこ」が夏央とは正反対の前向きで明るいキャラなのですが、素晴らしい事に眉毛が太いんですよ。ええ、趣味ですが何か?

 とまあそれはさておき、ゆずこがメインで出てくる話のときは毎回タイトルが眉毛ネタなのが面白いです。

 こういう細かいネタ部分も何気に面白かったりします。ナイスセンス。

 


3位 アイアムアヒーロー 既刊5巻花沢健吾

アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 5 (ビッグ コミックス)

アイアムアヒーロー 5 (ビッグ コミックス)

 

 ヤバいです。本気で劇厄注意ですコレ。

 出来るだけネタバレなしで読んで欲しいマンガなのですので余り説明したくは無いのですが、サバイバルホラーマンガです。とにかく怖いです。

 実は自分は内容全然知らないまま読んだので、1巻の終わりで恐怖のズンドコですよ。だって今までの「花沢式冴えない青年・中年漫画」かと思って読み進めてたらちょっとずつ妙な描写が入ってきて、1巻の終わり〜2巻のアタマでは完全に世界が変わってますもの。

 

 花沢先生の上手な所はネットとか非モテとか時代の閉塞感とかを巧く絡めた「現代人のリアルな日常描写」だと思うのですが、今作はその能力をフルパワーで駆使してその「日常」が侵食されていく恐怖を描くのだからもう破壊力は抜群。

 フィクションだとはわかっていても自分の日常が壊れていく恐怖に襲われてしまいます。

 

 読んだ直後はエレベーターとか人ごみとかで「いててっ!」とか言う人がいたら若干の尿漏れすら想定の範囲内になる程に、密集した人ごみが怖くなります。お試しあれ!

 

 怖い漫画好きな人々よ、読め!

 

 

2位 超人学園 既刊3巻/石沢庸介

超人学園(1) (少年マガジンKC)

超人学園(1) (少年マガジンKC)

超人学園(3) (講談社コミックス)

超人学園(3) (講談社コミックス)

 「進撃の巨人」が面白い?オーケー、そいつは認めよう。

 「どうぶつの国」がアツい?オーケーオーケー、そいつは認めよう。

 しかし別冊少年マガジン連載作で次に注目されるべきはこの「超人学園」であると今ここに断言する!

 

 ではあらすじをば。

 主人公「神冗徒無(シンジョウアダム)」は様々なトラブルや異能者を引き寄せてしまう『超・主人公体質』。来る日も来る日もトラブルまみれの彼は、周りの人に被害が及ばないよう、人と関わらない様に放浪していた。

 ある日彼が雨宿りに入った洋館で出会ったのは、そこに住む『超・高悪圧思念魔人類(通称・悪魔)』にして超絶マイペースな破天荒少女「オスカ・L・デューク」。

 しばし談笑する二人。300年の長きにわたり退屈ぶっこいていたオスカにとって、アダムのトラブル話はワクワクする冒険譚だった。

 

 人に怖がられる事を恐れ、洋館に閉じこもっていた悪魔少女オスカに、厄介者扱いされて放浪していた自らの寂しさを重ね見るアダム。

 そこでアダムは考えた。

 人の輪に入れない化け物達が笑いあい、学びあい、寄り添いあう場所――『超人学園』の創設を!

 

 化け物達の超・バトルあり、超・笑いあり、超・涙ありの最高の学園生活が、今、始まる!

 

 あらすじはそんな感じ。

 アダムが厄介事を引き寄せてバトルになったり、出会った化け物を仲間にしたりという展開がメインですが、アダム達「超人学園」のアツい絆が本気で泣けます。

 また、随所に出てくるギャグ描写も掛け合い漫才のようで面白い。しばしば吹き出します。

 

 妖怪・異形を扱った作品というのは「異形の哀しみ」や「異形との温かい絆」を描く作品が少なからずあるのですが、それをここまでド直球で放り投げ、「温かい」どころか「熱い」レベルまでガツンと引き上げて読者のストライクゾーンを撃ち抜く作品というのは、そうそうあるもんじゃありません。

 また、アダムが『超・主人公体質』というだけで超能力も超戦闘能力も持っていないのが、かなり好みの設定です。というのも、その前向きさと思いやりで持って次々と超人達の哀しみを理解し、あっけらかんと受け入れるという構造、言い換えるなら「特殊能力の無い人間こそが、その「心」でもって化け物達を仲間に出来る」という構造は、真っ向から「心の在り様」の大切さを訴えていると思うんですよ。

 これは「超人学園」という漫画にはじまった事ではなくて、他の作品でもしばしば見受けられる構造ですが、やはりこういうテーマがあるとビシッと背骨が通ります。少年漫画かくあるべし。ホント最高です。

 

 全力で笑って泣ける少年漫画が好きな人々よ、読め!

