Hatena::ブログ(Diary)

シン・ゲリヲニズム『 嬢 画 』の論  このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-06-26 亡国のイージス級

戦艦の論 THE SEVEN VIII「見せ方という点で『亡国のイージス』よりよほど好きだ」








富野由悠季監督 映画講座】


団地』ヒット御礼トークイベントより

富野由悠季監督団地』を語る 〜



ネタバレあり


富野監督「『団地』というタイトル藤山直美さんで何をやるんだ。予備知識ない状態で、死ぬほどつまらない映画だと思った。だけど阪本監督とは、福井晴敏さんを通じた関係なんで。」



「観てみたら、あれっ、て。」



映画は作り物でなければいけないということを、頑張って作為(演出)しているところは、観ていてとても気持ちよかった。」



団地関西人胡散臭い言葉がズルズルいく中に、斎藤工さん(天気傘のサラリーマン)の



『準備万端バルタン星人大事なお願いがあってきました』



のような嘘っぽいもの、劇構成ができないかも知れないものを、滑り込ませる凄さだよね。」




f:id:BRIDGET:20160625170715j:image



阪本監督「どうしても、作為というか“けれん”は好きになってしまうんですよね。」




「そうでなければならない。リアリズムを追求してもカットが入ると作為になる。だから劇映画とかアニメ作品を見せるとは、物語をどう構成するかに尽きる。」


ディテールにこだわると、役者アニメーター作品になってしまうんだけど、今回のはちゃんと阪本監督作品になっていた。」




阪本監督「いろんな僕の映画を観てくれた人たちには、『急にSF ? どうしたの ?』とか突っ込まれるんだけど、僕は自分らしく仕上げたつもりです。」




「そういう人は、映画が作り物だと知らない人だ。映画プロパガンダができるという昔の観念を持っている人だと思いますデジタルでかなり自由動画が作れるようになっています。でも、そういうのを取り入れるほど、つまらない話が多くなっている。それは物語を伝えていないということ。作り物は最初の一本でいいんだよ。」


「、、すいません、ガンダム何十本も作ってます(小声)。」












http://danchi-movie.com












にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村

2016-05-08 アンドロメダ級 1番艦

戦艦の論 THE SEVEN VII「避難民よりガンダムが先だ。ホワイトベースに上げて戦闘準備させるんだ」








語源辞典 その一 「母の日」
http://gogen-allguide.com/ha/hahanohi.html
(母の日のルーツは少女アンナ)







【部分再録】 〜 「母の日」には 花 を 〜

2014-05-11 戦艦の論 5-10 より
http://d.hatena.ne.jp/BRIDGET/20140511/1399750465




 「どうして “ 花 ” って言うの?」



「名前?」



 「うん。」



「私が産まれた時、裏庭にコスモスが咲いていたの、自然に咲いたコスモス」

「それを見て、父さんが思いついたんだって、花のように、笑顔を絶やさない子に育つようにって」

「つらい時とか苦しい時に、無理矢理にでも笑っていろって」




日本興行収入160億円を突破し、なおも勢いに乗る『アナと雪の女王』の「アナ」は、「アンヌ」の英語読みであり、語源は “ 慈 愛 ” を意味するヘブライ語「ハンナー」(Channah)から起こっている。ちなみに「セイラとサラ」がそうであるように、「ハナとジャンヌ」、「花子とアン」、も同系統の名前だ。


ところで、野に咲く、名のない花のシーンで始る『おおかみこどもの雨と雪』の主人公の名前も「花」である。なんだか作品タイトルが『アナ雪』と似ている『アメ雪』の、母親名の由来をこじつけに、慈愛溢れる「ハナ」としてみると、偶然に間違いないが「花とアンヌ」はシンクロしている。






 

【部分再録】 〜 元、父の日 〜  


2015-05-19 戦艦の論 6 - 6 より
http://d.hatena.ne.jp/BRIDGET/20150519/1431965633





 「テロリストなの ?」



「よそから来た奴らだ」



 「ヨーロッパから来たの ?」



「ヨーロッパなわけねーだろっ !!」




息子ロビーに本気ツッコミするレイの名前は、レイ・ハリーハウゼンから来ていると思われる。

 1. レイ (トム・クルーズ) ← 「レイ・ハリーハウゼン」 『原子怪獣現わる』監督
  車の中でヒステリーをおこす妹は、
 2. レイチェル (ダコタ・ファニング) ← 「レイチェル」 『ブレードランナー』のアンドロイド(ショーン・ヤング)
  それをなだめるのが得意な兄は、
 3. ロビー (ジャスティン・チャットウィン) ← 「ロビー・ザ・ロボット」 『禁断の惑星』に出てきた、一般的ロボットの原型
  特撮の父に、SF界のトップヒロインなど、日本のアニメ・特撮に大影響を与えた名キャラクターを勢ぞろいさせている。

