3D小説 岡田アユミ

2013-05-06

Chips - no.29「4年前」


 4年前に起こったことがいくつかある。
 それらはすべて、「ある女性の死」に起因している。

 4年前。
 組織が使っていた連続殺人犯が、「ある女性」を殺した。
 そのことにより、一人の女性警官が執拗な捜査を始め、組織は危機感を抱いた。
 組織は該当の殺人犯を切り捨てる準備をはじめ、同時に「切り捨てやすい」新たな人員を何人か迎え入れた。
 そのうちの一人が、黒崎正吾だった。表向きはある広告会社の契約社員として迎え入れられた黒崎正吾は、何も知らないまま――もちろん、多少は胡散臭い話だなという意識はあったが――組織に加入した。

 その影響は、彼の息子である黒崎リョウにも及んだ。
 黒崎正吾とリョウは、それまで暮らしていたアパートを離れ、組織が用意したマンションに移動した。ただしそのマンションの住所は誰にも教えてはならない、通信販売もレンタルビデオの会員もだめだと、組織から言われていた。

 黒崎リョウは、父よりは正確に、組織の危険性を理解していた。
 よって、ずっと手紙のやり取りを続けていたある少女にも、連絡先を告げはしなかった。


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