英語学習の近況報告

三日坊主の件について

ペーパーバックス読むとか大言壮語吐いといて結局三日坊主じゃねーかとかお叱りを受けますか?

答えはNo!断固No!
だって四日続けたもーん。

ちょっと真面目に

別にサボってたわけじゃないです。
4日間の経験(実は更新してない分が三日分ぐらいあるんだけどね)を踏まえて、ちょっと考えてみたわけですよ。

「何故意味が取れないのか」

答えは簡単ですよ。

「単語力がまだまだ全然足らない」

人間が覚えられる事はマジカルナンバーセブンを踏まえるなら、大体7つ。
その七つの部屋の中に、必要な情報を短期記憶に溜めては廃棄し、溜めては廃棄しつつ、長期記憶の候補に積んでいくのが読書だと仮定します。
その時、日本語を読んでいるときには、丸々七つを「重要そうな部分」の記憶に割り当てるとして、今までの一人輪講会のように、単語の98%は理解できるとしても、残りの2%が分からないと、その2%の為に使える部屋が4つとか5に減らされちゃうわけで、結局「なんとなーく」な理解にしかならないし、単語書いたり読んだだけで覚えられる程私は賢くもないしね。
というわけで、単語力の増強です。

けどね、市販の単語集を本屋で立ち読みしてみてもね、「What I Wish I Knew When I Was 20」で分からなかった単語をカバーしてる単語なんて無かったんですよね。
私とて、単語集開いても大抵分かるようになったからようやくリーディングでもやろうかー、という気分になったのであって、全く根拠無くなだれ込んだわけじゃないのです。
でもね、やっぱり…

「単語力がまだまだ全然足らない」

では、どういう単語が足らなかった、で、何故それは大学受験用とかTOEICとかTOEFL用とかの単語集を見ても載ってなかったのか、それを考えてみました。

「つまり、試験に出ないような単語は、どんな単語集もカバーしてない」

ことなんだと結論づけました。
では、どうするか。心の中で、三国一の花嫁に聞いてみました。

「単語集が無いなら、自分で作ればいいじゃない」

ごもっとも。というわけで作ることにしました。
それが一ヶ月ぐらい前。
というわけで、辞書をひっくり返して、語彙数13,000の辞書の知らない単語に全部印を付けました。
しかし、それだと3,000個ぐらいになり、今度は私の精神が保ちそうにないので、接頭語や接尾語から簡単に推測できるもの、たとえばefficientとefficiencyとかね、そういうのは後回しにして、「見てもさっぱり意味が推測できない単語」、および、「推測できるけど微妙に独自の意味を持っている単語」に絞りました。そしたら1,600個ぐらいになりました。うん、この数なら何とか攻略できそうな気がしますね。

で、今は覚える単語をリストアップしてせっせと暗記している所です。

ところで、こんな本を買いました。20年近く前の本なので、二束三文で買えました。

ベストセラーを英語で読むための ペーパーバックボキャブラリー

ベストセラーを英語で読むための ペーパーバックボキャブラリー

この本読んでると、私が手でせっせとリストアップした単語が結構載ってるんですね−。ちょっと損した気もしましたが、今の私が記憶している単語数が大体一万個というのが分かったので良しとしましょう。

あと、Kindleも注文しました。
早く届くといいですねー。その前に、リストアップした単語、1,600個を覚えないとですね。寒くて手もかじかむだろうし、手袋しながらKindleで読書三昧したいところですよ。というわけで急げ。

というわけで、次のステージで会いましょう、じゃねー。

What I Wish I Knew When I Was 20一人輪講会(4回目)

☆祝☆三日坊主突破ー。
ついでに一章も突破−。

意味が取れなかった単語

recombine 再結合させる
passion 情熱
straightforward 正直な
necessarily 必ずしも〜ではない
firsthand 直接の
balance 釣り合わす
juice 活力
seasoned よく慣れた
resonate with 感銘を与える
obstacle 障害物
chart into 計画を立てる
revisit 再考する
uncertainly 頼りなく
arm with 供給させる
morph 変身する
complain about 苦情を言う
confident 自信に満ちた
benefit 益する
determinant 決定要素
revolutionize 大改革する
draw to に引く
beginning 初歩の
defeat 挫折させる
critically 批判的に
in addition to に加える
resistance 抵抗運動
mandate 命令する