 4. オグルビー (ティム・ロビンス) ← 「オーグルビー」
  小説『宇宙戦争』主要人物にして、序盤の犠牲者の一人


そして、端役の新父ティムは、


 5. ティム (デイビット・アラン・バスケ) ← 萌えの父「手塚治虫」
  (アムロのお父さんテム・レイ博士の由来もここから)


別れた妻でレイチェルとロビーの母親は、


 6. メリー・アン (ミランダ・オットー) ← 萌えの母「友里アンヌ」
  (ウルトラ警備隊のほか、科特隊パリ本部隊員もアンヌ、同インド支部隊員は真里アンヌ。メリーアンとマリアンヌが同系統の名前ならば、真里アンヌと一字違いの友里アンヌとメリー・アンは連結する)




【部分再録】  他人の空似




『おおかみこどもの雨と雪』

 母「花」 ← 「アンヌ」(アン、ハンナ、ハナは同じ語源)
 姉「雪」 ← 「森雪
 弟「雨」 ← 「綾波レイ」(髪型と赤瞳のルックスが)




スピルバーグ監督が「父と子たち」によって、原子怪獣とレプリカントと旧式ロボに敬意を表明したように、細田守監督は「母と子たち」によって、セブンとヤマトとエヴァへの愛を宣言した(ように解釈できる)。「戦艦の論」では、「オマージュ」と言えるような主体的関与は不明ながら、偶然とみなすには似過ぎている事象を「シンクロニズム」と呼んで、公的解説と区分けしてきた。これからは、そのような私的解釈論の中でも、神話的キーワードで表象されている例を「憧憬の空似」として、明らかに見極めていく。






 _ 再録おわり(以下から現在)





他人の空似 二





「ん、アムロ、避難しないのか?」



 「父さん、人間よりモビルスーツの方が大切なんですか !!」



「早くホワイトベースへ逃げ込むんだ」



 「ホワイトベース?」



「入港している軍艦だ」







一昨年、母の日の投稿で、「花」と「アンヌ」のシンクロは偶然とし、昨年は父の日に絡み、「テム・レイ博士」の由来は「手塚治虫」だったと紹介した。今年も父母キャラクターの命名感覚について、改めて深掘りしてみたい。


アムロのお父さん、テム・レイ(「ティム・レイ」)のレイは零戦のレイだ。先にアムロのネーミングがあって、零戦の開発番号(A6M)を由来としたのが、やや苦しい表向き(後付け)の理由となっている。ところで、エジプト神話には「テム」という天地創造神が存在する。故にイメージ上の出自はこちらの可能性もある。エジプト九柱の神々の筆頭格でアトゥム、アテム、トゥム、アトムとも呼ぶとのこと。手塚どころか、その代表作にもつながった。


アトムが原子力を動力源にするところはガンダムに同じ。そして鉄腕アトムにシロウ(天外伺朗)をかけ合わせ訛らせると、テツワムアムロウ→ テム=アムロ になる。これは、ガンダムが仮の名「ガンボーイ」と呼ぼれていた時の設定「テムロ・アムロ」に近いことがわかる(企画メモ参照)。したがって「零戦」は、露骨にアトムを連想させないようカモフラージュするための、追加アイテムだったと想像できる。



f:id:BRIDGET:20160507232544j:image



いずれにしても、ガンダムの「生みの親」と「主人公」と「主役ロボ」がアトムの後継であることに違いない。また、底知れぬ手塚の偉大さをも物語っている。大事な存在のネーミングや神話の成形は、機械的、偶然には行われない。大切なものであればあるほど、名付け親は、恣意的に考え、至当な語感かどうかを繰り返し確かめる。残された公式書類に記載されている「事実か否か」は、ネーミングの「真実を探る」上であまり関係ない。インタビュアーが高リテラシーでない限り、原作者が神話から由来していると語ったところで、ちゃんと理解した記事にならないので、あとで、適当な思いつきが付け加えられたり、作為的な理屈がネット上で一人歩きすることもある。



