2012-04-01
2011-07-03
【MEMO】識者の復興ビジョン案〜国民は何をなすべきか?〜―復興本部始動
日本の政治 |
復興構想会議の提言は世間で一顧だにされていない一方、ようやく東日本大震災復興対策本部が始動した。全くもって遅すぎるが、震災からの復興にビジョンが必要なことは論を待たないので、「叡知」「賢者」*1のビジョンに耳を傾けることは意義があるのではないだろうか。本稿では、それらを展開したい。ただし、経済政策面のそれ*2は、稿を改めることにする。
・技術力(複数の技術×運用ノウハウ=システム/インフラ)を高める
・遠隔診療をはじめとする規制緩和
・TPPへの参加*4
わが国は、優れた人々や資質を統合する力がない。
「第三の敗戦」をばねに、新しい発想と仕組みを持った日本を創造すべき
電気のない土地に民主主義はなく、そこでは族長支配の形態が取られている。
個人としては、常日頃、極限の苦難に耐え続けねばならない運命もあること…が自由と希望を個人の心に取り戻す
津波は、「言葉を失う」経験をしてみごとに立ち直ってきた人たちの気概と知性とはせ反対の貧しい本性(「精神の瓦礫」)を浮き彫りにした。
日本人のリスクは、日本人。東京に寄り集まって、本社にしがみついていないと出世できない会社や組織はつぶれてしまえばいい。始終顔を突き合わせて、同質化圧力をかけ合っているから、良い知恵が出ない。*7
能力が高まる可能性のある人をつぶしていく。こういった人材の「逆育成」みたいなことを、この大惨事を磯に改めなければ、この国に未来はありません。*8
われわれは外国人や非難したり大使館が移転しても、冷静に状況を受け止め、冷静な対応をした。危機に直面したときに、事態の深刻さを十分認識しつつも「あたかも何事もなかったがごとく」行動する「雄々しさ」が日本人に備わっているから動じないのだ。日本の善(再発見された日本国家と日本民族の底力)によって、日本の悪を克服するしか復興の道はない。*9
統一地方選で、、民主党に「天罰」を/総理直率の「緊急災害対策本部」ではなく、自衛隊、警察、消防、海保を主軸とする「安全保障会議設置法」による官房長官式の国家安全保障体制を
児玉清(俳優)
自然へのいどみをのりこえようとするかまえもほどほどにしたほうがいい。山手の高台へうつりすむのは、たいへんかもしれません(けれど)
黒鉄ヒロシ(漫画家)
日本国を弓型の船と考えてはどうか。船上規範としての行動には『論語』を、精神には『平家物語』を持てば、この船は断じて沈まない。
私たちは今後、10年も20年もがんばり続けなければならないのは明らかだ。今だけ”最後の力”で突っ走っても、何の意味もないのだ。復興はゆっくりでいいでないか
震災後しばらくは復興特需があるだろうが、その出費を稼ぎ出すGDPが、もはや日本にはない。…東北地方の未来を語る資格は、私にはない。…次は東海地方だろうと思っていたら、思いもかけない東北の受難である。…私は沈黙以外に何もすることがない
経済最優先・科学万能という考え方(「パラダイム」)の転換をする、ちょうどよい「時」がきているように思う。…会社でも、教育現場でも、地域でも正しいことを憶することなく言い続けることができる人が排除されない社会につくり直すことによって、強くて、あたたかくて、やさしい国、ニッポンができるのではないか
復旧・復興は、個々の日本人がどういう新しい公共を築くか、ヴィジョンと倫理が試されている。政治家が信用できないなら、技術で、芸術で、あるいは平凡に見えるかもしれないそれぞれの持ち場で責任を負うことである。
原発の後処理や関係業務にはシニア層からボランティア・任期付き社員を大量募集すればよいのでは。シニア層よ、心意気を見せよう
出よ、平成の後藤新平、高橋是清、そうした人材を束ねリーダーシップを発揮する大器の宰相。後藤新平は、関東大震災時の内相、帝都復興院の総裁。高橋是清は、非常時に複数回蔵相を務めた。ばらまき財政の財源を災害対策に回わすなど、マニフェストを見直す好機
「こういう困難な状況でこそ連帯が大切だ。何よりも強い連帯が。心をひとつにうして、一日も早く元の状態に戻して欲しい。あなた方には、それができるのだから」
都市を単に復旧させ、旧制度を延命するのではなく、新しい型のアーキテクトによって、社会的な制度にまで及ぶ社会システム設計がなされねばならない
言語に絶する災厄を受け、家族や家や財産を失いながら、深い忍耐の心を保っていられる被災地の方方の思いの程は、極めて自然に日本文化のすぐれて良き伝統と通底しているはずだ。
ケイタイ、理屈で固めたカッコつきの「自由」よりも、頭の思い通りにはいかない裸の現場を大事にしたい
この先原発による発電をやめれば、我々は生活スタイルを根底から変えなければならない。そんな不自由と不快な生活を変える覚悟があるとは、あの騒動を見る限り感じられない。……感情的な方言だけが続き、やがて日常が戻って誰もが危機を忘れてしまう――そんな愚行だけは避けなければならない。……どん底から這い上がるまで考え抜く覚悟がなければ、我々にはもはや希望はない。*12,*13
平和国家日本の復興と未曾有の繁栄を導いた原動力は、国民の忍耐力と向上心に支えられた努力にほかならない。東日本大震災は日本の国民が一致結束して立ち向かうべき国難である。……被災地を復興し被災民と共に生きていくためにも、東京など他所の人間は、あれこれの不便と不自由を忍ぶ覚悟をしなくてはならない。*14
荒れすたれた外部にたいし、新しい内部の可能性をあなぐるいがいに生きのべるすべはあるまい。新たなる内部では、2011年3月11日のまえよりも、もっともっとひととことばの深みに関心をむけようとわたしは思う。しおさいと讖と兆しにもっと謙虚に耳をかたむけよう。
多くの外国からも支援の手が差し延べられ、敵対的でも迎合的でもない国際関係が成立している。まさに、今こそ、外国に卑屈に迎合する外的自己と、外国を軽侮する内的自己の葛藤を解決し、日本が諸外国との関係において日本自身の基準を確立する絶好のチャンスである。
齋藤孝(教育学者)
- 他を慮り、つながりを感じ行動する、温かみのある公的感覚の定着
- 学校を中心とした判断力養成
- 活字文化の復興と活性化
周りを支援するために自分を犠牲にする気風、将来を展望し社会や国家のために努力を惜しまない堅実で意欲的な国民性がよみがえってきている。これこそ経済社会を発展させる根本的な要因になる。先の敗戦に比べれば、はるかに高い水準からの再出発である。
被災者が負った精神的なショックや傷を治癒して、被災者の心が元通りに動くようにしていくことが、一番重要
経済的格差よりも労働時間の格差が重要になる消費産業化特有の問題状況を認識しないと、経済的な復興を急ぐあまりに労働時間は長いが、低賃金しか得られない人々にしわ寄せがいく可能性がある。被災地にも大勢いる、そのような人々の精神状態をさらに悪化させかねない。
今回の地震は、市場原理主義やグローバル主義や金融中心経済を吹き飛ばしてしまった。……自然の手の上で人が踊っているという、という方が正解なのである。人は畏怖すべきものの前にこうべをたれるほかない、という昔の人々が当然視していた観念をわれわれは少しは取り戻す必要があるということであろう。
北尾吉孝(SBIホールディングスCEO)
財政状況を鑑みて、現存する無駄を全て無くせ。
TPP問題については早急に前進させるべき課題であり、グローバリズムの世界の中で日本が生き残る唯一の方法
鹿島茂(フランス文学者)
「起こるべきこと」に対して備えうる唯一の方法は、「面倒くさいことは嫌いだ」のメンタリティーそれ自体をあらゆる分野において再考すること。原発廃止論も然り。
伊東四朗(喜劇役者)
あのー、国民の幸せを願って政治の世界にお入りになった皆さん、命をかけてくれていますか?……「国民の生活が第一」の前に「国民の安全が第一」であることが、今回でよーくお分かりになった……のか……な?
