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2016-01-28

[]デマゴーグと首尾一貫性:ガメのケース

川口マーン恵美の記事に対する id:Fondriest さんの 次のような分析は非常に興味深いです。

 馬鹿馬鹿しい?つまりマーン記事は事実についての調査や叙述ではないし何かを論証しようとしているのでもないということだ。彼女は自分を主人公とした「物語」を語っているに過ぎない。すなわちこれは私小説がそうであるのと同じ意味で純粋なフィクションなのである。物語の登場人物が、その後彼を待ち受ける運命を知らないように、「ケルンの知人」から事件の報道がない事を聞いた彼女は、ケルニッシェ・ルントシャウが既に報道していることを知らない。そして「物語」の時間が経過しそれを知った時点では、ケルンからの情報は既に過去に属しておりそれを訂正する事はできないしする必要もない。その「物語」の時間経過を読者はその始めから終わりへと読み進む際に追体験し、彼女の立場に感情移入する。その中での個々の要素を比較して矛盾と見なす事は彼らにはできない。それは登場人物の視点ではなく物語全体を鳥瞰する超越的視点において可能になるからだ。だから彼らは4日以前には報道がなかったということと、あったということを共に信じる事ができる。「Aである」と「Aでない」は彼らにとって矛盾ではない。なぜなら「Aである」と主張している間は「Aでない」とは言っておらず、逆もまたそうである。彼らにとって矛盾とはその両者を「同時」に主張する事なのだ。


 ゆえにデマゴーグは矛盾を恐れる必要はない。またたとえ「物語」の綻びから矛盾が露呈しても問題はない。むしろ矛盾は残しておくべきものである。正に矛盾こそがデマを駆動するからだ。(後略)

こういう「首尾一貫性? なにそれ食えるの?」的な態度は私にとっても馴染み深いものです。

戦後の日本人BC級戦犯の裁判記録を読んでいると、こういう些細な誤解が時にいかに重大な結果を引き起こすか、よくわかります。

わっしは、「死の行進」で弱りきったアメリカ兵になけなしのキンピラゴボウを分け与えたせいで戦犯として死刑を言い渡された日本兵のところまで読んで活字が涙でにじんで読めなくなる。

その簡単すぎる裁判記録から浮かび上がってくるのは、見るに見かねて敵兵に親切にしようと考えた若い日本兵の緊張と照れからくる強張った顔と突っ慳貪な態度であって、若い弱りきったアメリカ人の胸に突き倒すような勢いで自分の乏しい昼食を押しつける日本の誠実な若者の姿です。

しかし、日本人の「牛蒡」を食べる習慣を想像することも出来ず、そんな怖い顔で親切にするひとびとの習慣を知らないアメリカ兵は、自分が弱りきっているのを嘲笑するために「こともあろうに木の根っこを口に入れる」ことを強要されたのだ、と受け取ったのでした。

彼は、戦時中に受けた屈辱を法廷で晴らしたいと考えた。

結果は残酷で許し難い捕虜虐待であるという判決でした。

この若い日本の兵隊は自分の善意というものを、どれほど呪ったことでしょう。

強調は引用者。非実在アメリカ兵にゴボウを与えた非実在日本兵が死刑判決を言い渡された、と主張しています。ところが、その「裁判記録」が実在するのか? と疑義をつきつけられた発言者は次のように言い出しました。

BC級戦犯で犯人の特定が難しかった、というのは、こういう話しをするときは言わない方がいいと思います。論点がうまくつかめない独学のひとだ、という印象を与えてしまうのね。

なぜかというと、それは「当たり前」のことで、そもそもBC級戦犯の問題は

「犯人を特定する気なんか初めからまったくなかった」ことにある。

あれ〜? ゴボウを米兵に与えた日本兵が死刑になったんじゃないの〜?

