2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

開設の辞

本館での南京事件に関するエントリがかなり増えてきたのですが、iBlogではカテゴリを再編すると頂戴したコメント、トラックバックの表示に不具合が生じるため、はてなでサブアカウントを取得して戦争犯罪にまつわる話題に特化したブログを作成することにしま…

南京事件否定論テンプレ集その1

某所でのやりとりが2chの極東板で言及されたのを確認。 http://tmp6.2ch.net/test/read.cgi/asia/1156334867/987 http://tmp6.2ch.net/test/read.cgi/asia/1155116552/907 前者はすでにレスが1001に達し、後続スレも立っていたいのでこれで立ち消えのようで…

戦争体験の多様性

(実際にアップロードしたのは8月31日です) 産經新聞の報道により一部で盛り上がりを見せているのが、沖縄戦の際の渡嘉敷村での民間人集団自決が「軍の命令によるものではなかった」とする新証言、というトピックである。この件に限らず沖縄戦全般について…

頂戴したコメントについて

id:zaikabouさんのブクマコメント。 「抑圧移譲」の件はさておき(いや、事実だろうけど、今私が言及したいのはそこじゃなくて)、「失敗を許さないことで一層傷口が深くなる」という、日本の組織の問題点は、微塵も変わっちゃいねえ、ってことですね どれく…

「史上最大の殺人事件」は氷山の一角?

(実際にアップロードしたのは8月30日です) 「少年犯罪データベースドア」さんが、「史上最大の殺人事件」として戦艦陸奥の爆沈事件を紹介しておられる。 昭和18年6.8、瀬戸内の連合艦隊基地である柱島泊地にて、停泊中の戦艦陸奥が爆発して一瞬のうちに沈…

旧軍幹部の「新日本軍」構想

1週間ほど前のニュースだが、機密解除された米公文書により、旧日本軍幹部の「新日本軍」構想が明らかになった、との報道があった。 『新日本軍』計画 幻に 【ワシントン=共同】旧日本軍幹部が太平洋戦争後の一九五〇年前後、「新日本軍」に相当する軍組織…

「ごぼうを捕虜に食べさせて有罪になったB級戦犯」は都市伝説?

「ごぼう 戦犯」でググるとたくさん出てくるのが、「連合軍の捕虜にごぼうを食べさせたところ、木の根を食べさせた虐待だとして戦犯として訴追され、有罪になったケースがある」というはなしである。実はこのはなしは、子どもの頃に母親から聞かされたことが…

強姦殺人容疑の元米兵は人格障害?

(実際にアップロードしたのは27日です) 今年の3月にマハムディヤで発生した一家殺害・強姦事件では6月に主犯格の元米兵が起訴され、その後さらに5人の現役兵士が訴追されたが、8月22日のTBSラジオ、「コラムの花道」で町山智浩氏がこの事件をとりあげた*1…

笠原十九司、『南京事件と三光作戦 未来に生かす戦争の記憶』、大月書店

先日とりあげた『南京事件をどうみるか』が1998年刊、本書が1999年刊とほぼ同時期の文献。こちらでも1997年のプリンストン大でのシンポジウムがとりあげられているので、内容的に重複するところもある。 第一部「逸したアジアとの「和解」」は1995年の「不戦…

藤原彰(編)、『南京事件をどうみるか 日・中・米研究者による検証』、青木書店

南京事件発生60周年となる1997年12月に東京で行なわれたシンポジウムの記録に、同年8月に南京で行なわれた「南京大虐殺史国際学術シンポジウム」、同年12月のプリンストン大学「南京1937年・国際シンポジウム」に関する記録を加えてまとめたもの。このような…

理解に苦しむのは…

なぜ北村氏がこのような本を書いたのか、である。氏は規模はともかくとして南京において不法な殺害、略奪、強姦があったことは否定していないし、幕府山の捕虜殺害をはじめとして具体的な証言のある個別事例についても否定する態度をとっていない。また、「…

北村稔、『「南京事件」の探求 その実像をもとめて』、文春新書

(実際にアップロードしたのは23日です) 基本的に否定的なことばかり以下で述べるため、はじめに肯定的なことを述べておく。本書は、少なくとも黒を白と言いくるめたり、目の前にある歴然たる証拠を無視するような本ではない。例えば「便衣兵の掃討」に名を…

『バターン「死の行進」を歩く』

文藝春秋の2005年12月号に掲載された笹幸恵の「「バターン死の行進」女一人で踏破」中でも言及されていた、『バターン「死の行進」を歩く』(鷹沢のり子、筑摩書房)を図書館で借りて読んだ。刊行(1995年)前年の夏に『週刊金曜日』に連載された原稿に加筆…

追記

2点ほど追記。笹氏は「「バターン死の行進」女一人で踏破」中で、日本兵に時計や金品を奪われた…といった被害者の調書証言を「にわかには信じ難い」と(なんら具体的な根拠なしに)断じているが、同様な証言は「調書」のみならず法廷(マニラ法廷)での公判…

『[ブラック・セプテンバー]ミュンヘン・テロ事件の真実』(DVD)

監督:ケヴィン・マクドナルド ナレーション:マイケル・ダグラス 1999年、アメリカ スピルバーグの『ミュンヘン』が題材とした、1972年のミュンヘン・オリンピックにおけるイスラエル選手団人質事件についてのドキュメンタリー。概要はすでに町山智浩氏が紹…

