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2014-10-13

財務省と安倍政権は消費税を国民に返せ

23:58 | 財務省と安倍政権は消費税を国民に返せを含むブックマーク

消費税増税が8%に増税されてから、もう6ヶ月が過ぎました。景気は低迷を続けていて、もはや消費税増税によるものは明らかと言って良いでしょう。

政府や財務省、そしてそれに近いマスコミやエコノミストは、この不景気が天候によるものだとか、駆け込み消費の反動だとか言ってますが、どちらも影響が6ヶ月も続くはずはありません。消費税増税のために景気が落ち込んだことを誤魔化して、今年末に行われる予定の消費税の10%への増税を実現させようとする小賢しい小細工なのは間違いありません。


この消費税増税の影響について、エコノミストの片岡剛士氏が雑誌『Voice』11月号に「“アベノミクス・マーク?”のすすめ」というタイトルで記事を書いています。まだネットでは公開されていない記事ですが、経済学者の田中秀臣氏が簡潔にまとめていたので、紹介します。


 片岡剛士さんの消費増税の影響の検証と今後の日本経済の見通し、そして対策を提起したすぐれた論説。すでに僕とのトークイベントでも本論説の内容と同じものを話されていましたが、活字媒体で読めるのは便利です。ぜひお手にとって一読してください。消費税増税の影響が深刻であり、それが日本経済を再び悪循環に陥らせる可能性が高いことがわかるでしょう。要点を列挙。


1 実質GDP成長率の落込みが厳しい。マイナス7.1%(前期比年率)。特に内需の落込みは、前回の消費税増税、リーマンショック直後、東日本大震災のときを大きく上回るマイナス11.4%の惨状である。その主因は民間消費の落込み。もろに消費税の悪影響である。民間在庫が増えているが、それは意図せざる在庫の増加、つまりはケインズ的な図式でおなじみの総需要の急低下を表現している。外需の内容もよくない(詳細は片岡論説参照)。


2 耐久消費財の落込みの深刻さの指摘。実質所得の低下に伴い、消費低迷が長期化することを意味している。低所得者層・子育て世帯に悪影響が深刻。詳細は論説本体と同時に、こちらの動画も参照ください。


3 実質GDP成長率は0%という片岡試算。


4 予想インフレ率が低下基調。インフレ目標の達成のために政府と日本銀行が政策協定(アコード)を結び、よりデフレ脱却にコミット(追加緩和など)。また日本銀行法改正も重要(物価安定と雇用の安定明記)。


5 財政政策は消費税増税延期、各種減税が必要。いまのままだとプライマリーバランスの政府目標は確実にみたされない。トークイベントでは2015年度予算での税収の減少が示唆されていた(増税でむしろ減収! まさに97年の消費税増税以降の経験の繰り返しになる可能性大きい)。


6 「併せて安倍政権としては、社会保障制度改革に本腰を入れることが求められる。拡大する社会保障費の財源を確保するために消費増税を充てることは、消費税増税→景気悪化→景気悪化を抑制するための財政支出の拡大→社会保障費の拡大→消費税増税→景気悪化→財政支出の拡大→… という無限の悪循環を続けながら、消費税や社会保障にかかわる制度上の矛盾を深刻化させることにつながる。こうした流れを断ち切ることが必要だ」。


片岡剛士「“アベノミクス・マーク?”のすすめ」in『Voice』11月号 片岡剛士「“アベノミクス・マーク?”のすすめ」in『Voice』11月号 片岡剛士「“アベノミクス・マーク?”のすすめ」in『Voice』11月号


片岡氏が言うように、消費税増税によって民間消費が落ち込んだことが、景気が大きく落ち込んだことであることは間違いないでしょう。

また、経済学者の高橋洋一氏は、消費や景気が明らかに落ち込んでいることをデータで説明しています。


前年同期比GDPが示す増税の影響


 最後に「1〜6月期のGDPを平均してみるとプラス」。これは慰みにならない。しばしば、マスコミはGDP統計を前期比で見ている。前期比で見た各四半期GDPの伸び率は図1の通りだ。


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 しかし、これは近視眼的になってしまう。そこで対前年同期比も見たほうがいい(図2)。


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 これを見ると、2013年10〜12月期、2014年1〜3月期で2%より上の部分が駆け込み需要増(大体1%程度)、2014年4〜6月期は前年同期比の伸び率が微減となり2%減ったが、そのうち、1%が反動減(これは駆け込み需要増程度と相殺される)、残りの少なくとも1%程度以上が可処分所得減による消費減となる。


 麻生財務相が、1〜6月期を平均してみればたしかにプラスであるが、それでも、それ以前の巡航速度の2%よりは下回っている。それが可処分所得減による消費減となるわけだ。この部分は、消費増税がなければ避けられていた部分だ。

