3D小説 岡田アユミ

2013-05-04

Scene25 11:00〜 2/3


 アルバイトの帰り道に誘拐された私には、まともな荷物もない。
 玄関に向かい、靴を履く。
「あの」
 後からついてきた女性警官に声をかける。
「ありがとうございました。それに、ごちそうさまです」
 彼女はふっと笑う。
「変な子。私も、トレインマンよ」
 もちろん、この人は、善人ではない。
 きちんと警察に捕まるべきなのだと思う。庇うつもりもなかった。
「でも、助けてくれたから」
 お礼は必要だ。
 彼女はほんの僅かに、困ったように眉をひそめた。それは、これまでに見た彼女の表情の中で、もっともチャーミングだった。
「ひとつだけ、貴女にお願いしてもいいかしら?」
「内容によります」
「あの写真のジオラマを、調べて欲しいの」
 ジオラマ――
 昨日、トレインマンに届いたメールに添付されていた写真。
 なぜだかそれは、私が生まれ育った街の、ジオラマだった。
「私が調べてみるつもりだったけれど。これから私は、あいつに会わないといけないから」
 何かわかったらここに連絡して、と、彼女はメモ帳に電話番号を走り書きした。


back← 共通 →next



















. 

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証