 



1位 惑星のさみだれ 全10巻水上悟志

惑星のさみだれ 3 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 3 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 10 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 10 (ヤングキングコミックス)

 やはり今年の1位はこれでしょう。

 今さら説明なんていらない絶対王道少年漫画。あちこちで言われてるとおり、ご近所サイキックアクション+少年達の成長+ボーイミーツガールを組み合わせて最高のエンターテインメントに仕上げています。

 今までさんざっぱら記事を書いてきたので、詳細はそちらで。とにかく読んで損なしの素晴らしい漫画です。つっても漫画好きの人は大抵読んでると思いますが…。

 2010年の「この漫画が凄いから読め!」ランキングで2位でしたので今年こそは!の思いを込めてというのはもちろん、カンペキな大団円を魅せてくれたという意味でも、堂々の今年度1位の漫画です。

 

 少年漫画好きの人々よ、読め!読め!読め!

 

  • 過去記事

「惑星のさみだれ」 1〜3巻感想

「惑星のさみだれ」 5巻感想

「惑星のさみだれ」 6巻感想

「惑星のさみだれ」 7巻感想

「惑星のさみだれ」 8巻感想

「惑星のさみだれ」 9巻感想

「惑星のさみだれ」 10巻プレ感想

「惑星のさみだれ」 10巻感想

「惑星のさみだれ」のタイトルの意味

  



 というわけで「このマンガが凄いから読め!」企画記事でした。今から集計や他の人のブログを見るのが楽しみです。

 いやあ、漫画ってホントに良い物ですね。

 

 それではまた来年〜。


 あ、それと好みが合うと思った方は下記記事もどうぞ。

  • 関連過去記事

このマンガが凄いから読め!2010年版

漫画ナツ100(2009)

漫画ナツ100(2008)

漫画ナツ100(2007)

「あ〜ん」を好きな漫画で埋める  

10巻以内でオススメの漫画を並べてみる


  

2010-12-30

[]新選組刃義抄 アサギ 1〜4巻

新選組刃義抄 アサギ 1 (ヤングガンガンコミックス)

新選組刃義抄 アサギ 1 (ヤングガンガンコミックス)

 ヤングガンガン連載の新撰組物。気になってたんですが、最近まとめ読みしました。

 当初は沖田総司と藤堂平助メインの話でしたが、徐々に新撰組メンバーの群像劇に。また、岡田以蔵や田中新兵衛にもスポットを当てているため、正直かなり視点がばらついている感はあります。また、凄く細かいところまでエピソードとして拾っているので、進行はかなり遅いです。普通新撰組物の漫画で殿内一派の話なんてスルーしますもの。

 ただ、殺陣も迫力があり、登場人物達の性格付けも上手なので、読んでて飽きる事はありません。誰か一人にスポットを当てた歴史物ではなくて、幕末を舞台にした群像劇として読むと中々に面白いです。

 基本的には剣で身を立てる若者達の切磋琢磨と、その絆や志の尊さを描いていくものと思われます。

 4巻終了時点で未だに鴨さんがご存命だったりして、確かに進行としては遅いですが、ここまで来たらじっくり描いて欲しいですね。

 続刊も買いで。


 

[]HIDEOUT

HIDEOUT (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

HIDEOUT (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

 「RAINBOW -二舎六房の七人-」の柿崎正澄先生のホラー作品。表紙絵のインパクトがあったので買ってみました。

 とある夫婦が南の島を訪れ、防空壕(?)のようなところへ入ってしまう事から始まるサバイバルホラー劇。

 絵の描き込みは凄くてたまにゾクッとする場面はあるんですけど、正直ストーリー的にはよくある展開で先が読めてしまい、オチ的には肩透かしを食った印象でした。あとがきを見ると柿崎先生はスティーブン・キングのファンらしいとの事で納得。というのも自分もキングが好きで、昔は結構読んでたので。

