2009-11-28 結局、みんな過去の偉大な経済学者の奴隷というわけです。
金融関係者の反リフレ論について
勝間和代さんが菅直人副総理にリフレ政策を訴えてから、ネットでも再びリフレ政策に関する論争が盛り上がりましたが、その中で目立つのが金融関係者による反リフレ政策の意見です。ただ僕が見たところ、どうも問題が多い意見が多いと思うので、今回がいくつかの意見について取り上げてみたいと思います。
まず、藤沢数希氏のブログ「金融日記」です。このブログには以下のような記事がありました。この記事では日本の潜在成長率が低いことがデフレの原因だと主張しているのですが、この主張のキーになる部分は以下の部分だと思います。
次にアメリカの長期国債と日本の長期国債のリターンを考えましょう。
国債の実質的なリターンは金利からインフレ率を引いたものです。
これは実質金利と呼ばれます。
物価が下がっているとお金の価値は上がるのでたとえ金利がゼロでも国債は高いリターンを出しているのと同じです。
ここでアメリカ国債の実質金利をR(a)、日本国債の実質金利をR(j)、それぞれの名目金利ををI(a)、I(j)、それぞれの期待インフレ率をP(a)、P(j)としましょう。
期待インフレ率とは人々が予測するインフレ率です。
R(a) = I(a) - P(a)
R(j) = I(j) - P(j)
しかし、ここでカネだけは完全にグローバル化していますから、両国の国債の期待リターン、つまり実質金利も同じぐらいになるはずです。
そうなるまでリターンの低い方が売られて、リターンの高い方が買われます。
期待リターンと実現リターンを混同するのはよくありませんが、過去10年ぐらいのアメリカ国債の長期金利の平均は4%ぐらいでインフレ率は2%ぐらいでしたし、日本の長期金利の平均は1.5%ぐらいでインフレ率はマイナス0.5%ぐらいだったので、実現した実質金利は両方ともぴったり2%ぐらいで一致しています。
ところで投資家からみればこれはリターンですが、お金を借りて事業を興したり投資をする人からみればこれは負債コストです。
債券の投資家のリターンである金利と経営者が支払う負債コストはコインの裏と表です。
さて、ここでアメリカと日本の実質潜在成長率をG(a)、G(j)としましょう。
金融引き締めでも金融緩和でもない中立な金融政策とはこの金利と潜在成長率を同じぐらいになるように誘導することです。
中立な金融政策では実質長期金利と実質潜在成長率が等しくなればいいでしょう。
G(a) = Rn(a) = In(a) - Pn(a)
G(j) = Rn(j) = In(j) - Pn(j)
しかしマーケットで債券の投資家に求められているリターンは両方とも同じでR(a) = R(j)でないといけません。
ところが人口の減っていく老いぼれ国家の日本とアメリカのような人口も増えてどんどんイノベーションを生み出す国では成長率は違いますから当然、次のような不等式が成り立ちます。
G(a) > G(j)
またここで元に戻りますけどR(a) = R(j)になるように市場の投資家から常に圧力を受けるわけです。
つまり、現実には次のような関係になるわけです。
G(a) > R(a)
G(j) < R(j)
要するにアメリカでは常に成長率>金利の世界で、日本は常に成長率<金利の世界なのです。
これは日本には慢性的な金融引き締め圧力で、アメリカには慢性的な金融緩和の圧力がかかることを意味します。
アメリカや新興国がずっとバブル気味だった時に、日本はずっとデフレだったのはうなずけますね。
潜在成長率の相対的に低い国にはカネのグローバル化から常に金融的なデフレ圧力がかかりつづけるのです。
こうやって見ると一見もっともそうな理屈なのですが、よく見ると前半ではG(a),G(j)は潜在成長率だと言っておきながら、後半では成長率だと言っています。潜在成長率は完全雇用が実現した場合の成長率のことであり、成長率から景気の影響を除いたものですから、両者は別のものです。
