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眼科手術開業医の戯言

2010-08-20

不定愁訴 by A

23:38

B先生の記事に触発されて、不定愁訴について書いてみたいと思いました。

今日も、他の眼科病院で白内障手術を受けられた患者さんが、「どうしてもおかしいので、診てください」とやってこられました。毎日のようにこんな患者さんが来られます。

現在、眼科施設で治療中の方が、他の施設の受診を行いますと、セカンドオピニオンということになって、保険が使えないのが原則です。当院ではまずそのことを説明いたします。ただし、患者さんが自主的に治療を中止され、転院されるという選択であれば話は別で、保険診療が継続できます。ということで、セカンドオピニオン外来を設けてはいるものの、大抵、保健診療ということになってしまいます。

きょうお越しいただいた患者さんも、「もう、こちらでかかりたい」とのことで、保健診療ということになりました。

両眼の白内障手術を受けられたのが今年の2月頃で、直後より眼痛、充血があり、困っているとのことでした。手術を受けた施設では納得のいく説明がなかったので、別の医院で診察を受けたところ、「全く問題なし」との結論でした。当院が3番目の施設ということになります。

視力は両眼とも(1.0)あり、裸眼でもほぼ同様、屈折値はほぼ正視、手術は耳側角膜切開で、IOL正常、瞳孔の形、動きも正常で、手術に関しては全く問題なしと思われました。しかし、それで終わってしまっては、患者さんのご納得が得られません。よくよく観察いたしますと、軽い結膜下出血があります。どうやら、術後、結膜下出血を何度か繰り返したようです。

フルオで染めますと、SPKはありませんが、BUTが短く、また、軽い結膜弛緩を認めました。

「手術してから眼は充血するし、痛くてたまらない」との訴えは、結膜下出血とドライアイによるものと思われました。

手術は耳側角膜切開ですので、直接結膜を触った訳ではありません。ドライアイや結膜弛緩は多分、手術の前からあったものと想像されます。ただ、多くの患者さんは、手術の印象が悪いと、どうしても手術と関連付けて考えてしまう傾向があります。

「手術の時、目を押さえられて痛かった」「どうなるかと思った」とおっしゃいました。手術は全く問題なく終了していたものの、患者さんの不安感はとても大きかったようです。

また、術前後の頻回点眼がドライアイを悪化させます。今回の症例では、ドライアイの悪化が結膜下出血に繋がったと思われます。

ということで、手術は全く問題なく成功していること、もともとあったドライアイがちょっと悪化しただけのこと、点眼でもプラグでも手術(結膜切除)でもいくらでも治療方法があること、このままでも治る可能性が高いことを説明いたしましたところ、ご納得いただけたようでした。

医師や看護師の何気ない一言引き金となり、不定愁訴を引き起こすことが多いのですが、また、理学的な理由が隠れていることも多いです。

白内障手術に関連する不定愁訴の原因としては、ドライアイの他、屈折値の不適合、過度の屈折矯正、不顕正斜視、弱視、などが思いつきます。医原性乱視ももちろんその一つですが、B先生の症例は、それよりもドライアイのほうが大きかったことを教えてくれました。

BB 2010/08/21 21:02 本日、午前診終了の後、レーシック関西に行っておりました。途中からの聴講でしたが、勉強になりました。また次回のネタで書かせて頂きます!

セカンドオピニオンの方は当院も来られますが、何にも考えずに保険診療にしておりました。原則的には自費になるんですねぇ。勉強になりました!

小生の症例の場合は、強角膜創からのIOL入れ替えで乱視が増えたという負い目(?)があったため、患者さんの愁訴に対して「何としてでも治さねば・・」という必死の思いが生じました。

しかしながら、先生のケースでは、手術をされた先生にしてみると、「手術は問題なく出来ており視力もちゃんと出ているのに、文句ばっかり言いやがる!これは神経質なモンスターペアレントだ!」と、愁訴に向き合うことなく、お互いの信頼関係が悪いサイクルに入ってしまったのかも知れませんね。私も思い返せば、そのように思っていることもあるかも知れません。

不定愁訴に対しては、冷静かつ真摯な態度で向き合うことが大切でございますね。

不顕性斜視などは、そう思って検査しないと絶対に見落としますね。勉強になりました!

AA 2010/08/22 08:25 B先生、コメントありがとうございました。小生は昨日は大学の同窓会に行っておりました。皆さん、大体組織の長ですが、現役で手術をバリバリという方は少なく、「臨床はもう若手に任せて」という方がほとんどでした。その点、眼科は、顕微鏡のおかげで、老眼を気にせず手術ができます。他科と直接くらべて、眼科の良さを再認識することができました。

やっぱり、セカンドオピニオン外来は、総合病院眼科の患者さんがほとんどです。中央手術部での手術、一般病棟への入院、術者以外の外来担当などなど、総合病院の不利な部分が出てきます。

開業医だと、先生のように、「なんとかしなければ」ということになりますからね。それを繰り返すことにより、実力もますますあがってくるとおもいます。

そんなことを考えながら、患者さんの不満が前医に向かうことがないよう、注意して説明いたします。一回10000円也の相談料を設定しています。

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