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2008-10-20 Mon

[] 紙の本という情報媒体の価値を考える

いきなりですが、私は「もう本は全部電子書籍にしちゃえばいいじゃん」と思っとるわけです。なぜなら、電子書籍と比較すると紙の本にはデメリットがありすぎるから。軽く列挙するだけでもこんなにある。

 ×資源の無駄:全く内容が同じ本を、何万〜何百万冊も刷る
 ×重い:たくさん持ち歩けない
 ×場所を取る:書店も無限に陳列できない、家庭でもたくさん保管できない
 ×流通コストが高い:重い本を運び、大量に陳列して売り、買ったら持ち帰る
 ×製本コストが高い:紙代、インク代、印刷代、製本代…
 ×出版の初期コストが高い:最低でもイニシャルで100万円前後は必要
 ×経年劣化する:紙だから仕方ない
 ×本の内容で検索できない:紙だから仕方ない
 ×売価のわりに印税が低い:製本や流通にコストがかかるから仕方ない

逆に、紙の本のメリットといえば、

 ○紙の方が(ディスプレイで見る電子書籍より)読み易い、目が疲れない
 ○電気がなくても読める
 ○印刷や流通に携わる人のお仕事、収益源になる

これぐらいしかない。っったく紙の本はメリットが少ないぜ!と思ってたんだけど…私、間違っておりました。

紙の本の真の価値はデメリットの中にあったんだ。

出版にコストがかかること自体が紙の本の真の価値

1つの本を出版*1するには発行部数に応じて数百万〜数千万円単位のお金がかかる。
 ↓
出版した本が売れなければ赤字になる。
 ↓
赤字にならないために出版社や書店が努力することになる。

  • 売れなさそうな本は、そもそも出版されない
  • 編集や校正が行われてから出版される
  • 売れない本は書店から消えていく
  • 売れない出版社用の陳列棚は書店から減っていく
  • 売れなかった本は増刷されず絶版となる

以上のような力が自然と働く。出版の前後でまとめると、

  1. 出版前:出版社のGOサインが出たものだけが出版される*2
  2. 出版後:経済的な生存競争にさらされて流通の段階で淘汰されていく

ということになる。

紙の本は、製本や流通に決して安くないお金がかかってしまうが故に、作り手、売り手、買い手に至るまでの(印刷会社を除いた)全利害関係者が、出版の自主制限(のようなもの)と、自然淘汰のサイクルを回す動機になっている。

それは発信や保管にお金がかからない電子情報媒体では自然には得られない作用でもある。(電子情報媒体=ネットが必要とするのは、中央集権的なコンテンツの質の管理じゃなくて、クラウドソーシングによる評価とその集計だから。)

まとめ

紙の本という情報媒体の価値は「出版にお金がかかること」にある。

それはつまり、今、書店にズラーっと並べられている本はすべて、著作者、編集者、その他出版社の人達、さらには書店の人までが「これは売れるはず」とか「この本は出版に値する水準に達している」と認めたコンテンツばかりなのだーということ。

理論上は、な!

*1:製本から流通販売まで

*2:著者以外の第三者の目によって「売れるか、売れないか」のチェックが入る

なまえなまえ 2008/10/28 08:46 フォーマットを変えずに長期保存が可能なこともお忘れ無く。

SludgeSludge 2008/10/28 09:45 紙のメリットは他にも以下があると思います。
・破ることが出来る
・折ることが出来る
・汚れて古くなる(いつごろの本かの予測可能)
・修正不可、その時代の情報の記録

AobaAoba 2008/10/28 11:39 なまえさん、こんちは。
フォーマットを変えずに長期保存が可能というのは、紙の話?電子媒体の話?どちらも条件によっては、かなり長期保存が可能だろうと思います。

AobaAoba 2008/10/28 11:45 Sludgeさん、こんちは。
ペーパーメディアの価値は、もっときちんと考えないといけないなと思いました。反省。