従って、この議論の結論は「成長率の相対的に低い国にはカネのグローバル化から常に金融的なデフレ圧力がかかりつづけるのです。」となるはずであり、「だから成長率を上げよう」となるはずです。このように成長率と潜在成長率を巧妙にすり替えることによって、成長率を上げることは出来ても潜在成長率を上げることは出来ない金融政策や財政政策を否定するように、読者を誘導する記事だと思います。
(この話については、文末の補足も参照してください)
また、この記事の後半では、バーナンキの背理法を否定して、国債を発行し続けていると以下のグラフのようなハイパーインフレになると主張しています。
しかし、これまで高インフレになった国でも、インフレターゲット政策によってインフレ率を抑えることができています。特にブラジルでは、5000%のインフレが5年で10%以下に抑えられました。また、成長率についても、今の日本並みに落ち込むこんだ例はないようです。具体的なデータについては、以下のブログに詳しく紹介されています。
インフレターゲットを導入して成長率は上がったのか? - DeLTA Function
従って、政府が国債を発行して中央銀行がそれを購入する政策を実施する際に、あらかじめインフレターゲット(あるいはそれと同様な効果を持つ物価水準ターゲット)を定めておき、ターゲットを超えたときに金利上げや通貨量抑制の政策を行えば、ハイパーインフレにならずに済むと思います。
同様なハイパーインフレ論は次のブログでも述べられていますが、やはりこれらの例から見て、経済政策で防止することは十分可能だと思います。*1
ただ、これらの記事はまだ経済学の枠組みの中で議論が行われています。
しかし、金融関係者の意見の中には最初から経済学を否定して、金融市場の現場感覚に合わないからとう理由だけで、リフレ政策を否定している人もいるようです。
個人的には(まあ私は経済学はまともに勉強したことが無いので妄想ですが。為念)「インフレはいついかなる場合も貨幣的な現象だ」(by フリードマン)と思いますが、普通の経済状況であれば(例え大不況におちいったとしても、国民国家の貨幣発行の根本が揺らいでいない限り)潜在成長率が上がらない限りネガティブフィードバックでデフレからなかなか脱却できないと思っていますが、そんな(ポジティブ・ネガティブフィードバックの多次元系で)一元的で簡単なもんでもないというのも重々承知しています(インフレするためにお金たくさんすっても、それをどこに・どうやって供給すんの?現実的に考えれば消費が上がってこなければ手持ちの金を作り出すすべがない。<ちなみに前のバブルはこの供給がうまくいった例でしょうけど。)。前にも何度か書きましたが、デフレギャップの大きな理由は個人的には「産業構造の硬直化(無駄なもん大量に作ってる or 無駄なとこに金つっこんでる)」とおもってますから、これは簡単には解消しないと思っています。私も含めて人間なかなか変われない生き物でしょうから。
世界は”過去の様々な要素が今の一点で集約され、そして未来に拡散していく”のですから。
【追記】しかし論争をみていると、金融市場をわかっている人はその実現可能性から「そんなの無理だ」といっている場合が多く、一方で経済学者の方(リフレを理解されているとおっしゃる方)は「なんで無理なんだよ」とおっしゃって対立してるように見えます(言い方は、「やつらはマクロをわかっていない。馬鹿金融屋を一掃しろと。ではできましたらあなた銀行に就職して、金稼いでみてください、といいたい)。例えば経済学者の方は「日銀が無限に国債を引き受けるとコミットして、金利をコントロール」うんぬんとか書かれていた方がいますが、マーケット参加者は「長期金利コントロールなんてできっこない」と思ってたり。
さて、何故金融関係者にはこのようにリフレ政策を否定する人が多いのでしょうか?
