企画はそんなに難しいものじゃあない⑥〜原因の分析

久々復活、企画の立て方です。
企画のシンプルなストーリーは、「現状(Before)」→「方法(How)」→「目標・結果(After)」ですが、問題解決型企画の場合、BeforeとHowの間にWhy(原因)を入れるとストーリーがスムーズになり、説得力が増します。
原因とは、現状の問題現象を引き起こすメカニズムのことです。「因果関係」ともいいますが、因果関係が成立するには次の3つがその要件となります。

  1. 相関があること
  2. 前後関係が明確であること
  3. 再現性があること

「相関がある」とは、2つの事象に関係性があることです。たとえば、気温の上昇とアイスクリームの売上増加には関係性があります。
「前後関係が明確である」とは、2つの事象の前後関係が決まっていることです。先の例では、気温の上昇が前、アイスクリームの売上増加が後です。この場合、前者が「原因」であり、後者がその「結果」となります。
「再現性がある」とは、同じ現象が繰り返し発生することをいいます。自然科学の学問の世界では必ず新しい発見は再現実験や再計算を行います。ところが経営や経済といった社会科学の世界では、厳密には再現性が100%となることは少ないため、ある程度の高確率で同じ現象が起きた場合、「再現性がある」とみなします。
この因果関係は、階層性があり、「なぜ」「なぜ」と繰り返すとさらにその原因が発見されます。トヨタ自動車あたりは「なぜは4回以上繰り返せ」といった考え方が根付いているそうですが、要はそれくらい原因を掘り下げることで、根本原因が発見でき、表層的な問題解決ではなく、大きな効果を上げる問題解決が可能になる、というものです。
よって、原因の分析とは、「深く根本原因をさぐる」必要があります。
もう1点、ある問題現象はたった1つの根本原因から引き起こされるとは限りません。たとえば先の例では、アイスクリームの売上増加の原因には、「メーカーが広告宣伝を強化した」「アイスクリーム以外の冷菓子が製造量を減らした」「小売店鋪が陳列棚を拡大した」なども考えられます(ちょっとムリがありますけどね)。もっとよくある例として、「残業(時間外業務)」を取り上げてみると、直感的には「仕事量が多すぎて人手が足りない」と考えがちですが、他にも「業務能力が足りず、時間内に処理できない」「電話対応などで業務中断が多い」「終業時刻直前でないと取りかかれない業務がある」「残業=仕事熱心という風土がある」「明日からでも良いことを時間外にやっている」などいろいろあります。
要は、原因の分析は、「深く」行うともに、「広く」「いろいろな角度」から行う必要があるということです。
ご参考までに、原因分析については「なぜなぜ分析」という名著があります。

なぜなぜ分析 実践編

なぜなぜ分析 実践編

ちなみに原因分析によく使われる手法には、特性要因図・連関図・系統図(イシューツリー)などがあります。考え方の基本は今回触れた通り、「広く・深く」分析することです。