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2011-11-12

日本で3番目に詳しい「マネーボール」豆知識

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ソーシャル・ネットワークの脚本家(今ではそうだが、昔は「アメリカン・プレジデント」とか「ザ・ホワイトハウス」だったのよね)と、「シンドラーのリスト」の脚本家であり、(オール・ザ・キングス・メンのことは忘れてくださいマジで)「ボビー・フィッシャーをさがして」の監督でもある人が、「カポーディ」の監督とタッグを組んだ作品が、

この「マネーボール」だ。

 

元はセミ・ドキュメンタリー小説である「マネーボール」(マイケル・ルイス著)。

ストーリーは2001年のシーズン終了後から話が始まる。

 

ストーリー

地区優勝したものの、チャンピオンシップシリーズでジェレミー・ジアンビの走塁ミス

により敗退したアスレチックス*1。しかし、来年からは主砲(ジアンビ兄)、抑え(イズリングハウゼン)、1番打者(デイモン)が抜けることとなってしまった。

 

時は1979年にさかのぼる。

ビリーは、ニューヨーク・メッツから1位氏名を受ける。

スタンフォード大への進学も決定していたのだが、スカウトからの言葉に動かされ

翌年入団するのだが…。実績6年間。148試合。3本塁打打率.219。

凡庸な成績のままにメジャー生活をわずか27歳で幕を閉じた。

ビリーは、スカウトになりその後ビル・ジェイムズの書と出会いGMになるのだが、

そこらへんの詳しい経緯は映画ですっとばしているので原作本を参考に。

一応、この人は元巨人のガルベスとトレードされたこともある。そう、あのバルビーノ・ガルベスである。が、それはあまり関係ないのか映画でも原作本でも描かれることはなかった。

 

やがて、クリーブランド・インディアンズ*2でピーター・ブランドとの出会いをきっかけに*3、「マネーボール」理論を実践していくこととなるが、旧来のスカウトや監督、メディアと対立。4月は立ち遅れて一時期どうなることかとおもいきや公式戦で20連勝するまでになった。

しかし、ビーンは「とあること」で揺れていたのであった…。

 

時折虚実もはいるが、おおよそ原作の要素を取り入れつつ「野球なんかわかんねえや」という人向けにも最低限の解説をする感じなのでそんなに野球が好きでなくても興味がなくても、まあ、分かりやすい感じに説明していると思う。

 

つうわけで家族ドラマとかそんなもんは知らん!

野球だけについて書くぞ!野球

 

1分でわかるアスレチックスの歴史

 

ここで簡単にアスレチックスの歴史について振り返っておこう。映画の中でも「フィラデルフィアアスレチックス」という単語が出てきたが、アスレチックス1901年フィラデルフィアという土地に誕生した。「ロッキー」で有名な場所だ。

フィラデルフィアには、今ではフィリーズという強豪チームがあり、そこの監督が赤鬼で有名なチャーリー・マニエルではあるが40代でないとわからんと思うからそこらへんは省略。

今年で110年目になるこのチーム。フィラデルフィア時代では、コニー・マックというオーナー兼監督がなんと50年間もチームを支配していた状態だった。1901年から1950年まで監督に就任、その記録は今後破られることはないだろう。

 

その後、カンザスシティに移転したが、わずか10年程度でオークランドにチームが移転。70年代は72年から75年まで3年連続ワールドシリーズ優勝という黄金期を迎え、80年代後半には3年連続リーグ優勝、89年に一度ワールドシリーズ優勝という名門チームだったのですが、主力が抜けた中90年代は不調。ようやく90年代後半に持ちなおしてきたといった感じで、2000年に地区優勝。2001年に101勝し、プレーオフに進出したもののヤンキースに敗れた*4というのが話が始まる前までの経緯だ。

 

.364は魔法の数字

 

ビーンGMが優先していたのが出塁率

「ともかく出塁することが先だ」「四球であろうと何であろうと構わない」

そう、打率よりも本塁打よりも出塁率が重要なカギを握っていたわけだ。

何故.364なのかは・・・映画見たほうが話が早いな。俺には計算は出来ない。

 

