シナリオ紹介文

 公園に向かって歩いていると、一人の女性が近づいてきた。
「お願いします」と、紙を差し出すので見てみると、冒頭に大きく「市街浄化運動にご協力願います」と書かれてる。その下には何やら文字が並んでいたけど、読むまでも無くその女性が説明してくれた。
「最近、アレでしょう? 公園に浮浪者が多くタムロするようになってしまって、このレイク公園も凄い有様だと思いません?」
 それは事実だ。この街は複数の企業の城下町として成立してるが、それでも不況の波は押し寄せてきていて、また近隣の街から浮浪者が流れ込んでも来ている。「宿無しは東(海岸)から西(海岸)に逃げてくる」という言葉通りでもあるのだろう。そしてレイク公園はというと、確かに浮浪者が多く、かくいう君もこの公園に住む浮浪者の一人に用事があって来たのである。
「彼らもそうですし、それに公園内で犬を飼い始めている浮浪者がいたり、また野犬も増えているようなんです。彼らから公園を子供や善良な市民に取り返さなくてはいけないと思いません? 彼らにも保護が必要だと思いますし、何かあってからは遅いんです! 夜中に公園内の池の島で騒いでいるものもいるそうですし、大きな野犬を見たという話もあるんです」
 はぁはぁ、と頷きながら君は彼女と別れ、その紙を読みながら公園内に入っていく。と、こうだ。
 曰く、浮浪者には入居用の施設を作り、その就職のための斡旋を行う。
 曰く、野良犬の駆除。
 曰く、犯罪防止の為に公園には柵を設ける。
 などなど。近くにある、企業が管理しているウェストヒル公園をモデルケースに、レイク公園の清掃を行う旨、市議会に請願しようという運動らしい。
 ……さて困ったことである。何しろその公園にはケルンがあるのだから。