3D小説 岡田アユミ

2013-05-03

Scene21 1/2


 黒崎くんと、モップと、私で、あの公園を散歩したことがある。
 モップが退院した日のことだ。モップを引き取りに来たのは、あの白い帽子ではなかった。顔立ちの優しいお婆ちゃんが、何度も黒崎くんと私にお礼を言った。
 そのお婆ちゃんにお願いして、最後に2人と1匹であの公園を歩いた。クラスメイトとすれ違っても、気づいていないふりをした。
 冷静に見ると、黒崎くんはちょっと恥ずかしげで、ぶっきらぼうで。意外と可愛らしい男の子だった。
 ――これが、毎日続けばいいのに。
 明日からも、2人でこの公園を歩いて。たまにモップに会いに行くような毎日が、ずっと続けばいいのに。
 その日の夕方にはモップが、そして半年後には黒崎くんが、いなくなってしまった。
 公園にはもう、モップはいない。段ボールの犬小屋もない。
 でも、今だって、たくさんの思い出がある。


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