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あとりの本棚 〜SFブックレヴュー〜 RSSフィード

2017-03-30

[][][]『ブルー・マーズ』(上・下)

ブルー・マーズ(上・下)』 SF

キム・スタンリー・ロビンスンの火星三部作、ついに完結篇の『ブルー・マーズ』が邦訳されたようです!発売日は4月21日とのこと。一作目の『レッド・マーズ』の発行が1998年なので、実に19年…。二作目『グリーン・マーズ』にしても2001年発行で実に16年…。やっと完結です。ずっと待ち望んでいましたが、もう翻訳されないと思っていたので、嬉しい驚きです。他の続篇が邦訳されず完結していないSF作品も、これに続いて欲しいと思います。


どうやら『レッド・マーズ』はTVドラマ化が検討されていて、当初は2017年1月に放映される予定だったようです。今回『ブルー・マーズ』が邦訳されたのも、それが影響していたのかもしれません。しかしTVドラマ化は、製作が一時停止している模様。TVドラマもぜひ観てみたいものですが、スケールが大きい作品なので、映像化は大変だと思います。

http://www.cinematoday.jp/page/N0081518


さすがに前作から時間が経ちすぎて、これまでのストーリーはすっかり忘れてしまいました。主人公達がやたら口喧嘩していた印象しか残っていません。火星テラフォーミングをリアルに描いたとして、当時は評価が高かった作品でしたが、火星の実際の映像を見ることができるようになった現在でもまだ通用するのでしょうか。前作を読み返して、発売を待ちたいと思います。


前作の感想はこちら

『レッド・マーズ』http://d.hatena.ne.jp/Atori/20020426

『グリーン・マーズ』http://d.hatena.ne.jp/Atori/20020427

2016-01-06

読了本まとめ(2014年

ほったらかしにしていたら、読書メーターの年間まとめ機能が2014年分は終了してしまっていたので、2014年に読んだ本を手動で作成。あまりに放置しすぎていてリンクの貼り方とか忘れていました。読書メーターのまとめに合わせて、読んだ順番は下が古く上が新しい物になっています。


読了本まとめ(2015年

スマホで通勤時間中SNSをしていたり、介護や仕事で忙しくしていたため、すっかり読書量が減ってしまっていました。スマホのSNSはもう放置気味なので、少し読書量が復活。とりあえず読書メーターを使って2015年に読んだ本のまとめを載せておきます。


2015年の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:6229ページ

大尉の盟約〈上〉 (創元SF文庫)大尉の盟約〈上〉 (創元SF文庫)
読了日:12月28日 著者:ロイス・マクマスター・ビジョルド

ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)
読了日:12月28日 著者:グレッグイーガン

ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)
読了日:12月15日 著者:グレッグイーガン

オマル2 ー征服者たちー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)オマル2 ー征服者たちー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
読了日:11月18日 著者:ロラン・ジュヌフォール

2312 太陽系動乱〈下〉 (創元SF文庫)2312 太陽系動乱〈下〉 (創元SF文庫)
読了日:10月20日 著者:キム・スタンリー・ロビンスン

2312 太陽系動乱〈上〉 (創元SF文庫)2312 太陽系動乱〈上〉 (創元SF文庫)
読了日:10月7日 著者:キム・スタンリー・ロビンスン

バネ足ジャックと時空の罠〈下〉 (大英帝国蒸気奇譚1) (創元海外SF叢書)バネ足ジャックと時空の罠〈下〉 (大英帝国蒸気奇譚1) (創元海外SF叢書)
読了日:9月10日 著者:マーク・ホダー

バネ足ジャックと時空の罠〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚1) (創元海外SF叢書)バネ足ジャックと時空の罠〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚1) (創元海外SF叢書)
読了日:9月10日 著者:マーク・ホダー

霧に橋を架ける (創元海外SF叢書)霧に橋を架ける (創元海外SF叢書)
読了日:8月7日 著者:キジ・ジョンスン

セプテンバー・ラプソディ (ハヤカワ・ミステリ文庫)セプテンバー・ラプソディ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:8月7日 著者:サラパレツキー

オマル-導きの惑星- (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)オマル-導きの惑星- (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
読了日:7月10日 著者:ロランジュヌフォール

