3D小説 岡田アユミ

2013-05-03

Scene16 3/3


 やがて私は、黒崎くんが「モップの飼い主を探そう」と言い出したことなんて忘れてしまった。
 なんだか幸せで、ずっとこれが続けばいいと思っていた。
 いや、できれば、クラスメイトがいない時に、ひょっこり黒崎くんが話しかけてくれないかなと、期待さえしていた。
 そのせいだろう。教室でつい彼の姿を追うことが増えた。たまに目が合うととても恥ずかしかった。視線を逸らしてから、今、彼はどんな表情をしているのか、妙に気になった。
 決まって思い出すのは、彼の瞳だ。
 深い黒の、まっすぐな瞳。
 いったい、クラスの何人が、彼の美しい瞳を知っているだろう?

 ある日、黒崎くんは珍しく笑顔で、クラスメイトと話をしていた。
「父さんがさ、買ってくれたんだ」
「おー。やっとかよ」
「色々、教えてくれよ。まださ、どうやったら武器が作れるのかもわかんないんだ」
「いいぜ。今度、うちこいよ。オレのすっげーの見せてやる」
 どうやら男の子たちの間で流行っているゲームの話題らしい。
 黒崎くんも、そういうのやるんだな。

 以前よりも、毎日が少しずつ、幸せだった。
 なのに。
 事件が起こったのは、モップに出会ってから、2週間経った日のことだった。


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