要約

一章は学生の話でしたが、二章は実社会の話。
「学校に戻って勉強し直したい」っていう人もいるけど、実社会の方が問題、すなわち解決すべき問題に溢れているということなのです。
知る人ぞ知る、Palm Pilotの開発裏話、最初は同じようなコンピューターがライバルだと思ってたけど、実際のユーザーの声を聞いたら、別のライバル、すなわち別の機会が見えてきたので、それを解決するためにほにゃららして成功しましたー。(まー、詳しくは読んでください)

What I Wish I Knew When I Was 20一人輪講会(3回目)

はい、3日目です。あと一日で三日坊主突破だよー。

意味が取れなかった単語

overarching 包括的な
along with と一緒に
scholarly 学問的な
outreach 手をさしのべる
crises crisisの複数形
Hasso Plattner ドイツ人の投資家
affectionately 親しみを込めた
cross-disciplinary 学際的な?
draw upon/on 狙いを付ける
envision 心に描く
discipline 学科
affordability アフォーダンス、環境が動物に与える意味
infectious 人にすぐ伝わる
aging 高齢者
the polar opposite 対局
disparity 不等
gracefully 優美に
doable 〜することが出来る
a curve 曲線
Not only+倒置 〜だけでなく
bolted ボルトで留められた
material 具体的な
charge with 〜を得る
open book exam 教科書を見て行う試験
thrown wide open 広く開かれた
masterful 風格のある
talented 有能な
multiple-choice 多岐選択式の
the bubble マークシートの記入欄
make for に役立つ
grading 採点
multitude 多数
acceptable 無難な
tiral-and-error 試行錯誤の
stumbling 障害

超意訳の要約

限定された範囲を勉強して、一つしか無い回答を出させる学校と、無数の選択肢と無数の回答がある実社会とは違うので、そのギャップを埋めるような教育が広まりつつあるそうです。

What I Wish I Knew When I Was 20の一人輪講会

Sunithaです。
いやあ、ホントにお久しぶり。
最後の記事が2010年9月10日だから一年以上経ってますね。
この間色んな事がありましたー。はてなポイント払うのやめたから有料プランから広告付きの無料プランになったりとね。一時は「ブログめんどい、もーTwitterだけでいーやー」なーんて思ってた事もありました。それに、ここ暫くは延々と英語の勉強やってたものだから、そんな暇無かったというのもあります。

で、そんな優先事項リストの片隅に追いやられていたブログに戻ってきたのは、記事のタイトルに書いた通り、What I Wish I Knew When I Was 20の一人輪講会を始めようかなと思ったからなんですね。

What I Wish I Knew When I Was 20

What I Wish I Knew When I Was 20

内容は、実はよく知りません!(どや顔)

単に、近所の本屋の洋書コーナーを眺めながら、なるべく読む動機を保持できそうなのを考えて、「やっぱりお金かなー」という結論に達したので、良書っぽいの中でお金に関した本を探していたら、これが目にとまったというだけです。日本語版も出ていますが、特に難しい事が書かれているようにも見えなかったので、とりあえず買ってないです。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

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とりあえず目的を晒しておきましょう。目的は単純です。素早く洋書を読む練習をする為です。
現在の私の英語の読書速度は壊滅的です。きちんと読もうとすると、1ページ10分ぐらいかかっています。せめて1分ぐらいで読めるようになる為には、努力しなければならないわけなんですが、英文を速く読む為に効率的な方法も見つからなかったので、とりあえず読んでみますかーという見切り発車もいいところです。
なお、5月頃から英語の勉強をしていた、と言っても、延々と文法と単語と熟語を忘れては覚えを繰り返していただけなので、読む練習まとまったテキストを読んだりは「ただの一度も」やっていないという有様です。ただ、それらに関しては長い時間をかけた甲斐もあって大分収束してきたので、漸く長〜〜〜〜い準備運動を終えて読む練習に取りかかった、というのが私個人の主観に近いでしょうか。

