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2009-02-12 この指摘は勉強になりました。

Dan Kogai氏の指摘についてこっちも調べてみた

13:13 | Dan Kogai氏の指摘についてこっちも調べてみたを含むブックマーク

2月3日の僕のエントリーを、著名なブロガーであるDan Kogai(小飼 弾)氏に取り上げていただきました。ありがとうございます。

それでは日銀が常に頑なだったのだろうか。


政府紙幣について - Baatarismの溜息通信

このような日銀の頑なな姿勢があるため、日本においては、国債を発行せずに財政政策を行う最も現実的な方法が、政府紙幣の発行となるわけです。


調べてみた。


http://dl.getdropbox.com/u/188965/blog/boj-bs-0001-0901.png


このグラフは、日銀のバランスシートの推移を、2000年1月から2009年1月まで追ってみたもの。元データは



をスクレイプして取った。スクリプトは最後に。


藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)

藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)


これを見ると、量的緩和の時代がはっきり見て取れる。この時には当座預金残高がぐっと増えて、それに対応するように国債保有残高も増えている。なぜこういう動きになるかは、「藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義」を読むとわかる。


実際には、マンデル・フレミングの法則を避けて財政政策をする方法として、この政府紙幣以外に、政府が発行した国債を日銀が買い入れて(これを国債引き受けと言います)、市場で流通する国債の量が増えないようにする方法もあります。日銀が直接政府から国債を買っても良いですし、政府が発行した国債と同じ量を日銀が市場から買っても良いです。


量的緩和の時代は、まさにこれをやっていた。


しかし、日銀はこの方法には否定的です。その理由は、戦前・戦時中に軍部が軍備拡張や戦争の費用を調達するため、日銀に大量の国債を引き受けさせて、その結果、戦後に大幅なインフレを招いたためです。日銀はこのことを二度と繰り返してはならないと思う余り、国債の買い入れには消極的なのです。


とはいっても見てのとおり日銀はピーク時で100兆円も国債を保有していて、今でも65兆円弱保有している。その割合バランスシートの54%にもなるのに、「原則禁止」なのだとしたら、一体原則とは一体なんなのだろうという気がする。


日本銀行:ページを表示することができませんでした Bank of Japan:Page cannot be displayed.

ただし、金融調節の結果として保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、「財政法」(第5条ただし書き)の規定に基づいて、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています。


あれ?「国会の議決」って書いてある。


だとしたら、なんで「ついこの間まで」やってた方法を捨ててまで政府紙幣なんて言うんだろ?「前例がない」とかならとにかく、見ての通り2006年度まではやってたわけですし。私にはリフレがいいか悪いかわからないけど、政府紙幣が不要なことは日銀自らが証明しているのは確かではないのだろうか。


もっとも、政府紙幣にしろ国債引き受けにしろ、今のままだと金が回るのは市中銀行までで、その先に行き渡るかがかなり疑問なのだけど。"Money as Debt"も指摘する通り、銀行以外の誰かが借りてくれないとお金も増えないのだし。


それにしても、お金はいつまで増やさないといけないのだろう....


404 Blog Not Found:政府紙幣vs日本銀行券


日銀は量的緩和を実施した時代に国債を大量に買っていたではないかという指摘ですが、これについて調べてみるために、まず当時の国債残高と長期金利、円相場を見てみます。


まず国債残高ですが、2000年以降の普通国債を見ると次のようになります。(単位:億円、2007年、2008年は見込み値)*1

量的緩和が行われていた2001年から2005年にかけて、平均して約30兆円づつ国債残高が増えていますが、2006年以降は増加が抑えられています。

普通国債
20003,675,547
20013,924,341
20024,210,991
20034,569,736
20044,990,137
20055,269,279
20065,317,015
20075,466,725
20085,533,118


次に長期金利を見ると、途中上がり下がりはありますが、国債残高が増えていた期間に大幅な金利上昇は見られません。*2

http://www.bb.jbts.co.jp/data/images/graph_10y.gif


円相場を見ても、この期間を通じた大幅な円高は見られません。*3

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/images/5070.gif


ということは、Dan Kogai氏の指摘通り、量的緩和期間中の日銀による国債購入が、国債の大幅な発行にかかわらず、金利高や通貨高を抑える一因となっていたと考えて良いでしょう。


