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2013-08-14

[]いまになってもまだ「捏造写真」論

自分の所行を棚に上げて在特会らを批判した『SAPIO』ですが、8月号は「歴史修正主義特集号」とでもいうべき内容で、その一部が「NEWSポストセブン」に転載されています。

この手の論法に対しては(1)そもそも写真は「証拠」としては事実上不要であることと、(2)「全てが」というのは(村瀬写真などの)否定派に都合の悪い写真をみんな無視すればのはなしでしかない、という2点を指摘すれば十分でしょう。『南京事件「証拠写真」を検証する』には村瀬写真の一部が小さく掲載されているのですが、写真集で見れば後ろ手に縛られた遺体(通常の戦闘行為によるものではない)がはっきりと写っていたりするんですね。

それに加えて、「合成」だの「ヤラセ」だのとする根拠の方がいい加減だったりすることも少なくありません。この記事でも東中野センセイの「刀を持つ男はチャンチャンコのようなものを着ているが、将校、下士官、兵を問わず、このような服装をした軍人は日本軍には存在しない」といった“検証”が引用されているんですが、「このような服装をした軍人は日本軍には存在しない」などということが言えるためには(1)日本軍の軍紀がしっかりしており、(2)正規の軍装がきちんと支給されている(消耗分への補給も含めて)という条件が常に満たされていたことが前提になります。しかし現実がそうでなかったことは当ブログでも繰り返し指摘してきた通りです。(2)については『季刊 戦争責任研究』第58号で紹介されている史料にも、「鉄帽は五分の一位しか支給されず、それも英兵の様な型で変なものであった。服は暑い盛りに冬服を着せられた(補給できぬ為)」といった記述があることを紹介しておきました。

ROMですがROMですが 2013/08/14 19:02 水間政憲氏による以下のコメントなのですが、

>中国が南京大虐殺を持ち出したのは1970年代に入ってから。
>1972年の日中国交正常化に向け、外交を有利に展開しよう
>と歴史認識問題の利用を思いついたのです。これに乗じた
>のが朝日新聞をはじめとする左翼メディアだった。1971年
>に始まった本多勝一氏の連載『中国の旅』で大キャンペー
>ンを張り、日本軍による南京大虐殺を国内外に喧伝しました

本多勝一の中国取材が1971年6月-7月で、ニクソン訪中宣言が1971年7月15日。となると、中国はニクソン・ショック以前から「日中国交正常化」を予定して、それに向けて着々と準備していた、ということになるんですかね。いや、こういったことの準備は秘密裏にするものだし、国交正常化を予定しなくても外交上の有利を狙うことはありうるから、絶対にあり得ないとは言えないとは思いますが....

ApemanApeman 2013/08/14 19:06 ROMですが さん

>中国が南京大虐殺を持ち出したのは1970年代に入ってから。

それ以前はそもそも国交がなかったんですから、「持ち出し」ようがないだけですよね。それに、この種の陰謀説では、南京の大虐殺紀念館が80年代半ばになってようやくできたことの説明がつきませんし。「国内外に喧伝」する準備をしてたというなら、それまでに紀念館も作っておくものでしょう。

ROMですがROMですが 2013/08/14 19:25 >この種の陰謀説では、南京の大虐殺紀念館が80年代半ばにな
>ってようやくできたことの説明がつきません

まあ、金がかからないことから順番にやった、という説明は一応あり得ますかね。いつも思うのですが、「あの手の人達」の議論は、「いろいろと補助仮説を導入すれば説明できないことはないけど....」というのが多いですよね。

ちなみに
http://www.news-postseven.com/archives/20130812_205070.html
もすごいですね。「レポート/ベンジャミン・フルフォード」に苦笑するばかりでした。

ApemanApeman 2013/08/14 23:23 ROMですがさん

>「あの手の人達」の議論は、「いろいろと補助仮説を導入すれば説明できないことはないけど....」というのが多い

なんぼでも補助仮説足してよいのであればエーテル説でもフロギストン説でもいまだ現役で通用しますからねぇ。

>「レポート/ベンジャミン・フルフォード」に苦笑するばかりでした。

仕事選べよ、と……。

てるみんてるみん 2013/08/15 18:47 そういえば修正主義者は捕虜殺害の記録写真に対しても捏造説を持ち出しますよね。
修正主義者の多くは「捕虜殺害合法論」を主張しているんですから別にそういう写真が出てきても無理に否定する必要無いと思うのですが・・・
なんだかんだ言って修正主義者達も捕虜殺害が惨たらしい正視に耐えない行為であることを自覚してるとしか思えません。

kannukikannuki 2013/08/15 22:21 「影の付き方がおかしい」とか「風景の写り方がおかしい」とか「服装が何か変」とか、
まるでアポロ計画陰謀論みたいな話を本気でしてるんだから笑えない。

ApemanApeman 2013/08/15 22:25 てるみん さん

おっしゃる通り、私も「修正主義者達も捕虜殺害が惨たらしい正視に耐えない行為であることを自覚してる」のだろうと考えてます。だから「そもそも殺害はなかった」と主張できればベストだけど、さすがにそれは無理だというのですがりつくのが「捕虜殺害合法論」なんだろう、と。

ApemanApeman 2013/08/15 22:30 kannuki さん

「アポロは月に行ってない」説の存在を知った時に、「あっ、南京事件否定論者と同じ論法使ってる!」と私も思いましたね。まあ写真に関する陰謀説同士が似るのは当然なんでしょうが。