その理由について、高橋洋一氏は「恐慌は日本の大チャンス」の中で以下のように説明しています。
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インフレ目標への批判は金利・債権ビジネスに従事するポンド・トレーダーなどの金融・市場関係者の間でも根強い。彼らがインフレ目標に反対する理由は、インフレ目標が採用されると名目長期金利が上昇(フィッシャー効果)し、保有債券の評価損が生じると信じているからだと言われている。
「恐慌は日本の大チャンス 官僚が隠す75兆円を国民の手に」 (pp193)
インフレ目標を設定すると、インフレ期待が生じ、名目金利が上がる。そのため、金融機関や日銀のバランスシートを毀損させるので好ましくない。これが「金利上昇論」である。
経済学者アービン・フィッシャーが考案した方程式では「名目金利=実質金利+予想インフレ率」となっている。したがって、予想インフレ率が上昇して名目金利も上昇するというわけだが、この方程式が成立するためには完全雇用でなければならず、現在のデフレ状況下では、フィッシャー効果はただちには実現しない。
つまり、デフレ下では現金需要が極めて旺盛な「流動性の罠」の状態なら、現金がじゃぶじゃぶある状態であり、インフレ期待が生じても、それらの一部が債券購入資金にまわり、債券価格の下支えとなって、金利はなかなか上昇しないのだ。一九三〇年代の大恐慌においても、アメリカや日本では、名目金利の上昇は見られなかった。
「恐慌は日本の大チャンス 官僚が隠す75兆円を国民の手に」 (pp201)
つまり、金融関係者がリフレ政策に反対するのは、フィッシャー効果を誤解しているからだということになります。
ケインズが「一般理論」に書いた有名な言葉に、次のようなものがあります。
「いかなる知的影響からも無縁であると自ら信じている実務家たちも、過去のある経済学者の奴隷である」
リフレ論争において、一見経済学をバカにしているような金融関係者も、実は経済学的な考え方に基づいて(ただしそれを誤解して)反対していることになります。このケインズの言葉は、この状況を見事に説明しているのではないでしょうか?
補足(11/29)
この記事のコメント欄で、id:himaginaryさんが、藤沢氏の主張は金利平価説の誤用(名目金利を使うべきところで実質金利を使っている)であるという指摘をしています。また、藤沢氏の記事のコメント欄では、ピロシキさんという方が、予想貨幣レートを無視していることを指摘しています。これらのコメントは僕が見落としていたところを補うものなので、ご覧になることをお勧めします。
*1:この記事のコメント欄でid:fromdusktildawnさんが反論していますが、僕もその意見に賛成です。

>デフレギャップの大きな理由は個人的には「産業構造の硬直化
>(無駄なもん大量に作ってる or 無駄なとこに金つっこん
>でる)」
だから構造改革なんですね・・・と危うく同意しそうになったが、今時無駄なもん大量に作ってるところはほぼ皆無。工場の稼働率はどこも軒並み下がってるんですから。大田区か東大阪を見学して来いって言いたくなりますねww
上記は人的資源の再配置、という意味で使ったんですけどね。
私自身はフィッシャー効果はその通りだと思いますけど、「インフレターゲティング」で長期金利のコントロールは不可能だと考えています。まあ現実日本で可能か不可能かは現実「なってみないとわからない」と思いますけど。。。
少なくとも民間では、無駄なもん大量に作るなんて余裕のあるところはないでしょうね。中小企業は仕事がなくて困っているのが実体でしょう。
>ttoriさん
こちらこそttoriさんのブログに言及した部分はちょっと言い過ぎました。すいませんでした。
たぶん、リフレ政策では長期金利の厳密なコントロールは考えていないと思います。もっともあまり急激な上昇は景気を悪化させるので避けようとするでしょうが。
>md2takさん
確かに理屈の上ではそうなりますね。ただ、現在の日本のように不況が長期化している場合、実際の潜在成長率よりも推計した潜在成長率の方が低く出る可能性はあるでしょう。