「今Rockがヤレルコト! 言葉よりアクション!!」
今回の大地震、大津波、原発事故は、…「想定」のレベルをよっぽど上げなければいけないことを教えてくれた。長期的視野に立って、今は苦しくても防災に思い切った規模で金と頭脳を投入するべきなんじゃないか。国土の安定がなければ、…真の幸福感(快楽ではなく落ち着き)をもたらすものではない。
「日本人よ 原点に戻って考えよ!」
古代日本人の土に生きた原点に思いを馳せながら、私たちの選択の道は、「謙虚さ」と「素朴な人間らしさ」をとり戻すことであり、「自然と人間が穏やかに共生共存できる社会」を目指すことである。……8000万人の日本人はこの島国で生存ができるのだ。
生き延びた人たちのコミュニティは、多くの場合、流されていない。……「つながり」という資産を失うことは、ときにせっかく生き延びた命を失うことでもあるということを、阪神大震災以降頻発している「孤独死」は教えている。……「集落単位での移転」同様の配慮が、被災者を受け入れる他県自治体においても最大限行われることを望みたい。
五里霧中の日本に、共通の目標になるのは、その雲の上にそびえる「富士山」のごときシンボルではないか。「富士山」から何を引き出せるのか。
(中略)
日本には「富士」を冠する「見立て富士」「ふるさと富士」が340もある。…富士山をシンボルとする新しい日本をめざし、地域力を高め、ポスト東京時代を拓くべき
日本人の基本的姿勢は歴史的変化をとげるだろう。
- 100%の安全などありえない、つまり絶対的価値観への恐怖
- 今この瞬間確かめている現実など実にあっさりと崩壊するのだとの恐怖
- 自然は美と残酷が表裏になっているとの恐怖
この三点の恐怖をとおして、合理的と称する判断、論理的発想の言、人智の限界を忘れた思考(「現代の文明」そのもの)を根本から問い直さなければならない。
震災孤児の心理的ケアは社会全体がはたさなければならない責務
原子力科学というのは、まさに悪魔の科学です。
日本はもう一度、太陽崇拝に戻るべき。それは、電力を太陽エネルギー中心に変えることでもあります。これまでに原発の研究に費やしてきた予算を回せば、10年後には実現可能。
もう一つ重要なことは、被災地で示された東北の方々の助け合いの精神を、日本復興の礎にしなければなりません。私はそこに日本の希望があると思い、ます。今の日本は無駄が多く、許沢のし放題です。経済成長率だけで幸せを測るのは問違っています。生活は今ほど便利じゃなくてもいい。私利私欲の国家ではなく、助け合いの精神、慈悲の精神のみなぎった国家にならなくてはならない*15
多様性(大手スーパーと個人商店の共存)で、小ぶりで小回りがきくビジネススタイル、分散(脱東京一極集中)という、これまでとは正反対の社会構造
で政治に求められることは、民間の足を引っ張らないこと。*16
澤上篤人(さわがみ投信代表)
そうした企業の株を「応援買い」するのです。企業が頑張っているとき、われわれも目先の採算度外視で企業の株を買い支える気概があっていい。原発のない世の中を子どもたちに残したいと思ったら、原発に代わる技術開発をしている企業を応援する。
「地球物理変動枠組み条約」のようなものを、日本が主導して作ってもよい。自然災害にどう対処するか、どう備えるか、基準を世界の決め事として定める。原発なら、それこそ千年に一度の大災害がさてもピタともしない安全基準を設け、それをクリアできなければ新設できないことにする。そして日本は条約に基づいて、エネルギー政策も都市の設計も一からつくり直す。つかの間の消費文明ではない、21世紀型の「自然適応文明」を目指す。街づくりでも、巨大地震や大津波が来ることを想定した防災設計を徹底する。
「安全・安心の街づくり」構想をに仙台「復興新生庁」で実現する。地域特性を重視し、トップは、関東大震災からの復興を担った後藤新平のような、実行力があって、人格的にも信頼できる人に、5年から10年くらいに期限を区切って、長く復興事業を担ってもらう。
ただ堤防をつくって、町並みを元に戻せばよいのではない。ただ以前の町並みを取り戻すのではなく、若い人たちが未来を感じて働けるような産業を創生することが求められる。
(首都圏直下型地震に備え)仮に東京を丸ごと移転させたところで、日本全国どこで大地震が起きるかわからない。分散させることが大事だ。たとえば、地盤が固く、日本列島の中で震災対応力が強いとされる栃木県の那頚地域に可能な限り首都機能を分散させ、副首都的な機能を持たせる。さらに環境に徹底的に配慮した、日本の21世紀にふさわしい環境保全型都市(「杜に沈む都」構想)の実験モデルとする。その都市を新しい日本の象徴にし、また東北復興の中核とする。そういう構想力があるかどうかが、いま問われている
竹中平蔵(元経済財政相)
私たちが今やるべきことは、復旧と復興、その後の日本の改革を一体化して進めることです。例えば、東北の農業を復興する際には、将来を見すえてTPPに対応した新しい形態を目指すべきです。被災した市町村を再建する場合も、どんなエコタウンを築くかといったことは、地元に権限を与えて決めさせ、完全に地方分権できるような強い自治体に生まれ変わらせる。復興庁を創設するなら仙台に本部を置き、岩手、宮城、福島の3県を道州制特区にすればいい。*17
菅首相は不徳を恥じ、即刻辞任すべき。
金融界のような、生き馬の目を抜く機烈な競争のある社会はこれからも続く。しかし、それと併存して、もう一つの世界、焼烈すぎる競争社会になじまない人や、そこからリタイアした人たちが構成する、のんびりとしておおらかで簡素な生活をする社会があってもいい。そうした二つの世界をつくることが、この国の再生につながっていく
今後、日本は「想定外」とどう向き合っていくかが問われる。起きたことへの対処だけではなく、その出来事を将来にどう取り入れ、どう生かすか。範を世界に示してほしい。
小池龍之介(僧侶)
現代人は、渇愛を満たすために快楽を受け取ることを生きる目標としてきた側面がありました。しかしこれでは幸せになれません。経済的合理性や、快感をひたすら追い求めるのでなく、これからは欲望の追求を抑えて一いく流れが強まるでしょう。情報中毒、言語中毒に踊らされるのではなく、もっと体を動かすとか丁寧に人間関係を築くとか、生きることに直結した、リアルな関係に心も体も向かうべきだと思います。
牧原出(政治学者)