日本(地域)に記録文字(漢字)が本格的に伝わってきたのは三世紀頃と考えられている。そして、固有の音声言語(やまとことば)が発達したのはそれより遥か昔である。では、記録に残っている以前の言葉はいったいどこから生じてきたのであろうか。日本人そのもののルーツに関わることで断定はできないが、渡来について興味深い説がいくつかある。「ヨーロッパから来たの ?」



「ヨーロッパなわけねーだろっ !!」



例えば、古代パレスチナで用いられた言語だ。ノア、ソロモン、ダビデ、シオンと言えば、馴染みのガンダム語辞典にも載っていそうだが、もともとヘブライ由来だ。伝播力の強い三千年の歴史をほこるヘブライ神話が、古代日本列島にだけまったく到達しなかったとは考え難い。その他多くの地域では強国の侵略を受けるごとに、文明の劣化と上書きがなされるが、日本だけは世界でも類例のない超長寿国家なので、その影響が、時々の外来思想の影響を受けて、大きく変質したり成熟化することはあっても、根絶やしにはされなかったと考える方が、自然ではないかと思われる。



つまり、キリストのおばあさんの名前である「アンナ」と、いつも笑顔の表情を見せる「花」のルーツを遡ると、かなり近いところに行くのではないかという空似論だ。美的認識の共感理由は、絶対言語級の課題かもしれないし、専門的には音声感覚のジャンルなのかもしれない、遺伝子レベルの刷り込みかもしれないし、いまのところ正直よくわからない。



f:id:BRIDGET:20160508002637j:image

語源辞典 その二「花」
 http://gogen-allguide.com/ha/hana.html
 (ハナ=アンナ説はどこにもない)



アムロのお母さん「カマリア・レイ」は、キリストのお母さんの名前に「かあさん」(かか様)の「か」をつけたのだと推測できる。マリア、マリ、メリー、も同源とみなすと、メリー・アン(『宇宙戦争』のおかあさん)は、キリストの母と祖母の最強のタッグだったわけだ。さて、急に私的な話題に転ずる。昨年、実家の家系図を見る機会があり、早くに亡くなった父方の祖母の名前が「ハナ」であることに気づいた。アンヌにこだわって論を始めた自身のファミリーヒストリーについては、話がズレて長くなりそうなので、次の機会に譲る。



















にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村

2016-04-24 Union Jack 3

戦艦の論 THE SEVEN VI「たすかって ばあさんになって あたたかいベッドで死ぬんだ 今こんなところで死ぬわけない」











【 巨大怪獣 】 『タイタニック




ホワイトジャック薔薇色のローズあいだに



f:id:BRIDGET:20160423173110j:image






 「ロ−ズ 船のチケットは本当に幸運だった」



 「それで君に出逢えた」



 「天のお導きだ 感謝しかない」



 「約束してくれ 僕のために、、、」



  (絶)









奇子』をお勧めいただいたきっかけは以下の投稿であった。



 _ 以下引用


タイタニック』は、一番最初劇場で観たのが小学生の頃でした。
それから何度も見る度に、歌の『100万本のバラ』が連想されます


「ある売れない画家女優に恋をして、遂には家を売ってそのお金で街中の薔薇彼女に贈る」という歌詞の、昔の歌です。日本語でもカバーされてますが、洋楽原曲ですね。




『100万本のバラ』(原曲歌詞は、ロシア語版とその内容を訳した日本語版とで異なる)



その歌の歌詞では、話したこともない女優に対して、画家は家を売ってまで薔薇を買い占めたり、命を捧げる、とまで言っているんです。叶わないと知りながら無償の愛を捧げる、という所が『タイタニック』同様だなと、すごく思っていました。





 _ 引用おわり(以下は著者)



タイタニック』は、「フランダースの犬」や『風の谷のナウシカ』等との類似でたびたび取り上げてきた。それを受けての感想であった。


フランダースの犬
A Dog of Flanders シンクロニズム『タイタニック』の論
戦艦の論 3-17「お、おらと、つきあってけろ!」
『AKIRA』
戦艦の論 4-6「My Heart Will Go On. 」
風の谷のナウシカ
戦艦の論 5-3「その者 蒼き衣を纏いて 金色の野に降り立つべし」
『サマーウォーズ』
戦艦の論 5-6 「母さん、おおかみってどうしていつもわるものなの?」