以下のエントリーでは、そのような話をもっと詳しく考察しています。
日本の「潜在力」と構造改革: マーケットの馬車馬
http://workhorse.cocolog-nifty.com/blog/2005/11/post_78f7.html
了解です。読んでみます。
実際の所はよくわからないんで誰か↓で調べておいて下さい。
世界のインフレ率ランキング
http://ecodb.net/ranking/imf_pcpie.html
世界の経済成長率ランキング
http://ecodb.net/ranking/imf_ngdp_rpch.html
あと無税国家状態のバーナンキの背理法で財政破綻するのかもよくわかりませんでした。
こんなこと書かれたら、カチンと来ますよ(笑)
> 言い方は、「やつらはマクロをわかっていない。馬鹿金融屋を一掃しろ」と。ではできましたらあなた銀行に就職して、金稼いでみてください、といいたい
競馬で稼げる人がJRAの経営にふさわしいとは限らないし、パチンコで稼げる人がパチンコ店の経営にふさわしいとは限らない。同じように、市場で稼げる人がマクロ経済政策の運営にふさわしいとは限らないのです。
マクロ経済学は市場で稼ぐ方法を教える学問ではありません。市場の整備・市場の監督そして社会政策を行う方法を教える学問です。
ですので経済学徒に「銀行に就職して、金稼いでみてください」と捨てゼリフを吐くのはナンセンスです。関連があまりないので。同様に金融屋に「当局に就職して、経済成長させてみてください」と期待するのもナンセンスです。
すいません、、、。どっちかというと他の方のコメントを拾って書いていたものであんまり他意はなかったんですけど、、。
まさか私のあほなBlogがこんなにまでいろいろな方にご覧になられているとも思ってなかった部分もあったんですけどm(_ _)m。
いろいろな文章をよんでいるとどうも「金融屋vs経済学者」という図式が結構ある気がしますが、一番いいたかったことは最後に行き着くところは「デフレどぎゃんとせなあかん」で、みんなで知恵出して、行政に働きかけ(”政府”・日銀)、某女史をたたくのもいいです(理論的に)が、ならばその女史を使って経済学の方がレクを行って欲しい、という願いでした。(金融屋がやるとポジショントークになりますし、「業界」利益誘導とかいわれてしまいますしね)
とまれ、いろいろ皆様のお気持ちを逆撫でるような事を書いたのも確か。
すいませんでした。
その場合金融機関は当然デフレの時に買った債券を売って、インフレ状態で発行された債券に買い換えるという行動を取ると思います。そうすると、デフレ状態の時の債券の価格が低下し、インフレ状態を加速します。
これは即ちインフレターゲット政策の効果を認めることに他ならず、金融業者は「インフレターゲット政策なんて効果がないよ」と言っておきながら同時に「でも実行したらインフレになって評価損が生じるからやめろ」と言っていることになり矛盾します。
ということは現状では金融業は国債の金利でそれなりに儲けていると言うことなんでしょうね。だから現状を変えたくないと。Baatarismさんがおっしゃる「デフレは既得権を持った人たちに有利に働く」の一番の実例なんでしょう。資本主義経済で最大の既得権益者は大銀行のはずですから。
銀行家にとっては、景気が回復しない程度に政府が国債を発行し続けてくれる状態が一番心地良いと言うことなのかもしれません。
国外の債務を20世紀末に整理したあとの最近の南米諸国はインフレになることはあっても、倒産が続発するという事態にはなっていなかったと思います。ほぼ100%債務が円建てで債券保有者も法人である日本はたとえハイパーインフレになっても企業は潰れないはずです。毎日経費や利率が激しく変動するので経理マンや銀行マンの見かけの仕事量は増えるでしょうけれど。
ほぼ100%債務が円建てで債券保有者も日本人である日本はたとえハイパーインフレになっても企業は潰れないはずです。毎日経費や利率が激しく変動するので経理マンや銀行マンの見かけの仕事量は増えるでしょうけれど。