福島でのさらに重大な事故、首都圏での巨大な余震、東海沖や首都直下型の地震の場合、政治のリーダーシップが必要。日本は昔から、誰かが強力な指導力を発揮するよりも、現場からの突き上げで物事を進めるという一面が色濃くあった。しかし、いまの日本の国内外の状況は、もうそれを許しません。
統一地方選挙なんかよりも、私は総選挙というものをやった方がいいと思う。戦後の焼け跡の中で、日本人は「新しい政治家を選びだす」ということをやったのだ。その結果が玉石混淆だったとしても、我々はもう一度、本当に日本の国のあり方を考え直すために、政治家を選び直すべきだと思う。そして、長い時間をかけて、政治家を育てて行くべきだと思う。*18
デビッド・サンガー(『ニューヨーク・タイムズ』ワシントン主任特派員)
大学、企業、ベンチャーキャピタルをまとめて立地するのに、仙台周辺の廃墟となった地域ほどの適地があるだろうか。史上最悪の天災にも耐え得る構造物を建造するための世界最高峰の研究センター、廃炉が確実となった福島第1原発を単なる思い出の品とできるようなエネルギー技術、また日本式コミュニティ構築を世界に広げるために最適なソーシャルワーク技術。津波にさらわれて生命を落とした犠牲者たちへの慰霊碑として、これらほどふさわしいものがあるだろうか。*20
立体緑園都市構想
(原子力発電所の問題で)専門家であればあるほど、将来の危険の可能性については明確には語らないし、われわれを安心させるための言説をデータを列挙して「科学的に」言えるわけがない。彼らは基本、科学の基本に向かって誠実であるべきで、そのとおりに行動しているのだから。…安心できる言葉を出せるのは、だから本物の政治家でしかない。
どうも政府の言っていることは信用できないし、東電の発表も隠蔽ばかりだし…」と考えるのが、ふつうのスタンスになっている時期があって、…多くの人がすごく焦っていたようだけど、世の中そんなに特権的にはできていない。そもそも正しい情報などどこにも存在しないし、それは基本的には「すべてを把握している人がいる」ということを想像して苦しんでるようなんだけど、あきらかに神の視点と混同していますね。……「お上は本来ちゃんとやってくれるもの」という幻想を持っていると、本当はきちんとした情報をつかんでいて、将来に対しての予測もしてるのに隠蔽してるのだ、という考えに至ってしまう。…その根拠は「向こうは政府(ないしは巨大な権力)だからそれぐらいの力を持ってるはず」というものでしかなく、…おまえは子供かとつっこみたくなる妄想からしか考えてないわけですよ。*26
◆ポスト菅で迅速な政策決定◆
行政組織を活用せよ
◆消費税率上げで財源確保◆
増収分を被災地に集中投下
◆暮らしの再建が最優先だ◆
特区で雇用作り出せ
◆放射能に苦しむ福島を救え◆
計画的な除染で人々に安心を
◆電力危機を直視すべきだ◆
国の責任で原発再開せよ
で、「手前はどういうビジョンを『評論家気取り』で見せてくれるのか?」ということについては、稿と機会を改めることにいたします。
*1:これらの方々が”叡知”・”賢者”かどうかは置いておきましょう…。発言者名のリンク先は、追記分を除き全てウィキペディア。
*2:たとえば、筆者作成の書籍リスト『震災復興ビジョンのヒント』を参照。
*3:
日本復興計画 Japan;The Road to Recovery
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*4:震災に負けない「日本経済復興プロジェクト」日本経団連会長 米倉弘昌,文藝春秋2011年5月特別号
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*5:緊急寄稿 われらは何をなすべきか 【叡知結集41人】,文藝春秋2011年5月特別号
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*6:ibid.以下,特記ない限り同様.
*7:緊急寄稿 われらは何をなすべきか 【叡知結集41人】,文藝春秋2011年5月特別号
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*8:『わが日本復興計画―いまそこにある 「災後」』週刊朝日 2011年5月6-13日合併号
*9:3に同じ。
*10:ibid.
*11:「JFAこころのプロジェクト」とは、新旧サッカー選手が”夢先生”となって挫折をどう乗り越えたかなど自らの経験談を話し、子どもたちと夢を語り合う。(記事本文より)
*12:緊急寄稿 われらは何をなすべきか 【叡知結集41人】,文藝春秋2011年5月特別号
*13:
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*14:ibid.
*15:『わが日本復興計画―いまそこにある 「災後」』週刊朝日 2011年5月6-13日合併号
*16:ibid.
*17:『続・わが日本復興計画―いまそこにある 「災後」』週刊朝日 2011年5月20日号
*18:
*19:
- 作者: マッキンゼー・アンド・カンパニー
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*20:ibid.
*21:ibid.
*23:『被災地の復興では新たなまちの「創造」を―なし崩しに「原状回復」を目指せば、ゴーストタウンと化す』越山健治、日経ビジネスオンライン@2011年10月3日※リンク先の閲覧は、日経ビジネスオンラインへの会員登録が必要です。
*25:『陸前高田の「ダシ醤油」を世界へ―地元の事業者、起業家を対象にした「経営相談会」』渡邉美樹、日経ビジネスオンライン@2012年1月16日※リンク先の閲覧は、日経ビジネスオンラインへの会員登録が必要です。
*26:
- 作者: 堀井憲一郎
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2011-03-20
サイエンス・リテラシーの低さが、情報錯綜の要因―福島原発事故
メディア |
今回の原発トラブル自体は、メカニズム自体はかなり単純な設計ミス(バックアップ電源落ちを想定しなかったc.f.東電の地震対策)が原因*1で、原発固有の問題でもなければ、福知山線脱線事故のような複雑な組織事故*2でもない(その意味では、人災である)。だが、情報流通の混沌ぶりを読み解くと、サイエンス・リテラシーが極めて低いという日本の病理が浮かび上がる。本稿ではそれを分析したい。
■専門家って誰だ?