さて、能書きはそこまでにして始めてみますか。とはいうものの、ごらんの通り、始めるにしても何〜〜〜〜にも考えてないので、途中でやり方を変えるかもしれないし、堪え性無くやめちゃうかもしれませんが、まあ、寝て待つ果報の前には何らかの努力が必要なのですよ。まずはよちよち歩きでも歩いてみせましょう。

まずは、てけとーに5ページの5行目まで読んでみました。

以下、初見で意味が確定できなかった単語リスト。

crack open 破る
entrepreneurial 起業家の
assumption 仮定
leverage (借り入れ金で)投資/買収を行う
frame 枠にはめる
essentially 本質的に
pair off つがいになる
ramp up 増える
tap into 使用する
midst 真ん中
naggin しつこい
necessarily 必ずしも〜ではない
forefront 最前面
up to 最大
wear on 経過する
pager ポケベル(みたいなもの)
phisically 物理的に
swap 交換する
halfway 中間で
reciprocate 報いる
A as wellas B Aは勿論Bも
iterative 反復の
optimize 最適化する
on the fly 動作中に
recruit 勧誘する
mine 掘る

 1ページ32行で、一行当たりに含んでいる単語を10語とすると、それが4ページなので大体1360語、そのうち26個が分からなかったので、大体2%が分からなかった計算。実は初見で5%以上分からなかったら単語の暗記を見直さないといけないかなーとか思っていたので一安心。

内容は、「期限は一週間、5ドルを元手に2時間で稼げるだけ稼げ」という任務を仰せつかった学生が、実際に650ドルとか稼いじゃうんだけど、それはどうやったか、という話。
ゲームのルールに、「いくら相談してもいいけど、5ドルの入った封筒を開封した時点で強制的に残り2時間になる」というのがあります。みなさんなら、どうしますか?

私は、というと、「じゃあ、開封せずに一週間アルバイトしまくればいいじゃん。500ドルは最後に打ち上げにでも使おうよー」というような発想しか出てきませんでした。はっはっはっは、相変わらず腐った根性ですなー。

というワケで怠惰極まり無く今日の分はおしまい。

次の更新がいつになるかは知らないけど、まー、気長にやりますかー。

What I Wish I Knew When I Was 20

What I Wish I Knew When I Was 20

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What I Wish I Knew When I Was 20一人輪講会(2回目)

はい、とりあえず三日坊主だけはは避けるための二回目だよ。
まずは意味が取れなかった単語から。
今更だけど、entrepreneurとかcapitalistも知らないくせに「お金ほしー」とか言ってる私ってどーよ。

そうそう、先回leverageの意味があんまりよく分からないままそのままにしてましたが、どうやら「少ない出費ででっかい利益を得る」というような意味らしいですね。ねーわ。

今日は9ページの7行目まで読みました。

Viennese Ball ドイツ系の学生が主催する有名なダンスパーティー
launch 始める
count 〜と考える
mind-set 考え方
twist 撚り
paperclip 紙クリップ
trade up より高い物と交換する
step-by-step 段階的な
bust 完敗
chalk it up 一点を加える
be from the mark 的外れな
go about 歩き回る
pitch 打ち込む
dorm
blare 鳴り響く
start out 〜として始める
ad hoc その場限りの
collaborative 共同の
evolve into 〜に発展する
counterintuitive 反直感的な
mundane 日常の
pump ポンプで注入する
capitalist 資本家
entrepreneurship 起業家としての活動
leverage 少ない資本で大きな利益を上げる
jump to 〜に飛びつく
step back 加わらない
take off 取り去る
open up the possibility 可能性を開く
take〜to heart 〜を肝に銘じる
excuse 謝罪
be broke 素寒貧な

今回は「クリップ10を元手に何かを得て、それに意味を与えよ」の任務です。わらしべ長者みたいなものですね。
で、まとめのまとめ、お金が無くても柔軟な思考さえあれば問題を解決する方法はあるってことでした。