私がさらに追加したいしょーもない紙のメリットは、
・触った人の指紋が残る
・古くなったらアンティークで価値が出るものがある
などです。

で、余計な話ですが、電子媒体でも「破る」「折る」は実装次第で実現可能だなと思います。でも「古くなる」ってのは、紙と同じようにはできないですね。

趣味:物書き趣味:物書き 2008/10/28 12:34 個人的な感想ですが、紙媒体のメリットをいくつか。
・文庫本が持ち運びやすい。読書だけのためにノートPCは持ち歩きたくない。
・その気になってから2秒で読み始められる。
・寝転がって読める
・特に10ページ以上戻ったりする場合、ページをめくるのが早い

ほとんど小説を読む場合についての話ですが。
所有欲を満たす、というのもありますね。

AobaAoba 2008/10/28 17:59 趣味:物書きさん、こんばんは。
そういった辺りも、電子書籍を扱うコンピュータの進歩によって
将来的に解決されていけばいいですね。

で、問題は所有欲です。紙の本という「質量」に対して
喜びや価値を感じてる人は、決して少なくないはず。
それは電子媒体では絶対に代替できないものです。

そこで!所有欲を満たしたい大人たちのために
街の本屋さんなどに書籍速攻印刷製本マシーンを設置します。
http://mojix.org/2008/10/13/espresso_book_machine
電子媒体を持って行って、お金を払って製本してもらうのです。

だめかな…。

SludgeSludge 2008/10/29 11:02 おおおお、Espresso Book Machine、いいですねw
一台300万円くらいなら会社に一台、
50万円くらいなら家庭に一台欲しいマシンですねー。

AobaAoba 2008/10/29 11:50 もう流通する「書籍」は全部電子データにしちゃって
紙の本が欲しい方はEspresso Book Machineを有料で使う。

その方が読む側としては自由でいいなと思ってるんですが、
出版社や印刷会社や書店は徹底的に反対するだろうなー

IroIro 2008/10/30 00:26 紙媒体最大の利点は「解像度」と「面積」じゃないですかね。
A1の紙に書かれた図面とCADデータでは見やすさが全然違いますし、
現状の電子書籍では漫画なんか読めたもんじゃないですね。文字がつぶれちゃって。
(写真なんかも紙媒体のほうがきれいかな?)

プリントアウトも電子媒体に含めるなら多少差は縮まりますが、
カラーで大きくて解像度が現在の何倍もある電子ペーパーが開発されない限り
それと個人PCが馬鹿でかいサイズの画像ファイルをサクサク扱えるようにならない限り
電子書籍が普及するのは難しそうと思います。

AobaAoba 2008/10/30 10:30 Iroさん、そうですね。
現状では紙の方が読みやすいのは確実です。
ただ電子ペーパーも近年少しずつ進歩してますので
将来は期待できるんじゃないかと思っております。
http://www.gizmodo.jp/2008/02/post_3207.html
http://bcnranking.jp/news/0804/080430_10588p1.html

解像度(緻密さ&広さ)やコントラスト、
あと画面の更新速度(ページ送りのときの不快感を軽減)
といった面で、紙と同程度の電子ペーパーができると
環境にも優しくていいんですけどね。

Kindleの実機をどこかで見られないだろうか…。
http://ascii.jp/elem/000/000/105/105458/

馬鹿でかい画像ファイルをサクサク扱えるという点は
CPU、GPU、メモリ、OSの進歩にかかってますので心配なさそうです。
やはりディスプレイ問題の方が、課題の大きさとして強烈すぎ。

uwauwa 2008/11/02 11:17 計測結果の良いDVD-Rも注意が必要? - longlowの日記
http://d.hatena.ne.jp/longlow/20081017/p1
ピーシーアシストAIZU サポート日誌: 最近のDVD-Rメディアは記録後1年しか持たない恐れあり。最適なデータ保存媒体はどれか?
http://pcassistaizu.sblo.jp/article/22177695.html


あなたはこんなものにデータの保存を任せるつもりなんですか。
電子ブックの場合も物理的な制約によって書き換えのメディアはそう長持ちしません。
保存型の場合なら、最初から本しろよとなります。
ネット内で保存しようにも保存するメディアは大体HDです。
これだってそこにかかれているように、実は長期保存するには向いてないのです。
今現在、あらゆる電子メディアで半世紀後も残っていそうなのは
きちんと保存されたテープメディアくらいらしいですよ

