「歴史修正主義者はアウト」の鉄板さ

歴史修正主義者というのは「間違った歴史知識をもっている人」ではなく、政治的イデオロギーの一環としてことさら偽史を選び取った人ですからね。歴史修正主義にはレイシズムやセクシズム、あからさまな詐術などが随伴していますが、それらの根底にあるのは要するに「人間の尊厳に対するシニシズム」と「人間の知的営為に対する侮蔑」です。だからこそ、ある人間が「恃むに値する」人物であるかどうかを判断する際に、「歴史修正主義者であるか否か」「歴史修正主義に対して厳しい態度をとるか否か」という基準を採用するのは極めて合理的であるわけです。

英語版 Wikipedia で反日工作を発見!

"Comfort women" の項を英語版 Wikipedia でチェックしていたところ、次のような嘘が書かれていました(原文の注番号を省略)。

Following multiple testimonies the Kono Statement of 1993 was issued claiming that coercion was involved. However, in 2007, the Japanese government made a cabinet decision, "No evidence was found that the Japanese army or the military officials seized the women by force."

もちろんのこと、07年の閣議決定は「日本の軍官憲が女性を強制連行したという証拠は見つかっていない」などという内容のものではありません。閣議決定された答弁書に実際に書かれていたのは「同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである」ということであり、この「同日」とは河野談話が発表された平成5年8月4日を指します。つまり、平成5年8月4日までに政府が発見した資料の中にはそういう記述はなかった、としているに過ぎません。この「資料」を文書資料に限定したとしても、河野談話発表の時点でオランダによる戦犯裁判資料などが発見されていたことは先日確認した通りであり、この答弁書の記述は事実に反しています。しかしながら、河野談話から07年閣議決定までの14年間に発見された資料の中に「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述」があることは全く否定されていないのです。
これは、実際以上に安倍内閣歴史修正主義者の集まりにみせかける、許し難い反日工作です。「同日の調査結果の発表までに」をトリミングした恣意的な引用によって、ちょっと嘘をついただけなのに大嘘をついたかのように思わせようとしています。もちろん下手人はコリアン・ロビーの手の者でしょう。愛国者たる者、安倍首相の濡れ衣を晴らすため、「安倍内閣は、強制連行の証拠の存在を否定する閣議決定などしていない」ことを世界にアピールしてゆく必要があります。グレンデール市などにコピペメールを送りまくる英語力を以てすれば、雑作もないことでしょう。