とある飛空士の恋歌1〜4巻感想〜今、交わろうとする水平線〜

突然だが、結論から言おう。
とある飛空士の追憶は、「交わるまじき男女」を描いた物語だ。
とある飛空士の恋歌は、「交わるべき男女」を描いた物語だ。

とある飛空士の追憶

2008年2月20日ライトノベル界を激震させる小さな小さな文庫本がガガガ文庫から発売された。
作者は犬村小六、本の名は「とある飛空士の追憶」という。

ここで自己中心的な価値観の押し付けの文章を書く事は自粛すべきだろう。

だが、私は自重しない。自重せずに書くのだ。

とある飛空士の追憶」に於ける「空」と「海」は決して交わらない。いや、交われないのだ。それについては、二年以上前に書いた感想に書いた。

 「水平線」についての暗喩については既に書きましたが、世界観として、世界は「大瀑布」によって断絶されており、大瀑布の北端と南端は「知られていない」という事になっています。
 作中に於ける南北の軸は作中でどうにもならなかった「運命」を意味します。
 これは、既に書いたように、「決して交わることの無い運命」は、シャルルが「空」、ファナが「地上(海)」に例えられて「決して交わることの無い水平線」となります。作中で南北に果てが無いように、シャルルとファナの「運命」もまたどうにもなりません。水平線の果てで交わっているかのような淡い期待は、その実、永遠に続く海と空は決して交わらない事を冷酷に表しています。
 逆に、「大瀑布」の東西の行き来は「大瀑布」という障壁を越えることで解消されますが、この「大瀑布」が「神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上の諍い」の暗喩であることは論を待たないでしょう。しかしその収束は困難ではありますが、決して「不可能」ではなく、「大瀑布=人間同士の諍い」程度なら人間の努力で克服可能であることを意味します。
 また、シャルルとファナが「大瀑布を越えた事」がきっかけとなって「神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上の諍い」が収束した事から見ても、「とある飛空士への追憶」は、「人間には解決不可能な運命(南北の軸)」から逃げずに「人間にでも何とかなる問題(東西の軸)」に立ち向かった物語であるとも捉えられるのでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20080518/1211120972

とある飛空士の追憶」に於いては、主人公狩野シャルルに「選択」が委ねられている。
有り体に言えば、ヒロインであるファナ・デル・モラルと「心も体も交わる」か、引いては「空」と「海」の交わる先、即ち「水平線」を目指して逃避するか、という事だ。
だが、結論から言えば、それは決してあり得ない。

何故なら、狩野シャルルの先天的特殊技能、狩野シャルルの本質が、「見えない水平線を捉える」、つまり、「己の成すべき事を決して見失わない」点にあるからだ。

 雲中飛行はシャルルのおはこである。普通の飛空士は空間失調症に陥る危険があるため雲のなかを長時間飛ぶことを嫌うが、シャルルは天性の素質で見えない水平線を捉え、機位を保つ技量があった。(とある飛空士の追憶 P49)

余談ではあるが、「とある飛空士の恋歌」にも空間失調症を起こさないパイロットが存在する。ノリアキ・カシワバラである。

 ベンジャミンは呆れつつも感心した。ノリアキは空間失調の気配すら未銭司、平気の平左で雲中飛行をつづける。敵から逃げようとする本能が、視程ゼロの恐怖を上回ってしまうのだろう。なにも見えなくてもどんなに寒くても平衡感覚が失われようとも,意地でもここから出ようとしない。

ノリアキ・カシワバラもまた、「自分の成すべき事を決して見失わない」人間だった。彼の物語は二度と紡がれない彼の物語もやはり、その一点に尽きるのだ。

とある飛空士の恋歌

とある飛空士の追憶」の狩野シャルルとファナ・デル・モラルは、お互いに「己の成すべき事」の為に心は交わりながらも、距離的にも肉体的にも交わる事は無かった。
しかし、「とある飛空士の恋歌」は違う。決して違う。交わるのだ。いや、既に交わったのだ。

何故か。

「狩野シャルル」の属性は「空」である。ファナ・デル・モラルの属性は「海(または大地)」である。それ故、二人は「遙か水平線の彼方では交わる」ように錯覚されながらも、決して交わらない。
それに対して、「カルエル・アルバス(カール・ラ・イール)」の属性とは「光」であり、「クレア・クルス(ニナ・ヴィエント)」の属性は「風」だ。二つは交わり、水平線の向こう側、空の果てへと一点に飛んでいく。

