機動戦士ガンダムOO第1話感想「ソレスタルビーイング」

　矛盾を内包したまま状況を開始したソレスタルビーイングと、矛盾から目を反らして「歯車」に徹しようとする主人公・刹那・F・セイエイ。
　「神はいるか？」という問いにも、今は「神なんかいない」とする主人公と、「神は我々だ」と思ってそうな仲間、「それは悪行」という仲間がいますが、最終的にどういう着地点に持っていくのかな？

　扱っているテーマがテーマなだけに爽快感とはほど遠いスタートですが、「矛盾」に対してどのような解答を見せてくれるのか、半年間観ていきたいと思います。

MS IN ACTION!! ガンダムエクシア

本編感想

「この世界に、神なんていない。」（刹那）

　気付けば銃を取っていた。何の疑問も持たずに敵の兵士を殺した。投降した捕虜も射殺した。
　気が付けば仲間は死に絶え、銃も効かないＭＳの前に為す術もなく殺される、そんな運命にあった刹那の前に、ガンダムが現れる。
　「神はいない」とした刹那の前に現れた「天使の名を冠するガンダム」。そしてそれを保有し、「天罰」を暗に掲げるソレスタルビーイング。「全ての戦争行為の廃絶」という大義を掲げ、天より舞い降りる四機の「天使の名を冠するガンダム」を使わす天意の代行者(という意図があると思われます)。

　つまり、刹那は、無神論者なのに、「ガンダム＝天使」を信仰しているような危うい立ち位置というわけですか。
　第一話から「神の不在」と「神の代行者」、「利益の為の戦争」と「平和の為の戦闘」と、早くも二つも「矛盾」が提示されました。

「地球で生まれ育った全ての人類に報告させて頂きます。
私達はソレスタルビーイング。
機動兵器ガンダムを所有する私設武装組織です。」
「私達ソレスタルビーイングの活動目的は、この世界から戦争行為を根絶する事にあります。
私達は自らの利益の為に行動はしません。
戦争根絶という大きな目的の為に私達は立ち上がったのです。」
「只今を以て全ての人類に向けて宣言します。
領土、宗教、エネルギー、どのような理由があろうとも、私達は全ての戦争行為に対して武力による介入を開始します。
戦争を幇助する国、組織、企業等も、我々の武力介入の対象となります。
私達はソレスタルビーイング。
この世から戦争を根絶させる為に創設された、武装組織です。」（イオリア・シュヘンベルグ）

　どこからどうみても悪いおじさんにしか見えない人がトップのソレスタルビーイングに対して、視聴者が抱くのと全く同じ反応を予め提示。

　こいつらは、「テロリスト」に過ぎないという者。

「犯行声明だと？」

　悪人面のおじさんに見覚えがある少女

「この人は！」

　ソレスタルビーイングに同調する者

「世界が、変わっていく。」

　戦争そのものを忌避する者

「戦争を戦争で解決させるだなんて。」

　一笑に付し、早くも殺る気満々の敵軍のパイロット

「これは傑作だ。戦争を無くす為に武力を行使するとは！ソレスタルビーイング、存在自体が矛盾している！」

　同調者か、それを利用する者か、何か企んでそうな人

「始まったよ。人類の変革がね。

　しかし、ソレスタルビーイングとて、一枚岩ではない。

「ハレルヤ、世界の悪意が見えるようだよ。」
「人類は試されている、ソレスタルビーイングによって。」
「それは、悪行よ。」

　人知れず苦悩する戦術予報士。
　確かに、酒でも飲まないとやってられない。
　この人のおちゃらけた態度は、「弱さ」の裏返しなのですね。

　そして、自分自身を否定して「無私」であろうとする少年。

「俺達は世界に喧嘩を売ったんだ。分かってるよな、刹那。」
「ああ、分かってる。俺達はソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ。」

　「自分は誰か？」という問いに、自らに言い聞かせるように「ソレスタルビーイングの歯車の一つ、ガンダムマイスター」に過ぎないとした主人公。
　今は仏頂面ですが、段々と年並みな少年らしい葛藤などしつつ、お姉様キャラ＆お姫様キャラのヒロインとの恋に苦悩してくれたりするのでしょう。やっぱりキーワードは「人間性」、これに尽きるんだろうなぁ。

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次回予告

　機動戦士ガンダムOO第2話「ガンダムマイスター」

　力は暴力である。それ故に、力を持つ者は、その力を「人」に振ってはならない。振るのは同じく「力」、ただ一つ、ただ一つである。

放送開始したばかりだというのに、商品の量が尋常ではありません。本気ですね。

DAYBREAK’S BELL

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おまけ

　主人公・刹那・F・セイエイ(16)と、貧乏国家の王女・マリナ・イスマイール(24)、年の差もさることながら、ヒロインが20代中盤という前代未聞の設定。年齢が年齢なので、そろそろ普通に政略結婚とか組まれてそうで怖いです。
　因みに、ヒロインの名前、「マリナ・イスマイール」のファミリーネームの「イスマイール」とは、アラビア語で旧約聖書に登場するアブラハムの息子、アラブ人の始祖とされている人物で、ヘブライ語の「イシュマエル」の事です。前作ではヘブライ語形の「アズラエル」とアラビア語形の「ジブリール」が出てきてましたが、天使の名前を冠するガンダムとどう関わってくるのかな？