摩訶不思議なデザインの登場

例えば住居の玄関ドアに付けられた覗き穴を塞ぐ金具やノブのデザイン、また様々な家具のデザインである。ふたつの小さな金具には正面入口のノッカーの世間体にも比べてガウディの本来のエゴが、奔放性がはっきりと表出している。カルベ兄弟自らの証言によれば、それらは生乾きの石膏に指をおもむろに突っ込んでできたものであるというが,その変な形にかかわらず、またこれ以上人間工学的に完璧形態というものもないはずである。同じようにカサ,カルベのためにデザインしたいくつかのいすは、そのあまりに表情豊かな形態に座り心地を疑いたくなるが、実のところこれまた生乾きの石膏の上にガウディが座ったものを型取りしたかと思われるほど座り心地のよいいすなのである。実際グエイ公園のベンチではこの方法がとられた。家具は椅子のほか一階の事務所に多くの取り付け家具をデザインしているが、どれも機能性には優れているとはいえ、純然たる実用主義作品であるのは、ガウディの世間体のつくろいなのであろうか。ともかく確固たる社会的地位を得ているころのガウディ、しかも若いころ望んだ『金持ちになり、仕事を愛すること』をある程度達成しているガウディである。

ここにもあります
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