『バックラッシュ!』発売記念キャンペーン跡地 このページをアンテナに追加 RSSフィード

本サイトは双風舎から2006年6月に発売された単行本『バックラッシュ!〜なぜジェンダーフリーは叩かれたのか〜』のキャンペーンブログとして設置され、5月24日〜7月31日までのあいだ毎日更新で、さまざまな企画をお届けしました。担当は「荻上式BLOG」(当時は「成城トランスカレッジ!」)の chiki と「macska dot org」の macska です。『バックラッシュ!』のご購入はこちらから。キャンペーンブログは一旦更新終了しましたが、もしかしたら追加コンテンツあるかも。

2006-06-06

[] 『デビューボの泉』第二回 : 女性専用車両脳の恐怖!

 あなたに向けられた憎しみを微笑みへと変えてくれる『デビューボの泉』へようこそ。この連載では、かつてフェミニストの発言を脱文脈的に取り上げて価値付けしたことのある人たちの文章を主に扱っていきたいと思います。さて、今回取り上げるのはジャーナリストの千葉展正というヒトです。名前自体はほとんど知られてないと思いますが、「反フェミニズムサイト」というサイトを運営しつつ、『男と女の戦争』という本を書いたり、「男女平等バカ」や「SAPIO」などのムック、雑誌などにも反フェミ系の記事を寄稿していらっしゃったりして、目に付く機会はそこそこ多いかも。

 直接彼の文章を読んだことのない人でも、斎藤美奈子さんが『物は言いよう』の中で次のように指摘していたことを覚えている人は多いのでは。

 土俵に上がりたいフェミニスト政治家たちにいいアイデアを提供したい。この女相撲を復活させるのだ。そして御自身たちがフンドシをつけて土俵に上がるのだ。平成不況の暗雲を吹き払ふために女性政治家が奉納土俵入りを行ふ。なんていいアイデアだらう。(千葉展正『男と女の戦争』展転社、二〇〇四)

 本人は得意満面で打っちゃりを決めたつもりだろうが、すでに土俵が割れている。まず、力士が締めているのは「フンドシ」ではなく「マワシ」である。さらに、この方式でいくなら、杯の授与者全員に「フンドシ」をつけていただくのが筋である。土俵上で「感動した!」と叫んだ小泉首相にも「フンドシ」で奉納土俵入りを行っていただくべきだったのではないか。

斎藤美奈子『物は言いよう』平凡社、二〇〇四より

 千葉展正さんは共同通信経済部の元記者さん。経済部の元記者さんによれば、女相撲を復活させると「平成不況の暗雲を吹き払ふ」ことができるそうです。それはすごい、さっそくみんなで経団連にメールだ! ちなみに女相撲は現在でも残っているけれど、それは気のせいなので無視しましょう。

 もし私が女子大の経営者だつたら、フェミニズム教育なんかただちにやめて、建学の精神に立ち帰る。

 女子大の建学の精神とはなにか? 良妻賢母教育である。

 良妻賢母教育といふと古くさく聞こえるかもしれないが、これを封建的な徳目として誤解してもらつたら困る。良妻賢母教育とは簡単にいふと、女性の全人格的な教育のことだ。

 良妻賢母教育の中心は当然、育児だ。学校では育児を徹底的に教える。幼稚園教諭や保母を育成するのではなく、自分の子友を育てる知識と技術を教へるのだ。

かうした教育を受けた○○女子大学の卒業生は、結婚して子供を産むと、誰もが立派に子供を育てるやうになる。やがて、○○女子大学の卒業生は子育てがうまいといふ評判がたつ。○○女子大学の卒業生の卒業生は嫁に引き手あまたとなる。企業からも求人が殺到する。

 ○○女子大学の卒業生は、高度な家政学と子育ての経験を生かして、三十代、四十代になっても様々な仕事につくことができる。なにしろこの国には、家事と子育てのプロはほとんど存在しないのだから。

 大学の生き残り策としてもいいアイデアだと思ふ。

千葉展正『男と女の戦争』(p.55〜56、展転社、2004)より

 「女性の全人格的な教育」という「良妻賢母教育」を、どうして「封建的な徳目」と誤解してはいけない理由だけはよくわかりませんでしたが、共同通信経済部の元記者さんがおっしゃっているのだから、このプランは皮算用ではないはずです。ニーズもたぶんあるので、学生もたぶん殺到するはず。さっそくみんなで経営難の女子大の学長にメールだ! 

 大妻女子大学の校訓は、「恥を知れ」ださうだ。

 恥を知れ。いい言葉だ。女子教育の本質を一言で表現してゐる。

 明治四十一年に大妻タカコが創立した大妻女子大学は、良き女子教育の伝統を堅持する数少ない女子大学である。この大学の学生には電車の中で平然と化粧する女性はゐないにちがひない。それかあらぬか、大妻女子大学の卒業生の就職率はほぼ一〇〇パーセントといふことだ。

千葉展正『男と女の戦争』(p.56、展転社、2004)より

 私は自分の大学の校訓なんて知りませんでしたが、大妻女子大学の学生の場合は校訓をしっかりインストールしているので、電車内で化粧する女性もたぶんいないし、いたとしてもたぶんこっそりやってるはずです。ちなみに大妻女子大学はの就職率は、就職希望した人の就職率は93.8%、全学生のうち就職した人の割合は79.8%で割とフツーだけれど、大胆に四捨五入したら100%だからOK!