 以上のことは、8月の家計調査、住宅着工、鉱工業指数(これらはいずれも9月30日公表)、7月の機械受注(9月10日公表)を見ればいえる。この後に、参考のために、各種統計をアップデートした図3を掲げておく。図は少ない(新聞記者が苦手!)日本の新聞ではなかなか見られず、ウェブの本コラムの利点だろう。


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在庫は景気循環の終わりを示唆


 最後に在庫循環分析をしよう。内閣府では従来から景気分析に使われてきたものだ。

 在庫循環の典型的なパターンとしては、景気回復の初期には、まず出荷の増加に伴ってそれまで積み上がっていた製品在庫が減少に転じる。次に、在庫調整が進展して在庫が適正水準に近づくと生産の増加テンポが速まって在庫の減少が止まる。さらに、景気が成熟化して出荷の増勢が鈍化すると在庫が増加に転じる。最後は、景気後退局面で、出荷が減少する中で、在庫が積み上がっていく。

 これの様子を、横軸−在庫、縦軸−出荷とする図の中で描くと、時計回りのような動きになる。実際のデータを当てはめたものが図4のグラフだ。


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 ぐるっと一周すると危険領域なのだが、8月のデータでついにほぼ一周になってしまった。これは景気循環の終わりを示唆している。本来であれば、今国会は景気対策が必要だ。しかし、今のところ、政府は補正予算を頭にないという。これでいいのだろうか。


やはり景気はよくない ツッコミどころ満載の麻生財務大臣発言|高橋洋一の俗論を撃つ!|ダイヤモンド・オンライン やはり景気はよくない ツッコミどころ満載の麻生財務大臣発言|高橋洋一の俗論を撃つ!|ダイヤモンド・オンライン やはり景気はよくない ツッコミどころ満載の麻生財務大臣発言|高橋洋一の俗論を撃つ!|ダイヤモンド・オンライン


この中でも、最後の在庫分析のデータが僕には衝撃でした。安倍政権発足と黒田日銀誕生によるインフレ期待で改善した景気が、消費税増税によって引きずり下ろされて、元に戻ってしまったことを示しているデータです。


このような景気の現状を肌で感じているのか、世論調査でも消費税増税反対が7割を超えています。


 本社加盟の日本世論調査会が九月二十七、二十八日に実施した全国面接世論調査で、来年十月に予定されている消費税率10%への再増税に反対する人が72%に上り、賛成の25%を大きく上回ったことが分かった。安倍晋三首相は予定通り再増税するかどうかをことし十二月に決めるが、景気に配慮して判断時期を先送りするよう求める声も出ている。

 四月に税率が8%に上がった後、家計のやりくりが厳しくなったと感じている人は「ある程度感じている」を含めて82%に達した。財政再建の必要性に一定の理解を示す意見もあるが、再増税でさらに負担が増すことへの懸念が強い。

 税率8%への増税が決まる直前の昨年九月に実施した共同通信社の電話世論調査では、賛否がほぼ並んでいた。これと比べて再増税への反対論は広がっており、消費低迷も続く中、首相は難しい判断を迫られている。


東京新聞:消費税再増税反対72% 「12月の判断先送りを」:経済(TOKYO Web) 東京新聞:消費税再増税反対72% 「12月の判断先送りを」:経済(TOKYO Web) 東京新聞:消費税再増税反対72% 「12月の判断先送りを」:経済(TOKYO Web)


また、昨年の8%増税の時は賛成が多かった有識者*1でも、この1年で賛成派が大きく減少しています。


今日の日経新聞朝刊に、「消費税、予定通り10%」が6割 有識者アンケート と題した記事が載っています。消費税が8%に増税された4月以後、多数の経済指標が大幅悪化していますが、これは字句通りに受け取って良いのでしょうか。


アンケートの対象は、昨年8月に政府が主催した消費税増税集中点検会合のメンバー60名です。

昨年の集中点検会合では、8%への消費税増税について、メンバー中賛成が44名、条件付き賛成が5名、反対が10名、意見保留が1名でした。(図表1)

これに対し、今回の日経新聞が実施した同じメンバーへのアンケートでは、賛成が26名、どちらとも言えないが8名、反対が9名、未回答が17名です。 (図表2) 


有識者の意見も昨年8月からかなり変化した


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図表1(上)昨年8月集中点検会合でのアンケート結果

図表2(下)今回の日経新聞によるアンケート結果

アンケート先は内閣府のこちらに記載。


一見しただけでも、昨年8月の集中点検会合から意見が変わった人々が少なからずいることが見て取れます。


消費税増税有識者アンケートにみる有識者らの姿 - シェイブテイル日記 消費税増税有識者アンケートにみる有識者らの姿 - シェイブテイル日記 消費税増税有識者アンケートにみる有識者らの姿 - シェイブテイル日記