 ただ、キング的な展開にするならもう少し主人公の心の闇というか暴走した愛情みたいなものを描いた方が良かったかもです。ペット・セマタリーみたいに。

 装丁の気味悪さが凄いだけに、期待が高すぎたせいかも知れません。残念ながら再読は無いかなー。


 

[]かわいい悪魔

志村貴子作品集 かわいい悪魔 (Fx COMICS)

志村貴子作品集 かわいい悪魔 (Fx COMICS)

 志村貴子先生の短編集。実は発売当時に買ってたんですが中々読めなくて積んでありました。

 そしたらあっちゃこっちゃで「面白いぜ」「すげえぜ」という声が出てきて、これはぜひ読まなきゃなー、と思ってた次第。

 読んでみるとこれが期待以上の面白さ!いやー、イイ漫画描きますねえ志村先生は。

 折角なので全話感想を。

 

・かわいい悪魔…親との関係や恋に戸惑う小学生「めぐむ君」が、自称「魔女のお姉さん」に振り回される物語。色んなコスチュームで出てきてめぐむ君をからかったり助けたりするお姉さんが可愛い事可愛い事。看板に偽りなしで御座いますな。描き下ろしの第5話のオチも秀逸。

 

・あたいの夏休み…銭湯の番台のお兄さんに一目惚れしてしまった少女の夏休みを描いた物語。失恋のほろ苦さと宿題の達成感を同時に描く事で、複数のタスクを同時にこなす事が出来るようになった成長期を瑞々しく描いています。

 

・すてきなあのこ…ヒロインが図書委員三つ編み眼鏡っ娘とか俺を山本リンダ*1してるとしか思えない設定のお話。そんな女の子を好きになってしまった少年が主人公なのですが、告白した後の展開が二転三転して面白い。

 

・中学生…少女漫画が大好きな女の子が、隣に引っ越してくる同い年の男の子に好きな漫画の展開を重ね合わせ、アレコレするのですが…というお話。中学生のおバカっぷりとか思春期の揺れ動く気持とかをきっちり描いていて、大変に良い出来でした。この短編集で一等好きです。

 

・とあるひ…漫画家志望の女性とバーで働く青年のお話。なんとなくの恋のはじまりでありながら、二人が幼馴染という設定が、二人のそれまでにゆっくりぼんやり惹かれあっていた事を想像させます。いいっすなあ。

 

・変身…小説家として成功した女友達を羨んでいた女性が、ある朝起きるとその友達になっていた。面白がってその女性のフリをして行動してみるが…というお話。羨ましい、妬ましい、悔しい、でも大好きな友達。しんみりするイイ話でした。

 

・不肖の息子…漫画家を目指す青年が主人公。その父親の再婚相手は昔好きだった先生。好きだった人が母親として家にやってきたという衝撃的な状況にあえぐ青年の、複雑な心境を丁寧に描いた物語。ラストが実に前向きでグッド。


 全体的に良い余韻を残す終わり方が多くて好みです。またぜひ短編集出して欲しいですねえ。

 

  • 超余談

 ところで「あたいの夏休み」と聞くと中島みゆきの歌を思い出しませんか俺だけですかそうですか。

 ♪安物だけど自分用じゃないもんね だからあたし きっと勝ってる夏休み

 

*1:ねらいうち

2010-12-29

[]さよならフォークロア

「名前を呼ぶたび深まっていくあなたへの想いこそ 月曜日の呪いなんだ」

さよならフォークロア (IDコミックス 百合姫コミックス)

さよならフォークロア (IDコミックス 百合姫コミックス)


 前作「純水アドレッセンス」が評判良かった、かずまこを先生の新刊。面白かったですー。

 舞台は二つの噂がある女子高。一つは「その昔、月曜日に許されない恋に悩んだ女生徒二人が心中した」という噂。もう一つは「その為、月曜日に触れ合うと『彼女たち』に呪われる」という噂。