 この本では他にも、ジャーナリストらしく常人では思いつきもしない視点がキラリと光っています。

 《厚底を 女性の地位に 履かせたい》

 この川柳は、数年前厚底靴がブームになつた時に思ひついたものだらう。

厚底サンダルで車を運転していた女が人をひき殺してからといふもの、厚底ブームはすっかり下火になつた。まつたく、女に厚底をはかせるとロクなことがない!

千葉展正『男と女の戦争』(p.41、展転社、2004)より

 ジャーナリストの千葉さんによれば、厚底サンダルブームは事故がきっかけで下火になったそうです。ということは、ギャルはすんごく道徳的なんですね。なるほど。ジャーナリズムの勉強にもなります。

 女子大のフェミニズム講座。女の教授は学生に語りかける。

 「みなさんがこれまで教へられてきたのは男性社会の価値観や固定観念です。ジェンダーフリーをともに学びませう。それが女子大で学ぶ意義です」

 彼女は授業の中で、

 「夫を主人と呼んではいけない」

 「専業主婦は消え去るべきである」

 とヒステリックに叫び、最後は

 「男性による女性支配を打破しなければならない」

 という文句で授業を終へる。

 女子学生たちは、

 「なんでもかんでも男が悪いなんて、なんかヘンね」

 と内心思ってゐる。でも、反論するとフェミタリアン教授がヒステリーを起こすので黙ってゐる。

千葉展正『男と女の戦争』(p.53〜54、展転社、2004)より

 ベテランジャーナリストの手にかかれば、取材などしなくても想像で記事が書けるのです。立派なジャーナリストになるためには、取材費を浮かす方法も考えなくてはいけません。ちなみに、「正仮名遣い」にこだわっているように、千葉さんは美しい日本語にこだわります。ですから、

 (ゼロ歳児からのジェンダーフリー教育は)文字通り、赤ん坊のうちからジェンダーフリーの精神を身につけようといふモルモット思想にもとづく変態的な試みで、文科省は全国の幼稚園や民間団体などに委嘱して幼稚園児にジェンダーフリー教育の実験を施してきた。

千葉展正『男と女の戦争』(p.142、展転社、2004)より

 とあるように、「モルモット思想」という日本語は聞いたこともなく、ググっても1件も出てきませんでしたが、なんとなく美しいのでOKです。たぶん、江戸時代にも使われていたはずです。

 さて、それではみなさんお待ちかね。千葉さんのもっともデビューボな発言をご紹介しましょう。

 女性専用車両を運行する意味とはなにかといふと「男性敵対思想の宣伝」。これである。

 電鉄会社は「女性を痴漢から守るために女性専用車両を導入しました」なんて言ってるが、あれはウソ。

 あまり知られてゐない事実だが、女性専用車両のドデッパラには、人間に見えるか見えないやうな薄いペイントで「男=ワル」と大書してあるのだ。そして電車がホームに入ってくるたびに、利用客の脳裏にはテレビのサブリミナル効果のやうに「男=ワル」のイメージが刷り込まれる仕掛けになってゐる。

 (…)「女性専用車両」による男=ワルといふ観念の刷り込みが効いてゐるから、痴漢デッチあげによるユスリ・タカリは成功する。

 男性敵対思想に冒されてゐるのは女ばかりではない。「痴漢」と聞いただけで条件反射的に「犯人」を取り押さえてしまふ男たちも同じ。彼らは男同士の車内暴力には見て見ぬふりをするくせに、不思議に「痴漢」だけは取り押さえる。女性専用車両のサブリミナル効果は男にも及んでゐるのだ。

千葉展正『男と女の戦争』(p.37〜38、展転社、2004)より

 こ、これは恐ろしい。いますぐみんなでJRに抗議の電話だ! もしJRの中の人に「そんなことありえません」といわれても、それは革命をたくらむ左翼とフェミニストの隠蔽工作ですからひるんではいけません。また、できる限り多くの人にも教えてあげましょう。もし「うっそだー」という人がいても、その人は左翼とフェミニストに洗脳されているので救ってあげましょう。その際は、この本を読ませてあげるといいと思いますよ。

 というわけで千葉さんには90デビューボ進呈したいと思います。おめでとうございまーす。

 さて、明日水曜日は本書よりキーワードをまた一つ紹介したいと思います。しかも話題の『ジェンダーフリー』。正しく理解して、みんなで同室で着替えるぞ!(ウソ)

のりさんさんのりさんさん 2006/06/06 04:46 お、おもしろすぎる!「正仮名遣い」の相乗効果で、面白さ倍増です。つっこみをいっぱい入れられる、なんて楽しい文章でせう。 こんな楽しいデビューボの泉が週1回連載なのは悲しいなあ。来週まで待てないぞ!