ジェームズ・キャメロン監督が『100万本のバラ』を意識して、ヒロイン薔薇の名前をつけたかどうかは知らない。でも『タイタニックディレクターズカット版では、アメリカへ渡ったローズが後に女優になっている。シンクロしているのは間違いない。そのローズが恋に落ちた白馬の騎士、白いキャンバスを抱えて旅する貧しい青年の名前ジャックだ。



ジャック」は、カードトリックスター意味しているあたり、ブラック・ジャックとの共通点も見出せそう、、。という流れで手塚治虫連想し、存在すら知らなかった『奇子』を紹介され、生まれて初めてこれを読んだ。そして、改めて発見の多さに驚いた。幼い少女が「ピュアな内面を保持したまま艶っぽい美女」に変貌するのは「メルモ」だし、心と顔に傷を負った男が、険しいアウトローの道を歩むところは「ブラック・ジャック」の元ネタと言ってもいい。



主人公が「売れない画家」と「女優の卵」というのは、歌や映画の世界に限らず、小説や漫画でもよくある設定かもしれない。しかし、『タイタニック』はもっと本質的な部分において、日本の有名アニメのいくつかに似ている。だから日本人にとってなじみやすく、他の各国と比べて異常に人気が高く、興行的にも突出して稼がせていただいた。ただし、それは成果から捉えた主因であって、出発時からあった市場戦略ではない。『タイタニック』が誕生しなければならなかった「なぜ」については、このブログを書き出す以前から、仮説を立てつつ考えていた。



継承する 宮崎駿安彦良和庵野秀明



例えば『タイタニック』と「フランダースの犬」の悲劇的終局で、同じ賛美歌が使われるのは偶然としてあり得るのかどうか。同一性認識していない可能性はあるだろう。死に直面した荘厳な状況を演出する上で、宗教的音楽の中から歌詞も踏まえてベストものをチョイスしたら、結果的にそうなったというパターンだ。では、巨大艦船の舳先にラナが立つという『未来少年コナン』のシーンではどうか。



少女は何かの生贄にされているという暗示に見える。『タイタニック』のローズは、旧家の破産を逃れるために好きでもない成金男との、自由を奪われた結婚生活を余儀なくされていた。彼女はまさしくスケープゴートであった。偶然か否か舳先に立って、ナウシカのように手を広げ飛び立つポーズをとる、支えられている様は天空へ舞い上がるシータのようだ。設定は少しずつ違えど、クラリスの『ルパン三世 カリオストロの城』も似たような展開だ。さらに言えば、『ふしぎの海のナディア』( 監督;庵野秀明)、『クラッシャージョウ』(劇場版/監督;安彦良和)も囚われの美少女が鍵となってドラマ進行する。



そして、ひとつの「神話」に行きついた



さて、『機動戦士ガンダム』と『奇子』は長編なので、どこにポイントを置くかで、見方、見え方は相当異なってしまう。しかし、その深層、本質部分においては同根だ。ア・バオア・クー(怪物の住む塔の意)からセイラを導き出し、土蔵(古い因習)の中から奇子を救い出すというのは、象徴的には「英雄がお姫様を助け出す物語」の部類に入る。これを「アンドロメダ神話」と言う。同様の話はギリシャだけではなく、世界の各地に分散している。『STAR WARS』しかり、『Roman Holiday』しかり。古代大和では「ヤマタノオロチスサノオノミコト(とクシナダ姫)」が該当する。



すなわち、似ているのは大元大元伝説哲学であって、たかだか十数年内の並列記録の因果だけではない。キャメロン日本アニメを部分的に真似たとしても、それ自体に大きな問題はない、手塚宮崎も、海外の映画をさんざん真似ているのだから。そもそも、昔話と呼ばれる文化資産は総じて紀元前神話からの流用だし、宗教的説話から引用だ。問題なのは模倣ではなく、時世に合わせた発展的継承となり得ているか否かである。それをうかがい知ることなく、意味理解せず、難産の上の大ヒット初期作を、表層のみテンプレート化して飾り立てたとしても、作品としておもしろくなるわけがない。そのような、シンの継承者足らない凡庸制作者の劣化コピーシリーズに、ビジネス上の権利保護を与えるのはあまりにタンニンだ。




