私はなぜ、矢野顕子のアルバム未所有なのか
矢野顕子 ごはんができたよ (アルバム)
矢野顕子 オーエスオーエス (アルバム)
これら矢野顕子さん関連の記事を読んで、自分はなんで彼女のアルバム持っていないのだろうと考えた。もちろん80年前後の全盛期のころの物は貸レコードで済ませているためいま再生出来る音源がないということもあるのですが、それにしても他のナイアガラ(これは別格ですが)やティン・パン系の方々アルバムよりも少ないかも。彼女の曲あまり好きでないのかといえば、むしろ逆。なにか機会があるときに聴くたびに引きこまれてしまいます。
そこで、バイブルになりつつあるCMソング本*1の彼女章を読み返してみました。
まずは、単純なメモとして彼女の大森昭男さんとのCMワークの代表作めもを列記
- 1978
- 丸井「ひな人形」「学習机」
- 1979
- 1980
- 1981
- 西武スペシャル「ジャパンスタイル・水」
- 西武「おいしい生活」コピー:糸井重里
- 1982
- 西武「おいしい生活。」Part2. コピー:糸井重里
- 西武の御歳暮とX'mas'82
- 1983
- 資生堂アクネ「ニキビが咲いた」
- SONYダイナミクロン「苺」
- ハナマルキ「新日本人」
- 朝日新聞「同じ朝日を読んでも」コピー:糸井重里
- 1984
- 資生堂ELIXIR '84
- ハナマルキ サウンドロゴ
- サントリーエード コアラCMグラスプレゼント
- TOYOYA 企業CM「ジオラマ」
- 1985
- SONY ダイナミクロン「花少女」
- 1986
- 浅草ROX「梅春」
- 1987
- 味の素「おいしさは、いりませんか」
糸井さんとのコンビの作品が、やはり非常に印象的ですね。なかでも「不思議大好き」からその直後のコーセー化粧品の「春咲小紅」(大森さんのワークではない)での糸井さんとのコンビは完全な物になった感じですね。その後、彼女自身最高傑作とする「自転車にのって」と続いてゆくのでした。
- 不思議、大好き。
彼女はこう言う。「変な曲だったんですよね(笑)。あれが西武の全館で繰り返し流れていましたからね。従業員のみなさんはきっと嫌だったんじゃないかと思ってるんですけど(笑)。確かに不思議なCMでしたよね。そういうものを許してくれたんですね、西武は。太っ腹でした」
ここで視聴出来ます。不思議、大好き。 - ほぼ日刊イトイ新聞
- 東京〜面影 8 of 15 「自転車でおいで」
たしかにこの曲いいですね。コーラスは佐野元春さん。上記リスト中の浅草ROX「梅春」イメージソングでもありました。NHKのフィラー「映像散歩」のシリーズこの動画いいですね。
アッコちゃんは実は、名実ともに元祖不思議ちゃんだったかもしれません。この本で大森さんが次のような彼女の天才を感じさせるエピソードをいくつか紹介しているのですがそのなかのひとつを紹介しましよう。
ちいちゃい時からそうだったらしいんですよ、私。小学校の時の通信簿が出てきたことがあったんですけど、小学校1年の時の先生がとてもいい人だったんです。その先生が、但し書きのところで『顕子ちゃんは、今日はとてもご機嫌よろしくて』みたいなことを書いているんです。どういうことかと言うと、天気が良いと、机ごと窓の側の陽に当たる所に移動してずっとそこにいるんだって。『鈴木顕子さん、どうしたんですか』って聞かれると『気分がいいから』って(笑)。そうしたら先生が『良かったわね』ってそのままにしておいてくれて。そういうことがしょっちゅうあったらしいですよ。いまだったら絶対に行動障害とか言われると思うんですけど、それを許してくれた。だから、スタジオでそういうことがあっても、それは不敬な態度とかじゃなくて、多分、自分の世界に入っていたのかな。話を聞きながら、きっとアレンジしていたんですよ。
その後のジャズからの始まりや、出前コンサートに代表されるように、アルバムなどのように固定の作品に縛られることのない自由な即興性に魅力があるような気がしてきました、だから、アルバムを持っていなくても彼女自身がアートである事を感じればいいなかのなどと思ったり。でもそれには最低限ライブに行かねばいけませんね。直に彼女の才能を体験したらさぞすごいことでしょう。
*1:みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ‐POP