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2013-08-14

[]捕虜殺害の連続写真、発見

今日8月14日の毎日新聞(大阪本社)朝刊、社会面に「「抗日掃討」の記録写真 上海近郊旧日本軍が撮影 46枚発見」という見出しの記事が掲載されています。「土匪の掃討」として上海近郊の村、銭家草を襲撃した際のもようを軍の写真班が撮影したものを、写真班の助手を務めていたらしい兵士が軍事郵便で親族の家に送ったもの、とのこと。旧日本軍の戦争犯罪に関する記述を含む手紙などが軍の検閲をすり抜けて届くケースがあったことはこれまでも知られていましたが、これもそうしたケースだったようです。

都内の小物市場で売られていたというこの写真ですが、毎日新聞では同じ兵士が送った手紙(国立歴史民俗博物館に収蔵)、兵士が所属していた中隊の中隊長がこの兵士の家族に送ったハガキ(やはり歴博に収蔵)を調査して写真の裏付けをとり、さらに上海特派員が現地調査して祈念碑の存在を確認し、「銭草村惨案」が現地で語り継がれていたことを確認したとのこと。写真への加工の有無も専門家に検証してもらった、とわざわざ断り書きしています。

紙面で紹介されている写真は3枚。家屋に放火する日本兵、捕らえられ一列に座らされた現地男性たち(「銃殺が行はれ初めた」とのキャプションあり)、死体を埋める穴を掘らされる現地男性たち(「自分の這入る穴を一生懸命に掘って居ます」とのキャプション)。識者コメントは笠原先生です。

 「日本軍の治安戦 日中戦争の実相」の著者、笠原十九司(とくし)・都留文科大名誉教授(日中関係史、中国近代史の)話 1937年7月7日に始まった日中戦争で、日本軍の作戦や捕虜の扱いの証言は多数ある。「南京事件」(37年12月)などを巡る写真も伝わっているが、撮影時期や場所があいまいで信憑性に欠けるものも少なくなかった。今回見つかった写真は撮影時期・場所が特定できるもので、第一級の史料といえる。文書などで当時の様子は知っていたが、生々しい連続写真は極めて価値が高い。

なおネトウヨには難しいかもしれませんが、「撮影時期や場所があいまいで信憑性に欠けるものも少なくなかった」は「少ないながら、撮影時期や場所がはっきりしていて信憑性のあるものもあった」ということを含意します。当ブログで「証拠を出せ? 出したらちゃんと自分の目で見るんだろうな?」の一環として紹介したものもその一例ですし、『私の従軍中国戦線 新版 村瀬守保写真集』などもそうです。


追記:記事中では、写真を郵送した兵士の所属が「中支那派遣軍」「近衛師団の後備歩兵大隊」とされていましたが、『南京戦史資料集I』で確認したところ、近衛師団後備第1〜第4大隊が中支那方面軍隷下の第十軍直属の兵站部隊のなかにリストアップされていました。中支那方面軍は38年2月に中支那派遣軍に改組されており(司令官も松井石根から畑俊六に交替)、また内地帰還が38年12月と記事にありますので、その間中支那派遣軍の指揮下にあったということでしょう。

あかべこあかべこ 2013/08/14 18:18 いつも拝見させて頂いております。

近頃はやりの「歴史修正主義者」への反証としてもなかなか貴重な資料なように思えます。
検証もしっかりなされたとのことで(3年近く?)、毎日新聞さんの仕事に敬意を払いたいとおもいます。

ApemanApeman 2013/08/14 18:57 あかべこ さん

写真の内容より検証過程に重点を置いているんじゃないか、という記事でしたね。戦時写真を史料として扱うには気をつけないといけない、ということを素人にも意識させてくれたのが、南京事件否定派の唯一の積極的な貢献でしょうか。