 ひさかたの つきのひかりの きよければ 


 てらしぬきけり 唐
(から)大和も 昔も今も うそまこと


  良寛




夢を閉ざされたローズは、始め暗く沈んでいた。だが何色にも染まらず、清らかな心持ちのジャックに照らされ浮き上がり、見栄と欲望と金権力の、どす黒い威容を誇るタイタニックから解放された。バラの色も、光の当て方によって、眩しく白く輝くこともあれば、漆黒支配を受けることもある。時々で見る印象は違っても、時代により、場所により、物質自然や人の中身が変わっている訳ではない。



過去の偉人たちが研鑽し、遺してくれた伝承には智慧が詰まっていた。色・光・闇・空・天下、それらの相反するものも、すべては表裏一体とみなす悟りである。抗いきれない災難に直面した時や、希望を失いかけた時にこそ役立つ優しさだ。








 久方の 月の光の 清ければ


 照らしぬきけり ゴジラヤマトも セブンエヴァも アムロアトム

















にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村

2016-04-01 Union Jack 2

戦艦の論 THE SEVEN V「私も連れてって。どろぼうはまだ出来ないけど、きっと覚えます。」











【 手塚 治虫 】 『 奇 (あやこ) 子 』




ブラックなジャック と ふしぎなメルモ のあいだに




このブログの読者の方に『奇子』をお勧めいただいた。



 _ 以下引用


友達に勧めたことはありますが、中々理解してもらえなかったですね。笑

奇子もそうですけど、手塚治虫の作品では、設定の裏側に疑いをおき、深層に迫って人間の欲深さや非道さを明るみにしていきます。

誰しもが普通に暮らしていても、必ず心中に闇を持っている事を知らしめられている気がします。

手塚のダークな作品に共通しているのは、普遍と狂気は紙一重だという隠されたメッセージ性だと思いました。
ごく普通の日常生活を送っていても、狂気は常に真後ろにいて、己を監視している。
その出番が来るのを常に見計らい、ほんの一瞬、些細な出来事で普遍の糸が切れるとたちまち襲い掛かってくる。

誰でも狂気への入り口の一歩手前で、張り詰めた細い普遍の糸の上に立ちながら、何食わぬ顔で日常を過ごしている。

異常は客観視であって、当人にとってはそれが正常。

色んな観点を探せば観方は変わってくる、みたいな事を教えてくれた作品ですね。


 _ 引用おわり(以下は著者)


手塚は適当に話を盛ることなく、実際に起こった事件を挿入しながら、現実に起こりうる展開を、極めてリアルに描写しているという特徴があります。それは、安直なヒーローやヒロイン設定に対する挑戦であり、ありふれた正義や愛の言葉への、疑いの目がそうさせています。「体裁を整え、努力すれば報われると思うのは幻想だ。実際はそんなことはなく、社会は不平等に満ちている」思い切り反対側(暗黒面)へ振れることで、人間の逞しさと弱さ、真実の絆を浮き彫りにし、表現の限界を追求したかったのだと思います。



f:id:BRIDGET:20160401001235j:image



小学館の『ビッグコミック』に連載された手塚治虫の異色漫画で、発表時期は『ふしぎなメルモ』と『ブラック・ジャック』の間に当たる。「あさま山荘事件」、「日本列島改造論」、『仁義なき戦い』の時代であった。物語は戦後事件史から始まり、当時の世相を切り取りながら、地方の大地主一族と抑圧を受ける使用人たち、思想・価値観の変化・対立と、無垢な女性のかわいらしさとエロスを描いた、陰鬱で艶麗な作品である。



少女監禁事件 と 民進党



タイトルとなった『奇子』は幼い少女であったが、身内の犯罪を隠蔽するために土蔵に監禁されたまま青春期を過ごす。その姉(義姉)は民進党かぶれの恋人を殺されている。それに加担したのが復員兵の兄「天外仁朗」(次男)で、事実上の主人公である。仁朗は、陰謀によって人生を狂わされたため、偽名を名乗って裏社会でのし上がり、奇子へ定期的に多額の金を送り続けている。暗闇の中で美少女に成長し、やがて蝶のように解き放たれた奇子の前に、ある青年が現れる。しかし、偶然にも仁朗を追う立場の存在だった、、。