ただ、この日銀による国債買い取りは、僕が「日銀が直接政府から国債を買っても良いですし、政府が発行した国債と同じ量を日銀が市場から買っても良いです」と言ったときに念頭に置いた、政府による財政政策の赤字を日銀が通貨発行で補うというものではないと思います。量的緩和政策に伴う国債買い取りですから、量的緩和政策の目標である当座預金残高を達成するために、市中銀行から国債などの債権を買ってその代金を当座預金残高積み立てさせるという政策によって、ここまで日銀の国債保有残高が増えたと考えられるでしょう。

もちろんこのことが結果的に財政赤字を補うことになり、金利高や通貨高を抑える一因となったわけですが、それは当初の日銀の意図ではなく、一種の副作用だったと思います。ただ、このような日銀による結果的な財政赤字の補填が、金利高や通貨高を抑える事を通じて、景気回復の一つの要因となったことも事実なのでしょう。


しかし、2001年から2006年は概ね小泉内閣時代で、積極的な財政政策が行われなかったことは、考えておかなければならないと思います。それに対して今は積極的な財政政策が求められている状況ですから、日銀が再び量的緩和政策を開始して、当座預金残高を達成するために市中銀行から国債を買っても、それが膨れあがった財政赤字を補填する規模になるかどうかは分かりません。だから、財政赤字の補填を確実にして、金利高や通貨高を抑えようとするならば、Dan Kogaiさんも指摘している財政法第5条但し書きによって、国債の日銀引き受けをする方が良いと思います。僕も政府通貨よりはその方が良い政策だと思います。


あと、Dan Kogai氏は「もっとも、政府紙幣にしろ国債引き受けにしろ、今のままだと金が回るのは市中銀行までで、その先に行き渡るかがかなり疑問なのだけど。」と言ってますが、これについては政府紙幣や国債引き受けによって政府が得た貨幣を、財政政策で企業や家計に行き渡らせるという経路もあるでしょう。だからこそ、通常の金融政策が行き詰まった現在、政府紙幣が主張されているのでしょう。


ただ、Dan Kogaiさんが最後に言っている「それにしても、お金はいつまで増やさないといけないのだろう....」という思いは、僕も感じますね。貨幣の流通速度の増減というものは凄まじいもので、それを政府・中央銀行が補うのは大変なことです。

べっちゃんべっちゃん 2009/02/12 20:37 2008年の10月から「合計」が増加しているにもかかわらず、個別項目に増加が見られないのですが、これはこのグラフには入っていない項目が増加しているのでしょうか?

BaatarismBaatarism 2009/02/12 22:17 >べっちゃんさん
あのグラフの「合計」が何を意味してるのかは、僕にも判らないんですよ。向こうのブログのコメント欄でも、いろいろ指摘されてますね。

kmori58kmori58 2009/02/13 13:48 「合計」は日銀のバランスシートのサイズですね。元データはこれ。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/ac07/ac090210.htm
おそらく、金融危機発生以降に外国の中銀との外貨スワップが始まったために
資産側に外貨が、負債側に海外中銀の持つ円預金がはいって膨らんでいるものと思われます。

BaatarismBaatarism 2009/02/13 14:12 >kmori58さん
なるほど、そういうことですか。
だったら他の項目に出ていないのも納得ですね。

べっちゃんべっちゃん 2009/02/13 21:45  じゃあ円が下がってもいいはずでは?

 将来的に下がるのかな。

kmori58kmori58 2009/02/13 22:57 マネタリーベース=日銀券+日銀当座預金
ですから、それ以外の項目が増えても金融緩和にはなりません。
当座預金も付利するようになってから果たしてマネタリーベースといえるのかどうか怪しくなってきましたし。

BaatarismBaatarism 2009/02/13 23:25 >べっちゃんさん、kmori58さん
海外の中央銀行の持つ円が増えても、市場には流通しないですからねえ。ただ、その円が為替介入などで使われたら、多少は円安要因になるかもしれませんね。

