デロリンマン

デロリンマン』という漫画を記憶されている方はいらっしゃいますでしょうか?
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%B3

『はぐれ雲』や『銭ゲバ』などでお馴染みのジョージ秋山さんの作品です。

まず、デロリンマンとはどんな人かというと、妻一人、息子一人の中流階級で、何不自由なく生活をしていました。ところが急に「自殺したくなり」、実際に飛び降り自殺をしてしまいます。ところが神に一命を救われ、「救世主」となることを神に付託されます。そして、自殺の際、ぐちゃぐちゃになった顔と頭、そのままに「布教」活動をやり始めます。

なんと言っても、そのおどろおどろしい風貌に、人という人は恐れおののき、彼を排斥します。それは家族の妻・息子も同様です。デロリンマンはなんとか自分が夫であり父であることを2人に認めさせたいのですが、たとえ、本来の夫・父が持っていた「ほくろ」などの身体的特徴を見せても、家族はなかなか納得しません。

「愛で世の中」を救う、と息巻いてみても、家族すら救えないのですね。それでも、デロリンマンは世界を救うのが自分であると信じて疑いません。その意味では彼は喜劇の主人公です。ところが、ここにもう一人の怪人・・・オロカ面が登場します。

オロカ面は、常に涙を仮面に流しながら登場し、デロリンマンと抜き差しならぬ議論を繰り返します。デロリンマンの論敵です。以下の通り。

オロカ面:むかし 人間の心に愛とよばれるうつくしい女神がすんでいた
だが しかしその女神は死んだのだ
人間が人間の手によって暗黒の大海にほうむったのだ
人間に愛の手をさしのべてもむだだ
デロリンマン:しかし私は魂のふるさととして・・・
オロカ面:きくがいいデロリンマン いま谷底へおちようとする人間を見てけおとすときのたのしさ
病気でくるしむ人間に
さらに毒をもってやるたのしさ
このよろこびを知っているのが人間ぞ それが人間の本質ぞ
デロリンマン:わたしは信じるね人間を 愛を 誠を 真実を 正義を

「デロリンマン:第1巻、1976年 62P」

虚虚実実――ウルトラバイバル
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20160408

(漫画 哲学)