今回のトラブルを理解するために必要な専門分野を整理すると、以下のようになる。電波・通信問わず、当該領域の専門家・研究者に限定したほうが、情報の真偽や見解の妥当性を考える上で無難だと思うからだ。報道に触れる時は、その”専門家”が何の専門家で、どの問題点について発言しているかを、注意しなければならない。「信頼できる知人の見解です」と”識者”に言われても、第三者にはその言明の正しさについて判断のしようがない。
・原子炉工学(用途:発生事象の把握)
放射線医学は、東大病院放射線治療チームが随時提供している情報解釈が、脱稿時点で最も頼りになると思う。
応用工学(原子炉工学)の理解には、その技術を支える理論物理学(原子物理学)の理解が必須である。Ben Monrealカリフォルニア大教授の講演「福島原発での放射能を理解する」の公式邦訳が、脱稿時点で最も頼りになる*3。応用工学そのものについては、専門家の解説は見られるが、「御用学者」問題が発生しており、十分な判断材料に乏しい。次段落で議論する。危機管理論で体系的にまとまった記事は皆無に等しい。筆者は当該分野の学識経験が一応あるので、本稿で盛り込んでいきたい。最後の行政学については、要は政府発表が信用できるかどうかということである。次節で議論する。
原子炉工学の研究者はテレビ出演に総動員されている。見ればわかるが、キャスターとの問答であり、言いたいことを網羅的に言えるわけではいから、面映ゆい歯痒い思いをしているだろう。これを「御用学者」として批判してしまうと、意見を述べられる専門家は誰もいないことになってしまう。産学連携という、工学の常識事項を知らないのか?とりわけ、発電所という国家プロジェクト相当の大規模な研究対象なら、外部資金(=東電から資金援助を得ること)なしの実用研究など不可能である。
社会学者の宮台真司は、原発肯定者と原発批判者、という二項対立で議論している。「御用学者」を「原発肯定者」と読んでいる時点で、イデオロギー闘争の土壌に載っていることになる。この“原発批判者”である「元設計者で原子炉メーカー東芝の元原発技術者」後藤政志氏の政治的スタンスがどうあれ、このNPOが手掛ける脱原発活動は、いうまでもなく反核運動と反戦運動、即ち左翼運動に関連する*4。フリージャーナリストの上杉隆や岩上安身は「記者会見を記者クラブ以外にもオープンにすること」を主張している。それ自体は正論だろうが、電凸かなって開放された官房長官記者会見*5で上杉が質問したことは、「避難範囲ついて外国との違い」*6(これについては次々節で触れる)、岩上が質問したことは、この機に乗じて社民党が主張している「浜岡原発の停止」*7だという。零細政党の社民党をわざわざ引き合いに出すということは、イデオロギー闘争のお先棒を担いでいる自覚があることになる。「記者クラブのオープン化」は有益な報道という目的のための手段であるはずだが、成果がこれでは、官邸の負担を増やしただけになる。それが何をもたらしかは、本稿の最後に議論したい。
「日本政府は事実を隠蔽、過小評価(読売)」という海外の反応を鵜呑みにする前に、各国の公式見解を見ましょう。(和訳およびカッコ内注釈は筆者。以下同じ)
The most recent advice from the UK’s Chief Scientific Adviser remains that for those outside the exclusion zone set up by the Japanese authorities there is currently no real human health issue that people should be concerned about.
(英国主席科学顧問の最新勧告によれば、日本当局が設定した避難区域外にいる人については、心配に及ぶ健康問題はない)
our experts are in agreement with the response and measures taken by Japanese technicians, including their recommended 20 km radius for evacuation and additional shelter-in-place recommendations out to 30 km.
(我々米国の専門家達は、20キロ圏内の避難指示と30キロ圏内の屋内退避指示を含めて、日本の技術者が行った対応と測定に賛同する。)
the Australian Radiation Protection and Nuclear Safety Agency (ARPANSA) reports that, although unlikely, there is a small chance of exposure to radiation, at very low levels, for people who were in the Fukushima area
(オーストラリア保健省放射能保護核安全局の報告によれば、不確実性はあるが、非常に低い放射線が観測された、福島地域の住民が被ばくする可能性は小さい)
I know that all of us stand by them (= the Japanese authorities) in their efforts to deal with this crisis. The IAEA will continue to play its part.
(我々は皆、日本当局の危機に対処する努力に関して、彼らを支持しています。IAEAは彼らの努力の一端を担い続けます。)
「日本のメディアは信用できない」方々、気が済みましたか?政府発表の内容と質は、現時点ではそれなりに信用してよいのではないでしょうか?
■This is a very different situation from Chernobyl
このAERA最新号に限らず、TVキャスターも、ふた言目にはチェルノブイリ級の事故になる可能性は?と口にする。
チェルノブイリとは原子炉のタイプも構造も違う、事故発生の初期条件が根本的に異なる*8等、さんざん反駁しても「科学技術面からだけで判断している」と議論をすり替える。事態の推移シナリオを描くには、最低限の当該技術領域に関する知識が必須である。今回のトラブルでは、原子炉工学がそれに相当する。上杉隆は「危機管理の基本は、考えられる最悪の事態を極小化」と方々でのたまっているが、その意味を理解しているのだろうか?例えば、「日本は避難距離が足りない、人命にかかわる!」という。日本とアメリカでは国土条件が違う。さしあたり一刻を争う事態でもないのに、いきなり大陸レベルの対策をしたらどうなるか。おそらく避難経路はパンクし、結果現状以上に避難が遅れるだろう。避難範囲を段階的に引き延ばした政府の対応は正しい。また「原発技術についてのクロウトも必要だが、行政官僚の習性についてのクロウトも必要」と述べる宮台は「燃料棒を今後数ヶ月〜数年も冷やし続けられると思うか?」と述べているが、そもそも原子炉は何十年も冷却水を回して冷やし続けなければならない仕組みである。放射性廃棄物の管理は100年以上の単位であり、その処理は遠い将来の世代に任せている。放水や消防車の燃料を賄えないほど水不足・資源枯渇ならともかく、そうではないのだから、今回の対応は年単位で行わなければならない。できることなのだから、年単位のスケジューリングが必要でも、実行しなければならない。