江戸時代の日本は人口の増加や大幅な技術革新が期待できず、輸出入の拡大もできませんでしたので、金融業者は大名(地方政府)以外に投資先がなかった。しかし投資先がないので、元本の返済を求める必要もなかった。ですので財政破綻で潰れた藩はありません。大名貸しにとっては藩が潰れない程度に利子を払ってくれる状態が一番心地良かったのでしょう。
その時に徳川幕府がどうしていたかというと、貨幣改鋳(要はリフレ政策と政府紙幣の発行)で財源を得ていました。貨幣改鋳をやった政治家というのは江戸時代でもなぜか儒教的道徳で難癖をつけられて失脚することが多いのですが、これについても評価損を計上させられた両替商たちの意向というものを想定する必要があるのかもしれません。
それでも江戸時代の政府はリフレ政策を実行していたわけですので、今の日本よりは進んでいると言えると思います(笑)
デフレって信用力が超過している状態だと思いますので、そういう経済ではもしかして中央銀行って存在価値がないのでは?基本的に貨幣が常に不足でデフレがデフォルト状態だった近世以前は、どこの国でも造幣局だけしか必要なかったんですよね。
仕分けが話題になったせいか、日銀を仕分けしろという話も出てきてますね。
まあ、僕は中央銀行は必要だと思いますが、あんなに支店が必要なのかという意見は多そうです。
>JFMさん
>マクロ経済学は市場で稼ぐ方法を教える学問ではありません。市場の整備・市場の監督そして社会政策を行う方法を教える学問です。
そう言えば、フィッシャーも世界大恐慌で財産と名声を失ってますね。一方、ケインズは投資家としても成功した人です。このように経済学者としての業績と投資家としての能力は、全く関係がないのでしょう。
>ttoriさん
インターネットというのは「誰が見てるか分からない」怖さがありますよねえ。それを軽視して痛い目に遭う人は、大人・子供、有名・無名を問わず多いです。だから、誰かを批判するときは、よほど慎重にやらないと、どんなとばっちりが来るか分からないですよねえ。
「金融屋vs経済学者」という図式は確かにあるようですね。「経済学者」(この場合はリフレ政策に賛同する経済学者という意味ですが)から「金融屋」を見ると、「金融屋」がリフレ政策の何を本当に恐れているのか分からないというのが、正直なところだと思います。まずそこが分からないと、議論は先に進まないでしょう。
>べっちゃんさん
なるほど。デフレで利益を得るのが誰かという観点は重要ですね。
インフレだと誰に投資するかで収益が大きく違うので、金融機関の能力が重要になりますが、デフレで国債に投資していれば収益が得られる状況だと、金融機関の能力はあまり重要ではなくなりますね。
江戸時代の貨幣改鋳を巡る政治情勢を、そういう視点から見るのも面白そうですね。
歴史的に見てデフレだと造幣局しか必要なかったという考え方も、面白そうです。
藤沢さんの記事は金利平価説を応用しようとしているのだと思いますが、コメント欄でピロシキさんが指摘しているように為替を省略しているという問題のほかに、実質金利を均等化の対象にしているという問題もあるように思います。そのことが、本来は金融政策よりも困難な潜在成長率の引き上げ政策が「ボーリングの一番ピン」になり、金融政策の対象であるはずのデフレ問題が「最後に倒れるピン」になるという逆立ちした結論が出てきてしまったそもそもの原因のように思われます。
ここで、金利平価説から素直に名目金利の均等化を考えた場合、藤沢さんの記号を用いれば、
In(a) = Rn(a) + Pn(a) と In(j) = Rn(j) + Pn(j)
が均等化の対象になります。もしIn(a)>In(j)ならば、金利平価説からは
・為替レートが円高に振れる
・Pn(j)>Pn(a)となる
のいずれか(もしくはその組み合わせ)が帰結として導き出されるかと思います。リフレ派が後者を提案しているのに対し、日銀は前者の方針を採っている(のみならずPn(j)<Pn(a)の状況を放置して一層の円高を黙認している!?)ということになる、というのが金利平価説を用いた素直な現状の解釈のように思います。つまり、藤沢さんは、フィッシャー効果の解釈云々以前に、金利平価説の理解で躓いている(あるいは意図的に誤用している)ように思われます。
> 一方、ケインズは投資家としても成功した人です。
