Auggieの文化放談 −Auggie, at the corner of Third Street and Seventh Avenue at eight o’clock in the morning− このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-05-19 [book] 『僕だけがいない街』は、もう一つの杜王町の話。

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僕だけがいない街』を1巻から9巻まで一気に読んだ後、思わずこぼれた言葉

「これってジョジョ第4部じゃん!」

僕だけがいない街 コミック 1-8巻完結セット

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誤解のないようにすぐ付け加えておくと、これはこの作品をけなしているのではない。

むしろ逆。

インスピレーションの源というか、換骨奪胎というか。

似た素材を使ったうまいリミックス、というのとは少し違うか。


もっとも、作者の三部けい荒木飛呂彦アシスタントだったので、

意図的オマージュを捧げた、というか無意識レベルでの刷り込みがあったのかもしれない。

2巻の帯の荒木飛呂彦の推薦がイカします。

「三部さん。JOJO第三部を手伝ってくれてありがとう。なつかしいね。」

荒木飛呂彦氏推薦!

…って、まったく推薦してないし。

メールの近況報告、なんてコメントもあったけど、ホントそのレベル。

まあ、その辺りが荒木氏らしいといえばらしくて、わたしは愛を感じてしまうのだけど。

2巻の巻末作者あとがきマンガによると、

この推薦文(?)、最初荒木氏の原稿(?)では「三部」じゃなくて「四部」だったらしい。

それを三部氏自身がシャレになるよう「三部」に変えた、とか。

この巻末のマンガによると、荒木氏は非常に正義感の強い人らしい。

ジョジョを読んでると、それはなんか伝わるよね。


さて、ジョジョ四部とこの作品類似点、随所からうかがえる。

日常の街に潜む殺人犯」という設定がまさにそうだし、

主人公たちが一度殺人犯を追い詰めるが犯人は逃げ切り、名前を変えて潜伏する、というのもそう。

主人公少年時間を何度も遡って犯行を食い止めようと努力する、ところや、

犯人に一度殺された少女と協力して犯人に近づいていったり…。

少しぎこちなく説明過多な台詞回しも似てる。


吉良吉影 → 川尻浩作  八木学 → 西園まなぶ

川尻早人 = 藤沼悟

杉本鈴美 = 雛月加代


もちろん、違うところもある。

一番の違いは、『僕だけがいない街』は「母親物語であること。

この作品は、息苦しいほどの母親の愛に満ちている。

特に9巻とかの藤沼佐知子の話とか、ちょっと読んでて苦しい。

一方で、ジョジョの第4部は「父親物語」。

以前友人たちと酒を飲んでいる時に、

4部は吉良と仗助、川尻早人、億泰らの「父親」を巡る話であることを

小一時間説明してドン引きされたことがあった。

つまりは第4部はそれだけ「父親」の表象に満ちた物語であるということ。

主人公の協力者を正反対なのも面白い

虹村億泰 = 小林賢也

岸辺露伴 = 澤田 真

もしも賢也が億泰だったら、この事件絶対解決しなかっただろうなあ。


ある意味で、ジョジョ四部へのオマージュ

今気づいたけど、終わりの切なさは『時をかける少女』に似てるなあ。

でも、アイリという少女(の重要性、ファム・ファタール性)がいまひとつ伝わらなかったかなあ。

あと、8巻という長さもグッドでした。

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