チェルノブイリ級という言葉は、単に「大量の放射線が拡散する事態」程度のニュアンスなのだろう。起こりうるシナリオの予測には全く役に立たない。政府・東電の危機認識を問う以上の意味はない。「スリーマイルより重大」というのは、「絶望的な破局に向かう」「大変なことになる」というアバウトな説明を数字に置き換えて満足しているケースがほとんどだと思われる。
■工学音痴
「考えられる最悪の事態を極小化」とは何か?思いつく事態の中から最悪そうなものを選び、そのシナリオ対応をすること、ではない。現状から展開しうる複数のシナリオを想定し、そのシナリオごとに対策を立てることである*9。一般的には社会厚生(期待効用関数)の最大化だが、このような重大事故の場合は、弱い立場のステークホルダーを見殺しにしかねないので、しばしば被害のマクシミン(最も弱い立場の損害を最小にすること=利益を最大化すること)を取る。いずれにしても、この利益とは何か?具体的には、効用関数のパラメータは何か?最大値を計算するために、その複数パラメータのうちどれを選ぶか、それはシナリオごとに分かれる。現状以上の悪化がなければ、漏洩放射線量の最小化になる。万万が一首都圏にまで影響が及ぶなら、飛散放射線量がパラメータになり、これをパラメータにした社会的効用関数のマクシミンを計算することになる。本当の最悪シナリオであるフルメルトダウン(核分裂が暴走した状態で、燃料棒融解が5重の防御壁を全て突き破り、致死量の放射性物質が拡散する場合)では、立入禁止区域範囲が最小化対象のパラメータになるだろう。上記の議論が全く理解できないようでは、「考えられる最悪の事態を極小化すべき」なんて台詞を吐く資格はない。
「全てを想定することは不可能だが、想定外のことが時々起こることを前提に設計すべき」という宮台も、“安全率”の概念を知らないのだろう。信頼性工学の基本概念である。これは、“想定外”の事態や、後日に設計の立脚する学術理論自体の誤りが判明するケースに備え、理論許容値の7掛けなどで実際許容値を設定するものである。官房長官のいう「想定内」が、安全率の範囲に収まっているのか、そうではないが理論許容値よりは低いのかは、分からない。そういうことを「フリー」のジャーナリストには訊いて欲しいのだが。報道が貧弱なのは“官報複合体”(政府と記者クラブによる、報道内容の擦り合わせ・隠蔽)のせいではないことがこれだけでもわかる。取材者のサイエンス・リテラシーが貧弱なら、制度がいかに至れりつくせりであっても、実りは小さい。
■情報統制は悪か?
政府の姿勢を“大本営発表”と批判*10する上杉隆は「生データを見ていれば安心できる。隠されていればデマを生む土壌となる」というが、本当にそうだろうか?一般人に理解できないデータには、それに誰かの解釈(事象間に推定する因果関係)を付けなければデータとしての価値がない。「勝った」「負けた」のファクトとは違うのである。大本営発表という評価は“個人的な揶揄”でしかない。
政府・東電の情報は、なぜ遅いのか?現状報告のみで、今後起こりうる事やその可能性の幅を言わないのはなぜか?観測データやシミュレーション予測結果の解釈が追いつかないからだと私は推察する。自衛隊や消防の投入が後手後手なのは、その傍証だとも考えられる。生データを並べるだけでは、片手落ちである。現在の放射能ですら、解釈デマが飛び交っているのに、その数倍の分量になる定量的シナリオ分析結果(あったとしたら*11)が生データのまま出されればどうなるか。広瀬隆(次項で触れる)やAERAのような、勝手な憶測を膨らませただけの記事が、今以上に雨後の筍のごとく噴出することになる。「原発の事故が起こる過程と戦争に負ける過程は酷似している」という宮台のツイートに至っては、全く意味不明である(ブログにも説明はない*12)。早く正確な情報が出るに、越したことはない。だが、政府当局が情報を持て余し、国民行動が統制された状態が一度失われると、回復するのは困難である。
■デマは潰せても、大衆扇動は潰せない
ファクトのデマは、ソースを探し一次情報にあたれば潰せる*13。
【ケーススタディ1】
「初日からIAEA、国際原子力機関が、日本政府に対して、情報を正しくだしてくれと、これはもう世界の問題なんだと、繰り返し勧告に近い形、勧告に近い形で、最後は勧告です。で、決議もしました」
これは、IAEAのプレスを見れば、事実誤認だと分かる*14。どうしてこういう発言を公共の電波でしたのか知る由もない*15が、ファクトのデマは、調べれば否定できるからまだましである。
予測のデマも、トンデモ記事としてフィルタリングされ、いずれ淘汰される。
【ケーススタディ2】
福島第一原発の6基のうち、1基がメルトダウンすれば、そこには職員がいられなくなる。すべてを放棄して逃げ出すだろう。あとは連鎖的に事故が起こる。この発電所には、全部合わせて、事故を起こしたチェルノブイリ原発の10倍を超える放射能があると思われる。あとは、この放射能が無害であると、政府と原子力安全・保安院と電力会社とテレビの御用学者たちは言い続けるはずだ。…しかしかなりの高い確率で発癌することが分っている。*16
これをデマと判断するのは難しくない。最悪のシナリオとされる“メルトダウン”をこっそり仮定しているが、メルトダウンという”現象”の”影響”である「連鎖的な事故」の内容は不明、「かなりの」と非定量的に言われても、検証のしようがない。煽られる読者もいるだろうが、結局、ネグレクトするしかない*17
“タチが悪い”のは、“識者“による大衆扇動である。デマは潰せても大衆扇動は潰せないからだ。例えば、以下のようなものだ。
【ケーススタディ3】
宮台は自らの地頭の良さを頼みに、自説の補強材料になりうるファクト(ニュース速報)だけを合間合間に大量にリツイートしている。自説の補強以外の目的が考えられるだろうか。キャスター・文化人などの有名人にリツイートしてもらえば、反証可能性の低い情報(仮説)であっても“識者の発言”としてお墨付きがつく*18。Twitterは、緻密な議論をするには向かない。逆に言えば、短い命題を拡散するのには、恰好のメディアである。しかも、フォロワーは全てのツイートを読んでいるわけではないので、個別のツイートに反論されてもとりあえず反撃しておけば痛くも痒くもない。しばしば上から目線の宮台のことだから、何割かのフォロワーはツイート群を読み解くこと自体が覚束ないということも考慮済みだろう。デマなら“誤り”として削除を期待できる。しかし、反証可能性の低い内容なら理屈では発言者の側が挙証責任を果たすべきではあるけれど、削除しなければならない理由はない。他所*19で批判するしかない。一部のフォロワーに対して挑発的なツイートをしていることを考えれば、そこまで認識している確信犯と捉えるのが妥当だろう。大半の利用者はそこまで発信者の意図を読まない。そもそも、特定のユーザーの大量ツイートをわざわざ遡るのは、余程の動機を要する*20。これが大衆扇動でなくてなんだろう?風評や差別の温床にすらなる。官僚主権を打破するための”戦略”などという弁解は、もう通用しない*21。