余談ですが、これについてはサムナーが以前異を唱えていました。
http://blogsandwikis.bentley.edu/themoneyillusion/?p=1652
ちなみに、このエントリに私はまさに、経済学者としての業績と投資家としての能力は関係ないのではないか、というコメントをしておきました。
なるほど、金利平価説が関係していたんですか。それはちょっと気づきませんでした。僕もまだ勉強が足りませんねえ。(^^;
今回の記事は、himaginaryさんのコメントと合わせて読んだ方が良いですね。
ケインズについては、himaginaryさんの記事で異論も読んでいたのですが、今回は定説を使ってみました。ただ、いずれにせよ結論は同じで、「経済学者としての業績と投資家としての能力は関係ない」ということですね。
金融関係者の言動が証明することは、実証に耐えた経済学の重要理論を数多く誤解していても金融市場で稼ぐことができる。という事でしょう。
要するに、金融関係者にはケインズの美人投票競争を出し抜く才能さえあれば後は何も要らない。
金融関係者が言わば「プロ雀士」なのは認めるから、思い上がって「雀荘の経営」にまで余計な口出しするのは本当に止めてほしいものです。
>はっきり言って、我々マーケットサイドに言わせると経済学なんていうものはただのそびえたつクソのようなもので、マーケットの動きを予想したりするには何の役にも立たない*1わけですね。 *1:まあシナリオ営業的な活動のツールとしては活躍し得ますが。
と述べていますが、そりゃそうでしょう。
…"競馬のプロ"にとってはJRAや地方競馬の経営ノウハウなど、ただのそびえたつクソのようなもの。…パチプロとってはパチンコ店の経営ノウハウなど、ただのそびえたつクソのようなもの。…プロ雀士とっては雀荘の経営ノウハウなど、ただのそびえたつクソのようなもの。
だから彼ら"競馬のプロ",パチプロ,プロ雀士は、「賭場」の経営に余計な口出しをするようなマネなんかまず、しません。財務諸表も分からないのに『賭場から見た「賭場経営改革派」の誤謬』みたいなことは言えませんよね。
ところがちゅんぷく(chnpk)氏は何を思い上がったのか国民経済の運営ノウハウも分かっていると勘違いし、余計な口出しをしている。しかも過去の経済学者の奴隷として。
・為替は今後も一定と決め付けて為替変動リスクは一切無視。
・A国が5%の金利、B国が1%の金利でも、A国の予想インフレ率が4%、B国の予想インフレ率が0%ならば、実質金利は同じなので金利裁定取引は行なわない。もしB国の予想インフレ率が-1%ならば、B国の実質金利のほうが高くなるので、A国で借り入れてB国に投資する(逆キャリー取引!?)。
という珍妙な投資行動を取る人のことになります。ですので、少なくとも彼の場合は、問題は雀荘の経営に口出しする以前に、麻雀のルールを把握していない(あるいはわざと曲解している)ことにあるように思います。
>「金融政策[のみ]で弱性インフレーションへ移行させようとは述べていません」ということであれば、別に反論はないです。金融政策も必要だと思います。
>とは言え、やはり中長期的な需要創造に向けては、金融・財政政策のみならず産業構造の変革が必要なようにも思いますが、これは別に政治の役割でもないので、政策論争としてはおっしゃるような減税と、あとは規制緩和も適宜進めていければ、比較的穏当な路線なんだろうと理解しております。
という返信をいただきました。2009/11/30 05:16 の投稿の最終段落は撤回します。
経済学は金儲けに役立つ学問だとか、金融危機を予測する学問だと誤解している人は、金融業界に限らず多そうですね。で、実はそうでないと聞くと、そんな学問には価値がないと批判するんですよねえ。
>himaginaryさん
あと付け加えるならば、実際の成長率は無視して、単なる推測値でしかない潜在成長率に基づいて投資をする人でもありますね。w
>>「リフレ派は日銀批判の大合唱で揃っています」
>なるほど。日銀に八つ当たりして不況の憂さ晴らしをする会ということですね。
>停滞が長期化してみなさん不満が鬱積しているでしょうから、そういうはけ口が必要と言うのはある意味納得のいくまとめ方ではありますね。