べっちゃんべっちゃん 2009/02/14 00:25  てことは、日銀はストックで円が増加する政策は実行しているけれど、フローで円が増加する政策はやっていないと言うことになりそうですね。

やすゆきやすゆき 2009/02/14 05:05 ここの議論はハイレベルだ。ついていけねぇ(w
>べっちゃんさん、Baatarismさん
初歩的質問で申し訳ないですが、日銀って量的緩和政策はあんまり効果がなかったって見解のはずですよね。「ストックばっかり増えちゃった」というのが彼らの理屈なんでしょうか?
むしろ財務省の大規模為替介入(円売りドル買い)の方が結局市中に円が出回りやすく、実際緩やかな「いざなぎ越え」景気回復の実現に貢献した・・・なんて説もあったような。ただこの部分うろ覚えなので、御教授していただければ幸いです。

べっちゃんべっちゃん 2009/02/14 10:19  多分為替介入の評判が海外では悪かったのではないでしょうか?あの時日本は超大不況の瀬戸際にあったのでかろうじてお目こぼしをしてもらえましたが、欧米が落ち込んでいるときに、円安誘導策をやると、向こうは対抗措置として保護貿易に走るかもしれません。

 ならば、海外ではなくて国内に円をばらまけばいいだけなんですが、財政政策は日銀の言い分ではお金を使う政府の側から持ちかけるべき話で日銀から積極的に提案するのはお門違いという姿勢を堅持しています。

BaatarismBaatarism 2009/02/14 12:49 >やすゆきさん
量的緩和で一番効果があったのは時間軸効果(量的緩和で準備預金を積み上げている間は利上げできないので、期待インフレ率が下がる)という説が有力ですね。
ただ、大規模為替介入も日銀が非不胎化(介入で市場に出た円を日銀が国債売りオペで吸収しない)したために効果が大きかったので、そこで量的緩和や、DanKogaiさんが指摘した国債買いオペとの関係があったのだと思います。

>べっちゃんさん
あのときの為替介入はアメリカの容認があって行ったものでしたね。
今のアメリカ政府は為替操作には厳しいですから、あのような大規模為替介入は難しいでしょう。だから円高を避ける有力な方法としては、日銀がもっと金融緩和をすべきなんですが。
そして政府・日銀は財政政策と国債引き受けでもっと円をばらまくべきですよねえ。

やすゆきやすゆき 2009/02/14 13:57 >Baatarismさん、べっちゃんさん
時間軸効果・・・もっと勉強いたしますm(_ _)m
#やっぱりここレベル高い(w

政府-日銀の協調さえままならない、やっぱし今の政治って(涙)

arrackarrack 2009/02/16 19:45 とりあえずこの3ヶ月間中央銀行や政府が必死になって対応した結果が出揃いました。

■2008年10-12月期実質GDP成長率(季節調整値)
日本
前期比-3.3%(年率-12.7%) 前年同期比-4.6%
ドイツ
前期比-2.1%(年率-8.1%?) 前年同期比-1.6%
イタリア
前期比-1.8%(年率-7.0%?) 前年同期比-2.6%
ユーロ圏
前期比-1.5%(年率-5.9%?) 前年同期比-1.2%
イギリス
前期比-1.5%(年率-5.9%?) 前年同期比-1.8%
フランス
前期比-1.2%(年率-4.7%?) 前年同期比-1.0%
アメリカ
前期比-1.0%(年率-3.8% ) 前年同期比-0.2%

もう何も言うまい・・・

BaatarismBaatarism 2009/02/17 09:54 >arrackさん
2008年10-12月期だと、政府や日銀の対策が行われる前の時期なので、この3ヶ月間に対応した結果はまだ出ていないと思います。
この数字は、韓リフさんが言うように、2007年の日銀の利上げや定率減税廃止による不況に、世界金融危機による輸出急減の影響が加わった結果でしょう。

http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090217#p1

政府や日銀の対策の効果が出るのは1-3月期や4-6月期、場合によっては7-9月期となるでしょうが、それで少しはマシになるのか、それとも全く効き目が現れないのか。まあ、あまり期待できなさそうな気はしますが。

しかし、このデータを見るとアメリカはしぶといですねえ。金融危機直撃の時期なのに、前年同期比-0.2%とは。

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