yamtomyamtom 2006/06/06 06:26 良妻賢母教育教育バリバリな、校訓「清純」という高校に行ったワタシ。立派に校訓インストールした結果、清純道まっしぐら。結果負け犬として、少子化に貢献しておりますことよ。オホホホ。これも女性専用車両のサブリミナル効果なのでせうか?

demiandemian 2006/06/06 09:42 いつも思うのですが「正仮名遣い」なんて歴史の浅いものを使う人って、まさかそれが伝統だなんて思ってはおられないでしょうね。やるなら漢字オンリーにレ点つけなきゃ。

moricoromoricoro 2006/06/06 10:19 そう思ってるから使うんでしょう。

hdkhdk 2006/06/06 10:20 無知なものでちょっと伺いたいのですが、「正仮名遣い」っていつごろ成立したものなのですか?見たかんじ明治時代くらいかなという気がするのですが。
いわゆる「古典文法」にのっとったものではないですよね。ずいぶん恣意的に「古典文法」をつまみ食いしたようにしか見えないのですが。
日本語というのは正書法が存在しないのが不便ですね。小学校の指導でも10年違うと送りがなの振り方が違うが間々ありますもんね。

kaoruSZkaoruSZ 2006/06/06 23:14 「恥を知れ」――いゝ言葉です。恥を知るとは、大新聞の社説の書き手にぜひ持ちあはせてほしい美徳です。ジェンダーフリーについて読売がトンデモ社説を載せたとき、私は恥知らずな行為と呼んで抗議のメールを送つたものです。
 歴史的仮名遣ひについて詳しいわけではありませんが、あえて申し述べますと、基本的には平安時代の成立ですね(明治国家と「国語」の成立以前は表記にゆれがあつた、つまち規範として統一はされなかつたやうですが)。表記と実際の発音のずれが大きくなるのに十分な古さではあります。
 しかし、歴史的仮名遣ひの使用=保守反動のエセ伝統主義者の特徴と決めつけるのは早計でせう(それが、伝統だの、正統だの、日本精神のあらはれだのと主張する世迷ひ言と同じやうに)。
 歴史的仮名遣ひには、正統性ではなく歴史性がはつきりと刻印されてをり、そこが戦後促成された現代仮名づかひと違ふところです。(たとへば、現代仮名づかひでは「あおぐ」と「おうぎ」はまつたく別ものですが、歴史的仮名づかひでは「あふぐ」道具が「あふぎ」であることが見てとれます。)
 まあ、伝統の結果でも正統性の発露でもなく、偶然今ある形をとつたといふ点では、歴史的仮名づかひも新かなも五十歩百歩かもしれませんが。正書法がなくて不便だなどとおつしやらずに(小学校の指導など、規範としては所詮その程度のものなのですから)、いい年をした大人は送りがなくらゐ好きにお送りになつては?
 ところで、5ドギ頂戴してゐたことを月曜日になつて知りました。ありがたいことです。しかし――日曜の夕方、友人宅でワインなどあけてまつたりしてゐる最中、不意に脇腹に痛みを覚えました。いぶかしんでゐたところ、あくる日にはそれが本格的な腰痛(?)に。腰といふより、背中の筋肉とそれに繋がる腹筋ですけど。笑つても、深呼吸しても痛みます。
 これつてドギの呪ひ? はたまたデビューボのたゝり? 
 皆さんは大丈夫ですか?

hdkhdk 2006/06/07 10:20 ご教示ありがとうございます。
ネット上でみる「歴史的かなづかい」は「いう→いふ」とか変えて悦にいっているように見えたので疑問を呈してみたのですが。
kaoruSZ氏の指摘されるようにキチンと「歴史的かなづかい」を使っている方ってあまり見かけないもので。ま、それも偏見かもしれませんが...

kaoruSZkaoruSZ 2006/06/07 22:54 歴史的かなづかいというだけでエラそうに「ご教示」っぽく見えちゃったりするかもしれませんが、私はときどきこれで遊んでいます。(あ、呼び方、旧かなでも本かなでも何でもいいんですが、自分では歴史的〜と呼びます。「こだわって」はいません)。基本的に、新かなづかいを知らなかった時代に書かれた作品は改変されない形で読みたいと、また、文語文の新かなはみっともないと思っていますが、千葉某の文章なんてもともと内容のない(形式もない)スカスカなんで、いふだろうがいうだろうが下らなさに何の変わりもないというもの……。

Chiyoko1960Chiyoko1960 2006/06/09 15:57 大変面白かったです。当方仕事にのめりこんで結婚が遅れ、一人しか子供を生めなかった、女性専用列車には絶対に乗らない専業主婦です。フェミニズム思想への、女性自身の不自然な観想を大事にしたい。

★これでも東横線の★これでも東横線の 2006/06/10 19:47 ★これでも東横線の女性専用車両を容認するのか6★
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/rail/1147091406/

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