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官房長官が原発事故対応で忙殺されたため、どさくさにまぎれて官房副長官として仙谷氏が政府側に復権した。自分の物差しでしか状況を評価できない性向を独善と言うが、本稿で触れた”識者”の独善がもたらした政変と言って良いと考える。首相には他に頼りがいないことの証だろうが、前稿で強調したことを復権した陰の総理に問いたい。自治体との連絡が取れていない陸前高田市の被災度が最も甚大である。いつまで災害現場にマンパワーの振り分けを丸投げするのか。救出計画とその進捗状況を速やかに明示してほしい。
(記事文中では、敬称を略させていただきました。その他、次の記事・資料*22,*23,*24,*25,*26,*27,*28,*29,*30,*31を参考にしました。)
- 作者: ジェームズリーズン,James Reason,塩見弘,佐相邦英,高野研一
- 出版社/メーカー: 日科技連出版社
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*3:一方、MIT研究者Dr. Josef Oehmenも福島第一原発事故解説を提供していますが、Oehmen氏が原子力の専門家でなく、内容が必ずしも正確でないことが指摘されたことから、MIT原子力理工学部(NSE)の学生有志が学部の協力を受けて、改訂版を公開されました。※以上は、本稿読者の方からご指摘を受け、22日に追記しました。
*4:そもそも、原発推進派=楽観論/原発批判派=悲観論、という分類がおかしい。原発の政策的評価と、事故現況の科学的評価は独立でなければならない。原発容認の立場でも、現況は極めて厳しいという立場はあり得るし、理屈の上では、その逆もありうる。
*5:上杉隆の、3月15日のラジオ番組での発言より
*6:ソースは上杉が公式リツイートした、岩上安身のこのツイート
*8:英国政府主席科学顧問John Beddingtonは「チェルノブイリの被害はメルトダウンを起こし大爆発を起こし、数週間も火災を放置した結果である」と述べている(これの書き起こしは、Paul Atkinson氏がFacebookで提供している)
*9:しかも、人間は全能の神様ではないのだから、事態が進行すれば、最初のシナリオ分析では出てこなかった(=”想定外”)シナリオが出てくる。適切なタイミングで都度都度、シナリオ分析を仕切り直す必要がある。
*10:先の大戦を持ち出すなら、以下の文献は熟読しているものと思いたい。
- 作者: 菊澤研宗
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*11:【3/27追記】東京工業大学の出口弘教授は、「SPEEDIに関して、その宣伝パンフ以上に、それが実際の危機管理に際して組織間関係でどのように利用されるかの具体的なシナリオが存在したのか、或はそれが存在したとしてもそれが自治体、或は官邸の危機管理の演習として機能する形で事前に演習等を実施したことがあるのか。更にそこで想定されたシナリオは、問題点を洗い出し危機管理のノウハウを検討し直す組織間学習に用いる事のできるものであったのかなどは明らかではない。それどころか、そのような情報利活用の為の組織間関係のシナリオが全くできていなかった可能性さえ疑われる。とすればこれは危機管理の組織のありかたとしてとんでもない失敗が生じていることになる」と述べている。ちなみに、出口氏の専門は社会シミュレーションであり、宮台がいう”御用学者”ではない。(出所→「SPEEDIに何が起きたのか?」及び「続SPEEDIに何が起きたのか?」)
*12:このような極めて重大な引証をする者は、その意図を説明する責務がある。
*13:参考→東北地方太平洋沖地震、ネット上でのデマまとめ(荻上チキ)
*14:「とりあえずいろいろあるが私たちの政府を信用しよう - what_a_dudeの日記」を参考にしました。
*15:私個人は、上杉さんがおっちょこちょいだっただけだと思う。
*16:破局は避けられるか――福島原発事故の真相 ジャーナリスト 広瀬隆|ダイヤモンド・オンライン
*17:記事の最後で、「大地震による原発災害の危険性を指摘した」自著を紹介している。記事の動機はこの当たりにあるだろう。【5.20追記】柳の下の泥鰌よろしく、同氏は新刊を出版している。
*18:ここでリツイートしている"tim1134"とは、ラジオの東京キー局のひとつである文化放送のカリスマ的パーソナリティである、吉田照美氏のことである。このリツイートによるリスナーへの影響の大きさは、言うまでもない。
*19:はてなブックマーク - 斜め上からの俯瞰 - Twitter / 宮台真司: 元科学技術庁長官が、今回の原発事故について...、など。
*20:過去ツイートを読む限り、「行政官僚や政治家に知己の多い者」(該当ツイート→これ)なので、自分は「行政官僚の習性についてのクロウト」だ(該当ツイート→これ)というロジックらしい。ブログには、ツイートのまとめがあるのみ。〈官僚行動論〉は、本稿冒頭で整理した”専門分野”に敢えて当てはめるなら行政学の範疇なのだろうが、宮台氏の専門は社会学なのだから、”専門外”であることを明言することが学者として振る舞う際の最低限の良識ではないだろうか(まさか、マックス・ヴェーバーの官僚制論でもってクロウトを自称しているのではないだろうな?氏がウェーバーの研究者だという話は聞いたことがないが)。
*21:【4/4追記】★備忘★宮台は更に、4月1日に『政府や東電の言うことを信じたら大変なことに…なりました。』と発言している(該当ツイート→これ)。
*22:原子力発電所が「原爆」には絶対にならない理由 : ギズモード・ジャパン
*23:【3/23追記】「最悪のシナリオ」という脅しに騙されないために(田口ランディ)
*24:EWWW!(ΦωΦ) 福島第一原発事故 今後の危険性
*25:被ばくすると,人体に何が起きるのか?- I’m not a scientist.
*26:広瀬隆『ニュースの深層 福島原発事故 メディア報道のあり方』での発言へのいくつかの修正(2011年3月17日放送)
*27:『菅首相は東電に乗りこんで怒っている場合か 原発事故の対応に見る旧日本軍の悪しき伝統』木下敏之元佐賀市長, JBpress
*28:Japan Offers Little Response to U.S. Assessment: The New York Times, March 17, 2011
*29:Japan earthquake: Japan warnedover nuclear plants, WikiLeaks cables show: The Telegraph. Monday 21 March 2011
2011-03-13
東日本大震災―メディアは役割分担を、首相はビジョンの発信を!