1番打者だったデイモンは、01年の出塁率が.329と低かった。常に低いというわけではないけれども、通算を平均しても.359。あまり出塁率が高くなかった彼をビーンGMは残さず、代わりに「鈍足だが出塁率だけは高いジアンビ(弟)」を一番打者に抜擢した。

 

彼は(原作本通りに)悪行で知られていたが、01年の出塁率は124試合で.391。

02年もトレードされる前までは.390と「セオリー通り」の成績を残した。

・・・まあ、結局トレードされて翌年の03年に引退したわけであるが。

 

データだけでは成功しないって意味だよな。

 

そして、序盤にヤンキースへのFA移籍が決定したジアンビ(兄)。

彼の出塁率は驚異的に高かった。00年の出塁率が.476、そして01年が.477。これはリーグベスト。01年のアスレチックスで、規定打数以上で出塁率が.367を超えていたのは二塁のマナキーノだけ。・・・ともかく高かったわけだ。が、そのジアンビ(兄)がチームを抜けた。さあどうする。

 

ジアンビ(兄)と同じような選手は無理だ、だったらその穴を埋める出塁率が高い打者を持って来い」

 

そういうわけで大抜擢されたのがデービッドジャスティス選手とスコット・ハッテバーグ選手であった。

 

ジャスティス選手は、かつての新人王オールスターに3度出場した名選手だったのも過去の話、ヤンキースでは成績低下のため「金を出してでもトレードしたかった」所を、アスレチックスが獲得した。ジャスティスは36歳。峠を超えた打者だったが、平均出塁率は.378。1シーズンだけだったが、2002年も.376の出塁率を残し穴を埋めた。

 

「どこの球団も獲得したがらない出塁率が高いベテラン選手を安価で獲得する」手法は、

その後のフランク・トーマス*5、マイク・ピアッツァ*6松井秀喜*7などに引き継がれている。

 

そして、今作でも原作版でも大きくフィーチャーしていたハッテバーグ選手。

 

彼はレッドソックスの正捕手だったが、ケガで「スローイングが出来なくなってしまった」のでどこからも必要とされなかったところを「君に一塁手をやってほしい」

と声をかけたのがアスレチックスだけだった。

捕手としてはパスボールも多く、97年とケガの影響もあった01年は「最も打者に走られた」こともあってか、評価は中くらい。しかし、出塁率を目の前にすればそんなもんどうでもいい。実際、彼は20連勝を決定づけた試合で決勝の本塁打を打ち、出塁率も.374。

 

・・・まあ、実際のところ出塁率だけではなくて先発陣のビッグスリーによるところじゃないかという意見もあるわけですが、そこらへんは置いておいて。

 

チャドブラッドフォードについて

この映画でもちょっとだけ出てくるチャドブラッドフォード投手についても

書いておこう。

 

何故他の球団が彼に対してあまり評価して来なかったのか。それは、彼のサブマリン投法があまりにも独特的すぎたからであった。

 

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少し他球団時代の写真も混ざっているが、おおよそ彼の投げ方は変わっていない。

映画だと、彼は「02年から加入した」みたいに描かれているが、実際には01年の

シーズンからの加入だった。その後、05年までアスレチックスに在籍、他チームにも転々としたが、やはり腰を痛める投法なのでケガで成績低下。

09年を最後にメジャーから引退。2180人の打者と対戦したが打たれた本塁打はわずか28本。恐るべき成績である。

 

こちらが、映画でチャドを演じたケーシー・ボンドによるもの。

 

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元々、ケーシー・ボンドはサンフランシスコ・ジャイアンツから07年に指名され入団。元は外野手であり、大学野球投手経験はあったが下手投げはもちろんしたことがなかった・・・が、この映画では見事に演じきった。

 

これが実際のチャドブラッドフォードへのインタビュー。

パンフレットによると、今は故郷の高校でコーチをしているらしい。

http://www2.wjtv.com/sports/2011/sep/27/chad-bradford-movie-moneyball-ar-2474441/

「(原作)本が出るまで何故自分がアスレチックスにやってきたのか」ということを全く

知らなかったらしい。

 