 ある日、主人公の高瀬は「私を恋人にして」と言う後輩「真白純鳥すみか」に出会う。

 噂に構わず月曜日でもべたべた高瀬に懐く純鳥には、ある目的があった。それは、「恋人のフリをして、この学校から出て行く」というもの。

 「恋人のフリ」のはずなのに高瀬の心は激しく揺れ、その揺らぎはまた純鳥の心にも伝わっていく。

 二人の関係はやがて教師に知られ、呼び出される高瀬と純鳥。そこで高瀬のとった行動は…

 あらすじはそんな具合。

 同性愛物・百合物ってのはタブー感をどこで出すかってのがキモの一つだと思うんですが、それを今回では呪いの噂話*1による禁忌として扱い、タイトルにもある通りそれを乗り越える「想い」を描く事で、二人の恋愛感情の強さを描き出す事に成功しています。


 前作「純水アドレッセンス」でもそうだったのですが、かずま先生は独白の言葉選びやリズムが大変上手く、二人の感情の揺れがすごくわかりやすいです。相変わらずいい仕事してますねえ。ごちそうさまでした。


 次回作も買いで。


  • 過去記事

 →純水アドレッセンス 感想


  • 余談

 さて、ここからはネタバレ御免の感想タイムなので未読の方は回れ右でよろしく。

 読んだ人ならわかると思うのですが、高瀬への想いを胸に秘めつつ友人として接する「あっちゃん」の片想いっぷりがスゲー切ないんですよ。

 するりと高瀬の心に入り込んでしまった純鳥が妬ましくて、彼女にキツめにあたってみたり。ラストシーンで「月曜日の呪いは故意に流された噂だったから触っていいよ」とか言ってみたり。

 あと実は1話21頁でも、落とした教科書を渡す時にさりげなく触ってるんですよね。直前に高瀬に抱きついてきた純鳥への嫉妬はもちろんの事、さりげなく触る→高瀬はおまじないを唱えない→貴女となら呪われてもいいの3段コンボ完成ですよ。もーキュンキュン来てしまいますな。


 あとフォークロア(噂話)の出所の話も良かったです。純鳥の姉と滝沢先生をそういう風に使うとはねえ。伏線が色々繋がってきて読み返すのが面白かったです。こういう所も上手いなあ。

 

[]ハレルヤオーバードライブ! 3巻

ハレルヤオーバードライブ! 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

ハレルヤオーバードライブ! 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

 あー1・2巻で感想書いて無いですね。まあいいか。

 お話は高校を舞台にしたバンド物。主人公「朝桜小雨」の成長を縦軸に、部員達の恋愛模様を横軸に描かれたバンド+ラブコメ物です。


 初見で見たときは登場人物は女の子多いですし、もっとゆるい雰囲気で、恋愛を中心にした展開になるかと思いましたが、なかなかどうして音楽漫画としてもぐいぐい面白くなってきてます。これはいい。


 3巻では特に、小雨とメインヒロインのハル先輩が月見をするシーンが最ッ高に良かったです。月明かりの下で「音楽の魔法」の話をする二人、そして二人のちょっとイイ感じ具合がもう堪らない。音楽モノの見せ場の一つである「音楽って何?」というテーマと、恋愛モノの見せ場の一つである「恋愛感情の一歩手前」を、凝縮して見事に描ききった名場面です。やるなあ。


 あとこの高田先生って新人さんらしく、1巻から比べて着実に絵が巧くなって来てます。特にカラー。

 続刊も楽しみ楽しみ。

 

[]角刈りすずめ 1巻

角刈りすずめ(1) (近代麻雀コミックス)

角刈りすずめ(1) (近代麻雀コミックス)

 「無駄ヅモなき改革」にペーパー入ってて気になったんで買ってみたでござるの巻。

 「殺し屋さん」の原作者が原作を書いている麻雀ギャグ漫画で、流れの雀士「角刈りすずめ」がヘンな雀荘を巡り歩くという連作物。絵は妙にBOUICI先生っぽい感じですが、もしかして元アシさんでしょうか。

 確かに「殺し屋さん」と同じく言葉遊びやヘンなアイディアを駆使した展開は確かに面白いのですが、ちょっと一味足りない感じが。アイデア一発勝負のところが大きいので、再読・読み込みの面白さが無いせいかもしれません。

 2巻はどうしようかなー、と思いつつも、つい買っちゃうんだろうな。


 

 

*1:フォークロア