と言い出しました orz
彼はもはや理屈よりも感情を優先させ、己のメンツにかけてリフレ全否定・日銀擁護しそうな勢いです。金融関係者すべてがこんなのばかりとは考えたくありませんが…
それなら実質金利(ひいては予想インフレ率)を見て投資するという彼の理論は正しいことになりますね。
問題はどこの世界にそんな投資家がいるのか、ということでw
投資利回り≧預金利払い
13X/1000≧y/1000
x≧y/13
90%以上の預金超過でも銀行の経営が成り立つんですよね。そりゃデフレはやめられませんよ。
改めて向こうのコメント欄を読みました。
ttoriさんへのコメントでも書きましたが、ブログやコメントで批判するときは言葉に気をつけないと、感情的な争いになって、時には炎上してしまうんですよね。長年ブログをやっていると、過去にそう言う例をいくつも見ています。
>Jinoさん
僕は日本でもドルが通用すると思っているのではないかと疑ってしまいますね。w
>べっちゃんさん
それだと確かに濡れ手に粟ですねえ。民間に融資するのが馬鹿馬鹿しくなるんでしょうね。
それにしても、彼の想像を絶する強情さには舌を巻きます…
参考「国家破綻研究ブログ」
http://gijutsu.exblog.jp/1925624/
金融危機の前後で、FRBのバランスシートは1兆ドル以上拡大しています。もしJEさんの言うとおりなら、すでに米ドルは紙屑となり、アメリカは破綻していると思うのですが。
引き合いがあって出されたものという事なら直ぐに紙屑にはならないでしょう。基軸通貨の特性でしょう。
>JEさん
>日銀は株式会社であり1万円の紙幣を印刷すると日銀は1万円の負債を抱えるという点です。
利率0%の負債なので一般の株式会社の債務と意味合いがまったく違いますよ。
日銀に債権者(日銀券保有者)が一万円札を持ってきたら、それと交換に一万円札を渡さないといけないのですが、同じもの同士で交換するだけなので債券が償還されたところで双方何も変わりません。
そういう性質の負債が増えたって日銀の経営上特に意味はないと思うのですが。
>100〜200兆円の量的緩和を実施し国債を引き受けた場合日銀は先ほどの原則に照らし合わせると確実に債務超過に陥ります。
新規発行する紙幣分資産(国債とか)を買うのに債務超過??
仮にバランスシート上100兆円の債務超過に陥ったとしたら、「100兆円」ってチラシの裏にでも書いて金庫に放りこめば万事OK。
その理屈だと、不良債権など金融システムの問題が大きい国の方が通貨は紙屑になりにくく安全だということになってしまうと思うのですが。
>Jiroさん
政府部門の一部である中央銀行と、一般の企業や銀行を同じように考えてはいけないということですね。
>べっちゃんさん
http://www.boj.or.jp/oshiete/outline/01401008.htmによると、
>日本銀行の国庫納付金の仕組みは、各事業年度の損益計算上の剰余金の額から準備金および配当金を控除した残額を、当該事業年度終了後2か月以内に国庫に納付することになっています
とあるので、埋め合わせに使って残った利益を国庫に納付すれば良いと思います。
日銀の独立に対する頑なな態度は往年の社会党や左翼の「対米従属外交」を糾弾する論法と似ているところがありますよね。自発的に米国についていくという考え方を取らずに、相手に協力することをすぐに親分子分の関係で捉えようとする。
その伝で行くと、自主外交とは、昭和十年代の日本のように世界の孤児になることでしか実現できないことになりますが、実際社会党の末裔の人たちはその道を歩みつつあります(笑)
昭和初期の日銀は、国債の無制限買い入れで軍国主義の片棒を担いだのかもしれませんが、今回はデフレによる亡国の従犯ではなくて主犯になっています。
私と重点の置き所が違いますけど米ドルについては現状その通りだと思います。
この場合金融システム不安の有無は関係ありません。決済通貨の単位が米ドルである事が決定的なのです。また紙屑になり難い/
相対的に紙屑にならないだけで減価損失などは特性は付いて回るんじゃないでしょうか?