あかべこあかべこ 2013/08/14 19:53 Apeman さん

Apemanさんのおっしゃる通り、検証過程の方が重視されていて、実際の写真の解説が少しもの足りないものでしたね。
限られた紙面に、多くの「いちゃもん」が予測される内容ゆえに仕方がない点もあるのかもしれませんが…。

個人的には全部の写真を見てみたいものです。

めちゃくちゃな「いちゃもん」(でも、歴史に興味のない一般人には影響力があるかもしれない)をつけてくるこういう虐殺行為への否定派の方々はこんかいはどのような反応をしめすのでしょうか…。

今後もぜひともブログの方拝見させていただきます。

たけたけ 2013/08/14 22:57 このニュース、全然話題になってないよね。
なんでだろう?

ApemanApeman 2013/08/14 23:29 あかべこさん

>個人的には全部の写真を見てみたいものです。

どうするんですかねぇ。新聞紙上で掲載するのでなければ考えられるのは本にして出版するとか系列の雑誌で掲載するとかですが。歴博に寄贈して展示してもらうというのもありかな。21世紀なんだからオンラインで閲覧できるようにしてもらいたいですけどね。

>限られた紙面に、多くの「いちゃもん」が予測される内容ゆえに仕方がない点もあるのかもしれませんが…。

私もそういう「配慮」を感じました。まあ、隙を見せないのはいいことなんですが。萎縮につながりさえしなければ。

>今後もぜひともブログの方拝見させていただきます。

こちらこそよろしくお願いします。

たけ さん

エントリを書くにあたって調べてみたんですけど、この記事ってネットに掲載されてないですよね? その影響が大きいような。

pipisanpipisan 2013/08/15 00:02 私は名古屋発行の毎日新聞を見たんですが、
1面(3枚)と社会面(十数枚?)の写真が掲載されていました(すいません、会社に置いてきました)。

この臺記者は確かメディアと人権の専門記者だったと思います。
ネットにアップしないのも、人権関係で何か意図するところがあるのでは。

>検証過程
まあ、富田メモに向かって「年代測定!」とか「インクの鑑定!」とか「筆跡鑑定!」とか騒いだ自称昭和史専門家がいましたので。産経以外は誰も相手にしませんでしたが。

ただ、説明責任を果たしているとは思いますが、紙幅が限られる中で確かに惜しい。
「歴史修正主義者閲読禁止」として発行する訳にもいかず。

ApemanApeman 2013/08/15 08:53 pipisan さん

ツイッターで写メをアップしている人がいましたが、そこでもやはり一面だったみたいですね。大阪本社版は一面にはシベリア抑留関係の記事が載ってたんですよ。

>ネットにアップしないのも、人権関係で何か意図するところがあるのでは。

記事中でも個人の特定に結びつかないように、との配慮はなされていましたね。

>「歴史修正主義者閲読禁止」として発行する訳にもいかず。

それができればメディアももうちょっと積極的にこういう話題を扱ってくれるんでしょうけどね(^^;

gansyugansyu 2013/08/16 09:20 >富田メモに向かって「年代測定!」とか「インクの鑑定!」とか「筆跡鑑定!」とか騒いだ自称昭和史専門家がいましたので

2006年当時の「富田メモに対する論評例(要旨)」が、秦郁彦『靖国神社の祭神たち』の203ページに掲載されています。いくつか書き出してみます。


木村三浩(一水会)「信じられないし、信じたくない」
牛村圭「天皇の言とは信じられぬ。偽造か」
渡部昇一「真贋を国会が調査せよ」
八木秀次「発言者は徳川か」
福田和也「日経新聞の思惑はあさましい」
櫻井よしこ「合祀を決めたのは厚生省と筑波宮司のはず」
岡崎久彦「信憑性に疑問、天皇が“A級”と呼ぶはずない」
中西輝政「日経の意図的誤報か。昭和天皇は人の道に反す。富田が焼却しなかった責任を問う」
大原康男「不快感の対象は松岡・白鳥のみか」