Kim ShirlyKim Shirly 2013/08/16 23:57 >将校、下士官、兵を問わず、このような服装をした軍人は日本軍には存在しない

すみません、当方は趣味でミリタリー関係の知識をかじっているのですが、独ソ戦の戦場写真ではしばしば「規律正しいドイツ軍」にしては「なんだこりゃ?」と思えるような軍装・武装のドイツ兵を見かけることがあります。

日中戦争や独ソ戦のような、大がかりな「殲滅戦争」を戦っている国(特に侵攻した枢軸側)の間では、慢性的な物資不足と過酷な自然環境からくる各種装備の不備は前線では日常茶飯事でしたから、まず「アタマ数」「使える武器」を揃える必要に追われたわけで。
冒頭に引用した東中野センセイの発言に見られるような「カマトト純血主義」の指揮官が前線に立たれると、兵はいい迷惑だったんじゃないでしょうか。

ApemanApeman 2013/08/17 09:59 Kim Shirly さん

> 慢性的な物資不足と過酷な自然環境からくる各種装備の不備は前線では日常茶飯事でしたから、

戦っていれば服はすり切れたり破れたりするし季節は変わる……というのは別段軍事史の専門家でなくても考えたらわかることですよね。南京攻略戦の際には軍靴の支給が追いつかずに地下足袋姿の兵士がたくさんいた(秦郁彦、『南京事件』、中公新書、75ページ)ほどなのに、チャンチャンコがどうした? てなもんですよ。

アジアのバカ大将アジアのバカ大将 2013/08/18 15:14 >>水間政憲氏による以下のコメントなのですが、
>>中国が南京大虐殺を持ち出したのは1970年代に入ってから

 70年代どころか40年代に、各級軍事裁判で実行者たちが起訴され、原告の中国政府側としては満足いく判決が出ていますよね。すなわち作戦トップの中シナ方面総司令官、南京前線の師団長、1人で100人以上斬った将校らが、それぞれ死刑になっています。もう、持ち出す必要なんかなかったはずです。日本政府高官が、「虐殺否定」を公言でもしなければ。

ApemanApeman 2013/08/18 16:07 アジアのバカ大将 さん(って、書きにくいな……)

>原告の中国政府側としては満足いく判決が出ていますよね。

まあ柳川平助と中島今朝吾を裁けなかったのは残念に思っていたかもしれませんね。
今の中国政府にとっても、南京事件というのは日本政府が「サンフランシスコ講和条約によって規定された極東の国際秩序」にコミットし続ける意志があるかどうかのリトマス試験紙のようなものなんだろうと思います。だからおっしゃる通り

>もう、持ち出す必要なんかなかったはずです。日本政府高官が、「虐殺否定」を公言でもしなければ。

なんですね。

ノウモア修正ノウモア修正 2013/08/20 01:46 ベンジャミン・フルフォード・・・て、ユダヤ陰謀論は止めたのですかね?
5000年前の宇宙人説はどうなったんでしょう?

歴史修正論から別の修正論への渡り鳥

ヒトラーの擁護から東條擁護への鞍替え?

まともな歴史観に行きつかないという事は、まともな人生を送っていないからだと思いますがね。

ApemanApeman 2013/08/20 10:11 ノウモア修正 さん

たぶん本人としては「日本軍の悪行を否定してるんじゃない、米軍の悪行も暴いているだけだ」てな具合に正当化してるんじゃないですかね。それが日本の政治的文脈でどう機能するかがわからないはずもないのに。

凡人69号凡人69号 2013/08/23 22:59 いつものことながら、本筋からは外れると思います。
>写真に関する陰謀説
「南京大虐殺はなかった」、「アポロは月に行っていない」、「9・11テロはアメリカの自作自演」などの陰謀論信望者の「検証」が、墓穴を掘るというか、かえって陰謀論サイドのダメっぷりを立証するケースもありますね。
話は変わりますが、昔図書館で見かけた新藤健一著「疑惑のアングル」で、著者の新藤氏は著名なフォトジャーナリストだそうですが、東中野氏の写真検証を支持するような発言をしていて、「ありゃまぁ」と思ったものです。他にも9・11陰謀論を支持していたり、1937年の『LIFE』誌上に掲載された、日本軍の爆撃を受けた上海南駅で泣く赤ん坊の写真を、プロパガンダ的やらせではないか?とする記述がありました。
(ご存知とは思いますが、『LIFE』誌の写真についてはツッコミがなされています)
http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2811.html
http://www.geocities.jp/pipopipo555jp/143photos/station/station.htm

ApemanApeman 2013/08/24 09:31 凡人69号 さん

ご教示ありがとうございます。アマゾンのレビューでも「上海南駅で泣く赤ん坊の写真」については適切なツッコミが入っていたのでちょっと安心しました。その一方で『検証・ニコン慰安婦写真展中止事件』なんて本の編者にもなってるんですよねぇ。安世鴻さんの一件は「歴史修正主義批判」クラスタ以外にも関心をもってくれた人が多くてその点はよかったんですけど、他方でこれが歴史修正主義者たちの一貫した政治的活動の帰結であることがどこまで理解されているのか、不安に思うところもありました。この不安を裏付ける例の一人が新藤氏ということになるのかもしれません。

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