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Apes! Not Monkeys! はてな別館

2018-06-08

[]私人の犯罪に憤激する前に己の歴史修正主義を恥じたらどうだ?

酷い、酷すぎる!人として許せない。怖かっただろうに。痛かっただろうに。幼児は親無しには生きられない。一番頼りになる存在の親に殺されるなんて。小さい子供が犠牲になる事件のニュースは本当に辛くて耐えられない。

https://twitter.com/miosugita/status/1004298683721142272

クズ親!ほんと許せない!!


食事与えず放置、容疑で父母を逮捕 東京・目黒の女児虐待死 - 産経ニュース

https://twitter.com/MR_DIECOCK/status/1004295505571078144

いずれも引用にあたってニュースへのリンク部分を省略していますが、お察しの通り目黒区で起きた幼児虐待致死事件に対する反応です。

私がネットの歴史修正主義に注目するようになった理由の一つは、旧日本軍の戦争犯罪を否認するネット右翼の大半が、私人の刑事犯罪については厳罰主義的である、というのが解せなかったからなのですが、この2人もまさにその典型ですね。

いうまでもなくアジア・太平洋戦争ではこの事件に匹敵するような残虐行為が数え切れないほど行われてきたわけです。それを否認する「歴史戦」の旗を振っているこの2人に、両親を非難する資格なんてありません。


それとはちょっと話が違いますが。

「オウム事件真相究明の会」の方々は、本当に歴史を知らない(と思いたい。知っているなら悪質な確信犯)。地下鉄サリン事件って約23年位前で、そこから延々と裁判をやっているのに、その経緯を無視して物を言われてもねえ。ホロコーストはなかったーとか無邪気に信じている人と同じレベル。

https://twitter.com/otakulawyer/status/1003946070781464576

これは6月5日のツイートですが、8日にも同じ内容のツイートをしています。上と同じく、引用にあたって他のツイートへのリンクを省略。

さて「オウム事件真相究明の会」が「地下鉄サリン事件はなかった」と主張しているという事実は管見の限りではありませんので、一体いかなる意味でホロコースト否定論と「同じレベル」なのか理解不能です。そもそもホロコースト否定論者が「無邪気」だというのも間違いですね。反ユダヤ主義抜きのホロコースト否定論なんて存在しませんから。

そもそもこのひと、「慰安婦」問題についてこんなツイートをしているわけで、歴史修正主義に対してはずいぶんと“理解”がありそうなんですけどね。

国から果てしなく被害者、加害者という関係でのマウンティングを続けられれば疑問と憤りを持つのは当然ですし、最終的かつ不可逆的な解決の合意を反故にされたことに対し、不信と怒りの声が上がるのも当然です。

https://twitter.com/otakulawyer/status/969465744848175104

刑務所、拘置所、入管など日本の強制収容施設における医療ネグレクトは極めて深刻な状態にあり、また「死」のみが刑罰であるはずの死刑囚に対する合理性を欠く接見制限も日本の刑事司法が抱える重大な問題の一つです。これらが地下鉄サリン事件の真相解明にとって障害となっている……というのは、少なくとも可能性としてはありうることではないでしょうか。

2018-04-30

[]「ソンミですよ、ソンミ」

毎日新聞の連載「平和をたずねて」の4月24日(火)朝刊掲載分「反復された戦争(67) 報復焼き打ち 無法の連鎖」にて、以前に当ブログでとりあげたことのある『シベリア出征日記』が引用されています。私が紹介したのは1919年2月13日の日記でしたが、記事では3月3日、4日の日記が紹介されています。

また、作家高橋治の『派兵 第三部』(朝日新聞社、1976年)から、第12師団歩兵第14連隊の元兵士の証言を含む一節が引用されています。

 「ソンミですよ、ソンミ。南京大虐殺ほど大規模でなかったようだが、ま、ソンミそのものといえるでしょうな」

2018-04-17

[]731部隊隊員の名簿公開

 ペストを投与した人体実験の疑いがある論文の検証を要請している「満州第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」(京都市中京区)が14日、京都大で記者会見し、国立公文書館から関東軍防疫給水部・731部隊「留守名簿」の開示を受けたと発表した。

