TOKYO湾岸道路から見える 海とコンクリートのハーモニー

TOKYO湾岸道路から見える 海とコンクリートのハーモニー
空は うすぼんやり すりガラス
君に会いたいスモーキーグレイ
               〜『スモーキーグレイ』下田逸郎

梅雨入りすると、車内のBGMは下田逸郎さんの 『スモーキーグレイ』が定番。
夜明けまえ寸前の羽田空港まで繋がる首都高ドライブも、この時期の合わせ技。
 
TOKYOモノレールがつなぐ空へ ひとり舞い上がれば霧の中
翼かたむくから夢ごこち
君に抱かれてスモーキーグレイ
                    『スモーキーグレイ』下田逸郎

おともは、やや粗挽きでいれた本物のブルーマウンテン。
もちろん、何も足さないブラック珈琲。
 
今でも、冷珈琲(れいこ)だけは、生クリームとガムシロップを入れてしまう。
それは、私が十六のときにアイスコーヒーを、冷珈琲(れいこ)と教えてくれた、
年上の彼女を忘れないためだ。
 
新宿御苑で拾われた高校生の男の子と、二十歳を過ぎた新劇の研究生くずれ。
ゴールデン街ショットバーで酒の飲み方を指南された。
安酒は避けて、なるべく良いものを少しだけ飲む習慣。
たとえば、ドライマティーニのベースはよくあるゴードンではなく、タンカレージンを選ぶ。
カクテルは食前に1杯だけ。
ホテルのショットバーは少しも高くないこと。
 
アングラ劇団全盛の頃。
東京キッドブラザースのNY凱旋公演をしきりに誘われたが、後楽園ホールには行かなかった。
『花雪風』を彼女から聴き、初めて下田さんの名前と唄を覚えた。

シメのBGMはPaul Simonの『Kathy's Song』。
 
I hear the drizzle of the rain
Like a memory it falls
Soft and warm continuing
Tapping on my roof and walls

しとしと降る雨音は
さながら想い出が降るごとく、
やさしく、そして暖かく続き、
屋根や壁を叩く。