それからかれこれ6年になりますが、いまだにこの齟齬について合理的な説明をした人間はただの1人もいませんw

TeruTeru 2016/01/29 00:55 虐待を受けた者が、どの程度「犯人の特定」を望むか。

この件に関する「裁判記録」が、
賠償請求に関わる民法724条「除斥期間」の判例になっています。

http://www.shougai-law.jp/shometsujiko/
>(参考裁判例)
>戦時中に拷問を受けた被害者が
>加害者の姓を手がかりに長い年月をかけて本人を探し求め、
>加害行為から19年11か月後に、
>ようやく住所氏名をつきとめて訴訟を提起した事案

>(最判昭48.11.16)

この参考URLでは「ぼかして」ありますが、
本事案は、戦中にロシア人が日本の警察に拷問された事案です。

TeruTeru 2016/01/29 01:05 >民法724条「除斥期間」の判例

これは「時効」に関する判例と訂正します。

なお、次のPDFではもう少し事案の詳細が挙げられています。
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/02-6/matumoto.pdf

「第二次大戦中の昭和17年に,
樺太に居住していた白系ロシア人である Xが,
軍機保護法違反の容疑で逮捕され,
警察官 Y らに拷問された結果,
虚偽の自白調書に署名させられ,
懲役4年の実刑判決をうけたあと,
昭和20年に釈放された後,
16年たった昭和36年にようやく Y の住所氏名をつきとめた X が,
翌年 Y を相手取り不法行為に基づく損害賠償を請求した
事案である。」

ApemanApeman 2016/01/29 10:31 Teru さん

そのケースは存じませんでした。被告の上告が棄却されたということは損害賠償の請求も認められたのでしょうね。

FondriestFondriest 2016/01/30 10:07 いやーマーン自身「ニセ外人」と似たようなもんで、海外在住という属性だけで商売してますから。ゲンダイの新しい記事で「作家」と自称してて吹きましたが、まあ確かにフィクションを書いているという意味では間違ってないですね。

しかしガメとマーンの間の違いも目に付きますね。ガメはApemanさんに突っ込まれて苦し紛れに矛盾した事を言い始めたのに対して、マーンは最初から相互に矛盾するような内容を曖昧に並べてミスリードすると同時に信者が好きなように読めるようにしてます。その意味ではガメのほうがあまり悪質ではなく、より狡猾ではないということになるでしょう。まあアマチュアとプロのデマゴーグの違いといったところですか。それで彼が喜ぶのか悲しむのか知りませんがw

あと思いつきで次のような大風呂敷を考えてみました。「物語」はプロパガンダのアルファにしてオメガですが日本におけるいわゆる私小説、その受容と、歴史修正主義の間にパラレルを引くことができ、歴史修正主義的言説は、事実の描写、解釈としてではなく、私小説的な物語としてその語り手(=作者)が「歴史修正」というタブーを犯す経験が自然主義的(文学上の)に絶対化され、その非/没倫理性こそが逆にその「真実性」を保証するという形で受容されている、つまりそこで彼らが「事実」、「真実」と見なしているものは、歴史的事実とは無関係であり、その物語の語り手、さらにそれと同一視された作者の体験、心情との関係においてのみ成立し、また作者の側は自らの「嘘をつきたい」という欲望に忠実であるがゆえに自らを「誠実」だと考えるという倒錯に陥っている。そして私小説の政治的な「非政治性」が彼らにおいて「中立」幻想という形で現れている。つまり日本における歴史修正主義の隆盛は日本特有の私小説というジャンルを基礎として、もしくは私小説を生み出す土壌から生まれた。というものですがいかがでしょうか?

ApemanApeman 2016/01/30 23:05 Fondriest さん

>ゲンダイの新しい記事で「作家」と自称してて吹きましたが

著述業のキャリアは20年以上になるわけですけど、最初からこうだったんですかね。それともニーズにあわせているうちにこうなっちゃったのか。最近の著作はタイトルを見ただけで程度が知れるようなものばかりで。

>つまり日本における歴史修正主義の隆盛は日本特有の私小説というジャンルを基礎として、もしくは私小説を生み出す土壌から生まれた。というものですがいかがでしょうか?

歴史修正主義それ自体は、負の歴史をもつ社会には大抵あるものなので、日本版歴史修正主義の「特有」さをおっしゃるような観点から分析するならば、その「語り口」が重要になってくるかもしれませんね。

FondriestFondriest 2016/02/01 18:21 Apemanさん

ブログ更新しました。容疑者についての分析の報道の紹介です。

ふと気づいたんですが、ガメと私の文章を比べると私のほうが「外人」が書いた文っぽくないですか。というか翻訳調ですね。いやあガメはホントに日本語がうまいなあ、ということでw

