非天マザー by B-CHAN

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携帯電話の販売台数ランキングに見るiPhoneの位置

ランキングと製品の善し悪しとは無関係


ボクは個人的には音楽でも映画でも携帯電話でもランキングなんてどうでもいいです。
ランキングというのは他人が見たかどうか、他人が買ったかどうかの順位付けであって、自分自身の趣味趣向とは何の関係も無いからです。
食べ物なんかでもそうですよね。
ボクはラーメン食べ歩きが趣味ですが、ラーメン店にもやはり人気ランキングがあります。
でもランキング1位の店の味とボクの舌の好みが一致するかどうかは別問題です。
ランキングがトップであっても自分の好みでなければ行く必要もないですし、人気が無い店でも自分が美味しいと思えば行けばいい。
ランキングに振り回されて自分の好みと異なるモノばかり選んでいると自分が損するだけですからね。
そんなわけで趣味趣向の面においてどうでもよいランキングですが、今回は趣味趣向ではなくデータとしてのランキングのお話です。
携帯電話の販売ランキングで有名なサイトはいくつかありますので有名なのをいくつか貼っておきます。


BCNランキング携帯電話
ITmedia携帯販売ランキング
ケータイWatchケータイ売れ筋ランキング


これらのデータもすべての販売店を網羅しているわけではありませんので完全に正確ではありまえんが、大数の法則を踏まえればおおむね参考にできますので、これらを前提に書きます。
おもしろいのはiPhoneのランキングが相変わらずトップクラスに居続けていると言うことです。
例えばITmediaのほうは1位に返り咲いています。
iPhone以外でも今や上位はすっかりスマートフォン1色という感じですが、iPhone以外の機種では割と浮き沈みが激しいです。
Galaxy SやREGZA Phoneも一時期はiPhoneを抜いてトップに立っていましたが下がり始めています。
この記事を書いている時点での最新のランキング(上記BCN)ではMEDIASやIS05が上位に来ています。
実はGalaxy SやREGZA Phone、MEDIASやIS05はいずれもiPhoneよりも後から出た機種です。つまりiPhone4はどちらかと言えば旧機種なんですね。
iPhone4にはいろんなハンデがあります。

  • キャリアがSoftBankであること(電波品質でdocomoやauに及ばないし顧客数も少ない)
  • 最新ではないので機能が見劣りする
  • 海外モデルなので日本独自の便利なサービス(おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線など)に対応しない
  • Androidと違って制約が多い(日本語入力システムを例えばATOKに入れ替えができないなど)

こんなふうにいろんなハンデを抱えているにも関わらず、大手のdocomoやauが送り出す便利な最新機種と比べても互角以上に売れています。
ここで明確にわかるのは、機能的に優れている機種が必ずしも売れるわけではないと言うことですね。
ボクもiPhoneユーザーなのでよくわかりますが、どう考えてもiPhoneは最新のAndroid機よりも機能的に見劣りしますし、ソフトウェアで見てもAndroidの方が優れている部分もたくさんあります。
なのでボクもAndroid機をとても欲しいです。
こんな不利な状況のiPhoneが今でも最新機種を押しのけてランキングのトップに返り咲いたりする理由は何でしょうか?
ひとつは価格です。
SoftBankは戦略的価格設定(iPhoneの端末代相当額は実質ゼロで手に入ってしまう)をしています。
簡単に言えば損して得取れ、というヤツですね。
この戦略はビジネスの世界では珍しくはなく、例えば任天堂などのゲーム機も、ゲーム機本体は格安で販売して普及させ、アプリケーションで稼ぐというビジネスモデルが普通です。
そしてもっと大きく言えば、ビジネスというのはそもそも損して得取るものなんです。
会社を設立したりビジネスを始めるには大きなおカネが必要です。
最初に大きなおカネを投資して創業し、それをビジネスの中で回収していくわけです。
経営的視点を持たない平凡なサラリーマンの人にはわかりにくいかもしれませんが、企業のバランスシートをイメージすれば不思議でもなんでもありません。
資金調達→事業実行→収益確保→配当
という、ごく当たり前の話です。
ただしiPhoneに関しては損して得取れの「損して」の部分が有利なんですよね。
これを読んでください。


iPhoneがAndroidに対して持つもうひとつの利点とは


まあとにかくSoftBankは、docomoやauのようなお役人系の企業と違ってベンチャーからの成り上がりですからビジネスには長けています。
ビジネスに長けた企業が必ずしも勝つわけではなく、もちろんdocomoやauのような大きな資本力がものを言うこともあります。
特に日本人は保守的な人が多いですから、プロ野球にしても自動車にしても電話にしても、最大手を選んでおけば安心、という人もたくさんいます。
そんな中で資本金も小さく後発のSoftBankが、機能的に見劣りする外資系のAppleの端末をこれほど売ってしまうのは、やはりビジネスが上手いと感心します。
マーケットが求めているのが必ずしも高スペック機種では無いということを理解していること、資本力に勝る大手に勝つために何をすべきかという知恵は消費不況に悩むボクらが参考にすべき事だと思います。
こんなこと書くと、ボクのことを孫正義氏の崇拝者だと思う人もいるかもしれませんが、いつも言うようにどんな人間でも正しいこと間違ったこともします。完璧な人はいません。
孫氏に関してもボクはビジネスのそういった知恵を讃えているだけであって、孫氏そのものを讃えているわけではありませんのでお間違えないように。
以前のボクのエントリーを読んでみてください。


信用できない格付機関を信じないこともまた信用できない行為となることもある


そんな感じでボクは特定の企業や人物を全面的に支持することはありません。良い部分は支持し、悪い部分は否定します。
さてさて、例年通りであれば今年も6月に新型iPhoneが発表されるでしょう。
おそらくまた販売ランキングでもトップになると思います。
国内メーカーの携帯電話やスマートフォンは確かに多機能で便利ですが、それらの多機能は国内でしか通用しないモノばかりです。
国内専用にすることによって海外で売れず、その結果世界での販売台数は外資系メーカーに圧倒的に見劣りします。
さっき過去の記事を貼りましたが、販売台数が圧倒的に少ないと言うことはコスト高を招くことになり、コスト高はメーカーにもユーザーにもしわ寄せが来ます。それは販売競争に負けると言うことです。
もはや鎖国でもしない限り外資系メーカーが普通に国内でも製品を売る時代です。販売競争に負けると言うことは日本企業の縮小を意味し、経済や雇用の縮小につながります。つまり日本人が生活ができなくなっていくということです。
Android機の合計の台数はすでにiPhoneを上回っていますが、いくら合計したところで、個々のメーカーの利益が大きくなるわけではありません。Googleという外資系企業が大きくなるだけです。
AppleやSamsungなどの世界規模のメーカーに太刀打ちできる国内メーカーが出てくることを祈るばかりです。


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