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[]主要エントリリスト(日本軍「慰安婦」問題関連)

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2018-11-25

[]BS1スペシャル「隠された日本兵のトラウマ〜陸軍病院8002人の“病床日誌”〜」110分版(追記あり)

以前に地上波で放送されたものの拡大版のようです。放送後にこのエントリに感想など追記したいと思います。


追記:放送後僅かの間に3回も観直してしまいました。ご自身で「怒り」ということばを口にされた清水先生はもちろんのこと、番組全体から静かな怒りがじわじわと伝わってきた気がします。

厳密に尺を測ってみたわけではありませんが、地上波版と比べて増補されていたのは兵士の自殺とその研究、敗戦時に病床日誌が隠滅を逃れた顛末とその後、そして戦後の家族への影響、といったあたりでしょう。

とりわけ興味深かったのが“未復員兵”の父を持つ男性と、家庭で暴力をふるう復員兵を父に持つ女性の事例を通して語られる配偶者や子どもへの影響でした。間接的には孫世代にまで影響が及んでいる可能性も示唆されていたと思いますし、女性のケースはその記憶の仕方からしてPTSDを疑うこともできるような紹介でした。

戦争神経症に関する戦後日本の沈黙がこの二人のようなケースの苦しみを一層大きくしたわけですが、番組にも登場した中村江里氏は著書『戦争とトラウマ 不可視化された日本兵の戦争神経症』(吉川弘文館)において、戦争神経症が「不可視化」された要因の一つに、軍医が診療・治療だけでなく恩給の策定にも関わっていたこと、を挙げています。「国府台陸軍病院の軍医たちは、医学のみならず国家財政の観点から戦争神経症を解釈していたと言ってよいだろう。 」(308ページ) 番組でも多くの精神障害兵士が恩給の対象とならなかったことに触れられていましたが、軍という官僚組織の一員である軍医には、精神障害と軍務の因果関係を否認する動機があった、というわけです。

2018-11-13

[]植村裁判札幌地裁判決について

元朝日新聞記者の植村隆氏が櫻井よしこ氏を訴えていた民事訴訟の判決が、去る11月9日に札幌地裁で言い渡されました。結果はみなさんご承知の通りで植村氏の請求が棄却されましたが、一審の結果がどうであれ実質的な決着の場が札幌高裁になるであろうことは、双方の当事者や支援者にとっても織り込み済みだったと思います。

すでに原告は控訴する旨を公表していますが、ここでは原告植村氏の支援グループが公開している判決要旨に基づいて、地裁判決について当ブログの見解を述べておきたいと思います。


判決要旨のうち、実質的に勝敗を分けることになった部分は「3摘示事実及び意見ないし論評の前提事実の真実性又は真実相当性」です。裁判所の判断については判決要旨をご覧いただくとして、植村氏に関する櫻井氏の記述の真実相当性を判断するうえで非常に重要な事実として、彼女が日本軍「慰安婦」問題について公に発言するようになったのは1996年以降である、というものがあります。1990年から91年にかけて取材し記事を書いた植村氏とは異なり、櫻井氏は92年に刊行された資料集(大月書店)や95年に刊行された吉見義明さんの『従軍慰安婦』(岩波新書)などの調査・研究の成果を参照できたし、また参照すべきだったのです。近年まで続いていた植村氏への攻撃については、過去四半世紀の研究の蓄積をふまえたうえでなされたのでなければ、真実相当性があったと認めることはできないはずです。

しかし判決要旨を見る限り、裁判所は植村氏の記事が掲載された時期に入手可能だった資料のみをとりあげ、それをもってして「……と信じたことについて相当な理由があるといえる」という判断を下してしまっているように思えます。


もう一つ、植村氏の義母が「遺族会」の幹部であったという事情も真実相当性を認める根拠の一つとされています。しかし櫻井氏は、特に公知の事実というわけでもなかった植村氏の縁戚関係には注目する一方、植村氏の91年8月の記事が執筆・掲載された時点では金学順さんを支援していたのが挺対協(当時、現「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」)であって「遺族会」ではなかったこと、12月の記事が掲載されたのはすでに提訴のあとで各社とも植村氏の記事とさして違いのない記事を掲載していたこと、さらに12月の記事が掲載されたのは大阪本社版だけであること……などの、より明白な事実を無視ないし軽視していたわけです。これでなぜ「……と信じたとしても、そのことについては相当な理由がある」などと言えるのか、非常に疑問に思います。

