鐘塔の鐘

サグラダ・ファミリア教会の塔下部は周囲を螺旋階段としているが、その中央部を中空とする二重構造である。ガウディはここの内部に鐘を吊り下げることを計画していた。鐘の研究がそこで行われ、まずは技術的な研究書を探し求め国外の図書館へ照会したが、いくつかの詩的な書物が見つかっただけで、初源的な研究から始めざるを得なかったという。ガウディは結果的に鐘の起源をギリシアのブロンズ製のクラテラあるいは壺の製造過程で、ろうの鋳型を槌でこわすときに出る快い音であると結論つけたといわれる。ギリシアの伝統がよく保存されていたラ・カンパーニァ地方、ボンペイで最初に鐘が作られたと解釈していた。こうしてガウディは最初やはりパラボロイドの鐘を研究していたのであるが、音響効果的には简状の方が優れているということがその実験から分かり、三つのグループに分けた筒状の鐘の設置を考えていた。そのうち二つのグループが電動で、鍵盤を槌と圧搾空気で打つように計画された。
この鐘を水平に音を散らすことなく、下方の人家へと伝えるために鐘塔はその設置されうるべき部分に垂直の構造体を連結するように、小さな水平材が下方に向けられてつけられ、鱗のように並べられているのである。

鐘塔内部(御光栄の門)

音を下にむけるためのルーバー 御光栄の門の鐘塔 ご誕生の門は円形プランですが、こちらは楕円形になっている

2111年11月27日撮影