f:id:BRIDGET:20160401000438j:image



芹沢博士(『ゴジラ』)のように黒い眼帯を付け、マイケル・スコフィールド(『プリズン・ブレイク』)のようにクールで坊主頭の仁朗。尋常ならざる高度な能力で、怪物や国家の陰謀勢力とひとり闘う。だが、血を分けた妹には意外に優しい一面を見せる。さて、上の挿入画像と構図のそっくりなシーンが『宇宙戦争 WAR OF THE WORLDS 』にある。自身の無力を感じている父親トムが、地下の暗い階段の下で、さめざめと泣いている娘を慰撫するシーンだ。理解できるようで理解できない、もっとも謎な場面だった。けれど、スピルバーグが観客を置き去りにしてでも、これを撮りたかったのだと思うと納得する。人物の位置、カメラの角度、絶望的な心理状態、これほど印象に残るセッションを他では見たことはない、果たして偶然の一致なのだろうか。



f:id:BRIDGET:20160401001612j:image



待ち合わせも紹介もなく道端で遭遇し、突然尋問を始めても絵になる金髪イケメンと挙動不審なワンレン美少女。登場人物たちの異常性愛の描写も魅力のひとつと思うが、エログロを薄め複雑な相関図の中心にいる天外仁朗をある人物になぞらえると、『奇子』はモビルスーツの出てこないガンダムになる。



 「ここから地球に脱出するくらいの金塊を残していく」


 「私はもう、お前の知っている兄さんではない」


 「マスクをしている訳がわかるな」


 「私は過去を捨てたのだよ」




 黒い眼帯の仁朗 → 赤い彗星のシャア 
陰謀に巻き込まれ偽名とマスクで顔を隠す。
戦争で手柄を立てのし上がる。幼い頃離別したセイラに金塊を送る。


 天外奇子(妹) → セイラ
天性の美少女。不遇なお姫様。兄(シャア)を想っている。


 天外作右衛門(父) → デギン公王
ザビ家の当主。シャアの父暗殺の首謀者。


 天外市郎(兄) → ギレン総帥
戦争継続のためデギン公王を抹殺する。


 天外すえ → アストライア
魅惑的な美しさの持ち主。シャアとセイラの母親で幽閉されている。


 天外志子 → ハモン
アストライアと仲が良い。幼いセイラたちをザビ家から守る。
背伸びしているが、人としての常識と一途な想い(恋の恨み)がある。


 天外伺朗(弟) → アムロ
道理に合わない命令には決して従わず、妙に理屈っぽい。でも悩み多し。
ア・バオア・クーに閉じ込められていたセイラを救い出す。


 江野正(民進党員) → ガルマ
個人的な恨みはないものの友人シャアに謀殺される。
エノは今の民進党にもいそうな名前だ。


 キャノン少佐(キャノン機関/雇い主) → キシリア少将(キシリア機関)
国際的黒幕。シャアの運命に大きく関わる。
シャアとホワイトベース周辺に複数の諜報員を送り込む。
キャノンのパイロットに出会って寝返る女スパイも。






恭謙!! 恭謙!! 先見 予見



ガンダムの世界観作りに貢献し、世のテレビマンガの概念を変革した富野由悠季と安彦良和は、ともに虫プロ出身である。ガンダム企画前に連載されていた恩師の漫画を読んでいないわけがなく、その人物設定に影響がないとは絶対言えない。シャアを主人公にした『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は、複雑な人間模様を、政治を絡めてダイナミックに描いたことで評価されているが、『奇子』を下敷きにしなければ、あそこまで高い創造性は発揮出来なかっただろう。



ロリコン伯爵、火傷すっぞ



小さな窓ひとつしかない牢屋に閉じ込められ、欲望まみれのゲス野郎の監視下にある奇子は、逃げられるようになってからも(物理的に)、逃げられなかった(心理的に)。その「なぜ」は、ラナ(「未来少年コナン」)、クラリス(『ルパン三世 カリオストロの城』)、シータ(『天空の城ラピュタ』)を通し、くり返し問い続けられてきた。



f:id:BRIDGET:20160331150014j:image



ひさかたのひかりのどけきはるの日に、奇子はさくらを見ることができるだろうか。もし、心身が追い詰められているなら、どうやってか弱き心を助けだしたらいいのであろうか。





















にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村

2016-03-05 ジャックと沙羅の樹