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)
読了日:6月2日 著者:竹村公太郎

旋舞の千年都市 下 (創元海外SF叢書)旋舞の千年都市 下 (創元海外SF叢書)
読了日:6月2日 著者:イアンマクドナルド

旋舞の千年都市 上 (創元海外SF叢書)旋舞の千年都市 上 (創元海外SF叢書)
読了日:6月2日 著者:イアンマクドナルド

ブラインドサイト〈下〉 (創元SF文庫)ブラインドサイト〈下〉 (創元SF文庫)
読了日:1月16日 著者:ピーターワッツ


読書メーター

2014-04-02

[][][]『テラプレーン』

『テラプレーン』

『テラプレーン』 SF

あらすじ

超大企業ドライコに支配されたアメリカ同様、ロシアも強制消費社会と化していた。ドライコの退役将軍ルーサーは、秘密任務を帯びてこの地を踏んだ。失踪した科学者が発明した画期的空間転移装置を、その科学者ごと奪取しようというのだ。だがルーサーはまだ知らなかった――この装置が空間のみならず、時間の壁さえ飛びこえる驚異の転送能力をもっていることを! 過去と未来をつなぐ悪夢を期待の新鋭が描く驚嘆の問題作(カバーより)

 『ヒーザーン』(ID:Atori:20131025)に続いて邦訳された、全6作のシリーズのシリーズ第2作目*1。『ヒーザーン』の解説によると、『ヒーザーン』の時代から25年後の2023年が舞台だ。『ヒーザーン』で少年として登場していたジェイクは、すっかり成長してこちらにも登場している。


 今回の語り手は、ドライコ社に勤めるロバート・ルーサー・ビガースタッフ。黒人で、退役した将軍だ。ルーサーは、ロシアの物理学者アリョーヒンを社に移籍させるために、用心棒のジェイクとともにロシアを訪れた。ある装置を開発中だったこの物理学者は、しばらく前から行方不明となっていた。


 物理学者の同僚のオクチャブリャーナがその装置を持っていると目を付けたルーサーたちは、彼女を代わりにアメリカに連れ帰ろうと試みる。しかしその矢先、ロシアでの接触相手だったスクラートフの裏切りに遭い、ドリーム・ティームに襲撃された。スクラートフを捕らえ、オクチャブリャーナを連れて、ルーサーたちは飛行機でロシアからの脱出を試みる。頼みの綱は物理学者の開発した転移装置。オクチャブリャーナの制止も振り切り、どんな装置かも知らないまま、ルーサーたちは装置を作動させた。彼らが転移した先は、1939年のペンシルヴェニアだった。


 現実の歴史ともルーサーたちの歴史とも少し異なる歴史をたどったこの1939年のアメリカでは、黒人への差別が甚だしい。黒人の医師ノーマンに助けられたルーサーたちは、元の世界へ戻るために、装置を持って逃げたスクラートフの後を追う。果たして彼らは元の世界に帰りつけるのか。


 ノーマンたちの世界の黒人差別の悲惨さと、ルーサーが20数年前に体験した戦争の記憶が、フラッシュバックのように語られる。ルーサーが指揮をとったその戦争は、ロング・アイランドアンビエントを相手に戦ったものだった。正義もない非人道的なその戦争体験を、ルーサーは差別的な発言とともに思い起こす。


 ルーサーの世界では、黒人であっても能力次第で将軍でも大統領でもなれる。ノーマンやその妻ワンダにしてみれば、そんな未来はユートピアのように思えるのに、その未来から来たというルーサーたちは、いとも簡単に人の命を奪う。何か大切なものが欠けているように見え、そんな未来が果たして良い未来と言えるのかと戸惑う夫妻。


 調べてみると、タイトルのテラプレーンとは自動車のブランド名だったようで、作中でも重要なシーンにこの名の車が登場している。また、ジェイクが好きな実在の歌手ロバート・ジョンスンは、この車の登場するテラプレーン・ブルースという曲を書いている。


 血とブルーズで彩られた、残虐な未来と差別的な過去。二つの世界で言葉は通じず、両者の常識も通じない。また、善行も報われない。とはいえ、こんなひどい世界を肯定せず、あきらめを持った悲しい目で見ている。そこが救いであり、こうした希望のない世界だからこそ、わずかな良心が際立つ。


 今読み返してみても古くささは感じられないので、ぜひ再版&続篇の翻訳をしてもらいたいものだ。シリーズ全体を通して読んでみたいと思う。

*1:『ヒーザーン』は第3作目で、この2冊以外は未訳。また2冊とも絶版


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