⑤鉄細工

このいくつかのパビリオンを際立たせるのは、何といっても入口門につながれた龍である。当時グエイが開いたマヌエル・ジ口 ーナ通りからこの別邸へ向かうとき、真正面に口を開いて待ちかまえているのである。龍はカタルーニャの伝説に生きる動物で、ガウディがそのテーマとして繰り返し使ったものであるが,そのダイナミックな動きは鎮を引きちぎって訪問者を吞み込まんばかりに迫っている。
門扉は市販のT字型、L字型鋼を軸にして組み立てられ、身体はメタル・ラスであるというように、既存材枓に新たな意味あいを持たせるというダダイズム的手法のさきがけであり、龍の鉄細工をみればアール・ヌーヴォーの形態的さきがけであろう。