(後略)

開示したことを評価すべきなのか、政府が進んで公開してこなかったことを指弾すべきなのか……。はっきりしているのは、この社会はアジア・太平洋戦争をきちんと振り返るために必要な、現存する資料すらきちんと公開できていなかった、ということですね。「いつまで昔の話をしてるんだ」どころか、いまだスタート地点にすらたどり着いていないわけです。

京都新聞が731部隊をとりあげた連載についてはこちらを。またゆうさんの「南京事件 小さな資料集」改め「南京事件−日中戦争 小さな資料集」第四部には2016年から17年にかけて731部隊についての多数の考察がアップされています。遅ればせながらご紹介まで。

2018-01-22

[]京都新聞が京大医学部の責任を問う連載

京都新聞が京大医学部の戦争協力、植民地支配協力に関する連載を行っており、731部隊についても触れています。

・第1回 京大の被爆者標本、どこへ <持ち去られた被爆者資料>

・第2回 「戦利品同様」と米論文 <持ち去られた被爆者資料>

・第3回 米軍、半数以上持ち去りか <見つかった被爆者資料>

・第4回 遺体の声、治療に生かせず <見つかった被爆者資料>

・第5回 金沢と京都を結ぶ線 <元731部隊 調書を読み解く>

・第6回 人為的感染、あったのか <元731部隊 調書を読み解く>

・第7回 特殊実験「サル」が頭痛? <731部隊軍医の博士論文>

・第8回 「軍機」医学、歴史の闇に <731部隊軍医の博士論文>

・第9回 アイヌ遺骨、答えぬ理由は <医の倫理根源 京大の収集>

・第10回 遺骨87体未返還、尊厳無視 <医の倫理根源 京大の収集>

・第11回 遺骨返還の風、京大拒否 <標本にされた「祖先」>

・第12回 「学問のため」帝国と同化 <京大が持ち去った人骨>


また産学共同研究を扱った連載でも731部隊の研究への言及がありました。

防衛資金、大学に食指 軍学共同の道(1)

揺らぐ70年前の教訓 軍学共同の道(2)

軍事研究、前のめりだった京都帝国大 軍学共同の道(3)

軍部への協力振り返る「鳥養資料」 軍学共同の道(4)

米軍マネー流入、にじむ後ろめたさ  軍学共同の道(5)

続く米軍資金「経済的徴兵」 軍学共同の道(6)

2017-06-05

[]NNNドキュメント'17「戦争のはじまり 重慶爆撃は何を招いたか」

さる5月21日深夜に放送されたNNNドキュメント'17「戦争のはじまり 重慶爆撃は何を招いたか」。一昨年の「南京事件 兵士たちの遺言」と同じく、放送時間が通常の約倍の拡大版。違うのは、今回は事前に番宣がなされたこと。やはり「南京事件 兵士たちの遺言」の好評が放送局に勇気を与えたということだろうか。

否定派のおかげでともかく話題になることは多い南京事件に比べ、日本社会の関心も低い重慶爆撃をとりあげることには、また別種の困難があったに違いない。空襲に関しては被害体験が広く共有されてきたことも、そうした困難の一つに挙げることができよう。重慶爆撃研究の先駆者である前田哲男氏へのリスペクトがあったところもよかった。

他方、「南京事件 兵士たちの遺言」と同じく気になるところもないではない。“日本軍の公文書による裏づけ”を前面に出している点だ。世間的にはむしろ好評を博した理由であるし、戦争犯罪の取材/研究における基本的な手続きの一つではある。しかし「敗戦後の文書隠滅で失われてしまった証拠」や「そもそも公文書というかたちで証拠の残りにくい犯罪類型」への想像力を喚起する工夫がもう少しあってもよかったのではないか。さもなくば「ほら、NNNドキュメントではちゃんと文書で裏付けをとってたのに、○○では……」という認識を招き、歴史修正主義を利してしまいかねないのがいまの日本の現状だからだ。


なお、掲示板で Teru さんが指摘(5月24日)されているように、ハル・ノート=最後通告のような紹介をしていた部分はちょっと不用意だったと思います。