さらに、アメリカのルー米財務長官からも消費税増税に懸念を示す声明が出ています。*2これまで財務省は「消費税増税は国際公約」などと言ってましたが、この説明も嘘だったことはこれで明らかでしょう。


ルー米財務長官は10日、国際通貨基金(IMF)の諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)が開かれるのを前に声明を発表した。

 日本経済については「今年と来年は弱い状態が続く」と指摘し、「財政再建のペースを慎重に調整し、成長を促す構造改革を実行する必要がある」と主張した。

 来年10月の消費税率10%への引き上げに対し、慎重に検討するよう、日本に求めたものとみられる。


財政再建ペース、日本は慎重調整を…米財務長官 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 財政再建ペース、日本は慎重調整を…米財務長官 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 財政再建ペース、日本は慎重調整を…米財務長官 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)


このように、様々なところから消費税増税に対する反対や懸念の声が出ています。


消費税の8%増税だけでもこの惨状なのですから、10%に増税したら日本は再び長期不況に戻ってしまうでしょう。安倍政権は橋本政権と同じように退陣に追い込まれ、その後には自民党だろうが民主党だろうが財務省が支持する政権しか出てこないでしょう。そのような状況では消費税は15%、20%と果てしなく上がり続け、日本経済と国民生活が崩壊する中で、財務省の「歳出権」だけが強化され、財務省に尻尾を振る政治家や企業ばかりが栄える世の中になってしまうと思います。


それを避けるためには、消費税の10%増税を延期するだけではなく、最初の片岡氏の記事にあるように、各種減税や給付金などで消費税増税分を「国民に返す」政策が必要だと思います。本当は消費税を5%に戻すのが最善ですが、それが無理ならば減税や給付金で増税分を国民の手に戻し、可処分所得を元に戻す必要があります。

トリクルダウンの効果に疑問がある法人税減税や、建設業界の供給不足で十分に執行できていない公共事業では、消費税増税を相殺することはできないでしょう。消費税増税の相殺は、減税や給付金で消費税増税分を国民の手に返すことによって、始めて実現できるのだと思います。それこそが本当の景気対策でしょう。

しかし、このような政策は、消費税増税によって増えた財務省の「歳出権」を帳消しにするものですから、財務省は手下の政治家やマスコミ、エコノミストを使って妨害してくるでしょう。安倍政権が財務省と対決する覚悟をしない限り、実現できない政策だと思います。

*1:元々は消費税増税を正当化するために、財務省が賛成派の比率を多くしたメンバーです。

*2:この声明については、ニャントロ大魔神 @さんが原文と翻訳をツイートしています。「ルー米国財務長官、ついに日本のマクロ経済運営に物申す!!の巻 - Togetterまとめ

suikyojinsuikyojin 2014/10/14 23:40 住宅投資のデータを無視したため、1997年の消費税増税における悪影響が10分の1以下に過小評価されていた疑いが濃厚です。
http://kitaalps-turedurekeizai.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html

今回の消費税増税でも、GDP2次速報の値は、民間最終消費がマイナス5.1%、民間住宅投資がマイナス10.4%でした。

JancloJanclo 2014/10/21 01:32 ていつも疑問なのですが、歳出権てどうなんですかね?

介護や医療の支出を減らしているあたり、財務省は歳出権にこだわって動いているようには見えないような。
また、本当に歳出権を拡大させたいなら、高額所得者から税金をとるとか、資産価値を増やす政策(土木予算の増加や企業のBS拡大への減税)をすればいいだけでは?

企業に親和的みたいな意見も聞きますが、事業税(企業付加価値税)の強化や、研究開発減税の縮小なんかは、労働者の賃金や企業のBSを減少させ、税収も減りますし、多くの雇用と研究開発をもつ製造業の多い経団連系の企業にとっても、悪い話ですしね。

どちらかというと、財務省は家計的財政均衡論(安定収入の向上と支出の削減)にはまっているような気がしますね。

BaatarismBaatarism 2014/10/25 00:38 >suikyojinさん
確かに住宅投資の動向は景気に大きな影響を与えるので、これが過小評価されていたら見通しは大きく違ってきますね。

>Jancloさん
「歳出権」の話は歳出全体ではなく、財務省の裁量でコントロール可能な歳出を最大化しているという考え方なので、福祉、介護、医療、教育のような裁量でコントロールできない支出が減っていても、この考え方とは矛盾しません。歳出全体の中で財務省の裁量でコントロール可能な部分の割合が大きい方が、財務省の裁量がもたらす影響力は増大し、「歳出権」が強化されると考えられます。
また、財務省の裁量でコントロール可能な歳出を安定的に確保するためには、高額所得者の所得税や資産課税よりも、高税率の消費税の方が安定的な予算が確保できるので、好ましいでしょう。
家計的財政均衡論にはまっているという考え方もできるとは思いますが、その場合は現実の歳出規模が増え続けている理由を別に考える必要があるでしょう。

janclojanclo 2014/10/25 13:02 財務省がコントロール可能な「歳出」とはどういったものがありますか?
この「歳出」というのは「政治家の政策」ではないでしょうか?