あと、すごくどうでもいい話だが、原作本で「ミスター何でも振ります」(四球出塁率が少なく、三振が多かったのであまりビーンは好きな選手ではなかった、らしい)のミゲル・テハーダを演じていたのがロイス・クレイトン。

そう。「オールド・ルーキー」のクライマックスシーンで、ジム・モリス投手デニス・クエイド)が三振を奪った相手が彼だった。正確に言えば彼を演じている役者だった。

彼は、あの映画では別の人に演じられ、この映画では実在する野球人物を演じているという、なんとも奇妙な状態になっている。これは、パンフレットで触れられていなかったのでちょっと書いておこうかな、と思いたった次第です。

その後のマネーボール

ビーンGMレッドソックスのオファーを蹴ったことは最後のシーンでも描かれる。

 

レッドソックスが04年に84年ぶりのワールドシリーズ優勝したことは周知の事実

であるが・・・それは今年がらがらと崩壊してしまった。

FAで大物選手を獲得。圧倒的な優勝候補。しかし最後の9月でそれが嘘のように負け始め

(なんせ地区でぶっちぎりの最下位であるチームにも負けていたくらいだ)、

最終戦でプレーオフを逃すことになった。

「選手がコンディショニングを怠っていた」

「試合中に先発三本柱らがデリバリーピザの注文をしてビデオゲームやっていた」

「試合中にフライドチキン食っていた」

「一部の先発陣は、登板しない日にダグアウトで飲酒していた」

「監督が孤立し、全くチームをコントロールできなかった」

「選手のモチベーションがともかく低かった・・・」

 

マネーボール理論により「勝った」レッドソックス帝国は、「勝てば何やってもいい」

ヤンキースみたいなチームになってしまったにであった。

 

一方で、アスレチックスは06年に地区優勝して以来プレーオフから遠ざかっている。最近では勝率5割も難しい状態。マリナーズが万年最下位なので最下位の心配はしなくても良い状態ではあるが、それでも他球団を相手に戦うのが難しくなってきている。

 

他の球団も同じようなことをやり始めたからだ。

 

「前GMがアホすぎて無駄な補強をしてチームを空中分解させた」ニューヨーク・メッツ。そう。ビリー・ビーンが野球選手としてデビューを飾った球団である。昨年、そこのGMにサンディ・アルダーソンという人物が就任した。ビリーに徹底的にセーバーマトリクスを叩き込んだのがこの人物。そして、そのGM補佐にピーター・ブランドの元ネタとなったポール・デポテスタを起用・・・つまり、メッツは「ビーン抜きでマネーボール」をやろうとしているわけだ。

 

これがうまくいくのか行かないのかは分からない。が、メッツはそのうち台風

目になるのかもしれないしならないのかもしれない。

【参考文献】

http://www.baseball-reference.com/teams/OAK/2002.shtml

http://www.baseball-reference.com/teams/OAK/2001.shtml

http://www.baseball-reference.com/players/g/giambja01.shtml

http://www.baseball-reference.com/players/j/justida01.shtml

http://www.baseball-reference.com/players/h/hattesc01.shtml 

http://www.zimbio.com/pictures/iFxDJ6QNFx7/Baltimore+Orioles+v+Chicago+Cubs/w5kC913jx6-/Chad+Bradford

 

http://www.zimbio.com/pictures/e0ICi3TJwKc/Boston+Red+Sox+v+Tampa+Bay+Rays+Game+7/keOguglX2rB/Chad+Bradford

 

http://blogs.yahoo.co.jp/cubsss5/47797125.html

*1:映画内では「放出された兄の穴を埋める」ために獲得したと描かれているが、それより前にチームに所属していた

*2:映画「メジャーリーグ」で有名でもある。あの時は弱小チームではあったが、当時は強豪チームだった

*3:実際にはこの人物は存在しない。ポール・デポテスタというGM補佐をベースにしている。この映画に実名を出されるのが嫌だったのだが、映画には協力的だったそうだ

*4:それだけ勝っても、マリナーズがそれ以上に勝ったので地区優勝にはならなかった

*5:90年代を代表する大打者

*6:元野茂の正捕手。元新人王

*7:松井の出塁率が低ければ、アスレチックスは彼を獲得するなどということは絶対にしなかっただろう

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