マーンも昔はまともだったのかも知れません。西尾幹二も昔は・・・(遠い目)。 本当にこちらでナショナリズムに目覚めて、ISに参加するイスラム系の若者みたいに「歴史戦」に馳せ参じる人は多いですから。ナショナリズムは他者を通して初めて可能になるわけですから当然といえば当然なのかもしれません。海外行けば「国際感覚」が身に付くなんて大嘘ですね。あんなのが野放しになってるのも在独者の中にもあれを支持するのが多いからだろうと思ってます。

こんなことはまさにApemanさんこそが一番感じられておられるでしょうが、やっぱり彼らは何か別のゲームをしているとしか思えない訳で、もう文のジャンルが違うのではないかと。ベースボールをしているつもりだったら相手は野球だった、というよりクリケットかもw 基本的にはそれでも「事実」バットで打ちのめせばいいんでしょうが・・・。

FondriestFondriest 2016/02/01 22:35 凄いの来ました! 野球やってると思ったら、砲丸投げ(自分の頭に向かって)してたみたいです。もう展開がガメ信者と同じで笑えるが笑えません。

>id:oktnzm
普通、新聞言うたら紙だろ…。"私の調べた限り"をスルーしてるしバイアスのかかった検証。沈黙の原因を警察発表の遅れとみなせる寛容さがあるなら、マーンのミスも単にドイツ語の不得手とみなせばよかろうに。
私、そもそも紙に限定してあった、なかったどちらにしても矛盾で二律背反

>oktnzm "地元の新聞にも載らなかった"という事とオンライン版に記事が載ることは両立しうるという主張なのになんで検証とかいう話になるのやら…。紙面はスペースに限りあるんだから"優先度の低い"記事は落とされやすい。

これ前言で「バイアスのある検証」と言ってるし、私がこの記事でやってるのは検証以外の何物でもないんで、普通にこんなのは検証ではないと理解しました。しかも紙の記事の有無に拘ってるし。で、

私、ホントはあるよーんw

そしたらこれですわ。

>id:oktnzm主張が矛盾しないといっているだけなのが理解できないようだね。実際の記事の有無は関係ないよ。もう少し論理の基本的なところに向き合わないとバイアスに振り回されるよ。

そもそも、論理的に成立する可能性があれば検証は不要という主張だったようです。親切なアドバイスも泣けます。ガメ信者の「私の発言に論理的一貫性はないと思ってね」というのがいましたが是非戦わせて見たいですw

ApemanApeman 2016/02/02 08:25 Fondriest

>もう展開がガメ信者と同じで笑えるが笑えません。

そのうち「マーンは作家だ、だからあれは寓話だったのだ」と言い出す奴が出てくるかもしれませんw
ところで、ケルンの事例ではないですが、ガーディアンがこんな記事を書いていますね。
http://www.theguardian.com/world/2016/jan/31/teenage-girl-made-up-migrant-claim-that-caused-uproar-in-germany

ApemanApeman 2016/02/02 08:25 Fondriest

>もう展開がガメ信者と同じで笑えるが笑えません。

そのうち「マーンは作家だ、だからあれは寓話だったのだ」と言い出す奴が出てくるかもしれませんw
ところで、ケルンの事例ではないですが、ガーディアンがこんな記事を書いていますね。
http://www.theguardian.com/world/2016/jan/31/teenage-girl-made-up-migrant-claim-that-caused-uproar-in-germany

FondriestFondriest 2016/02/03 09:02 Apemanさん

ガメ信者のお相手ご苦労様です。今回うっかりブログ始めちゃいましたがツイッターは絶対やるまいと決意を新たにしています。

その件以外にも難民に暴行されたという狂言事件が発生しています。http://www.stuttgarter-zeitung.de/inhalt.mannheim-vergewaltigung-durch-fluechtling-vorgetaeuscht.8f0668a6-761e-41e1-b673-3e530c5572c6.html 

ケルンの件以降、容疑者の国籍、エスニシティを発表すべきという圧力が高くなっているのですが、こういう件が一旦広がると噂はなかなか終息せず陰謀論を引き起こしますから百害あって一利なしだと思いますが。

ApemanApeman 2016/02/12 10:02 Fondriest さん

>こういう件が一旦広がると噂はなかなか終息せず陰謀論を引き起こしますから百害あって一利なしだと思いますが。

でも報じなかったら報じなかったでデマの材料にしやがるだろうことは、日本のネトウヨを見ていれば想像がつきますしねぇ。

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