加藤紘一議員、一夜明けて

テレビをザッピングしていたらたまたま生インタビューを受けているところが放映されていた。非常に落ちついた様子で、「家族のミスによる出火じゃないということがわかって、特に母親が安心したというところもある」「(犯人には)一命を取り留めて欲しい」…

秦郁彦、「論争史から観た南京虐殺事件」

『昭和史の謎を追う』(文春文庫)の上巻に所収(上・下2巻)。とある件(後述)で参照してみたくなって、「なんか持ってるような気がするなぁ…しかしこれだけ分厚い文庫上下巻ならもっと印象強いはずなのになぁ…」と不安を抱えつつ買った。多分二度買いは…

日中韓「国家観共同調査」

kmizusawaさん経由で 西日本新聞8月15日朝刊の記事を知る。 【ソウル14日原田正隆】日本、中国、韓国3カ国の青少年のうち、「戦争が起きたらどうするか」との質問に「率先して戦う」と回答した割合は日本が41.1%と最も高く、中国(14.4%)、韓…

『私は「蟻の兵隊」だった』*1

とりあえずさっと目を通しただけですが、映画を観たひとにとっても読むに値する一冊だと思います。奥村氏は早稲田専門学校(早稲田大学の夜学)の商科に在学中に徴兵され、帰国後復学(卒業はできず)したという、当時としてはまずまず高い学歴の持ち主で、…

1945年8月15日に終わらなかった戦争

降伏文書の調印は9月2日であるとか、ポツダム宣言の受諾を連合国側に通告したのは8月14日であった…というのはそれぞれ「8月15日」を考えるうえで重要な事柄ではあるが、ここではそういう意味ではない。『蟻の兵隊』*1は日本兵(特務団)山西省残留問題を追及…

公約に基づき私人として内閣総理大臣という肩書きつきで実行される心の問題

参拝それ自体もさることながら、過去5年間靖国参拝を巡って小泉が語りつづけたデタラメを、この社会のマジョリティが大目にみたことの方が問題かもしれない。 追記:すでに首相の行動様式が国民に影響を与えている、という報道が…(笑)

8月14日放送、NHKスペシャル、「日中は歴史にどう向き合えばいいのか」

お盆前後に、さんざん一時停止・巻き戻し・早送り…を繰り返したせいか、ビデオデッキの調子が悪くなってしまった。再生は問題なくできるのだが早送りと巻き戻しができない! 音から判断するにどっかのギアがいかれてるようで…。というわけで、途中から「巻き…

8月13日放送、NHKスペシャル、「日中戦争〜なぜ戦争は拡大したのか〜」

オープニングは盧溝橋。盧溝橋事件の日に遠足で盧溝橋を見学する中国の生徒たち。盧溝橋事件以前の、それこそ満州事変〜満州国建国をオミットするのは妥当か…という問題はあるが、いずれどこかで区切らねば放映可能な番組にはならないわけで、日中戦争の長期…

田中隆吉、『敗因を衝く 軍閥専横の実相』、中公文庫

前掲『東京裁判への道』の主役の一人、元第一軍参謀長、陸軍兵務局長たる田中隆吉少将による「真相暴露」もの。オリジナルは46年に出版されたが、「序」の日付は45年9月24日(!)となっており、また45年12月18日の『東京新聞』に「開戦前後の真相―敗北の序…

粟屋憲太郎、『東京裁判への道』(上・下)、講談社選書メチエ

1983年のシンポジウム「『東京裁判』国際シンポジウム」に参加して以来米国などで東京裁判関連資料の発掘にあたってきた著者が、1984年から『朝日ジャーナル』(!)に「東京裁判への道」というタイトルで連載していた原稿をもとに、その後発掘された新資料…

「日本だけがひどいことをしたのか?」論について

日本軍の戦争犯罪、日本の戦争責任を巡る議論で必ずと言ってよいほどでてくるのが、「日本(軍)だけが特別ひどいことをしたのか?」という問いである。これに対しては「いや、他国民ならともかく、日本人が連合国側の戦争犯罪や残虐行為によって日本軍の戦…

富坂聡、「中国が仕掛ける遊就館戦争」

連載「誰も書けない中国」の第6回。過去の連載は読んでいないが、今回の記事は他の記事とのタイミングぴったり。もっとも、とうてい「誰も書けない」内容だとは思えなかったが。 「遊就館戦争」を中国が仕掛けている…というのは、中国が各国の在日外交官に遊…

その他

保阪正康 vs 半藤一利、「対米戦争 破滅の選択はどこで」 「どこで」に関する半藤一利の意見は「ネタばれ」になるので触れない。まあ一つの考え方でしょう、とは思う。昭和天皇を免責しよう、という意図で二人は一致。 保阪正康 vs 伊藤桂一、「一兵士が見た…

半藤一利/秦郁彦/保阪正康、「徹底検証 昭和天皇「靖国メモ」未公開部分の核心

報道前に日経からメモを示され相談を受けていた二人が登場するだけに、「捏造」説等は一蹴されている。現物を見た半藤氏にとっては「捏造」説があること自体意外だったようだ。報道された部分だけでなく、「もっと全般を幅広く見て、そのうえで、信頼性の高…

保阪正康 vs 秦郁彦、「南京と原爆 戦争犯罪とは」

まだすべてを読み終わっていないので随時このエントリは追記することにするが、とりあえず保阪・秦対談の「南京と原爆 戦争犯罪とは」について。 さすがに保阪正康、秦郁彦の対談(しかも『正論』じゃなく『文藝春秋』)だけあって、おおむね安心して読むこ…