日本の金融については今は邦銀などが国債を引き受ける事で預金金利との差益を得てる状態なので比較的安定してる訳ですが、例えばペイオフ上限以上の預金者・企業が邦銀などの国債引受に不安を感じれば、預金を他の資産へ移すような動きが出てくると思います。そういう意味で日銀はプライマリーバランスを考慮した、つまり従来の金融政策では上限に近づいてると認識してるんだと思います。
相手の主張を受け入れることを従属することだと勘違いしている人は多いですねえ。
世界の孤児を目指す人は、社会党の末裔の人たちだけではなく、保守勢力の末裔にもいるようですね。今の首相もそういう人達と仲良しみたいですし。w
自民党の中川秀直氏がかつて日銀を関東軍に例えていましたが、今のままじゃそうなってしまいそうですねえ。
>トさん
うーん、そのような議論で基軸通貨であることが決定的だというのが、僕には分からないのですが。
ただ米ドルがそうだから・そう出来たからと言って、日銀が同じように増版するのには慎重にならざる得ないんじゃないかなと思うんですよ。
結局米ドルにしても大増版の影響は時間の経過とともに減価損失は避けられないでしょう。
中国が米ドルの真似をして「元」を(たぶんプライマリーバランスを基本的に考慮しない)大増版できるというのは、ある意味で「元」が未だ十分に自由に交換可能なハードカレンシーで無く、一方で十分に中央のコントロールの効く大きな成長市場を抱えてるからと思うんですね。
「元」と「円」と比べると、米ドルもですが円キャリートレードと言われるように円は短期間に自由な流入流失が起こりえるので本来やたらと自国都合で増版とかしたら大混乱というかバナナ共和国状態ですよ。事前にその可能性が多少なりとも予想されてる現状なら増版の国際的な影響は小さいでしょうけど、自分は国内的には円資産からの逃避が起こると思いますし、民間での国債消化にはマイナス(つまり実質金利が高まらないと消化できない)と思ってます。輸出輸入に頼る日本は江戸期みたいに保護貿易化して鎖国も出来ないですしね。
ただやるからにはプライマリーバランスを超えた規模で何拾兆何百兆円とやるべきで、その場合は責任所在として政府は明確な日本再生のためのビジョンと使途という指導制を発揮して、大増版の詳細な金額と条件を国民に提出してもらわないと只の国民国富の簒奪になってしまうでしょう。
もし世界で尺貫法が使われるようになったとしても日本が儲かるわけではないのと同じ。
http://cruel.org/krugman/euroj.html
やはり僕には、基軸通貨であろうがなかろうが通貨を大きく増やすときには同じくらいの慎重さが必要だとしか思えないのですが。人民元がハードカレンシーではないから(つまり中国は資本を自由化していないから)、思い切って増やすことができるというのは分かるのですが。
>maeda_aさん
そのクルーグマンの論文は忘れていました。前に読んだことはあったような気がするんですが。
確かにそっちの考え方の方が、僕には納得できますね。
逆に発行量が2倍になっても現状で大して価値を損なっていない米ドルの真似をして「たぶん大増版しても大丈夫だから円貨もやろうよ」とリフレ派は言ってるのではないのですか?
流通量が2倍になっても単位価値がほとんど損なわれないのなら大儲けでしょ。要は増税をも含めたプライマリーバランスというアリバイの有無や妖しさの問題じゃないですか?
FRBは世界各国へ米ドルを貸付けて米国債を買わせてるとも言われてます。これは後で底が抜けたらインチキだったという可能性も十分考慮しないといけない事でしょう。そんなこんなで金地金なんかも高めに推移してるんでしょ。日本は邦銀などの国内資本がほとんどの日本国債を保有してますが、それが国内資本の預かりや資本力で上限に近づいてるのではないですか?
また増版分を全部プライマリーバランスを前もって考慮しない形で政府歳入として扱う事で、例えば円の平価が半分になってもそれはそれで円安・インフレ・政府負債の解消を図れると?
まぁここで両極端を並べましたけど、直ぐ回収するような小手先オペじゃない規模となると、今後はプライマリーバランスを事前に合わすような芸当は無理でしょ。