あくまでも「要旨」ではありますが、この中で典型的なのは岡崎氏でしょうか。細かな点に食いついて、「はずがない」と断じ、それによって全体を否定しようとしていますね。

ApemanApeman 2013/08/16 10:34 gansyu さん

富田メモの例の箇所ってそれ以前からあった有力な説を裏付ける内容ですから、「ああやっぱり」ではあっても驚くようなことじゃないんですよね、牛村氏は東京裁判について、右派としてはまともなことを言っていると思っていただけに意外ですが、他のメンツは予想通り過ぎて笑えますね。

りょうりょう 2013/08/16 20:23 櫻井よしこ「合祀を決めたのは厚生省と筑波宮司のはず」
>>
僕の記憶では、櫻井はメモが発見されて一ヶ月ぐらい過ぎた時期、どっかのテレビ番組で、まだ本物と決まったわけじゃない。捏造の可能性を仄めかした発言をしました。

↑に並べたものの中で、中西の発言は一番支離滅裂だけど気持ちがよく出ています。一貫して作られた歴史ロマンに詩情を求めているスタンスなので、この手の夢を打ち破るメモの存在はさぞ許せないでしょうね。

ApemanApeman 2013/08/16 22:52 りょうさん

>中西の発言は一番支離滅裂だけど気持ちがよく出ています。

「誤報か」と言っておいて畏れ多くも先帝陛下に「人の道に反す」ですからねw これが裁判なら、いわゆる予備的主張ってことで理解できますけど、右派論壇人にあるまじき醜態ですね。

Bill_McCrearyBill_McCreary 2013/08/18 12:59 富田メモがあろうが、昭和天皇が不快感を示そうが、そんなに靖国神社が好きなら関係ないんじゃねっていう気もしますが、まあこういう人たちはそういうわけにもいかないんでしょうね。それでいて、安倍が今年靖国に行かないのは、完全にかばうんですから、こいつらの下劣さには予想通りとはいえ心底からうんざりさせられます。ところで、wikipediaの「富田メモ」の記事に、「関連報道」として

>『産経新聞』2006年8月7日朝刊は、以下のことを報じた。

合祀基準が靖国神社とほぼ等しい護国神社への昭和天皇の参拝が、合祀直前の1978年5月を最後に途絶えていたこと、および、これまで最後の靖国神社参拝と合祀に3年の開きがあるため、参拝取止と合祀とは無関係との見方があったが、これでA級戦犯合祀が靖国神社参拝取止の明確な分岐点であったことが分かった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E7%94%B0%E3%83%A1%E3%83%A2

とあります。少なくともこれを報じた当時は、産経も富田メモがデタラメだなんてからきし考えていなかったということですね。まあ今だって、産経でも本気でこれがデタラメだなんて考えている人は、狂信者でもないかぎりいないでしょうが、そうすると産経新聞と盟友関係になる「国家基本問題研究所」系の櫻井よしこその他にこれを指摘したらどういう反応をしますのか興味があります。愚にもつかない言い逃れをするだけでしょうが。

ところで、木村三浩って、

>信じられないし、信じたくない

なんていうことを語る程度の人間だったんですかね。本気で発言しているのなら(ポーズとしても論外ですが)、どうってこともありませんね、この人も。

ApemanApeman 2013/08/18 14:09 Bill_McCreary さん

> まあこういう人たちはそういうわけにもいかないんでしょうね。

それはまあ、そうでしょう(^^;

> 少なくともこれを報じた当時は、産経も富田メモがデタラメだなんてからきし考えていなかったということですね。

公表に先立っての検証に関わったメンバー(の実績やイデオロギー的傾向)などを考えれば、ふつうは「捏造」なんて発想は出てこないはずですからね。誰かが「捏造だ」と言い出したので「その手があったか」と乗っかった、というのが実情じゃないですかね。

gansyugansyu 2013/08/18 20:18 りょうさん Apemanさん

中西氏については私も「変だなあ」と思ったので、書き写すときに何度も確認しました。今も『靖国神社の祭神たち』を手元においてこれを書いていますが、やはり間違いないですね。しかも、長い論文の要旨だというなら秦氏のまとめ方が悪かったのかなとも思えますが、中西氏の論評が掲載されたのは「週刊新潮2006年8月3日号」だそうです。ごく短いコメントが、本当に支離滅裂だったんじゃないでしょうか。