メディア |
首都圏でテレビや新聞やらラジオやらを丸一日見たり聞いたりしていたが、おもちゃ箱をひっくり返したような報道になっている。情報の確度と重要度(深刻度)がまるでわからない。
大手メディアは役割を果たしていないように感じる。日本国のトップリーダーは何をするべきかが迷っているように思える。本稿では、それを提案したい。
■提案の前に
状況を整理します(但し、本稿の目的は提案であり、情報展開ではないので、必ずしも最新情報ではないことを了解願います)。
※図作成は筆者。
上の情報が正確かどうか、甚だ心もとない。というか、このような整理された情報が即座に手に入らず、筆者が整理・分類している状況自体がおかしい。
1000人単位での死者が出る可能性の話に比べれば、交通機関の足止めの話は重要度が低いのは明らかではないだろうか?(勿論、後者の問題は放置してよいと言う意味ではない。当事者にとっては深刻なトラブルであり、筆者自身も昨晩“帰宅難民”の憂き目にあった。二度と御免です) 全国メディアに求められるのは、大災害の全体感を把握させることだ。それには、情報の重要度を整理・明示することが必要である。それ以上の細かい情報は、個々の適したチャネル(次項で述べる)に誘導するべきである。同一のチャネルで報道するべきではない。
また、福島原発のトラブルについても少し触れたい。詳細な情報や材料が入るネタに飛びつきたくなる心理は分かるが、今回の原発トラブルで死者が出ることは、考えにくい*1。片や、自治体単位で安否が不明な状況が存在するのである。視覚情報に偏った報道比重の配分は、明らかにおかしい。はっきり言って、メディアの騒ぎ過ぎである。また、今回のトラブルは非常に専門的・技術的に難解な原子物理学の領域であり、発電所の図解をされても、門外漢には見守るほかない(記者会見で、原子物理学の説明をされたところで、「どれくらい重大な状況か」なんてわかります?)。ツイッターでは、このようなテレビ報道を過剰反応として批判する書き込みが既に見られる*2。
■メディアは明確な役割分担を
NHK総合は、安否確認に徹するべきである。災害掲示板などさまざまな安否確認サービスがあるが、えてして最悪の状況下では使えない。到底、潜在需要に応えられているとは思えない。地方部ほど、NHKは最後の頼りと認識されている。
一方、ネガティブな情報を流すことだけが、メディアの役割ではない。NHKには、中年層以上に絶大な支持のある『ラジオ深夜便』という強力コンテンツがあるのである。地上波だけでもテレビ・ラジオ双方に複数のチャンネルを持っているのだから、一方は被災者の緊張緩和(心理的ケア)に回すべきだろう。災害現場で希望を与えるのは、いつも聴いているラジオDJの声だったり、歌謡曲だったりする。これは、地方局のFM局にも当てはまる。
地元の放送局は、ライフラインの状況やサバイバル情報(何時にどこに行けば何が手に入るのか)を、視聴者提供によるボトムアップの形で、なるべく細かい情報をリアルタイムで視聴者にフィードバックするべきである。これには、自治体単位でのコミュニティFMが最適である。大メディアでは、対象範囲が広すぎて、網羅的な情報提供は到底不可能だからである。首都圏での帰宅難民では、交通情報や開放施設情報などがツイッター上で飛び交った。類似の役割が求められる。
地方局当局にとってはわかりきったことに触れたのは、それが全国紙や在京民放テレビ局の出る幕ではないと言いたいからである。被災度重の地域以外は、1日2日の間でできることは少ない。ボランティアはどうすればいいのか?衣料や食糧の提供は?献血は?「節電しろ」と言われても、誰がどうすることが最も有効なのか分からない。「ちりも積もれば」なのか、それともビジネス活動は自粛した方が良いのか。これに限らず、どこの誰がどう行動するべきなのか?*3様々な情報ニーズに対して、それがどこで提供されているのか?そのようなナビゲート*4が必要不可欠である。これが全国メディアの役割ではないだろうか。
「人命最優先でがんばる」だけでは、何もわからない。首相は対策の優先順位を明示し、具体的な実行手順を示すべきである。マンパワーを最大限に振り分けるには、輸送路の確保が必須である。しかも、最も重要度が高い地域には、陸路での部隊投入は困難である。空路に頼るほかない。当然、全国レベルでの航空管制の調整が必要不可欠である。また、輸送するためには、燃料や電力も滞りなく確保しなければならない。復旧していない幹線道路は一日も早く全面復旧させなければならない。民間の協力も求めなければならない。被災地に物資を輸送するには、大量輸送が強みの鉄道貨物輸送の出番だ。まず、在来線幹線を完全復旧させなければならない。首都圏の交通機関はまだまだ完全復旧はしていないが、人命救助のためには、忍耐も必要であることは論を待たない。そのことを、トップリーダーは発信する必要がある。それに比べれば、新幹線の運行状況など、ささいなことである(繰り返すが、放置してよいという意味ではない)。震災貨物輸送優先のため、旅客輸送を減量することも必要かもしれない。
冒頭で整理した被災状況に応じて、必要な施策と期間は分かれてくる*5。地域に応じて、発信する内容を分ける必要がある。被害度重大地域は、日付単位での乗り切りが必要である。首相一人でできることは限られる。せっかく、国連事務総長やオバマ米大統領が支援の意思を表明してくれているのである。トップリーダーは、それを自らの言葉を介して被災者に報知し、長期戦に対する希望感を与えるべきである。これはトップリーダーの役割である。スポークスマン(官房長官)の役割ではない。一方で被災度の極めて低い国民に対しては、「今はボランティアには行くな」「やみくもに買い占めはするな」と中期的な協力の準備をはっきり"指示する"ことも必要である。
トップリーダーには、長期的視点が不可欠である。災害現場では現金・現物に眼が行くが、長期的にはそれを保障する財源や予算を明示し*6、自治体当局を始めとする関係者に安心感を与える必要がある。さらには、いかに経済復興をするかまで、示す必要があるだろう。トップは眼前の事象より数歩先のことも考えていることを示すだけで、現場に安心感を少しでも与えられる。これを逐次会見に追われるスポークスマン(官房長官)に期待するのは酷だろう。トップリーダーの役割である。
緊急事態において、首相の資質・適格性を批判したり、過去政権の事後評価を今、あれこれしても、仕方がありません。「あれは悪い」「これは良くない」という政府や報道機関の揶揄ではなく、「こうしたらよい」「こうすればどうか」という生産的なコメントをしたいものです。
*1:例えば、「MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説」を一読されたい。
*2:早野龍五教授(東京大学理学系研究科)の解説やツイートが有用である。
*3:例えば、「提案:関東在住の人の12日、13日の過ごし方」は、はてなブロガーの評価が高い。
*4:東北地方太平洋沖地震 GOOGLE HPは一つの参考になる。
