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2014-03-22

消費税増税直前に思うこと

23:47 | 消費税増税直前に思うことを含むブックマーク

前回の記事から、ずいぶん長い間更新していませんでした。

気がつけば、消費税が8%に増税される日はもうすぐそこです。


安倍政権が増税を決定した頃に分かっていた昨年前半の経済成長率は高かったのですが、増税決定後に判明した昨年後半の経済成長率は下がってしまいました。高成長を理由に増税を決定した安倍政権の判断は、間違っていたと思います。

 安倍政権の経済政策アベノミクスで、想定していなかった経済統計の「変調」が起きている。10日には昨年10〜12月期の実質経済成長率が年率0・7%に下方修正されたほか、今年1月の経常赤字額は過去最大を更新した。消費増税を控え、経済政策のかじ取りは一段と難しくなっている。

 10日に発表された2013年10〜12月期の国内総生産(GDP)の2次速報値では、物価の変動をのぞいた実質成長率(年率)が前期比0・7%増に下方修正され、1%台を割り込んだ。先月発表された1次速報よりも0・3ポイント下げた。4月の消費増税前の「駆け込み需要」が成長率を押し上げると見られていたが、想定外の急ブレーキがかかっている。

 昨年7〜9月期の実質成長率も1・1%から0・9%に下方修正された。1〜3月の4・5%、4〜6月の4・1%に比べると、昨年後半からの減速ぶりが際立っている。


アベノミクス、相次ぐ想定外 経済指標「変調」:朝日新聞デジタル アベノミクス、相次ぐ想定外 経済指標「変調」:朝日新聞デジタル アベノミクス、相次ぐ想定外 経済指標「変調」:朝日新聞デジタル


消費税増税後の景気については、リフレ派の中でも意見が分かれています。浜田政府参与や黒田日銀総裁のように政府・日銀に入った人達は強気の見方をしていますが、この片岡氏の記事のように、景気悪化を懸念している人も多いようです。片岡氏は2014年度の実質成長率が民間予測期間の平均値0.8%を下回る可能性もあると言っています。

安倍首相が提唱した経済政策「アベノミクス」によって、ここまで日本経済は回復軌道を歩んできた。最大の牽引車は民間消費支出だ。その点で4月からの消費税増税はこれからの日本経済が抱える最大のリスクである。本稿では、消費税増税の影響を考える際にポイントになるであろう5つの視点を定め、直近時点で把握できる動きからどのような事が言えるのかを、2回にわたって考えていくことにしたい。


5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(上) 反動減と実質所得減のインパクトを読む――三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 片岡剛士 (マクロ経済編第3回)|消費税増 5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(上) 反動減と実質所得減のインパクトを読む――三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 片岡剛士 (マクロ経済編第3回)|消費税増 5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(上) 反動減と実質所得減のインパクトを読む――三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 片岡剛士 (マクロ経済編第3回)|消費税増

 昨年末に政府と民間予測機関の成長率見通しの違いが話題になったが、こうした可能性を考慮すると、2014年度の実質GDP成長率は民間予測機関の平均値0.8%をさらに下回る可能性も十分にあり得るのではないだろうか。


5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(下) 政府の経済政策と日銀の金融政策の効果を読む――三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 片岡剛士 (マクロ経済編第4回)|消 5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(下) 政府の経済政策と日銀の金融政策の効果を読む――三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 片岡剛士 (マクロ経済編第4回)|消 5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(下) 政府の経済政策と日銀の金融政策の効果を読む――三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 片岡剛士 (マクロ経済編第4回)|消


僕も昨年10月の消費税増税決定後にこのような記事を書いていますが、やはり来年度の実質成長率は1%を切るとみた方が良いでしょう。

この時(補足:2012年7月)の記事では消費税増税の2014年のGDPへの影響がマイナス2.1%だという記事を紹介しました。今でもこの数字の前提は大きく変わってないでしょう。

また、先ほど述べたように、補正予算もせいぜい2013年度と同程度なので、成長率に与える影響はゼロと考えて良いでしょう。マイナスでないだけマシかもしれません。

その一方で、黒田日銀の大規模緩和やインフレ2%目標による成長率への影響はかなり大きいでしょう。その結果、最近の成長率は年率換算で2〜3%くらいにはなっていると思われます。

従って、これらを差し引いた来年の成長率は、マイナスにはならないものの、1%には届かず、0.x%というオーダーになると思われます。

ここで、欧州や中国などの金融危機、あるいは最近噂されている米国の債務上限問題によるデフォルトが発生すれば、日本経済はマイナス成長に沈むでしょう。そんな事態が起こらないことを祈りますが。


消費税増税決定について - Baatarismの溜息通信 消費税増税決定について - Baatarismの溜息通信 消費税増税決定について - Baatarismの溜息通信


昨年の時点では「欧州や中国などの金融危機、米国の債務上限問題によるデフォルト」を心配していましたが、今はウクライナの政変をきっかけとなって、ロシアがウクライナ領である(「であった」と言うべきかもしれませんが)クリミアを併合し、新たなる冷戦の勃発も懸念されています。また、ウクライナ問題でアメリカがロシアに対して効果的な対抗を取れないという状況を見て、中国がアメリカを見くびって日本や台湾、東南アジアに対して何か行動を起こすことも考えられます。日本と韓国は歴史問題で相互不信に陥ってしまい、囚人のジレンマにも例えられる状況で、アメリカはそんな両国をもてあましていると言えるでしょう。北朝鮮も昨年末に張成沢氏が処刑されてから中国との関係が悪化し、もはや金正恩体制がどうなるのか誰にも予測できません。今や経済危機の要因は、世界のあちこちに存在していると言っても良いでしょう。

この中の一つでも経済危機に発展すれば、日本は間違いなくマイナス成長に陥るでしょう。

つくづく消費税増税は悪い時期に行うことになってしまったと思います。*1


昨年後半から失業率は改善してきて、最新のデータである今年1月は3.7%まで改善しました。*2様々な分野で人手不足が起こっているという話も聞きます。リフレ政策は明らかに雇用状況を改善しつつあるのは間違いないでしょう。

そのような時期に景気悪化を余儀なくされるのは、非常に残念です。もしアベノミクスが失敗するとすれば、その最大の原因がこの消費税増税であることは、間違いないでしょう。

今回消費税増税についての記事を書いて思ったのは、2年前に消費税増税が議論された時に予測されていたことが、今でもそのまま通用するということです。このようにはっきり結果が予測されていたにも関わらず、誰も消費税増税に突き進む財務省を止めることができなかったということが、日本の抱える大きな問題点だと思います。

*1:ただ、景気悪化を国際要因のせいにできるという意味では、財務省にとっては好都合かもしれませんが。

*2:参考:「統計局ホームページ/労働力調査(基本集計) 平成28年(2016年)5月分結果