2018-10-21

[]「報道しない自由」を謳歌する『読売新聞』

2014年8月以降、『読売新聞』が非常に浅ましい『朝日新聞』バッシングに加担してきたことはみなさんご承知のとおりです。その汚いやり口については、当ブログでもその一例を紹介しておきました。

さてその後、3つの右派グループが『朝日』を相手に起こした訴訟はすべて『朝日』の勝利で終わりました。とりわけ、日本会議のメンバーも関わった訴訟(当事者は「朝日・グレンデール訴訟」と称しています)では、法律論で門前払いにするのではなく原告の主張に対する事実認定が行われ、「朝日の誤報のせいで!」という右派の主張が否定されています。

また、植村隆・元『朝日新聞』記者が櫻井よしこ、西岡力らを訴えた訴訟はまだ判決がでていませんが、その過程で櫻井・西岡両氏の主張にこそ大きな誤りがあったことが明らかになっています。

このように、司法の場で『朝日新聞』バッシング側の主張が次々覆されているわけですが、では『読売新聞』はこれらの訴訟をどう報じているのでしょうか(「ヨミダス歴史館」による)。

まず驚かされるのは、「朝日・グレンデール訴訟」の原告が上告を断念し敗訴判決が確定した(今年2月)ことを報じていない、ということです。これによってすべての訴訟で『朝日』の勝訴が確定したという節目なのですが。

この訴訟の一審判決については小さな記事がでています(2017年4月28日朝刊)。この記事中で判決は次のように要約されています(原文のルビを省略)。

 佐久間健吉裁判長は「朝日新聞の記事が慰安婦問題に関する国際社会の認識や見解に何の影響も与えなかたっとはいえない」と指摘。一方で、「記事の対象は旧日本軍や日本政府で特定の個人ではなく、原告らの社会的評価が低下したとは認められない」と述べ、名誉毀損は成立しないと判断した。

あたかも原告の主張が一部認められたかのような書きぶりですが、しかし判決はこれに続けて次のように判断しています。まず「国際社会自体も多元的であるばかりでなく、前記エの各認定事実を考慮すると、国際社会での慰安婦問題に係る認識や見解は、在米原告らがいう(中略)単一内容のものに収斂されているとまではいえず」、したがって「それら認識や見解が形成された原因につき、いかなる要因がどの程度に影響を及ぼしているかを具体的に特定・判断することは困難であると言わざるを得ない」、と。要するに「朝日の誤報のせいで国際社会が誤解している」という主張は退けられているわけです。『読売』が引用した「何の影響も与えなかたっとはいえない」は言ってみれば自明の事柄に過ぎず、原告敗訴という結果に結びついているのは『読売』が引用しなかった部分の方なのです。これは「捏造」報道ではないのでしょうか?

では植村裁判の方はというと、なんと札幌地裁での対櫻井よしこ裁判の第一回口頭弁論を報じたのを最後に、一切報道していません。『朝日』を訴えた右翼グループの論理によれば、『読売新聞』の読者は、櫻井よしこと西岡力が自らの誤りを認めたことを知る権利を侵害されているわけですね。

2018-10-12

[]海自に甘かった戦後日本社会

あたりまえのことですが、問題の本質は「旭日旗」によって旧日本海軍との連続性を誇示してきた海上自衛隊の体質にあります。護衛艦の艦名がしばしば旧軍艦艇を踏襲しているのも同じ体質の現れです。

どちらも、決して今回はじめて明らかになったことではありません。護衛艦の命名法や旭日旗の使用について問題視する声がなかったわけではありませんが、ことの重大さに見合ったものとは言いがたかったように思います。

一つには、9条2項の厳格な運用を求める立場からすれば自衛隊の存在自体が問題なのであり、旧軍との連続性云々は二次的な問題に過ぎない、という発想があったのかもしれません。しかしもう一つ、いわゆる「海軍善玉史観」の影響も否定出来ないように思います。しかし実証研究の進展や当事者たちの証言により海軍の責任が再考されている現在、戦後の日本がなんとなく海自に甘かったのではないか? ということも検証されねばならないかもしれません。