*5:『「日常へ帰ろうとし始める」段階、「復旧」の段階、「復興」の段階、それぞれに「今」必要なものは変わってくる』
*6:エコノミストの伊藤洋一氏は自身のブログ記事で、『それを所得税でやるのか、消費税でやるのか、時限をどうするかなどの議論はある』としながらも、『「復興の為の時限増税」があれば、私は喜んで払う』と述べている。
2011-01-02
【新春恒例企画】2011元旦新聞社説読み比べ
メディア |
※え、今までそんな企画はなかっただろ?、と仰る方、はい、数年来毎年の構想倒れだったものを今年は実施しました*1,*2,*3,*4。
元旦の社説は普段のものより扱いが重く、かなり吟味検討を加えるということを聞いたことがある。今年一年間、マスメディアの動向を見る上で、各紙の元旦社説を検証することは意味があるだろう。本稿では、『国政』『経済』『外交』『読者訴求力』の4点で全国紙の論説を比較・評価する。
【国政】
以下は、政権運営について。朝日は「政権交代の可能性のある(民主・自民)両党が協調する以外には、とるべき道がない」と述べているが、これはいわゆる“大連立”を主張しているのだろうか。また、与野党協議の対価として「たとえば公約を白紙に戻し、予算案も大幅に組み替える」ことを首相に求めているが、“予算組み替え”の中身が、相変わらず不明。例えば公共事業の更なる圧縮を求めるのか。その場合、地方経済の再生にはどう取り組むのか。具体案が見えない。
読売は「菅首相が衆院解散に打って出る可能性はきわめて小さい」ので「次善の策として、懸案処理のための政治休戦と、暫定的な(理念・政策優先の)連立政権の構築を模索すべき」と提案する。「1年、ないしは2年の期限を切った、非常時の『救国連立政権』とし、懸案処理後に、衆院解散・総選挙で国民の審判を問えばいい」という。ここは、もう一歩具体的な政界再編シナリオの提案に踏み込んで欲しいところ。
日経は「嫌われても嫌われても、必要な政策を断行するキャメロン英首相の勇気に倣うべきだ」("八方美人の政治は有害")とし、貿易自由化と農政改革を主張する。毎日は「菅政権はこれらの難題(=『消費税や財政再建』)の扉を開けて本気で取り組む必要がある。できないのであれば違う政権に期待するしかない」と傍観しており、無気力さを感じる。
【経済】
注目できるのは、毎日以外の三紙がTPP参加に触れていることだ。日経「貿易自由化で外の成長力を取り込む。伸びない産業よりも成長産業を後押しする」、読売「農業が開国を妨げ、日本経済の足を引っ張るようでは(主要農産物の自給確保は)本末転倒」、朝日「守るだけでは守れない。農政を転換し、輸出もできる強い農業をめざすべき」と、各紙。
日経は経済紙らしく、企業経営者にも目を向け、「技術力はあるのに、アップル、グーグルなど米企業に新製品や新サービスで先を越されている。また、何社もがひしめき、大型の研究開発や投資で外国勢に後れを取る業界も多い。保守的な経営が働き手の潜在力を殺してはいないか」と問うている。"保守的な経営"とは、攻めない経営ということだろう。
また、日経は「グローバルに活躍できる人材を育てるには、公教育や職業訓練制度の抜本改革も避けられない」と述べているが、「シンガポールのように外国の有為な人材を好条件で招くこと」と述べるのみで、提案性は低い。「世界で通用する人材」とは、どのような人材なのか?「強靱なメンタリティーとコミュニケーション能力を持った人」という経営者目線のお決まり解答しかないのかもしれないが、もう一歩踏み込んで欲しいところ。毎日も「重要なのは…人々の元気と底力を引き出す仕掛け人を生み育てていくことだ。」と述べているが、その具体策は述べていない。
【外交】
読売は、中国漁船衝突事件・メドベージェフ露大統領の北方領土視察は「日米同盟をおろそかにしたから」と批判する。一方、毎日は「日米同盟を揺るぎなくする一方で日中関係を改善すること」を“課題”に挙げている。日中関係の悪化は日本にも責任があるというニュアンスに、靖国“問題”を掘り返す意図を感じる。
朝日は外交面に全く触れていない。対米外交を論じるなら沖縄の普天間問題は避けて通れないし、対中外交を論じるなら、漁船特攻事件を避けて通れない。朝日路線の行き詰まりを反映していると読む。日経は「経済の地位低下が安全保障も脅かす悪夢を、日本人は尖閣諸島問題などでみた」と冒頭で触れたのみ。各紙とも、提案性が乏しい。
【読者訴求力】
日経が最も明快である。一部政治家や経営者の「日本は大国で簡単には負けない。改革、改革と叫ぶのは大げさ」という“向き”を“時代錯誤”と断ずる。一方で、物理と化学の専門論文の発表数や学習到達度調査結果を引き合いに、「(努力しても、そんなに豊かにはなれないという)あきらめもある…若い世代」には「それ(←『成長する努力』)を怠れば国の財政破綻などを通じ今の豊かさはやがて消える。過信もあきらめも捨てて、自らを鍛える志こそが大事ではないか」と、諭している。
「(公約の)財源が空手形だったことは隠しようもない。甘い公約は疑い、苦い現実を直視することが大切であることを、国民も学んだ」という。私は始めから政権交代に期待していなかったが、そんなことも分からないのが現実の民度だったことは、2009年の総選挙結果が示しているだろう。
毎日は、「私たち国民自身が問題をきちんと理解して立ち向かうことが必要である」との述べたのみ。
【総合評価】
■朝日
★★★☆☆
評価理由
「(日本の命運がかかる)一体改革も自由貿易も、もとは自民党政権が試みてきた政策だ」として、マニフェスト白紙撤回を明確に求めたことは評価できる。一方で、それ以外のトピックに具体性がない。
■読売
★★★★☆
評価理由
「消費税率上げは不可避」とし、全国紙の中で唯一増税を明確に主張した。マニフェスト白紙撤回も求めている。
■毎日
★☆☆☆☆
評価理由
歴史を引き合いに出すのは新春恒例の論説構成であり、今年は江戸時代の浮世絵版元、蔦屋重三郎(1750〜1797)にスポットを当てているが、長々とした解説はそれ以降の部分と殆ど関連性がなく、論説としての構成が悪い。近年の紙面崩壊ぶりを反映している観がある。
■日経
★★★☆☆
評価理由
マクロ経済統計値から読者に訴えかける構成は評価したい。一方で、経済紙の特質か、経済以外のトピックが少なすぎる。
■産経
落第
評価理由
去年と同様、本稿投稿時刻をもってしても未だアップされていない。ネットは二流メディアだと依然として軽視していると、考えざるを得ない。社説で他紙との差別化を図っている同紙だけに、大変残念である。
*1:同趣旨の記事がいくつかあります。読み比べてみてはいかがでしょうか。「2011年 元日の各新聞社の社説」(eaglei氏)
*2:同上「元旦早々国民のモチベーションをいきなり下げまくっている朝日・読売・日経社説の愚」(木走正水氏)
*3:同上「ブルジョア新聞の論調は極めて健康―2011年の元旦各紙を読んだら―」(リベラル21 半澤健市氏)
*4:同上「×朝日<△毎日<◎読売だろうね:2011年3紙元旦社説比較」(アラかん氏)









ご指摘の通りです。勘違いしていました。以後、気をつけます。