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Apes! Not Monkeys! はてな別館

2017-06-05

[]NNNドキュメント'17「戦争のはじまり 重慶爆撃は何を招いたか」

さる5月21日深夜に放送されたNNNドキュメント'17「戦争のはじまり 重慶爆撃は何を招いたか」。一昨年の「南京事件 兵士たちの遺言」と同じく、放送時間が通常の約倍の拡大版。違うのは、今回は事前に番宣がなされたこと。やはり「南京事件 兵士たちの遺言」の好評が放送局に勇気を与えたということだろうか。

否定派のおかげでともかく話題になることは多い南京事件に比べ、日本社会の関心も低い重慶爆撃をとりあげることには、また別種の困難があったに違いない。空襲に関しては被害体験が広く共有されてきたことも、そうした困難の一つに挙げることができよう。重慶爆撃研究の先駆者である前田哲男氏へのリスペクトがあったところもよかった。

他方、「南京事件 兵士たちの遺言」と同じく気になるところもないではない。“日本軍の公文書による裏づけ”を前面に出している点だ。世間的にはむしろ好評を博した理由であるし、戦争犯罪の取材/研究における基本的な手続きの一つではある。しかし「敗戦後の文書隠滅で失われてしまった証拠」や「そもそも公文書というかたちで証拠の残りにくい犯罪類型」への想像力を喚起する工夫がもう少しあってもよかったのではないか。さもなくば「ほら、NNNドキュメントではちゃんと文書で裏付けをとってたのに、○○では……」という認識を招き、歴史修正主義を利してしまいかねないのがいまの日本の現状だからだ。


なお、掲示板で Teru さんが指摘(5月24日)されているように、ハル・ノート=最後通告のような紹介をしていた部分はちょっと不用意だったと思います。

2015-10-04

[][]NNN ドキュメントほか

本日深夜(5日未明)1時10分から日テレ系列で放送される NNN ドキュメント '15 で小野賢二さんの調査活動が紹介されます。「ネットでの告知は当日になってからにしてくれ」と言われていたのですが、おそらくそれと同じ趣旨でしょう、現時点で番組公式サイトにはまだ情報があがっていません。みなさまには「わかる人が見ればわかる」ようなかたちでご紹介いただければありがたく存じます。

また、私は見逃してしまった番組の再放送が来週の日曜日にあります。

  • BS JAPAN 戦後70周年特別番組「発掘! 戦場の叫び〜元兵士1500人が伝えたい真実〜」

http://www.bs-j.co.jp/senjyou/

2015-08-07

[]「ピースナイター2015」は「誤解」を広めるか?

ユニフォームの片袖には今年度、原爆死没者名簿に記載される人数を当日刻印し着用します。

リンク先で「写真は2014年8月6日時点での人数です」とのキャプション付きで掲示されている写真からは「292325」という数字を読みとることができます。

広島市の原爆死没者名簿に記載されるための資格は「広島に投下された原子爆弾により死没した方やその後に死没した方(被爆者健康手帳の有無、国籍は問いません。)」とされており、原爆と死亡との因果関係について証明がなされていることは要件となっていません(被爆者健康手帳を持っていない場合でも)。その結果、日本で一般に広島原爆による犠牲者数として用いられることの多い「14万人」の倍以上の方が名簿に記載されることとなっています。

「追悼」の文脈においては、このように犠牲者の範囲を最大限広げて考えることは全く妥当だと私は思います。しかし「20万人の慰安婦」とか「南京虐殺の犠牲者30万人」といった表現にクレームをつける連中は、原爆死没者名簿の人数を看過できないはずです。

2015-03-10

[]「仮埋葬」が物語る大量殺戮の本質

(……)

 東京大空襲では一晩で約10万人が亡くなったとされる。都は空襲による死者数を約2万人と予想。一方、都の火葬場の能力は1日500体に過ぎず、棺(ひつぎ)は1万人分しかなかった。身元を確かめた上での火葬は不可能で、埋葬場所も足りず、公園や寺院が仮の埋葬地となった。軍や警察に加え、受刑者や星野さんのような少年もかり出された。

(……)

 都が1953年に作った「東京都戦災誌」には、死者数として「10万」の数字がある。しかし、都が遺族からの申告でつくる「東京空襲犠牲者名簿」の登録人数は8万324人しかいない。名簿作りは99年に始まり、翌年には6万8072人分が集まった。一方、遺族の高齢化などから新たな登録人数は減少。昨年申請を受け付け、今年新たに登録された人は、初めて1年間で200人を切った。

 約2万人分の氏名がわからない要因の一つが、身元確認の不十分なまま行われた仮埋葬とみられる。戦災誌には「いつ迄(まで)も路上においておくことは当時の都民の士気にも関係することであったし、早急に人目にふれぬ処へ運んで了(しま)うことが必要であった」とある。

(……)

南京事件の場合も、埋葬記録から犠牲者数を推定する際の問題点の一つとして、仮埋葬してから改葬された場合には二重に数えられている可能性があること、が指摘されています。なにぶん被害を記録する目的で作成された文書ではないからです。被害の規模を正確に推し量ることすら困難にするのが、大量殺戮の本質の一部だと言えましょう。

省略した箇所で語られている、仮埋葬時の遺体の扱い方もなかなか衝撃的です。丁寧に扱っていたのでは作業がはかどらないということでしょうが、大量殺戮はこういうかたちでも人間の尊厳を奪うのだ、ということがわかります。

2015-02-05

[]BS1スペシャル「憎しみとゆるし〜マニラ市街戦 その後〜」、地上波で再放送

昨年8月にBS1で放送された「憎しみとゆるし〜マニラ市街戦 その後〜」が NHK 総合で再放送されます。2015年2月8日(7日深夜)の午前0:50〜午前1:40です。しかしこれ、どうせなら07年に放送された「マニラ市街戦〜死者12万焦土への1ヶ月〜」とセットで放送すればいいのに。なお「マニラ市街戦〜死者12万焦土への1ヶ月〜」は DVD が発売されているみたいです。