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2014-07-05

やはり消費を激減させていた消費税増税

23:59 | やはり消費を激減させていた消費税増税を含むブックマーク

消費税増税直前に思うこと - Baatarismの溜息通信 消費税増税直前に思うこと - Baatarismの溜息通信 消費税増税直前に思うこと - Baatarismの溜息通信


消費税増税前にも、僕はそれを懸念する記事を書きましたが、やはりその懸念は当たっていたようです。


株式市場・労働市場が比較的堅調であることから忘れられがちだけど...消費の現場に近い人ほど6月に入って景気に急速に暗雲が立ちこめてきていると言う.今月の家計調査を見るとかなり心配な結果になっているみたい.

 そこで,ちょっと前回の増税と今回の増税の違いをまとめてみた.


まずはデータから


 ここでは家計調査の家計消費水準指数を使おう.ニュースなどで見る家計支出額等だと世帯人員数や物価の変化が混在しているので(それでも以下の傾向はほぼまんま維持される),これらの調整を行った指数値の方が実態を反映していると考えるからだ.

 増税の半年前から増税後1年間の消費動向を見ると...


f:id:Yasuyuki-Iida:20140628114505p:image


となっており,今次の増税の影響は過去の比を見ないものだとわかるだろう.ここまで極端な下振れを想定内だという論理が僕には分からない.


(中略)


これまでの消費増税と今回の消費増税は全然違う


 なぜこんなにも今次の増税の影響は大きいのだろう.一昨年来,それこそ政権交代前から繰り返してきたとおり,89年増税の際は物品税の廃止や所得・資産課税減税でマクロではむしろ減税が行われている.97年増税も同時に所得・住民税減税が行われ,これに社会保障給付の増大を含めると増税分と減収分はほぼ同じ.

 これに対して,今回の増税は純然たる増税! その影響は当然大きく異なる.経済学好き向けに言うと,これまでの消費増税は代替効果だけ.今回はそれに(負の)所得効果が乗っているんだ.増税の影響を前回と同じ程度にとどめるためには,デフレ脱却が達成され,一般世帯の所得上昇が明確になってからでないといけなかったはず...

 今年4月の消費増税は現時点でのデータからは失敗だとしか判断できない.7月に消費動向の急激な回復がおきる可能性は否定できないが,その可能性は薄いだろう.


消費増税後の消費動向 / 2014-06-28 - こら!たまには研究しろ!! 消費増税後の消費動向 / 2014-06-28 - こら!たまには研究しろ!! 消費増税後の消費動向 / 2014-06-28 - こら!たまには研究しろ!!


総務省が27日に発表した5月の家計調査で、ちょっとびっくりするような数字が出た。

マスコミ報道では、「1世帯当たりの消費支出(2人以上世帯)は27万1411円で、物価変動を除いた実質で前年同月比8.0%減った。減少幅は4月の4.6%から拡大した」「家計調査の実質消費は、東日本大震災があった2011年3月(8.2%減)以来の落ち込みだった」と書かれている。

ちょっと長めのデータを見てみよう。それには、家計調査にある「消費水準指数」がいい。これは、1世帯当たりの実質消費と似ているが、消費支出から世帯規模(人員)、1か月の日数及び物価水準の変動の影響を取り除いて計算した指数で、家計消費の面から世帯の生活水準をより的確に把握することができるものだ。

5月の消費水準指数の対前年同月比は▲7.8%と、たしかに東日本大震災があった2011年3月の▲8.1%以来の落ち込みなのだが、下図からわかるように、最近33年間における最悪が2011年3月なので、なんと2番目に悪い数字なのだ。

駆け込み需要の反動減が出るのはわかっていたので、4月の▲4.5%には驚かなかった。しかし、5月が4月よりこれほど悪くなるとは、驚いたわけだ。

まあ、3月が7.4%と過去33年間で最も高かったから、その反動減で悪くなったと説明できればいいのだが、以下に述べるように、そうは問屋が卸さない。


(中略)


政府は、この数字でもまだ楽観的だ。

甘利明経済財政・再生相は27日の閣議後の記者会見で「基調としては消費も回復に向かっていると判断していい」と発言している。事務方は、もう少し数字をきちんと説明したほうがいい。総務省も「想定の範囲内の動き」というが、何を想定していたのか、前に明らかにしていないので、なんとでも言える。このような言い方の時は危ないと思ったほうがいい。

まず、消費税増税の影響であるのは間違いないので、前の増税時と比べてみよう。以下の図は、筆者が講演などで消費税の影響を説明するときに使うものだ。増税は過去2回、1989年増税(創設時、つまり0%→3%の増税)、1997年増税(3%→5%)なので、その前後1年で経済指標の推移を書いたものだ。数字はGDPや消費などの前年同期比を取っているが、本コラムでは消費水準指数の前年同月比とする。


http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/b/9/550/img_b9d56142d933a96749ecaa8a1a3e7d3793335.jpg


1989年と1997年を見ると、それぞれ4月の増税後6か月ぐらいは似たような景気動向で、消費税増税の影響はあまり現れていない。しかし、6か月を過ぎるあたりから両者の景気動向に差がつき始める。1年後になると、89年増税時と97年増税時では大きな差がついた。

この理由はまず、89年は景気が良かったこと、97年はそれほどでもなかったことだ。消費税以外の税では、89年は減税もあったこと、97年ではならしてみると、増税減税ニュートラルだったことなどで、89年は消費税増税の影響は97年より少なかった。

それが今回は、図からわかるように、増税後の2か月で89年と97年を大きく下回っているのだ。2か月だけみると、今回の下げは異常に大きい。


過去33年でワースト2!消費税増税がもたらした急激な消費落ち込みに政府は手を打てるか 過去33年でワースト2!消費税増税がもたらした急激な消費落ち込みに政府は手を打てるか 過去33年でワースト2!消費税増税がもたらした急激な消費落ち込みに政府は手を打てるか


このように飯田泰之氏も高橋洋一氏も、今回の消費税増税による消費の減少は、1997年の消費税増税以上に悪いものだという意見です。その原因についても、1997年の時は所得・住民税減税や給付の増大があったのに対し、今回はそれがない純然たる増税であることで一致しています。

この消費減少は、ある程度のタイムラグを置いて経済成長率や雇用にも影響を及ぼすでしょう。昨年の金融緩和やインフレターゲット導入によって実現したアベノミクス好況も、消費税増税によって大きなダメージを受けることは確実だと思います。

これを避けるためには、年末に決定する予定の消費税10%への増税を見送るだけではなく、1997年のような所得・住民税減税や給付金の支給で、8%への増税を相殺することも必要でしょう。しかし、安倍政権は法人税減税には積極的ですが、消費税増税による消費減少を食い止めるための所得・住民税減税、給付金支給については発言すらしていません。

このままではアベノミクスは大きな危機を迎えるでしょう。すでに集団的自衛権の問題で安倍政権の支持率は下がっていますが*1、経済政策が失敗すれば、安倍政権の支持率は底抜けしかねません。


やはり安倍総理は、財務省の歳出権を確保するための消費税増税には応じてはいけないのだと思います。そのために自民党内の親財務省派と対決する必要があるならば、衆院解散してでも彼らを押さえつけるべきでしょう。そこまでの覚悟がなければ、財務省が悲願としている消費税増税を撤回することなどできないと思います。

*1:ただ、僕自身は日本が集団的自衛権を保持することは支持しています。朝鮮半島、台湾海峡、南シナ海の危機が懸念される状況では、これらの地域で当事国の要請によりアメリカと共に軍事行動するオプションは確保しておくべきだと考えています。

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