Bill_McCrearyさん

秦氏も、木村氏のことは「論外」の一言で片付けていますね(笑)。一方で、同じ一水会の鈴木邦男氏については「興味深い」としています。鈴木氏は当時、「天皇陛下を取るか、靖国を取るかと選択を迫られれば、私は迷わず天皇陛下を取る」と述べたそうです。

ApemanApeman 2013/08/19 08:49 gansyuさん

>中西氏については私も「変だなあ」と思ったので、書き写すときに何度も確認しました

あまりに支離滅裂なので読んでる方が間違ってるのか、と思わされるわけですね。余計な手間かけさせやがって……てなもんですねw

> 秦氏も、木村氏のことは「論外」の一言

「信じたくない」だけなら秦氏もそうは評しなかったんでしょうけど、それと「信じられない」とを並べられると、やはり我慢ならなかったんでしょうね。

>「天皇陛下を取るか、靖国を取るかと選択を迫られれば、私は迷わず天皇陛下を取る」

右翼からの反応としてもう一つあってしかるべきなのは、「戦死者でないA級戦犯の合祀はやはりおかしい」ですよね。そういう主張が目立たないとすれば、右派にとっての靖国の意味が(当然連続性ははらみつつも)変質しているということかもしれません。

坂本真一坂本真一 2013/08/21 21:26 上記記事をスキャンしてブログにアップしました。
ご参考までに。

http://d.hatena.ne.jp/s3731127306/20130821

rawan60rawan60 2013/08/21 23:06 坂本さんのUP記事を確認したところ、「解説」と見出しをのぞいて、記事本文は大阪版とほぼ同じなので、24面の写真だけが大阪版に載っていないとうい形ですね。

東京、名古屋版の一面が他の記事が分からないのですが、大阪版の一面トップは「維新」の堺市長選関連の特集を組んでいますから、その関係で社会面だけに追いやられたんじゃないでしょうかね。
で、一面には「きょうの!」に25面の紹介だけしている。

turthturth 2013/09/24 20:43 ならば聞こう!
これが「動かぬ証拠」だ!
★「ひと目でわかる日韓・日中歴史の真実」
★「ひと目でわかる日中戦争時代の武士道精神」PHP研究所
これらに掲載されている「新聞記事」や「証拠写真」等の“一次資料”は“在日に支配される前”のまだマトモだった頃の「朝日新聞」や「毎日新聞」が発表したものも多数含まれているのだがな!?
これらの写真をどう説明するつもりかな?
“日本悪しかれ!”とほざく前に、論理的に説明してからにしてもらおう!

ApemanApeman 2013/09/24 22:31 なんじゃ、こりゃ?

凡人69号凡人69号 2013/09/24 23:13 水間信者さんは、まず“truth”の綴りから覚えたほうがよいのでは?

ChieChie 2013/09/25 19:09 >“在日に支配される前”のまだマトモだった頃の「朝日新聞」や「毎日新聞」

戦意高揚記事や大本営発表満載だった頃のことかしら?百人斬り競争とか。

ApemanApeman 2013/09/26 09:45 Chieさん

「新聞記事」や「証拠写真」が「一次資料」とされる独特な歴史学が発展した国、ニッポソの話らしいですね。

ApemanApeman 2013/09/26 09:46 歴史修正主義者が「一次資料」だのなんだのと触れ回ったお陰で、「一次資料」を「なんか知らんがありがたい、すごいもの」くらいに思い込んだネトウヨってけっこういるんだろうなぁ。

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