私が「はまっている」としたのは、彼らの上司である「政治家」の覚えがめでたいから、出世のため、あえて正しい理論を放棄するという組織病にかかっていると感じたからです。
一応、政治家が官僚の人事権を握っていますからね。

例えば、復興増税は所得税と法人税に課されましたし、財務省は法人税の減税には反対しています。
つまり、財務省は税収向上について消費税のみにこだわっているわけではない。

しかし、経済や会計に疎い政治家にとって、高い法人税や所得税で高所得の企業や人材の流出や、借金への恐れは非常に強い。
一方で、何か政策を行うには、お金がいる。
そうなると、消費税となるわけです。
また、安定した財源ですから、不況による税収減も避けれる、と考えてしまうわけです。

このような政治家が多くいれば、官僚はこれにあった人間ばかりになってしまうわけです。

janclojanclo 2014/10/25 13:33 私は、財務省という組織に入るほどの人間が経済・会計に疎いとはとても思えません。
しかし、政治家になるには、勉強はさほど重視されません。

だからこそ労働需給が逼迫してるわけでもないのに、移民や女性の活用という「政策」を政治家が掲げ、出世を狙う官僚は、それがおかしくてもその中身を考えていくのです。

所得税の累進性を考えれば、労働需給をひっ迫させ、労働者の所得を上げる方が、配偶者控除を無くすより税収向上に貢献します。
(年収300万が7人より年収700万が3人の方が税収は上です。)

しかし、政策を決めるのは政治家であり、決められた政策によって出世する官僚が選ばれるわけです。

官僚を責めても、政治家の思想が変わらなければ、結局同じ政策が出てくるだけのような気がしますね。


政府が相続資産減税や投資減税などのストック拡大減税をとれば、法人税や所得税などのフロー課税が高くても、高所得の企業も人材もどんどん入るでしょう。
さらに、雇用や税収も向上する好循環が生まれるんですが、こういう発想の政党がないのを見ると、いつまでも同じことがくりかえされそうですけどね。

BaatarismBaatarism 2014/10/29 23:00 >jancloさん
jancloさんは政治家が官僚よりも上位にあり、官僚は政治家の決めた政策の中身を考えていると思っているのですね。
しかし、実際の政治は必ずしもそのようには動きません。
政治学や経済学の重要な理論に「プリンシパル=エージェント理論」というのがあります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%91%E3%83%AB%EF%BC%9D%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E7%90%86%E8%AB%96

「プリンシパル」とは業務を委任する人、「エージェント」とは業務を委任される人のことです。政治家と官僚の関係だと、政治家がプリンシパル、官僚がエージェントとなります。
プリンシパルはエージェントの業務を監視する必要がありますが、プリンシパルはエージェントほど業務に詳しくありません。そのため、プリンシパルがエージェントのエージェントの行動の適否を判断するのは困難です。このような情報の非対称性のため、エージェントはプリンシパルの意向に従わず、エージェント自身の利益を優先する可能性があります。
政治家と官僚の関係に置き換えると、官僚が政治家の選好から逸脱した政策を実施してしまう可能性があるということです。そのため、政治家は必ずしも官僚よりも優位に立つわけではなく、どちらが優位かはその時の状況によります。
自民党が一党優位体制を確立していた時代や、小泉政権のように長期安定政権が成立した時期は、政治家が官僚をコントロールしやすくなり、政治家が優位になります。逆に首相が毎年交代するような時期は、政権が不安定なため政治家は十分官僚をコントロールできず、官僚が優位になるでしょう。小泉政権が終わってから第二次安倍政権が誕生するまでの時期は官僚優位の時期であり、その中でも最も力の強い財務省が政策を左右していたと思います。そのような状況が長引いた結果、財務省は政権に対しても強い影響力を持つようになり、消費税増税法案を成立させたのでしょう。

ただ、民主主義の原則から言えば、国民が選んだ政治家が官僚よりも優位に立つべきであり、jancloさんが言うような状況の方があるべき姿でしょう。そのためにはある程度安定した政権が必要であり、首相が毎年交代するような状況は好ましくありません。
今は長期安定政権を目指す安倍首相と、これまで得てきた利益を維持しようとする財務省の力が拮抗している微妙な時期なのだと思います。ただ、安倍政権は景気を良くすることで国民の支持を得てきた政権ですから、今回の消費税増税を実施するかどうかは政権の行方を左右し、政治家と財務省の力関係も左右することになると思います。