No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2017年3月29日 牛銀 本店

日本三大和牛紀行の終着地・松阪。
月齢が浅く、サシが入っただけの松阪牛ではなく、とことん味を追求した松阪牛
そんな松阪牛を肥育し、日本一有名な肥育生産地を支える拘りの生産者の姿を目の当たりにする。
松阪牛松阪牛たる所以が頭ではなく心が理解出来た。
そして、拘りの生産者の結晶を食べるために向かったのは、松阪金銀の双璧である”牛銀”。
かつては特産松阪牛しか扱ってなかった”牛銀”も、ここ数年は純但馬血統ではない松阪牛を扱い始め、いつでも特産松阪牛が食べれるわけではなくなってしまった。
松阪を支える老舗だからこそ、そこは拘り抜いて欲しいが、特産松阪牛の肥育頭数の減少や経営を考えれば、批判することは出来ないだろう。
ところが、幸運にも訪問当日は特産松阪牛が入荷している。
しかも今回牧場訪問した畑さんと藤原さんの肥育した特産松阪牛だ。
畑さんの特産松阪牛(個体識別番号1445175872)は月齢40ヶ月
血統は芳悠土井-菊俊土井-福芳土井。
SNSでも交流のある美方の田中一馬さんの繁殖者だった。
しかも、今回の個体について、田中さんのブログにもかかれているので、ぜひコチラもご覧ください。
そのリブロースを仲居さんが丁寧にすき焼きにしてくれる。
焼き上がったリブロースは、ホロホロと口の中で崩れるような儚さが持ちながら、噛み締めれば味付けに押さえつけられないほどしっかりした旨みを放つ。
なにより、鼻に抜ける香りが極上の余韻を与えてくれる。







続いて、藤原さんの特産松阪牛(個体識別番号1375154367)の肩ロース。
月齢は38ヶ月で、血統は芳悠土井-菊俊土井-福芳土井。
リブロースよりも適度の食感が強く、舌に巻きつくように味わいが広がる。





どちらも特産松阪牛らしい、本来の松阪牛らしい、素晴らしい味わい。
採算度外視で特産松阪牛を残そうとする生産者を支える老舗の底力を感じずにはいられない。
松阪を、日本を代表するすき焼きの老舗。
この拘りをいつまでも持ち続けて欲しい。
そして、この拘りをより強くし続けて欲しい。
“牛銀”にしか出来ない役目があるのだから。
(参考)Yakipedia by BMS12
○特産松阪牛
兵庫県産但馬牛を素牛とし、子牛を導入後900日以上の肥育が求められる松阪牛
かつて松阪牛が日本一のブランド牛と認知されていた時代は、素牛は全て兵庫県産但馬牛であったが、現在の松阪牛の中で特産松阪牛の占める割合は5%位しかないようだ。
もちろん雌のみ。
兵庫県で約8か月、松阪で約30か月(900日)なので、出荷される特産松阪牛場月齢38ヶ月というのは一般的な28ヶ月と比べれば、差は一目瞭然。
ちなみに高級デパートなどで見かける松阪牛シールには『A5』や『A4』といった等級が記載されているが、特産松阪牛は『特産』と記載されているのみ。
特産松阪牛の基準を満たすような個体なら、等級など関係ないという自信の表れだろう。