電子メディア、そしてネット上のデータは意図して残そうとしないか、
それとも拡散されたデータをそれぞれが保存しないと、実はこの世界では雑誌よりも残しにくいのです。一番残りそうなのはP2Pで拡散されたエロかもしれないのがこの世界。今あるBlogのデータだって、後年そのデータを探そうにも古い昔の雑誌を見つけようとするよりも難しくなることでしょ。
電子はどんなに物理的に気を使っても、むしろ新しくなればなるほど残しにくい。

電子化云々を言う人は幾らでもいますが、最大の問題は極めて物理的なネット内での基本的スタンドアローンの問題であることを認識する人はまれです。

でもこれが一番の問題なんですよ。物理的にも経済的にも、電子は残しにくく、後世に伝えづらい媒体であること、ネットでもメディアでも同じことなのだということが一番ふまえておかなくてはいけないことなんです。

それが嫌なら経済的な制約を超えて、何でもコピーし続けることを選ばなくてはなりません。絶版は問題にならないではない、絶版したら、それで終わり、
データは10年もすればどこも消えるかもしれないと世界になってしまいます

AobaAoba 2008/11/02 13:06 uwaさん、こんちは。
おっしゃる通り、電子データは意外と物理的に長期間保持しにくい面があるというのは、ITに触れない一般の方々にとっては盲点かもしれません。ただし、それで「電子書籍は紙の雑誌よりも残し難い」というのはどうかな?と思います。

『意図して残そうとしない限り消える』というのは、電子だろうと、紙だろうと、その他の媒体だろうと一緒です。事実上劣化しない保存媒体が無い現代では、誰からも参照・保存されない情報(=価値の無い情報)は、何に記録されていようとも消える確率が時間と共に高まるのを避けることはできません。

紙で大量に印刷してばらまくのと、電子で大量にネットにばらまくのは自らの存在確率(寿命)を高めるという点で同じことです。スタンドアロンで解決できない問題はネットワークでカバーします。紙の書籍だって100万部刷っても、まとめて一箇所に保管してた倉庫が火災にあったら全滅ですよね。なら配布しときましょうよ、ということと同じ。(P2Pは永続的保存が目的ではなく、情報の伝送効率を高めるためのもの…だと思ってます。)

逆に『意図して残そうとする意思が働く情報』つまり誰かにとって価値がある情報に関しては、電子だろうと、紙だろうと、その他のどんな媒体だろうと、後世まで残る可能性が高くなるでしょう。国会図書館が電子書籍を保管対象に含めれば紙と同程度に残り続けるってことです。

また保管方法についての余談ですが、たとえばGoogleのDBに保管されている限り、電子書籍が消え去る危険性は限りなく低くなるでしょう。Googleという企業が消えるとか、そういうリスクは別にあるけれど、電子媒体だろうとも消えにくく(かつ扱い易い)保管方法が存在するのも事実です。

私設図書館?私設図書館? 2010/10/26 12:05 検索で辿り着きました。
うちも雑誌が多いんですが普通の人の何十倍かわからないくらい蔵書(苦笑)があります。
若い頃は老後までに全部目を通せるつもりで居ましたが、既に結構イイトシになってきて身の回りをコンパクトにしなければという強迫観念にもにた意識に苛まれております。

極端な話、雑誌類なぞ今時の感覚ですべて裁断&スキャンでかまわないようなモノなんですが(検索性も上がるし)同じ時代を生き、入手に苦労したモノも少なくなく一向に作業は進みません

いっそのこと親の世代から受け継いだ文化的価値がありそうなものを、古書専門店やオークションで本当の価値が判って大事にしてもらえる方に譲り渡すべきかと思ったり、行き付けの図書館に寄贈しようかとも考えたり。

悩みが尽きぬ間に古本屋でもデフレは進んで今年は30円未満の本(文庫、新書、ハードカバー等)も大量に購入してしまい、その気になればお風呂でも読める紙メディアライフを満喫してしまったりしています。

文字以上にイラスト等の絵画的ビジュアルに特別価値を感じてしまう立派な病気ですね・・・

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