光=カルエル・アルバス(カール・ラ・イール)

カルエル・アルバスの本質は、「光」だ。
換言しよう。優れた「飛空士」の条件の一つは要は「外界の情報の処理」だ。外界からの刺激情報を的確に処理して判断し、それを飛空艇に確実に伝達する。
カルエルの先天的技能は「光を見る能力」事だ。戦場に於いては「生き残る為に必要な未来の光(光景)を見る」能力として使われるが、本来は「進むべき未来を見る」為の能力だ。

「許す。言ってみて」(マリア・ラ・イール)
「ゆるす」(カール・ラ・イール)
「そう。そのことを覚えていて。憎しみに囚われないで。あなたは光だけを見ていて」(マリア・ラ・イール)
「ひかり」(カール・ラ・イール)
「そう。あなたが許したら、光が闇をぬぐいさる」(マリア・ラ・イール)
「ゆるしたら、ひかりがやみをぬぐいさる」(カール・ラ・イール)
(恋歌#1P84)

その先天的技能「光を見る能力」はカルエルの母が言ったように、軽エルには「赦す為の愛」が必要だった。

風=クレア・クルス(ニナ・ヴィエント)

クレア・クルスの本質は「風」であり、「風」とは「意思」である。

風の歌が聞こえるのだ。大気とこころが同一次元に溶け込んでいる。こころの動きがそのまま風となり、無限の青空はクレア・クルスのカンバスになる。(恋歌#2P13)

それゆえに、クレア・クルスの心が凍るに伴い、風呼びの力は衰えていった。当然である、「意思」なくして「意思」たる「風」が動かせよう筈がない。
それゆえに、クレア・クルスが自分に正直になった時、風呼びの力が蘇ったのだ。当然である。
つまり、人形から人間に戻り、風呼びの力を取り戻すには、「生きる力」が必要だった。そしてそれは「愛」無くしてはありえなかった。

光と風

クレアには「愛」が必要だった。あの瞬間、「生きる」為に。

「最後だから。わたし、ここで死ぬから。だから、ごめん、最後だけ、自分の思い通りに行動させて」
クレアは空へむかって声を張った。
「ずっとずっと誰かの言いなりだったけど、カル、あなたがわたしを変えてくれたの。あの湖であなたに出会ってから、わたし、たくさん、楽しい気持ちを抱けたの」
(恋歌#4P337)

カルエルには「愛」が必要だった。あの瞬間、「クレアを赦す」為に。カルエルの10年とは、その為にあったのだ。

「かっこいい男になれ、ってお父さんよくあんたに言ってたよね。お父さん、あんたに、見本示してくれたんだよ。こういうのがかっこいい男だ、って、態度と行動であんたに教えてくれてるんだ。きっとたぶん絶対、お父さん、そういう人だもん」(アリエル・アルバス)
(恋歌#4P154)

つまり、「愛」。

これで「光」と「風」が揃った。
では、「光」は「風」をどこへ導くか。「水平線の果て」、シャルルとファナが選ばなかった、選べなかった未来だ。
 シャルルとファナは「空」と「地」だった為に水平線の先を夢見ながらそれが幻想だと知っていたから交わらなかった。しかし、カルエルとクレアは「光」と「風」だ。二つは手を携えて飛ぶのだ。

カルエルは本来隔たれている筈のヴァン・ヴィール組(貴族の子弟)とセンテジュアル組(庶民の子弟)の垣根など無いが如くにクレア・クルスとペアになり、涙しながら別れを告げようとするクレア・クルスの唇を奪うなど、物理的・心理的な牆壁を易々と飛び越える。それは即ち、「操縦能力」の暗喩である。カルエルは「飛び越える特性」を備えている。即ち、カルエルは、聖泉など飛び越えていく。聖なる十字、恐らくこの世界は十字で断絶されている。それを飛び越えていくのだ。

おそらくは半年後、季節は冬、「とある飛空士の恋歌」は5巻で完結を迎える。
それまで楽しみに待つとしよう。

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)