孤独な戦い

凍える牙 (新潮文庫)

凍える牙 (新潮文庫)

二日で読んだ。止まれなかった。読みながら、やめるタイミングが分からない、と思った。物語が軌道に乗ってからは、まさに疾風のごとく読んだ。久々の乃南さん。そしてまたも女刑事が主人公。今回も、とても魅力のある女刑事だった。最初の方はあまり感情移入できなくて、近くに感じられなかったけど、読み進めていくうちに、だんだん音道貴子と一緒に走ってる感覚になった。疾風を追って、バイクでひたすら走るシーンは、なんかすごかった。読んでる方も、疲れた。一緒に走ったから。貴子が転んで、疾風がそれを待っていたかのようなシーン。なんか、そのあたりで感動して泣きそうになってしまった。なんていうか、疾風のことを思うと切なくなる。病室で笠原に貴子が言った、「家族じゃ、ないんですか」って言葉もなんかすごく悲しいというか、切なくて。そしてその、疾風のラストも本当に悲しくて。切なくて。なんて言葉で表したら良いんだろう。最後、泣いた。疾風は、どう感じていたんだろう。ただ、飼い主のために。ただ、自分に愛情を注いでくれる信頼してる相手のために。そんな、育てられ方で、そんな、人生で、良かったんだろうかと思う。でも、それが疾風の幸せだったんだろうか。貴子と滝沢のコンビも良かったなあ。コンビって、なんだかんだやっぱりこういう、あったかい関係になるから好き。すごい、いいお話を読んだ。なんだか感動した。音道貴子シリーズ、全部読みたいなあ。それにしても、タイトルの「凍える牙」とは。なんとも良いタイトル。読了して、改めてそう思う。